表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
街中ダンジョン  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

726/866

618話 彼等も関知出来るらしい 挿絵あり

「なぁキリロフ。両国共に動くなの指示があってこのS・Y・Sが光ってる訳だが・・・、裏を読んで動けと言う話ではないよな?」


「軍人とは考える必要のない国の道具だ。動くな待てと言われれば餓死するか凍死するまで待つ。俺は今回の件で懲りたから動くなら共同ではなく1人で・・・、一国の責任でやれ。寧ろやってくれ。そしたら融和政策をするにも忠犬の様に不埒者を差し出せる。」


 宇宙引き回しを経て我々は当初の目標であるS・Y・Sへの侵入に成功した。宇宙ステーションは回収済みで俺が外に出さない限りは現物検証も出来ず、さっさと搭載されているゲート内で廃棄すれば証言とデータのみの証明となる。問題と言うならキリロフ達は非協力的でミッションを行う気もなく、美麗な監視人が我々を見ている事だろう。


 ただその監視人は人ではなく職で動くロボット?でそれが出来る事が分からない事が問題と言えば問題か。ここを出て行くエマからは大人しくしていろと言われたし、国からも融和政策に舵を切ると言われているなら、やはり動かない方が良い?病人も手当されている事だし・・・。


 祖国との連絡も指示に従い連絡はS・Y・S搭乗員経由以外は認めないと言われたし、コチラから連絡を取ろうにも衛星が遠いのか連絡は出来ない。何よりも俺達は今、一週間以上着込んでいたパワードスーツを脱いでいる。武装解除を示すと言うのは今の時代難しく、身体検査をされた所で指輪があれば中に何かあると疑われて職に就いた獣人がいなければ示せない。


 それに武器がなくとも肉体が武器化しているので、何を持って無力化したのかを見せるのもむずかいし。まぁ、それを示す為にパワードスーツを脱いだ上に全てごちゃ混ぜにして、ここを壊す積りはないと言う態度も示している。まぁ、疑われればそれまでなのだが・・・。


「しかし凄いなここは・・・。」


「俺達は無重力の宇宙にいながら地面を歩けている。国が欲しいと言って無理に動くだけの事はあると言う事だ。ガラスを隔てた外は宇宙だとしてもここは地上と変わらない。」


「酸素がありエネルギーがあり、食料が自給出来てゲートと言う大凡生活に必要な物の供給源も搭載してある。新国家構想と言うモノを祖国で聞かされたが、国として必要な機能をミニマム化していけばコレとなるらしい。」


 キリロフがしゃがみ込み床を触る。外さえ見えなければここは地球にある研究施設と言われても疑わないだろうし、絵でも描いて・・・、それこそ壁を液晶画面にでもしてエンドレスで風景を流せば圧迫感もない。獣人と言う種が増え国が狭いとは思わないしコンビニでレジ打ちする獣人も見慣れて来た中で、更に宇宙に出て人は何をする?


「取り敢えずなにか食うか。携行食ばかりは流石に飽き飽きだ。何か食って1杯やるくらいはいいだろう。指輪からなにか出しても?」


「それなら持って来るので待ってください。ソレがお互いの為でしょう。」


 1人が離れ残り数人娘達が俺達の監視を続ける。先に続く道は見える限りで1つしかなく協力者もやる気はなく、祖国からも大人しくしろと言われたならもう、何もしなくていいだろう。大人しく待ち、地上に帰ればいい。その後の事はなにか言われたら考えればいいし、場合によっては軍を辞める選択肢もある。


 まぁ、辞めさせてもらえればと言う話もあるが、日本側に名も顔も割れた俺が早々に任務失敗のツケで消される事もないだろう。娘の持ってきた食事と茶を飲む。流石にアルコールは酔って暴れたら事だとない。


「このまま俺達は地球に降ろされるのか?」


「その判断はまだです、ゴタゴタの最中ですから。」


「ゴタゴタ、ね。」



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「送信はこれで大丈夫なのでござるか?」


「私も感じ取れないですね。やはり内部ににいるせいなのでしょうか?あれ、でも波長なら感知できたとしてもおかしくない?でも強弱はなく単純に光っているだけとするなら単一信号で例えば『だ』ならそれだけをいい続けている?前にラボに戻った時に言語学者の方がいましたけどその方なら或いは?今回の発光が明確に何と言う言葉を送っているか分かるなら、それから対話表を作り上げて・・・、星の瞬きにもなにか意味があってもしかして星同士でも対話を?」


「大丈夫の部分は安心感がありますけど、後半は多少別れますね。問題ないとか、こっち来んなとか。放っておいて欲しいとか。」


「私も後半はあやふやな部分があるナ。クロエ、明確に来るなと伝えないのカ?」


「伝えてれるけど大丈夫の部分に力を入れてるかな?来るなと言うと来たくなるし見たくなるのが人だから、力を入れるなら大丈夫の方。下手にイメージを付け加えても受け取り手の解釈と言う部分がある。だから、ね。そろそろそれも終わるし。」


 人の言葉をコアは変換してくれるが、それをどう受け取るかは相手次第。大丈夫のイメージなら現状維持とか問題ないとか、平常運転でいいのだろうがこっちに来るなとなるとまた難しい。そもそも距離やらを考慮するかも怪しいので、暇してるなら来るなと送信されていると言う事は、なにかあるからそう言われているとも取れるし、なにか発見があってそれを隠そうとしているとも取れる。


 だからこそ大丈夫の部分を明確に強くイメージして問題がない事を全面に押し出し、来ても代わり映えなく暇だとする。まぁ、今まで対話さえ出来なかった人類がいきなり話しだしたら、それはそれで興味の対象になるかもしれないが現状、魔女達が見ている中でおいたはしないものと思いたい。


(魔女達って他の宇宙人と話たりする?)


(対話ツールはあるとして、基本は無関心だからなぁ〜・・・。君達みたいにテリトリーとか領土なんて言う感覚はない。でも、他がいてなにかしてると思ったらそれが飽きるまで待つくらいはする。)


(待ってる間に他に興味が向く事もあるわねぇ。そこまでして見たいものなのか?何に興味を示すのかは多種多様で、他の種族に一切の興味を示さず同族内での完結方式を目指す者もある。どちらかと言えば私達は稀有よ?)


 魔女は稀有と言うが変わり者と言う事だろう。まぁ、その変わり者が力を貸してくれるからこうして宇宙にも来たし、モンスターを倒して回るだけの力が得られている。仮にソーツが渡すだけの武器だけで戦えと言われたら人は5階層の突破さえ出来なくなってくる。なにせ飛んでくるのはゴブリンが使う様な弓矢ではなくビームである。


 それに報酬とも釣り合わずスタンピード発生からの滅亡エンドで人類終了のお知らせが流れてくる。流石に勝ち目のない戦いに赴くほど人は喧嘩っ早くもない。


「そろそろ終了でいいでござるよな?」


「時間的にもいいでしょう。」


『地球からも発光は確認された。それが言語として成立したと証言出来る者を我々はまだ発見していない。・・・、米国の?そちらで確認した者がいる?しかし・・・、大分ギルドの神志那も確認した?それは・・・。』


『鑑定術師が感知したと言う話で・・・、英国のフィンも空から大丈夫と伝わって来たと?』


『・・・、S・Y・Sはそのまま宇宙で数日は待機していて欲しい。地球の方では証言出来るものから聞き取りを行う。』


 鑑定術師が分かるのは予測出来たが、フィンも感知出来たとは・・・。なら、フェリエットも分かっただろうし他の職に就いた獣人も分かる?確かに見えないものが見えると言うならそんな事もあり得るのだろう。現に指輪の中身も見えるし。


「その間地球に誰かを降ろす事は?例えば私とか。」


『それは・・・。』


「なにか戻る予定が?」


「非常に私的な事ででも外したくない用事ですよ。息子の卒業式が3月の半ばにあります。」


 本来なら3月1日なのだが今年はズレてしまい中頃となっている。究極的に言えば壇上で卒業証書を貰うだけの式なのだが、これも生涯に一度きりで参加出来るならしたい。寧ろ、今いる中露の軍人を降ろすと言う名目で俺が引率してもいい。


 なにせ戻るだけならバイクだろうと自力での飛行だろうと手段はある。まぁ、それをすると自力宇宙飛行士が増えて文句を言われそうではあるのだが・・・。


 最悪映像参加とかする?遺影ではないがモニター持ってもらってそのモニターとカメラ越しに参加するとか。


  挿絵(By みてみん)


 ただコチラと地球の温度差はあるだろうし、簡単に許可が出るかどうか・・・。流石にこれ以上ずれる事はないと思うが最悪妻に頼んでビデオ映像で残してもらう?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価、感想、ブックマークお願いします
― 新着の感想 ―
SFの出来の悪いロボットかサイボーグっぽいクロエのイラスト良いなぁ 生身で飛び降りて式に参加するしか
流石に人類全員では無くまれですけど敵わないと分かっても行く人は行ってしまうぞ 卒業式に出席したい分かるがそれこそ大規模初回実験の宇宙で 何が有って延長するか分からないのに計画時に報連相でしょ 急に家…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ