655話 第一段階終了 挿絵あり
「やっぱりダルいし気を使うな。」
箱開けマラソンを開始したがゲート外と言うのかネックだな。ゲート内ならある程度爆発しても目を瞑れるが、外でやるとなるとそうも言っていられない。最悪のコンボとなるとウラン、プルトニウム、セシウムなんかの放射性物質の横での黄燐なんかが爆発して俗に言う放射性物質を撒く事を目的とした汚い爆弾とかす。
まぁ、それでも煙使って開けるのでそこそこの早さはある。助かるのは見た目でそれがウランとか分かる事か。流石に今は画像も出回って初期に比べ間違うスィーパーも少なくなったが前は大変だったな・・・。
そんな事を考えつつ箱を開けていき中身が安全そうならひっくり返して山積みにする。金貨の山と言うのは魅力的だが今はそこそこ見慣れた光景で『これだけの量の金貨があれば一緒遊んで暮らせる!』なんて事もない。と、言うか死なない関係上いつまでも仕事はしないといけないし、仮に落ちぶれて食うに困ったらどうしよう?
コンビニ店員のバイトでもする?生涯年収的にはバイトしつつモンスターを狩るのがいいらしいし、箱も回収せずにクリスタルも売らずにいれば収入はなくなるけど、バイトで食えない程ヤバくなるとも思わない。
まぁ、食わなくても死なないし面倒事避けるなら箱の回収を放棄すると言うのは割といい手である。なにせ人がゲートに潜る理由は自己研鑽もある事ながら報酬が魅力的だから。当然いるいらないはあるので売買があり、お金が動く。その部分を放棄すると・・・、ダメだな。お金と言う単純でありつつ安全な手段は手放せない。
しかし、最近の箱は中層の箱がメインなので中身もそこそこ豪華と言えば豪華だな。回復薬も色は濃くなって回復効果も上がってるし、武器は相変わらずなものの変なギミックのありそうな物もある。鉱石系は相変わらずキューブだが、液体系は本数がまとめて箱に入っている。しかし、石油、重油、ガソリンに軽油がまとめて入れられていると手抜き感があるな・・・。
「おっ!リアクターっぽい物がでた!後はこれか・・・。」
取り敢えず200個単位で既に50巡目、上層の箱は多分手持ちにはなくなり中層ばかりなのせいか久々に出た不死薬。契約通りチャンに売りつけるとしよう。前に箱の福袋を見て誰が買う?と考えたが中層と言う括りがあるなら金持ちは安価なら買うかも。
「斎藤さんケロシン抽出はどんな感じです?」
『順調ですよ。大部分は抜けて来てますし残るととすれば予備室にまで伸びてるパイプの中でくらいですね。電源確保が済めばそれもパージして上の方の調査と言うか例の物の確認です。』
「言い方があってるかは分かりませんが、真っ当な研究ならいいんですけどね。」
『僕が思うに多分真っ当な研究ですよ?』
「なにか根拠が?」
『僕達は外宇宙に3分で行った。それが答えと言えば答えですね。余り言うと話が漏れそうなんで控えますけど。』
斎藤は口を閉じたがそれが根拠・・・。う〜ん・・・、設計図の中身は見ていないのでなんとも言えないがワープ装置、或いはワームホール発生装置は動力足り得るのか?一般的には機械を動かすためのエネルギーや、そのエネルギーが機械的な仕事をするための働きを動力と言うのだが、その動力と一口に言っても様々に分岐する。動力率であったり動力源であったり動力伝達であったり・・・。
斎藤の話を考えると移動する為のエネルギーであればいいとか?確かに物体を動かすには動力(仕事率)なんて言う考え方がある。単位としては電気前提なのでwだが、それがソーツの単位とは当てはまらない。寧ろ、ブラックホール使ってもの動かすから動力と言われても・・・。う〜ん・・・、少なくとも作れない物は送って来ないんだよな彼奴等。いつ出来るかは別として、設計図で出たものはぼちぼち作られている。
それこそこの前ドイツで高速生体触媒装置なんて言う、バイオリアクターが作られた。なんでも有機廃棄物から培養肉を作ってくれたりするらしい。これにゲートの馬を入れると普通の肉として食えるとして話題になってたな。味付けも結構出来るっぽいし。ただ、人肉料理は勘弁願いたいが。
「戻り・・・、相当開けましたね。そこの金貨の山なんて一財産と言う単位ではないでしょう?」
「中層の箱がメインなもので。上よりはやる気を出させる為かそこそこ量も多いいですよ?」
「変な物とか出土してませんよね?政府としては奥の箱と言うだけで恐怖症を発症する人もいますし。」
「う〜ん・・・、多分ない?とか?」
「その多分?が怖いんですよ!後で橘監査官に鑑定してもらってください。それと、鑑定した結果としては斎藤のいる区画毎パージするのがいいと言われましたね。」
『僕のいる区画事ですか?そうなると抜き取りが終われば1つ上に戻ってそこで作業ですね。ただ、配線弄ったり肝心のリアクターが無いのが問題ですけど。』
「今リアクターを箱から見つけましたよ。2個で足りそうですか?」
『2個あれば多分大丈夫です。ただ、酸素発生装置も一緒にパージされるので後から内部調査をするなら呼吸器は携帯した方がいいかもしれませんね。』
そんな話をしながらリアクターを手渡し多少手間だが斎藤がケロシン抽出を中断して取りに行く。そして、ケロシン抽出も終わり危ない予備電源室もパージし内部電源も確保。予備電源室は海で水抜きしてから調査と言う形になり魔術師達が持って行ったので安全に水抜きも出来るだろう。
「第1段階終了ですね。後は問題の実験区画がどこかは分かってるんですか?」
「いえ、流石に直接聞けば狙いもバレるので総当りとなるでしょう。幸い無限に広がるゲートとは違い広さは有限ですよ。それに、それ以外に何をしていたか知るチャンスです。」
斎藤の運動量が上がるがエナドリ飲んで爽快そうだし大丈夫だろう。第1段階終了のお知らせにより水球が解除されるかと思ったが、他の危険物の確認もあるのでNASA側の調査は今暫く待つことになる。電源接続に辺り漏電もないと言っていたので機器的な破損はないなだろうが・・・。
『最初に目の方に行きます。流石に水圧で破損していたり濡れて後から壊れても困りますからね。普通なら防水対策とかもしてるんですけど、これが普通の作りとはおもえませんし。』
そう言った斎藤が動き出しステーションを登り出す。電力が完全に確保出来たおかげで扉の開閉もスムーズでストレスなく移動できるのはいいな。多少の時間はかかったものの垂直上昇を終えて俺の知る目の部分へ。
『到着しましたけど幸い破損やみずぬれはないですね。ここのデータってコピー回収でいいんですよね?』
「出来ればコピーではなくHDD毎欲しいですね。コピーは改ざんされたと言われかねません。職が使える様になって以降、真実の証明の難しさにどの国も頭を悩ませてるんですよ・・・。例えば放火したとして容疑者は誰か?カナダで事件があり犯人は捕まりましたが、その方は魔術師:火ではなく追跡者です。しかも数マイル離れた所から化学物質を個別に追尾させて同一地点で混合して火災を起こした。米国等もそうですし、日本もそうですが県警や州警察と言う形を変えて縄張りを排除する形の警察機構案がでています。それが・・・。」
「ICPOですか。ギルドが世界化してスィーパー犯罪者に対抗するなら噛まない訳にもいかないか・・・。前に話は振られましたし、本部長会議でも話し合う予定ですが草案って出来てます?」
「難しい話なんですよね・・・。音頭をどう取るとか、誰が長になるとか・・・。グランドマスター枠でクロエさん長やります?」
「無茶をいいなさる。そもそも音頭を取ると言うか長がいないと困るのは分かります、責任問題が出た場合首を切らないといけないですからね。でも、私もずっとそこで大人しくしているわけにもいかないし、草案書も読んでないのでなんとも言えません。いっその事政治家バトルロイヤルでもやって勝者が権力持ったらどうです?背後と言うか犯罪者でないかは洗いますけど。」
「それは・・・、罪なき者のみ石を投げろと言う話ですか?」
「聖書風に言えばそうですね。ただ、それを投げた本人も弱者をいじめた罪人でしょう?磔刑になりましたし。生きる事が罪とは言いませんが、軽微なものは仕方ないと思いますよ?」




