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街中ダンジョン  作者: フィノ


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550話 種子島へ その1 挿絵あり

 送り出した本部長達も帰ってきて酒を酌み交わして解散。橘からの話は中々有益だったな。ソフィアの件で気を張っている所もあったが、優先順位的には劣るだろうし何より今の時点でソフィアにちょっかいかけていいことはない。全てが一枚岩とは言わないし、別ルートで動く人間がいないとは言わないが・・・。


 青山の件もあって至っていない本部長達も中層入りし最適化されての中層のモンスターとの対峙となったが、戦えるのは戦えるがやはり手数と言うか別の職がない分応用力にどうしても欠ける場面があるらしい。まぁ、その点は近くの本部長達がフォローしながらゲートで鍛えると言う話しで決着がつき、今回の中層探索については俺の所のアカウントで後から編集して流すそうだ。


 まぁ、俺のアカウントと言いつつ収益の殆どはギルド運営資金にしているし、半ギルド公式化しているので問題もない。寧ろ俺が勝手に情報流す方が問題になる?・・・、よそう。一応アカウントの持ち主は俺なので問題はないはずだ。


 そんな会議の別れ際に奏江からR・U・R関連でのモデリング補助や、台湾からもたらされた思考ダイブトレースシステムの試作品を試す際に協力してほしいと頼まれた。なんでも急いで欲しいと言ったのが響いたのか、小型化はせずに椅子型で持ち去られた物よりもマシンパワーが上の物を持ってきたらしい。


 何にせよ本体があって佐沼達と連携が取れるなら色々と出来るだろう。流石にすぐさま量産してR・U・Rデータを回収しに来るとは思えない。思えないが、中層目指して量産型戦闘スィーパーを作ろうと思うなら有用なのかな?


 スィーパーの最大のネックは何かと言われれば実戦経験の欠如である。モンスターと戦える力はあっても戦い慣れしてなければ足元は掬われるし、一般人の最大の戦闘と言えば喧嘩ぐらい。その喧嘩も殴り合いに発展する場面は少なく、恐怖感や恐れがなくなる事はない。そんな中で死ねない理由や殺されてたまるかと言う闘争心から自分を磨きだす。


 まぁ、それは初期の話で今だと武術系の習い事は大人気だし、学校の体育でもサバイバル技術や護身術に格闘術なんかを取り入れる動きは活発化している。それもこれもスタンピードのせいだろうな。廃墟化した秋葉原は再建されたが、それを見た人ほど生存欲求は高まるし、抵抗出来ずに死にたくないと民族性とでも言えばいいのか、ほぼ日本人総出で身体を鍛えたり職の扱いを模索してるし。


「さてと帰りましょうか。」


「そうだね、なんだかんだで長居し過ぎた。」


 朝から始まって今は日付が変わる前。会議そのものは特に食事休憩も挟まず各人で何かを摘みつつ進めても18時過ぎまでかかったし、中層突撃が更に時間を押したせいでこの時刻である。まぁ、全員帰ってきたなら問題ないし、本部長連合で旅する機会なんてそうそうないので連携力強化にはいいタイミングだっただろう。


「カオリのパワードスーツどうなりそう?前のも悪くなかったって聞いてたけど。」


「色々とやってみたい事は多いんですよね。例えば笛を吹きつつ他の音を取り入れて1人アンサンブルでどこまで音を制御出来るかとか、その音を産み出すのは録音でもいいのかとか。サブアームを増設するのかその楽器を付けるのかとか、人体拡張っぽくなりますけど、最近は料理人の武器が欲しくなっちゃってますね。」


「あの蜘蛛っぽい奴か。アレも確認されただけで何十種類もあるからなぁ〜。」


 太い腕が2本だけとか先端が刃物っぽくなってるとか、IHヒーターみたいに熱くなるとかフライパンとか中華鍋っぽくなってる等々、武器にして武器に非ずと言われる事多数。その分応用もきくし料理人程ではないにしても一応動かせるので欲しがる人は多い。変わった人だと配信では首の後ろにマウントして髪の毛っぽくしてる人もいたな。


 薄毛は回復薬で治るけど、死滅した毛根は蘇生しないので一部の人は悲しみを背負ったが、それでも毛根が復活すれば髪は生えるらしく生きてる毛根を増殖して増やしてもらいフサフサになる人もいるし、逆にスキンヘッドの方がゲート内では楽と脱毛する人もいるとか。


「一度マジックハンドタイプ見た時に買っとけばよかったかな?その時は笛で手一杯でしたけど。」


「武器とも一期一会だからねぇ。コレクションする人もいるし使い分けてるって人も聞くよ。大体は使い慣れたモノを使い続けるど剣士が銃を使って悪い事はないし、盾師がパイルバンカー内蔵したり剣を使っても悪くない。」


 鍛冶師の配信者は中々面白かったな。終始無言だが最初に設計図を見せてそれを作ると示してから取り掛かる。前見た時は小手タイプの盾に仕込み武器を内蔵する様な改造だったが、改造一辺倒ではなくちゃんと図面がある分イメージも強いだろうし手首を親指の方に曲げると掌外沿、小指の側面から刃が飛び出してくる。


 よくよく手首を下げるとそこから刃が飛び出すなんてギミックがあるし、カッコいいとは思うが刺すにしろ切るにしろ拳とは振り上げたら振り下ろすもので、その際素人なら掌外沿で叩く方が強いし何より元は盾なので手の甲側に仕込むと耐久性も落ちるし滅多にないが凹めばでてこない。なら、火力重視にでもしない限りこの位置だろう。


「買い込んで那由多君に改造してもらいましょうかね?個人的な依頼なら大丈夫でしょうし。」


「その辺りは何とも言えないかな?ギルドの鍛冶課は安全第一品質第一な分、完成までに時間がかかるし、定期的に見に行かないとその後の微調整でまた時間食う時もある。」


「ジレンマとでも言えばジレンマですよね・・・。時間のある人は良いですけど、カツカツで潜る人は早く寄越せって人もいますし、その分外の露店が賑わうんですけど。」


「まぁ、アレはアレで鍛冶師の修行でもあるし装飾師も加わって合作なんてのもあるからね。」


 そんな話をしつつゲートから退出して家へ。夜通し頭の中で動画編集をしつつ朝になれば家族+望田と飯を食い学校やギルドへ。息子達の計画では冬休み頭に照準を合わせて15階層を目指すそうだが、特に俺に声がかからないのにやきもきすると同時に、スィーパーとしての4人を見るなら補助者等は自分で決めるか、雇わずに実力で進む事となる。なら、どんなに関わりたくとも声をかけられない以上、俺の方から声をかけるのは無粋だろう。


 そんな中でも仕事は減らないし、寧ろクリスマスが近いせいかギルドにもみの木は勝手に運ばれて来て、有志によりクリスマスムードは盛り上げられている。でも、早すぎない?早すぎないと言えば旅立った神志那からそろそろ種子島に来いと言うお誘いがあったな。


 大分から種子島へ向かうには空路か海路となるが両方とも大分からの直行便はなく、福岡まで出るか鹿児島に行かないといけない。そしてそれがまた面倒な事この上ない。どうしても高速道路の作りは主要な所を経由するので、通り過ぎた先のジャンクションに入って戻ってみたり、海路でも近くの港から船が出ていなければ先ずは出ている港に向かわないといけない。別に運転は嫌いじゃないし、バイクを転がしたいとも思っているのでいいのだが・・・。


「種子島かぁ〜、飛んでいったら速いのは速いんだよなぁ〜。最短距離だし。」


「普通の経路だと1日くらいかかりますからね。」


 それもそうだが黒豚とか桜大根とかさつま揚げにラーメンもいいな。後はカップじゃないしろくまアイスもあるし、あまり好まないが芋焼酎も・・・、後はウナギとかカツオとか?陸路を進み鹿児島から海路なら楽しめる。そして、バイクと自己飛行でも楽しめる。出張の楽しみなんて観光と食しかないんだからそれを取り上げられるとねぇ。


「それに早く行ってもコレと言ってする事ないんだよね。私は学者じゃないし研究者でもないから、説明受けながらそうなってるって言われたら鵜呑みにするかも。」


「またまた、変な所疑ったりしません?宇宙エレベーターの丈夫さに疑問持ったりとか。」


「う〜ん・・・、飛行ユニットって方向性を持たせた斥力飛行だから、単純に何かを投げて壊そうとするとその速度で跳ね返ってくる可能性があるんだよね・・・。」


 飛行ユニットの肝は斥力と引力である。なので反転させたり全周囲展開すると対物理障壁にも出来るし、ビリヤードみたいに反発してかっ飛んでいく事も出来る。なので一重に頑丈とか壊しにくいとかの判断は出来ず、仮に破壊工作を行うとするなら内部から行うのが手っ取り早い。まぁ、破壊工作した所で全員パワードスーツ着てから地球に降りてくる未来が見えないわけではないが・・・。


「そんな事が・・・、なら破壊工作対策もバッチリですね。」


「対物理はね。逆を言えば物理的なモノでない限り素通りするかもしれないし、ゆっくり近付いて何かを貼るなら反発力は弱い。試しにエレベーター表面にシールとか貼ってみようかな?」


「それって剥がれて高速で飛んできたりしません?」


「反発した粘着力分は飛ぶんじゃない?それ以外に反発するものってないし。」


 何にせよ視察の予定は入っていたのですっぽかす訳にも行かず4日後から出張予定。それまでの間に望田には休暇を取ってもらい、いない間の本部長業務を行ってもらう予定である。と、言っても定常業務やらは多いし獣人関連にしても本部長会議の議事録を作って改めて本部長内で共有しつつ政府にも届けないといけない。まぁ、獣人関連はまだ日があるのでいい。年明けから施行なら1ヶ月近くあるし三賀日に来るスィーパーも・・・、年明け行事的に賑わう?


 嫌だなぁ・・・、おみくじ感覚で獣人をゲートに入れようとするとか。開始日だけ1月の中頃にでもするか?後するとすれば無作為なモニター獣人を募るくらいか。一筆書いてもらうにしろ文章構成やら量の問題もあるし、何よりフラットに判断出来るものじゃないと意味がない。まぁ、そこは永田町文学でも霞ヶ関文章でも書いてもらって本部長達と判断すればいいか。


 編集した動画はもう少し手を加えたら流していいな。そもそも多人数が録画したものなので全て結合して流すと尺も長いし、メインは戦闘方面でいいだろう。場面転換はぼちぼちするとしてこんなイメージでやったと言う部分は極力残す。教材ではないが自分の進む先の職を見る機会なので移動部分等を削りつつ戦闘方面を厚くする。


 後はファイアーウォールの仕様書か。奏江に投げる部分は投げるし佐沼にお願い出来る部分はお願いするとして骨子は作る。寧ろそれを作らないといけない部分は多いな。なにせ魔法が関わってくるので文章に起こすとべらぼうに量が増えるし、魔術師でなければ理解出来ない部分もある。それを分かる文章にすると言うのは中々に骨だな・・・。


「いつ見てもその高速で文章作るスキルはうらやましいですね。」


「やったら頭パンクするよ・・・。殆どは思考の文字起こしだから逆に消す所を探したりニュアンスを変えたりしないといけない。それに英語じゃないから謙譲語やらがね・・・、最近はビジネス文書ソフト噛ませてるからかなり楽だけど。」


 適当に思考した文がビジネス文書で出てくるのって素敵!ただ、集中しないと無駄な思考もちょいちょい文章化するのでそれだけが問題と言えば問題かな?まぁ、2進数でやる分魔女からすれば無駄は分かりやすいらしいが・・・。


 そんな定常業務やらをひいこら言いながらこなして出発日。昨日の時点で問題になりそうなモノには指示出しは済ませたし、ギルド内としても平常運転なので大丈夫だろう。


「今日から種子島に向かうにしてもバイクでよかったの?ライダースーツ着込んでるから意見は曲げないんだろうけど。」


「陸路にしろ海路にしろ乗るつもりはないし、最終的に自分で飛んでいくなら道中を楽しもうかとね。それに久しぶりにバイクにも乗りたいし。」


 最近はバイクに乗るにしても通勤ばかりで長距離には乗ってなかったんだよなぁ。それにスィーパーならノーヘルOKと言うのもデカい。これはゲート内でバイク乗り回す組がヘルメットを外で被り忘れると言うのも大きいし、何よりヘルメットで五感を塞がれた方が危険と言う事に起因している。なので、ゴーグルだけでバイク乗り回す人は増えているな。


「それでいいならいいけど、あまり無茶しちゃだめよ?」


「分かってるさ、お土産たくさん買ってくるよ。今回は視察で本当に話聞くくらいだしね。じゃあ、行ってくる。」


  挿絵(By みてみん)


 妻とキスを交わしバイクは滑り出す。頬をなでる風は冷たく、地味にヒートグラップがありがたい。元々装備庁からもらったものでクリスタルリアクター式なので、エンジン音が静かで振動も舗装されていれば殆どない。まぁ、それでもバイクを走らせるという楽しみはある。まぁ、身体が小さいので魔法で一部制御しないといけないのだが・・・。


 大分から鹿児島まで行くなら宮崎を経由するので高速だと市内まで約4時間半、途中でパーキングエリアに寄って飯を食べたりしたが、早く鹿児島入りしたいと飛んだりもしたので約2時間。パーキングエリアで写真撮らせてくれと囲まれなければなぁ・・・。別に盗撮じゃない限りは撮影されてもいいが、買食いしてる時の写真に需要はあるのだろうか?


  挿絵(By みてみん) 


 そんなこんなで鹿児島に着いてからも食い道楽を行い。流石に種子島までは飛ぶのではなくジェットフォイルを使用。一応、種子島の警備体制は厳格化が進み勝手に飛んでいったら怒られる。まぁ、神志那に連絡をしていれば出迎えてくれるらしいので、それも大丈夫だと言えば大丈夫だが短い船旅もいいだろう。

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この世界なら生成AIに丸投げでビジネス文章出来上がりそうだけどね 獣人が生成AIに正しく指示出来るかの確認も出来るな
改めてプログラマーに喧嘩売ってる性能だな早さもそうだが 何よりも何よりも一番バグが無い或いは何処に有るか残ってるのが分かるのが バグが分かるって何?職を持てば分かるんですか!! 武器も謎だな懐き度が…
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