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街中ダンジョン  作者: フィノ


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700話 集まる2人

「歩いてみましたけど・・・、割と普通?」


「他の人に干渉し過ぎると何があるか分からませんからね。信じるのは仲間かチームかと言った感じです。まぁ、それでも生活の糧を探しに奥へ進むゲートを潜る人もいますが、そう言った時は固定メンバーか知り合いの紹介で組むか、或いは統合基地へ行くそうです。」


「外のギルドで斡旋してもらったりはしないんですね。」


「場合に寄りますが自国にギルドが出来る事を知らない人もいます。ここに住む以上、外の情報も入っては来ますがそこまで重要視しない傾向がありすね。」


「まずくないですかそれ?稼ぐにしてもレートや売り物の値段はある程度把握する必要があるでしょう?」


「ええ。しかし、それを押してまで自国ともかかわり合いたくない人もいます。なので外の企業からすれば、思わぬ掘り出し物が安くで買えるかもと来る人もいますね。例えば飛行ユニットの件が広まるのが遅かったので素材としては安かったですし、依頼を受けたスィーパーがここで買い付けて外で売ると言う話もありました。今は需要の観点から高額になりましたが、それでも安めと言えば安めです。」


 スィーパーの下請けか。まぁ、誰が何を売ろうと自由だしゲート内で完結するなら首も突っ込めない。現状としてギルティタウンはどこの国としてもグレーゾーンなのだろうが、そのグレーゾーンを必要とするべき場合もまたある。


 そりゃあ立場的には法律を守るし俺もそれがいいと思う。しかし、決められていない部分は倫理観と本人の良識に頼る部分もあるし、赤信号みんなで渡れば怖くないではないが集団で動けば枷が外れ暗黙のルールなんて事も。その点ここでは個人でやり取りしなければならないし、下手に信用を失えば噂は広まる。


 他人に不干渉と言う事は裏を返せば自衛意識は高いと言う事で、泣き寝入りしない為にも周りには敏感だろうし泣き寝入りしない為にも噂話はどんどんするだろう。だからこそ、千代田も周囲から見られていると言っていたし。


「価格やらはここと企業の問題なので私としては不干渉ですね。ただ、学校問題やらを考えると企業は反対しそうだ。」


「無知の方が仕事はしやすいですからね。電波基準の変遷も検討されているので、下手をすれば数年後には今の通信機器は使い物にならなくなり、新規の契約出来なければ情報源は少なくなっていきます。」


 アナログ放送から地デジに変わる様なものか。セーフスペース内の事を考えて電波規定を国際的に決めようと言う動きもあるし、その流れを考えれば移行期間を経て新しい基準に適した物だけを作ると言う話になる。う〜ん・・・、そうなるとゲート内に住む人はかなり難儀する?


 行燈の街に住む人はいいが、他と関係を絶っている人が情報を仕入れようとするとその機器を手に入れる所から始めないといけないし、それを諦めて更に排他的になると言う選択肢を取る事も考えられる。


「ええ。企業としても生き残り戦略として商品開発も必要なら技術開発も必要で、その為にモンスターの素材を買ったりしています。・・・、松田さんからの素材販売フェス要請は早期に行う必要があるな。」


 日本だけでやっても限界があるものの、中層付近から以降の素材価格はかなり高止まりしている。これは中層付近を安定して旅出来るスィーパーが少ないと言うのもあるし、企業としても奥の素材と依頼を出しても引き受ける人が少ないから。


 安定して供給されるのは15階層辺りまででそれ以降はどんどん価格が上がる。だからこそ最近は16階層セーフスペースに統合基地を作ると言う話も出てきている。いや、作っているの方が正しいか?


 元々が前線サポート基地と言う意味合いが強いので流れとしては間違っていないのだが、利用価値と言う面では疑問が出てるんだよなぁ〜。そもそも15階層で退出ゲートを使えばいいとか、セーフスペースに入り上昇アイテムを使えばいいとか。


 なんにせよ電波塔建設は進んでいるし、行ける人も増えている。そうなると統合基地よりも先に住み着く人が出て来てもおかしくない。未開の地に住むとして人の最大の武器を上げろと言われたらやはり闘争心か。意地でもそこに住むと決めれば環境適応していくし、その過程で他よりも住みやすくしようとする。この街だって先にいた人が邪魔だからと追い出して発展している様だし。


「そろそろ外に出ましょうか。」


「ええ。目印的なモノもイメージ出来ましたか?」


「行燈の街で灯りがあるならイメージはしやすいですよ。取り敢えず上昇アイテム使いましょうか。それとも千代田さんは統合基地に用事あります?」


「コレと言ってはないですね。」


 時計を見れば19時か。昼メシ食べてから入ったが結構話し込んだし見て回ったな。住んでしまえばまた見えるものが変わってくるのかもしれないがさっさと学校的なモノを作る必要性がある。まぁ、あると言ってもそれは政府主導でやってもらわないと困るので、日本の本部長達に情報を流しておくに留めるとするか。


 外に出ると初夏も近いのでまだ明るい。と、言うか海上にある東京ギルドの周りはビル街なので寝ずの街と言った感じだな。何処のビルも企業と警察と自衛隊が入っているのでこの時間でも灯りが消えている所はない。いや、2交代3交代が主流なら本当にビルは寝る暇もないのか。


「これからどうされます?」


「雄二に挨拶してから帰るか・・・、ちょっと飲むとか?東京ギルドも大変だし愚痴を聞くのもまた年長者の務めだからね。」


 そんな話をしながらギルド内に入り受付で取り次いでもらう。しかし、ペストマスク便利だな。体型だけならギリギリバレないので気にしなくてもいいし、外して顔を見せれば割と本人だと理解してくれる。


「お待たせしました・・・、た?どこで手に入れたんですかそんなもの?」


「英国に行った時にちょっとね。それより仕事は大丈夫だった?」


「新名さんに頼みました。まぁ、一応目処はついてるから大丈夫ですよ。各種受け付けも人夜は疎らになりますしね。それよりも接待と言うものをさせて下さい。」


「接待?なんでまた接待?普通に居酒屋とかでも・・・。」


「防犯上外で飲むなら出来る限り指定した店でお願いします。クロエは居るだけでも騒がれる対象になりますし、そうでなくとも東京に来ているとの目撃情報が拡散されています。」


「ですです。それに接待される事はあっても俺が接待する事って少ないんで、こう言う時にでもやっとかないと実戦出来ませんからね。ささ、運転は俺がするんすどうぞ。」


 雄二に急かされる様に千代田と車に乗り込む。確かに立場上若いとは言え・・・、逆に若いからこそ接待してチヤホヤしてくるのか。雄二は職の関係上簡単には折れないし曲がらないが、それでもヨイショして見返りを求めたいと言うのもあるだろうし繋がりを持っていて損はない。


「ここです。お上品な店ですけど魚が上手いですよ。」


「知ってるよ。ここって松田さんとか大井さんも来てるでしょう?なんにせよ接待されようかな?」


 赤坂にあるとある料亭だが確かに飯は美味かった。松田達は酒をちょこちょこ飲んで少し箸を付けるくらいだったので、代わりにたくさん食べた記憶がある。そんな料亭の廊下を中居さんに案内されてお座敷へ。


「おお!卓君も来てたの?」


「ご無沙汰してます。・・・、なんと言うかこの挨拶が大人っぽいですね。」


「初々しくていいんじゃない?」


「さぁ、積もる話もあるので中へどうぞ。」


 さて、2人が集まって接待されると言う事は何かしらのお願いがあるんだろうな。巻き込んだからには面倒を見るとするが、増田がおらず新しい千代田がここにいるからには次世代的な悩みでもあるのかな?

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― 新着の感想 ―
元ホームレスや元監視社会の住人等逃げ延びた者達は 情報こそがいきる術と知っていて情報にアンテナ立ててそうなんだけど 殆ど生きるのゆるゆるセーフスペースでそのアンテナ朽ち果てたのか唯一にして一番の脅威が…
新宿にもウイグル料理の店があるけど民族移動の時にゲートに去ったのだろうか
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