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街中ダンジョン  作者: フィノ
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51話 若者

「さて、言いたい事は?」 


「僕はリーダーだ。なら、危険は排除しないといけない。僕が前に出るのは当然ですよ。」


「それは確かに一理ある。けど、それでは今回の目的に即していない。今回の目的は主に訓練を行う20階層に行く事。当然、それまでの間にモンスターに対する、対応力も身に付けないといけない。気持ちは分かるが、一歩引く事も大事だよ?」


 中位に至り、確かに卓は強くなったが=自分で全て出来る訳じゃない。スタンピードや、本部長に就いた際の対応力も育てなければ行けないわけで、自分の所のリーダーが強いに越したことはないが、他の人間が弱くていい訳ではない。要は、個人ではなく全体のレベルを上げて、お互いをカバーリングできる体制が望ましい。


 それをいきなり20階層で、他のメンバーにやれというのはちょっと無理がある。モンスターが廃棄品なら、そのモンスターは絶えず変化し続ける。新たな何かを創るなら、それは何か新しい機能が付いたり減ったりするはずだ。対応力は何時でも磨いて行かなければ、足元を掬われる。最近は三つ目を見る機会も減ったような気がするし、千代田からの報告でもやはり砲撃型が増えて三つ目は少し減り、他の形に変わる奴がチラホラ見られるらしい。


「しかし、小骨が多ければ被害は多くなる。やはり、守りながら歩くに越した事はないですよ。」


「卓、それはメンバーに対する侮辱だ。訂正して謝罪しなさい。」


 話を聞いていたメンバーからも、剣呑な雰囲気が漂う。卓のイメージと現実とのギャップ。彼は誰も彼も守り負傷者も出さず1人で事を済ませるヒーローを夢見ているのかもしれないが、それは孤高の存在。自分でやって、いずれは押し付けられて、そのうち見向きもされなくなる。なにせ、勝手に現れて1人で片付けて帰っていくのだ。


 感謝はあるかも知れないが、それもまた消えていく。俺にも経験はあるよ・・・、千代田にも頼れと言われたし。人に何か頼むのはどうも気が引ける・・・、頼んでも思い通りになるとは限らないからなぁ・・・。しかし、それでも頼まなければ1人では限界が来る。特に、スタンピードなんてモノが起こったら、1人では手が足りない。


「・・・、それでも僕は強くなった。」


「あえて言葉にしよう。君の仲間は、君に守られなければならない程に弱い(・・)のか?」


「そんな事は!」


 無いと言いきれない、葛藤だな。モンスターを倒す楽しみと、活躍出来る喜び。頼りにされていると言う、期待される嬉しさ。よくできたと褒められれば誰でも嬉しいし、活躍を見られれば承認欲求も満たされる。卓の顔は歪んでいる。理解出来るが、すれば自分の誤ちを認めてしまう。


 間違いは誰でも怖いもんな。特に、命のかかるこの場所ではミス=死でもおかしくない。しかし、過保護になりすぎだ。このミスを見逃せば、彼はクリスタルの山に1人佇む名無しさんになってしまう。残念な事に、必要なヒーローは仮面ライダーではなく、ぶりぶりざえもんの方なんだよ。


 あれは、驚くほどに人間的で、人のしそうな事をやった上で助けてくれる、文字通り救いのヒーロー。俺も100億万円要求して、『私は常に強い者の味方だ』と言い切れれば、楽な生き方ができたかもしれない。しかも、その強い者が仲間なら永遠に仲間の味方で居続けられる。


「あんまりいきり立つなよボーイ(若造)。大人のお姉さんが少し「仲間」達と相手をしてあげよう。そうだな・・・、敬称を外しますが夏目、加納、伊藤。この3人と戦いなさい。私は今回何かあれば、これを使う事を約束しよう。」


「それって配信の・・・。」


 誰ともなく声が上がる。取り出したのは回復薬上3つ。最高のものは死者蘇生。惜しい惜しくないで言えば惜しいが、ここを成長の場とするなら安い。薬も持ち腐れでは意味がない。しかしまぁ、どうせ使わない(・・・・)んだけどね。


「殺す前提でやれと?」


「その気があるなら・・・。さてヒーロー、仲間との作戦タイムを要求する。」


「・・・、助言ですか?」


「さぁ?私はその仕事もあるんでね。3人共ちょっとこっちへ。その前に・・・。」


 プカリと煙を吐いて、薄く広く辺りを探る。ふむ、ちらほらモンスターがいるが、この程度なら問題ない。場所が分かるなら、煙で巻いて押し潰す。さて、集まった3人で作戦タイム・・・。ん?賢者がしたいと?


(その・・・、勝てるんですか?)


(彼の攻撃力は私達では・・・、止められないから呼んだ訳です、はい。)


(ファーストさん、その・・・、死にますよね?)


 それぞれの顔には悲壮感が浮かぶ。しかし、それは必要ない。彼の本質は、アレなのだ。


(そんな心配はないよ、君達は誰も死なないさ。)


(ファーストさんが保証してくれると?)


(そんなものは必要ないよ。だって彼は仲間を守るヒーローなんだろ?なら、仲間は傷つけられない。君達はただ、彼と戦って強さを見せればいい。)


(それは・・・。)


(スクリプターは記憶を重ねる。なら、彼に彼を重ねればいい。氷の君は炎を冷やす。頭を冷やしてあげるといい。そして、肉壁の君は抱き締めてあげなよ。)


(?)


(言葉は、面倒だね。少し本質を話してあげよう。スクリプターは改竄(・・)出来る。氷は奪える。そして、肉壁は・・・、自身を広げればなんでも(・・・・)制御出来る。ただ、抵抗しないと広がりすぎて消えちゃうよ?)


(それが助言ですか?)


(ううん、補足。君達は稀有な職を引きすぎる。他では・・・、いや、何でもない。大丈夫、ヒーローは仲間を見捨てない。君達は勝てる。)


(とりあえず、勝てるって事ですね。自身を広げる・・・。)


(やりますか・・・、改竄・・・。)


(奪えるて、遠隔凍結?)


 賢者が余計な事まで喋ろうとしたので、慌てて制御を奪った。他では珍しいだと?確かにそれは考えつくが、誰もが無理だと諦める事柄。特にスクリプターと肉壁はヤバい。さっきのイメージを重ねていけば、出鱈目もペテンもかけ放題。そんなイメージを今持たれると、モンスター退治どころではなくなる。


言われた3人はイマイチ、釈然していないがされたら困る。久々に賢者がやる気を出したから任せたが、普通に俺が言う方がマシだったかも知れない・・・。しかし、吐いた言葉は無くならない。願わくば、言葉の本質に気付かないで欲しい。だから、他の言葉を紡ぐ。


(君達は彼も含めて平等だ、職に優劣は無い。位が上がれば確かに強くなる。だが、本質は変わらない。大人が子供を怖がったらいけない。彼は、共に歩める仲間を欲しがってるんだから。)


「話は終わりましたか?」


「まぁ、ボチボチと。今の君に仲間はいるかい?」


「言葉によるイメージ撹拌・・・、それも分かってますよ。僕はそれを知っている。」


「そうかい?なら、答えは任せるよ。」


 1対3の戦い。人数だけなら既に勝負は見えるが、残念な事に職があれば話は変わる。しかし、この戦い。職があっても結果は見えている。


「リーダーは夏目さんか。悪いけど、すぐに終わらせる。」


「いや、今回はリーダーはいない。みんな平等なんだよ私達は。」


 卓から炎が吹き上がる。お得意の変身だが、火の付きは悪い。スクリプターの伊藤が卓に卓のイメージを重ね、変化を阻害する。互いのイメージがぶつかり合い、しかし中位の卓の方が強固なイメージがある為、一瞬の拮抗で炎が上がろうとするがやはり燃え上がらない、今度は加納が熱を奪う。


「小細工を!」


「策を弄さないのか?子供だな。」


 焦れた卓がステップを踏みながら、滑るように地を駆ける。纏えないなら格闘家として戦う。いい判断だが、相手が悪い。突き出した右の拳は、マントを付けた夏目の指に絡め取られ、そのまま腕を鞭のように伸ばして、地面に叩きつけるようにして振り回す。


 流石に不味いと思ったのか、地面を見た卓の無理やり炎化による瞬着。しかし、やはり甘い。夏目はそのボディスーツが武器。自身制御と抵抗があるなら、苦にならない。なにせ加納に氷漬けにされても、寒いで済ませるのだ。迷って気合の入っていない炎など、苦にもならないだろう。手を離す気はない。そんな顔の夏目の指が針金程細くなり、卓の手に食い込む。


「自身制御・・・、貴方自身(・・)を制御する!」


「な!」


 夏目が1つ皮が剥けたな。職の説明は雑ではない。対象を指定(・・)しないが為に単文なのだ・・・。詳細な説明では、知らず知らずのうちに、出来る事の方向性が決まってしまう。それは、可能性の芽を摘むに等しい。自身で考え、自身で磨くからこそ能力は多様性が出て、自分用に調整される。賢者め、補足などではなくもう少し考える方向性で話せよ・・・。その補足が、夏目達に合致しているかは分からないんだぞ。


 食い込んだ指を払おうとするが、右手は言う事を効かないのか、上がる事もなく左手で払おうとする。が、細くなった指からはゾロリと更に針程に細い棘が生える。自分の身体だ、夏目の好きなように制御出来る。


「どうする卓君?私は離れないよ?」


「・・・、爆ぜろ!」


「だとさ。」


「熱は奪いますね?」


 夏目から離れようと、卓と夏目の間が爆発するが、熱は加納が奪い、衝撃は伊藤が記憶を重ねて塗りつぶし、夏目は3本目の腕を生やすマントで防御姿勢を取る。夏目のヤツ、マントで自分の身体が見えないからと、やりたい放題身体を組み替えてるな。チラリと見えたが、3本目の腕を生やす為に胸はなくなり、足は棒のように細くなり、足の指は鉤爪のように地面に食い込んでいる。


 しかし、その甲斐あってか発生した爆発はほぼ無効化され、残ったのはジリ貧の卓。卓の相手が夏目達ではなく、同じ事をするモンスターなら叩き潰せるだろうが、相手はあくまで夏目達。勝負ありかな。卓もこれ以上する気はないようだ。


「負け・・・、ですね。」


「あぁ、私達は君に守られ続ける程弱くない。卓君、君が私達を守るように、私達も君を守りたい。雄二君を待つように、私達も待ってもらえないだろうか?ペースがあるからね。」


 その言葉に卓が絶句する。自身の歩みを思い出したのだろう。彼は割と寂しい幼少期を送ったと聞いた。だからこそ、人の役に立つヒーローに憧れたフシもある。そんな彼に追いつくから待てという雄二以外の人が現れたのだ。なら、彼とて少しは大人になれるだろう。


「・・・、ごめんなさい。すいませんでした。僕は貴方達の強さを知った上で、頼られて守る事に酔っていました。」


 卓が班員に頭を下げる。夏目達はそれに対して、気にするなや、次は俺がもっと倒すなんて軽口を返す。これで謝れず駄々を捏ねるようなら、ちょっと空中対戦でもしようかと思ったが、どうやらそこまで酔ってはいなかったらしい。さて、卓の処遇はどうするかな。今は一旦リーダーの任を解いて、安全装置にでもするのがいいが、それでは暇になりすぎるかも知れない。それに、今すぐ離せば彼にも班にも良い影響はないだろう。なら、彼自身に選んでもらおう。


「卓君今回の件だけど、一旦リーダーの任は解くとして、罰ゲームと班を離れるのどっちがいいですか?」


 声をかけた卓がビクリと肩を震わす。


「クロエさん、その、罰ゲームの内容は・・・。」


「卓君、君は受講者であると同時に講師側でもある。今回は安全最優先の末の結果として、快楽を求めた事は不問にします。ただ、叱る事は必要です。なので、考えて選んでください。内容は秘密です。」


 そう言われた卓は班員の方を見る。見られた班員はニヤニヤ笑いながら親指を立てる。そもそも彼等には被害はない。仮にあるとすれば、モンスターを倒し損ねた事ぐらい。先はまだあるし、先に行けば今よりモンスターも強くなる。なら、成長の機会はまだまだある。なら、ズルイ大人は罰ゲームを楽しみたいだろうな。卓もズルイ大人に諦めたのか、肩を落としながら聞いてくる。


「この班に残ります・・・。理想と現実を擦り合わせるためにも。」


「分かりました。罰ゲームを伝えるので、ちょっとこっちへ。」


 卓を呼び内容を伝える。卓の顔は引きっているがまぁ、これはユーモアの範囲だ。楽しんでくれるならそれに越したことはない。まぁ、その罰ゲームが執行されるのはまだ先になる訳だが・・・。どんな罰ゲームが気になっている夏目達が、こちらを見てくるがまだ伝える事は出来ないし、執行されない可能性もある。


「罰ゲームの内容はここを出て、みんな無事なら執行されます。卓、君の次の任務は空の警戒です。基本的に空のモンスター以外は、死者が出そうになる限界まで討伐は控えるように。」


「・・・、分かりました。もう一度、皆さん本当にすいませんでした。頑張って一歩引いて観るようにします。」


「あぁ、頼むぞ卓君。心配しなくていいほど、私達は強くなってる。なぁ!」


 夏目が他のメンバーに声をかけると、他のメンバーも各々に頷いて返す。さて、ここはもう大丈夫かな。戦力的にも低くないし、卓の完全裏方が決まれば早々に死ぬ事もない。メンバー相手では本気が出せなくとも、彼がヒーローならモンスター相手なら気合の入った炎を魅せてくれるはず。


「では、私はそろそろ戻ります。雄二の方はバイトに任せきりなので。」


「あの犬ですか、大丈夫なんですか?」


 バイトに何度か突っかかって、美味しくモグモグされている夏目が声を上げる。煙を纏っているので、ある程度動きは分かる。今は雄二達の後方を付かず離れずの距離で、たまにモンスターを殺しながら歩いている。


「大丈夫ですよ?バイトも雄二達も今の所は無事です。こちらに呼ばれるまでは空を受け持ってたけど、これからは君の領分だ。暇つぶし程度に、当然のように倒しなさい。」


「分かりました、娯楽ですね。」


「ええ、では。」



________________________


       現在卓チーム19階層


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「雄二そっち行った!小田援護!」


「了解清水さん。小田さん纏めてくれ!」


「撃ちますよー!」


 小田の結合でモンスターが1つに固まり動けない所を雄二が斬り捨てていく。みんなと別れて早7日。負傷者は多いモノの回復薬と、小田の再生能力で事なきを得ている。このチームの特色として、魔法職がおらず物理一辺倒。一応、小田を魔法職とするなら1人はいる事になるけど、小田は補助職的ななにかだろう。


 魔法と呼ぶにはいささかおかしい手に入れたばかりのリボルバーグレネードで、醜悪なモンスターを更に醜悪にしては能力を試しながら歩いている。他のメンバーも格闘家に槍師、追跡者に剣士、ガンナーと小田を抱えれば走っての移動速度だけならトップクラスと言っても良い。雄二の指揮も思ったより広く見ていて、足りない所のカバーリングが上手く、剣閃を飛ばせるので欲しい所に手が届く感じ。


「清水さんお疲れ様っす。」


「雄二君、敬称はいいよ。君はリーダーで私は班員だ。」


「なら、俺も呼び捨てにしてくださいよ。」


「残念ながら、私は自衛官でね。階級にはうるさいんだよ。」


「何話し込んでるんですか?先に行きますよ。鈴木さんがここから2kmくらい先に、ちょっとした洞窟みたいな所を発見してくれたので、今日はそこで休みましょう。」


 話し込んでいた私達の所に小田が来て、先に進むように言う。洞窟か、内部索敵は必要だが休むにはちょうどいい。ヘリはともかく、私達の班のトラックは3日目の襲撃で大破してそのまま消えてなくなった。あれば休憩はそこで取ればよかったが、ないものは仕方ない。班員が全員近接寄りと言う事で、服は早々になくなり、今はみんなインナーでウロウロしている。ありがとうクロエさん。心の中ではそう呼ぶが、これがなかったらみんな全裸で走り回る事になっていた。


「雄二君何を見ているんだ?」


「いゃあ、あの煙クロエさんですよね?見てると結構光るんですよ。」


 雄二の視線の先には、薄紫色の煙が空に漂っている。彼女自身は見えないが、雄二の言うように見ていると音もなく光る。多分、空中のモンスターが来るたびに倒しているのだろう。確かに、ここまでの道中で空から襲撃を受けた記憶は少ない。ゼロでない所を考えると、それもまた訓練なのだろう。


 私達のメンバーで空で動けるのは、一番が小田で後はまちまち。一応、二段ジャンプ何ていう事も出来るけど、足場がないと斬撃にも力が入らないので、やるにしても空中迎撃用の技だ。彼女は死者を出すのを嫌っているのだろう、私達は本部長候補なのだから。しかし、なった後のしがらみも多い。


 警察と自衛隊と政府。そしてクロエさんの勢力。クロエさんのそれは勢力と呼ぶには、あまりに所属人数は少ないが、戦力だけ見ると本人だけでも過剰な力がある。今の所本人にその気があるのかないのか、分からないがその気になれば他の勢力を抑えてクロエさんの1人勝ちが狙える。その事を上の人間は理解して色々やっているのだが、クロエさんは粛々と仕事をしているだけとの認識なのが質が悪い。そもそも、彼女は国に帰りたいだけだと言うし。


「洞窟のクリアリング完了ですよ、リーダー。」


「ありがとうございます。女性陣っても清水さんと小田さんしかいないですけど、やる事が有るなら先に済ませてください。男性陣は警戒!覗くなよー!」


「一番若ぇお前が覗くなよ〜。」


「俺は紳士っすよ!」


 洞窟の外から笑い声が聞こえる。どうやら雄二がイジられているらしい。お言葉に甘えて小田と先に入る。この時間が私達の仕事の時間の1つだ。ここにいると、忘れて投げ出したくなる仕事だけどね・・・。


「夏目さんからLINEがありました。対象は動かないようです。前に腕を氷漬けにされて以来、動きはありませんね。」


「ここの中で動くほど馬鹿じゃないだろう。模擬戦の事故に見せかけての牽制なら、分からないでもないが外務省如きが、命のやり取りには向かないよ。」


 ゲート内で政治の話は面倒だ。何処の組織も一枚岩でないにしろ、時と場所と対象を選んで動けと言いたくなる。外務省はクロエさんを外交カードにしたいと考えている。それは戦力然り、マスコット然り。最初の1でゲートについての交渉権の持ち主。それだけでも、彼女は様々な組織から狙われている。手が出ないのは一重に公安と、別班。後は本人の強さゆえか。


「それもそうですね。まぁ、考えるのは上の仕事です。・・・、ナプキンあります?」


「タンポンなら。こっちの方がズレない。」


「どうも。体調は凄くいいんですけど、血は仕方ないですね。」


「私は重かったから今は天国だよ。回復薬様々だ。」

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[一言] こういった告知は活動報告を利用されてはいかがでしょうか?
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