650話 真面目なインタビュー 挿絵あり
「お久しぶりですね東海林さん。フリーになってその後どうです?」
「いや〜、フリーにならざる負えないって言うのが正解でして。元いた局は引き留められたんですけど・・・、正確には社長並の給料出すから居てくれって言われた上に退職届受理にかなりかかったんですけど、それでも他の大手とか海外からもフリーにしろ圧力が合ったらしくて・・・。」
起きて妻とソフィアを見送りJAXAに帰って来てインタビュー。東海林がフリーになった事は知っていたがゴタゴタは合ったらしい。まぁ、名刺のおかげで東海林にしか公式インタビューを受けないと言ったが、裏を返せば東海林にしかインタビュー権がない。
割とこれは政府やら警察も歓迎していて他の不用意なメディアを排除する口実になるし、俺としても付きまとわれなくて済む。それでも何かのネタはないかと探す記者やらはいるのだが、非公式なのでどの程度の信憑性があるかも分からないし、東海林のインタビューには記者名と本人公認が入れられるので読む側見る側としても他はゴシップとしている様だ。
ついでに言うとそのゴシップ記事も情報操作に使われていると増田が言っていたな。真面目な記事を信じるのは勿論なのだがゴシップだからこそ流せる情報と言うモノもある。みんな好きだろ?芸能人のスキャンダルや政治家のスキャンダルは。正確な情報を流してもアンチが出るなら間違った情報を流しても信じる者が出る。
流石に頭のおかしい記事は抗議の対象となるが、それは非公式だからで済むのでやはり楽だな。他の本部長達もインタビュー受けるならインタビュアーを絞るといいよと言ったが、そこまで頻繁に受けるわけでもないからいいと返された。例外はエマで米国でパパラッチと追いかけっこしたおかげで逃げ隠れが上手くなったと言っていたな。
「1つの局が独占するのを良しとしなかったんでしょうね。悪い事考えるならいくらでも使用料を釣り上げられますし。でも、配信って形でよかったんですか?」
「ニュースで映像使うなら一律でお金取る方が儲かりますからね!アレですよ、ゲームのガチャと同じで十分いくらで区切るといいお金が!笑いが止まらない反面怖いくらい集まるんで凄いですよ?撮影機材もドローンカメラさえあれば大丈夫ですしね!」
確かに東海林の周りには小型ドローンカメラが飛んでいて音声認識で好きな角度から撮影出来る様だ。昔ならコントローラーでしていた作業を音声認識で出来るなら楽だろう。スマートグラスと連動しているのか『もうちょい下、そこで顔認証して固定』なんて言葉も聞こえる。
スィーパーの配信者もいるしドローンよりも人の方がいい絵が撮れるとGoPro使う人や俯瞰で撮りたいからドローン使うとか、色んな人がいるけど戦闘シーンは編集しないと人が点滅する事になるので難しい。まぁ、スィーパー的には一応見えるのだが・・・。
「では『東海林の独占インタビュー』です!インタビュー相手は当然この人!」
「ららららん・・・、クロエ=ファーストです。宇宙から帰ってきたら捕まったとです・・・。」
「捕まったってそんな!契約通りちゃんと名刺を掲げて見つけてもらいました。」
「知ってますよ。ジョークです、ジョーク。それではインタビューされたいんですが、今更なにか聞く事ってあります?宇宙からの放送とかで結構話しましたけど?」
「子供宇宙実験コーナーは地球だと反響凄かったんですよ?バク宙したら止まらず回り続けるとか、無重力で水鉄砲撃ったらどうなるとか。」
「時間が合ったから子供の質問には答えましたね。大きな子供の質問には答えませんでしたと言うか、届く前に握り潰されたと言うか・・・。なんにせよ子供の好奇心には答えられたと思いますよ?」
橘が月面でムーンサルト決めてその流れで無重力でのバク転したら止まらないんじゃないのか?それに解答する為にバク宙したらそのまま回り続けたし、水鉄砲は撃てば反動で後ろに飛ぶ。その他にも無重力室でスカッシュしてボールがどんどん加速したり、飛行ユニットを使って物理障壁風なモノを出したりと色々したな。
物理障壁は飛行ユニット作れてない所からの反響が凄かったらしく、スカッシュのゴムボールが目に見えない所で急に反射するので飛行ユニットの性能テストをするのにいいとは学者達が言っていたが、これって上手く使うと銃弾も跳ね返せるんだよな・・・。近代兵器はただの兵器と最近呼ばれているし、本当に鉛玉終了のお知らせが流れてくる。
ただ中層のモンスターが使う実弾は止められないので、あれも俺達の使う武器枠に該当するのかも。なんにせよ要検証部分ではあるのだが、砲撃型のバリアを考えるとその地点にまで追い付けたとも言える。まぁ、それでも一般人としては使い勝手としては悪いし橘なんかの鑑定師なら使いこなせると言うレベル。
これは物理演算が間に合わないからと言うのもあるし、実弾を受け止めるだけのエネルギーが必要と言う話でもある。S・Y・Sの場合静止状態から浮かせれば後は計算も楽だし、小型のスペース・デブリはその大きさから受け流しやすいが人の場合は文字通り飛行に使っているので出力上げると自分もヤバい。飛行ユニットって電子制御すると結構繊細なのよね、飛ぶだけとか足場にするならいいけどさ。
「そこでズバリ聞きますけど、宇宙でのファッションって何がいいんですかね?これから来る宇宙世紀!びっちりボディスーツもハイレグ体操服もどんと来い!って人は少ないですけど、生活する上で気になる人は多いと思います。」
「う〜ん・・・。生活区画、一般人が一般的な生活をする場所なら得にコレと言った制約はないと思いますよ?昔の映画みたいにギンギラギンにさり気ないボディスーツもいりませんし、変にゴテゴテしたら装飾もいりませんね。まぁ、宗教コロニーとか出来て宇宙寺院とか出来たらその限りとも言えませんけど。ただ、無重力区画や反対側に向かうならスカートよりもズボンですね。そこで下着が見えて怒るくらいなら逆に謝れよと思います。それでもスカート履きたいならアンダースコートとか見せパン短パンは必須かと。」
「えっと・・・、宇宙って下着が見えやすいんですか?」
「そう言うわけではないですけど無重力で浮くって事は地球で生活してるとイメージしづらいんですよ。考えてみて下さい、地面を歩いているならスカートを履いても気にするのはつま先に仕込まれた盗撮カメラや鞄の盗撮カメラくらいです。でも、コロニーだと場所次第では無重力で浮いてしまって姿勢制御で手一杯だったり、垂直タラップを昇り降りしたりもしますからね。パワードスーツもそうですけど、あれも制御率やらを上げるなら素肌密着がいいので早着替えとかはマスターした方がいいでしょう。」
映画とかだと下着でウロウロしている宇宙飛行士が多いが多分間違いじゃない。宇宙服とは気密性が高く中で汗をかいたり呼気すると水が溜まる。そん中で服を着ていると真に不快で下手したら真っ裸の方が楽でいい。俺の場合その不快感ともおさらば出来ているが、普通の人だと割と問題になるんじゃないかな?コロニー内全員インナーでも俺は驚かないし。
「なるほど、生活様式的に地球と違うから普段は見えないものが見える可能性があると言う事ですね。ファーストさんも見られたり?」
「多分何度か見られたと思いますよ?まぁ、下着くらいなら笑い飛ばしてしまえばいいですしズボン履いてない私の落ち度です。寧ろお目汚しで申し訳なくなりますね。」
実際おおよそ宇宙に出た人はパワードスーツの中はインナー姿と言っていたし、早着替えで着替えるのでマジマジと見る事は無い。その代わり急いで移動してたりすると高度の問題やら落ちるはずのスカートの裾が捲れたままだったりと常識が通用しない場面も合った。やはり申し訳なくなるな。
「お目汚しだなんてそんな!私もスカートの中がリポート出来るならしたいです!」
「それはナチュラルに盗撮発言では?」
「失礼しました・・・。これは聞いていいか分かりませんが、救助活動の様子とかは話せますか?後は呼びかけの意味とか。」
さてこれが今回のインタビューの目標でもあるし必ず聞かれると踏んだ事項。既に宇宙ステーションでの救助活動の話は広まっている。裏の話は漏れていないと言うか、宇宙での出来事なのでしるよしもない。なので、ここで公式発言として何もなかった印象付ける。
「JAXAからの連絡や宇宙ステーション側からの連絡と色々大変でしたね。救助活動自体はかなりスムーズだったと思います。S・Y・Sは宇宙での居住や研究スペースとして設計されていて更には今回ゲートもあった。物資にしろ人材にしろ豊富でした。まぁ、その宇宙ステーションも回収してこれから検分と言う話になります。」
「公式では強度不足とシステムエラーでしたね。その点は?」
「強度不足は分かりませんがシステムエラーは事実でしょう。駆けつけた時は船外活動を行いバランスを取っていましたし。それと呼びかけに付いては・・・。」
「そこが大きな疑問でした!どうして『大丈夫』だったんですか?普通なら来てくれとか会いたいとかあると思いますが!何かしらの意図があると踏んでいますし、疑問に思う方も多いと思おます!」
「簡単な話ですよ、彼等は問題がなかったから地球に来た。それが宇宙に出て来て欲しいとメッセージを送れば何か合ったと思う。スタンピードでモンスターが手に負えないとかね。それなら大丈夫とメッセージを送った方がなんで大丈夫なのにメッセージを送ってきたって疑問に思うでしょうし気にもなるでしょう?実際東海林さんも大きな疑問って言いましたし。」
でまかせだが多分大丈夫だろう。真実をバラされてもダメージを負うのは中露で俺としては無傷。それに、それを検証するだけの材料は無い。一応今回話は何かの際の材料としてエマ、橘、俺とで映像記録として残しておくと言われた。人の弱みとか握りたくはないが仕方ないだろう。




