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街中ダンジョン  作者: フィノ
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665話 今更ながら 挿絵あり

 バイトに騎乗し木の枝の上を走らせるが馬鹿鳥よりはかなりいい。寧ろあの鳥は失敗作の類だろう?触手で固定して乗り心地無視の上下運動やらジェットコースターも真っ青なフリーフォールとか。それに風景が間延びする程の速度が出せるならバイトの方が間違いなく上位互換である。まぁ、その速度のせいでゲートを見落としがちになるのが玉に瑕だが、上からも下からもなんなら左右からもガンガンミサイルやら銃弾やらビームが飛んでくるので止まるわけにもいかない。


 一応木が邪魔してくれるが信頼性は低いな。元々ビームも銃弾も貫通するし一瞬の速度低下が救いと言えば救いか。間違いなく盾なんかにするもんじゃない。そもそも映画なんかで銃撃戦やってて車のドアで弾を受け止めるなら防弾使用じゃないと貫通するし、窓ガラス割れた時点で防弾ガラス使ってないからそう言った装備があるのかも怪しい。


 逆に木は車のドアと違って厚さがあるから止められない事もない。一応、木のテーブルで弾を受け止めようと思うなら素材次第と言ったところか。なんでそんな事を考えているかと言えば後続にどう対処するのが生存率が高いか伝える為。


 太い幹・・・、例えば2m超えの幹の木がゴロゴロしているので、それなら一瞬自身への到達を遅らせる事は出来る。当然太くなればなるほど猶予は増える。しかし、モンスターを引き連れて射線を切ると言う事はコチラもモンスターを見失うと言う事でイマイチ実用性には欠けるかも。


 そもそもタイマンでもなければ大きさも様々で、デカいやつは大量にビームなんかをばら撒く反面視認はしやすい。逆に小型なヤツの方がウザい。発見しづらいし何より乱戦中にハエやら蚊が飛んでいたとしてそれを驚異と思えと言う方が辛い。


「ちっ!またか!」


 カナブン程度の大きさものせいかレーザーブレイドの長さは短い。精々5cmと言ったところだが、それが突然形成されて目の前に出てくる。上でもレーザーカッターはあったがもう少し見やすかったし、何よりコイツほどまとわりつきもしなければ自在に飛び回らない。


 ただ1ついい点があるとすれば服が切り裂ける程の出力がない事か。まぁ、それでも高速で飛び回れるので当たれば銃で撃たれたくらいの衝撃はあると思う。そんなカナブンに頬をパックリと切り裂かれるが、その程度で止まるわけもない。


「回れクリスタル!互いに引き合い磁界を作れ!」


 モンスターならクリスタルはある。なら、それが回転すれば電気を生む。同じ様なモンスターなら磁界共鳴もいけるだろう?過電流で燃え落ちろ。こちとらお前なんかにか構ってる暇もないんだよ!


(後ろから来る!)


「見えてる!ったく!小さいのが落ちれば今度は大きいのかよ!煙よ、纏わりついてその身を縛り、傀儡となりて従え。落ちろ!」


 頭上を抑える様に飛ぶモンスターを絡め取ってモーニングスターの様に地表に叩きつける。木がぶっ刺さったりしているが、まだ飛べるのか煙を振り解こうと触手で辺りを切りまくってるな。扇動したモンスターもそうでない奴も、モーニングスターアタックで乱戦に突入し互いに壊し合う。


 盾師は欲しいな。強行突破を考えるなら先頭にして走ってもらいたい。ついでに探索者かサバイバー、或いは追跡者。オカルトでもいいがとにかく次に行けるゲートの在り処に目星がつけれそうな奴が欲しい。意外とプランナーとか道筋立てれるから行ける?


「ゲートはありそうか?」


(分からん。吾輩は光る門を探して進んだのではなく、気が付いたら仕切りが出来てたまたま近くの門に興味を惹かれたから入っただけだ。ただ見た事ない輩も多い。)


 バイトが見た事ない・・・。どっちだ?バイトの同期は食われ尽くしていなくなったのか、はたまた進化して別物になったのか?カナブンを考えるとモンスターって小さくもなりそうだしな・・・。寧ろ大型モンスターを考えると小型の方が有利か?考察は後にして一旦仕切り直そう。


「速度はそのまま、ゲートがあれば飛び込め。昼が過ぎて夜。昇れば落ちろ灯台となる。それは船乗り達の道標、高いは砕かれ伏せては焼かれ!」


 イメージするのはベネズエラのマラカイボ湖。世界一雷が多く大航海時代にはその雷がカタトゥンボの灯台と呼ばれるほど夜に落ちる。その数1km2あたり年間で約250回!年間落雷日数で言えば300日、そんな数の落雷ここに落とす!帯電装甲?悪いが電気は逃がせても熱は簡単に逃げない。それに・・・。


「引き合い混ざり合い反発し合い離れて行く。両端は出合わず獲物にも追いつけず、ねじれ狂い縮まらぬ距離はどこまでも続く。」


 一応、モンスターの鉄っぽい所は金属らしい。らしいと言うのは何の金属か或いは合金か分からないため。まぁ、元素周期表に載ってないんだろう。俺達が高校の頃に覚えた元素周期表だってまた新しく発見されるかもと言う理由で歯抜けだったし、ニホニウムなんてのも発見されたしな。


 それはいいとして鉄に電気を流せばどうなるか?答えは簡単磁石となる。一部は電気分解されたかもしれないが、残っていればそれでいい。治癒師が結合する程上手くはないがモンスターの気を引くには十分。なにせ振り向かなくとも何かに引っ張られたような感覚はあるだろうし、ただ腕を振るうだけでも反発するかくっつくなんて事になる。


 見える範囲で箱もクリスタルも回収し一旦モンスタートレイン状態から離脱・・・、出来るといいなぁ・・・。キセルをプカリ、指輪から出した缶コーヒーを一口。呪文は必要ないが大きいものを使うなら宣言はあった方が自身のイメージ補強にはいい。


 バイトが目の前の何かを噛み砕き、枝も木も削り取り進むが今回のゲートは中々見つからない。流石に埋設はないと思うがやはり木に引っかかっているのか?前来た時は一本釣りしたり洞窟の中なんて事もあったしな。


 闇雲に探したくはないが不親切この上ない事にゲートの場所を示す看板なんてものはない。上層ならまだ荒野やら山岳地帯で見通しはよかったし、暗いおかげでゲートそのものは目立つ。しかし、こうも木に囲まれた森林地帯だとな。煙を広げ視界を広げあるだろう端を夢想し箱庭をイメージ。ちっ、せめて円形か四角形かくらいは知らせて欲しい。と、言うかもっと簡単な方法があるじゃないか!


「そのあたりの枝に飛び乗れ。」


  挿絵(By みてみん)


(御意。)


 そうだよ!この木は地下茎で繋がっていて1本の木のように見えてその実イメージとしては竹に近い。つまり、木の中を進むものがあればこの広大な階層も見渡せる。木の葉をブチブチ引きちぎり杖の要領で生み出すとしよう。


「魔女が願う。樹と供に生き樹と供に終わりもを迎える者。母に還りて姿表す者。枯れることなき木に宿る精よ、今この時その頭上に楢の葉でできた冠を授けよう。こい、ドライアド!」


 神話によればドライアドは緑の髪をした樫の木の精霊らしいが、それはもうゲームや小説で改ざんされ単純に木の精となっている。そして自身の宿る木が枯れなければそこそこ森なら何処へでも行ける。つまり、ここいら一帯の木ならこのドライアドの形をした杖なら俺よりも早く調べられる。


 戴冠式ではないが引き千切った葉を魔法で繋ぎ冠とし、両手で被せるよう様にすれば自ずと姿が視えてくる。多分うまく言ったはずだ。なにせ俺は魔女の職に就いているしな。自然相手なら魔術師よりも魔女の方が親和性は高いはず!


  挿絵(By みてみん)


「光る門を探している。見つけたら教えて欲しい。」


 そう言うとコクリと頷き葉が引き千切った枝に戻り姿が消える。これで木の中に入り込んだよな?精神モニターで見ると暗い画面しか流れてこないが、多分木の中だからだろう。手間暇かかる分早く見つかればいいが、やはり職使って案内出来る人は必要だな。


 これだと下手に動けばゲートから遠ざかるかもしれない。まぁ、それでもビーム避けられる速度で走ればさしたる問題でもないか。バイトに指示を出し取り敢えず見える範囲で一番高い木の天辺へ。そこから眺めれば空のモンスターが同士討ちしながらこちらに来ている様子が見える。


「さて、中層の掃除は猶予が増える。ゲートが見つかるまでは掃除をさせてもらおう。バイト、煙は?」


(いただけるなら更に。)


「了解、なら持っていけ。」


 音声を切ったカメラに映るは燃え落ちる様な朱の空。来るなら拒まない。来ないと言う選択肢はない。それがモンスターにとっての本能で、それしかないのだから・・・。コレはあくまで娯楽である。魔女が楽しげに見ている気がするが、コレはあくまで娯楽であってモンスターを倒す事に快楽など覚えない。

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周期表も物理的に考えて存在し得る部分が抜けてるとかになってきているしね、理論上電子の周回速度が光速以下だから存在するはずとか 自然を使った魔術を使ってるところを見られたらウィッカ信じてるというか実践…
風景が間延びする速度か高速の何十%かな、 つまり周りの中層モンスターも巡行速度が亜光速かエネルギーどうなってんの クリスタルからだとして人類がクリスタルで取り出すエネルギーはロスが凄いのか? モンス…
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