閑話 111 ビギナー@2 挿絵あり
「この馬ってどっから来るんだろう?」
「ゲート7不思議の1ついつの間にか現れる馬!どこから来たか知った人は次元の狭間に飲み込まれぞ!」
「微妙に嘘とも言えないのが憎たらしいが後は何があるんだ?」
「えっ?出任せだからないけど?寧ろ研究者が頭抱える問題の方がゴロゴロと・・・。」
「でも、いななきもしないし本当に静かですよねこれ。乗るのも苦労しませんし。」
セーフスペースにいる馬。食肉にされる時も怯えは見せず、その刃が肉を切ろうと首を落とそうと動くことはない。味は旨い。何味と言えばいいのかは分からないが、少なくとも嫌悪する様な味ではなくこれを食べた人は全て旨いと言う感想を述べている。残念な点と言えば食感だが、それも他の肉に混ぜて形成肉を作れば食感も良くなり、乾燥させて1振りすればスープ等も至高の一品となる。ただ、原材料であるこの馬を見なければだが・・・。
人口爆発や食料不足は少なくともこの馬や草を食えばしのげる。それは調味料として忍ばせてもいいし、これ単体で食べても完全食と言えるほど栄養価は高い。そして、その食料は勝手にやって来る。嘆かわしいが今の祖国で農業は衰退気味だ。こうして食料が手に入るなら自分で作るのは面倒で、必要ならゲートで稼いで買えばいいという。
獣人を農奴化出来ればよかったが、それは完全に否定され納得のいく賃金や物品を支払う事となっている。まぁ、職に就けると言う事実を考えるとスタートが対等でなければ尾を引く。尾を引くがサボるので時間に余裕のある仕事に日本も割り振っているようだが、頭自体はいいのでその他も模索している様だ。
「走っても揺れないけど、他の階層にはこのまま走っていけないらしいからゲートを潜る時は必ず降りてね。前に試した人の話だとジョッキースタイルのまま投げ出されるらしいよ。」
「そうなるとこの馬はゲートから来ているのか?那由多はどう思う?」
「超文明の作ったものなんて考えても無駄かな?今はコレの扱いに集中して全員で統合基地に行きたい。下手にイメージ崩すと遠回りするんだろ?これ。」
「人の脳みたいに繰り返せばその分移動時間も短くなるみたいですよ?私達は初めて統合基地に行くからそこそこ時間がかかるかもしれませんね。」
「そうは言ってもシンボルの司さん本人に僕達は直接会ってるからイメージはしやすいかもね。和服の司さんって考えればいいだけだし。それじゃあそろそろ行こうか。」
対象が声を上げて先頭を走り私達も追従する。今いる場所がどこなのか?全く見当も付かないが、少なくともこの馬はゲートか基地へは連れて行ってくれる。那由多は超文明が作った物を考えても無駄と言うが、この馬1つとっても全て解析出来れば相当に技術は進歩するだろう。移動にも食料にもなりほぼ無限に出てくる乗り物、これが昔からあれば物流は更に発展していた。
そんな馬で統合基地の近くへ着く。所要時間は約3時間、割と遠くに出ていたようた。私もここに来るのは初めてだがテイから聞いた話では統合基地を中心とした町が形成されているが、区画整備はされておらずどこかアジアの混沌とした住民街を思わせる。建物の材質も箱が多くそれを繋ぎ合わせているのでその感覚は強くなり、一歩路地裏に入り込めば悪党がいるのでは?と思わせるが、基地周辺はビジネス街なのでその心配は少なくライトアップもされているらしい。
その証拠に警官と思しき人間が外をウロウロしているし、奉仕刑になった人間はこれより奥に送られる。まぁ、この送られた先で上昇アイテムを見つければここに帰ってきて隠れ住む人間もいるが、資金調達は厳しく住み続けるには結局奉仕を行い金貨やクリスタルを得る必要があるし、逃げ出した所でGPS付きの首輪ですぐに見つかる。
「なんか前に来た時よりも更に広がってる気がするね。中央の統合基地は一応ギルドの管轄らしいけど管理は政府らしいから、外のギルド程色々してはくれないよ。でも、外からの物資搬入なんかは基地経由だから買い物するなら先ずはここかな?それに、僕達は持ってないけど上昇アイテムで怪我人を連れてくるのも統合基地で、外でギルド保険に入ってれば無償で治療してくれるし、入ってなければかなり法外な値段でも治療してくれるよ。今回は全員保険に入ってるから大丈夫だけど、怪我してここに戻るのはないと思っていいかな?」
「なら目的は買い物か?食い物や水箱、武器の整備は済ませてるし場所確認だけならあまり留まる意味はないけど。」
「うむ。買い物と言うなら薬の買い足し程度だと私も思う。5階層で飲んだエナドリやら薬を増やせるならそれはそれでありがたいが。」
「それもあるけど、日本の統合基地にはポッド風呂って言う回復薬で満たされたお風呂もあるし、出発前の最後の体調調整には持って来いかな?後は武器の取引もここで直接行われたりしてるから見てるだけでも面白いよ。ちょっと声を落とすけど・・・。」
(外で認可下りる前の武器もゲート内で流通させてる。)
(おまっ!それって違法なんじゃ!)
(わざわざ危ない橋を渡るな!)
(そうです!ギルドに目を付けられたら専業になる前に捕まっちゃいます!)
話に乗るが要は外に出す前の治外法権下で勝手に武器を流通させているのだろう。外に出すまでは犯罪ではない。そして、外に出しても潜って発見したとして申請すれば犯罪にもならない。要は公の闇市市場が形成されていると言える。
スィーパーの武器は日本と言う国内では出来る限り表に・・・、指輪から取り出して持ってうろうろする事を禁止されている。例えば剣は銃刀法違反となるし、ガンナーの黒棒ことマガジンスティクはそれ単体ならばいいが、エアーガンに入れた状態なら違法、銃の形を取った武器も違法。逆に盾師の小手やら盾はよく、プランナーのサイコロや付与師の付箋やペンの様な物も合法。
最大にして最高の疑問と言えばファーストの武器だろうか?見た目は白いキセルで伸び縮みして煙が立ち上るだけの物だが、それ自体が最大限にスィーパーを警戒させる。なにせファーストはその煙の立ち昇るキセルを咥えて吸い、時に手にしてモンスターを倒して回っている。凶悪でどこから攻撃が飛んでくるかも不明で本人もダブルExtraで魔法使い。
常に締まっていて欲しい物だが、日本の法律的には直接的な武器としての外見でなければ外で出す事は許可されているし、武器の売買を行う場合も認可されているかギルドを通しての取引なら問題もない。ただ、発見例の少ない武器については一度届け出て政府や鑑定師、ギルドからの許可等を必要とする。
かなりフワッとした所のある法だが、日夜出続ける武器や出土品の全体管理は難しく、海外からの流入を考えると無理に等しい。実際武器を出しただけなら警官からの身分証の提示と注意程度ですむ。その代わり他人に危害を加えた瞬間に奉仕刑が確定するので、取り出さないに越した事はない。
(大丈夫大丈夫、買うにしても外に出たら申請すれば問題ないし、変わった物も多いから買う買わないは別にして見た方がいいらしいんだよ。前に補助してくれた人曰く、稀にしか人に会わないけどその希人がわけのわからない武器を持って襲ってくる可能性もあるから、先に行くなら初心者のうちは多くの武器を見るのも勉強になるってね。)
「そんな理由が・・・、確かにそれなら見た方がいいか。」
「人と戦うのは考えたくないが・・・、時と場合と相手次第と言う事だな。」
「でも、ここでも気を付けないといけないですね。治外法権だから何があるか・・・。」
「他の統合基地は分からないけど、ここは結構安全だよ。でも、変な事はしない方がいいし、値切りも出来たりするけどやり過ぎると怒られて叩き出されるから気を付けてね。さて、一旦統合基地の中へ行こうか。」
そう言って馬を降りて対象を先頭に歩き出す。馬を食料にするか否かを話し合ったが、これからの事を考えても全員が乗ってきた馬を殺し食肉へ。ただ、流石に頭は食う気が起きないと投げ捨てて消えていってもらった。
「結構人通りが多いのだな。」
「企業人にスィーパーに商人に旅行客、日本語は概ね通じるから心配ないけど逆に相手の母国語で相談し出したら警戒かな?」
「あ〜、確かに知らない言葉でヒソヒソされると怖いからな。でも、今だと俺も結城も・・・、スィーパーだと大体英語くらいは分かるんじゃないか?」
「那由多君、言葉はかなりあるからポルトガル語とかロシア語とか中国語とかを混ぜられながら話されると流石に分からないですよ。」
「そこまで行くと暗号文だな。流石に私も目の前でヒソヒソする様な輩とは絡みたくない。おっ!アレは前に那由多が弄ってたパワードスーツににてるな。」
「最新型じゃないけど結構売れたみたいだからな。でも、他の人が改造した様に見えるし参考になるなぁ〜。あの人の武器とかかなり手を加えられてるみたいだし。」
「見ただけで改造具合って分かるもんなんですか?」
「分かると言うか鍛冶師の改造って俺のイメージだと着物を着せてる様なもんなんだよ。元々の武器があってそこに服を着せて、使う人の好みの相手にする的な?だから改造=着膨れにも見える。」
「何とも言えないイメージだな。」
「はい!はーい!那由多きゅんは彼女にどんな服を着せたいですか!」
「どんなってそりゃあ・・・、道着とか?」
「おい!せめてこう・・・、ドレスとかカジュアルな服とかをだな!」
「那由多君は道着フェチ、覚えておきましょう。千尋ちゃん、お色直しに着る道着は袖を破いて肩を出しておきましょうか?」
「加奈子も言う様になったな!白は白でもウェディングドレスとかあるだろう!」
「いや、昔から俺と千尋は合う時は道着が多かったからな。普段着は千尋の好みがあるから変な事を言って趣味に会わない服を着てもらうよりも自然体の方がいいし、凛々しい千尋と言えばやっぱり俺と空手してる時の真剣な千尋だろ?」
「あ〜!もう!普段着を道着にしてやろうか!」
「いやなんで!?」
「惚気はその辺りにして基地に着いたら静かにな?他の人スィーパーの諸先輩方もいるし。」
「そうですね、何かあったら助けてもらわないといけないですし、粗相のないようにしないといけませんね。」
「話振った2人が逃げやがった!」
「いや、実際着いたしね。ほとんどカタログ販売だけどな相手がOKすれば実際に手にも取れるよ。ただ、そこは信頼関係が必要だから僕達にはまだ無理かもね。」




