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街中ダンジョン  作者: フィノ


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495話 コピーキャット 挿絵あり

「開始は5分後、好きな位置に移動してから開始と言う事でいいかな。既存武器はご自由に。変わり種は先に言ってもらえれば対処します。」


 選出戦でやったのがそのまま公式ルール化しているが、世界中で観戦されてアーカイブもあるので分かりやすいと採用されているのだろう。実際シンプルで分かりやすいし変な武器までありありにするとサーバー負荷がね・・・。ただ、やってる所はやってるしそこから新しい武器のデータやら実装嘆願が届く事もあるので、武器系のデータ収集にはかなり役立っている。


 でも、口頭だとイマイチ性能が不明なものがあるのでその際は現地に調査員が出向く事もあるとか。最近はお金払って統合基地付近で確認したりもしているし、性能的に隠したい人やストップかける国はそもそも嘆願しない。R・U・R自体を弄ろうとする国もあるのだが、今の所防壁は正常に働き個人にしろ国にしろ下手打った所はかなり損害が出ているかな?


 別の所に誘導されるだけならいいけど、防壁のモンスターが攻撃したら並のコンピューターなら太刀打ち出来ない。出来ないのだが他の国でもR・U・Rのパーツになる出土品が出ているので、技術的に日本が立ち止まるとすぐに追い抜かれてしまうかも。


 スィーパーはゲートを進む事に注力する人が多いが、ゲート外はゲート外で技術競争が密かに激化している。まぁ、その激化する研究や開発を組織化する為にチーム組んだり提携したりするんだけどね。ブランド品なんかであるコピー品を個人的には完全に悪とは言わない。


 当然無許可で収益は減るので違法なものは犯罪だが、本物と寸分違わないコピー品とは、裏を返せば同品質の物を作れるだけの技術があると言う目安にしやすく、それを自分達の技術的進歩が滞っていると受け止めるか、単純に利益が減ったと取るかで感覚が違ってくる。


 収益減は確かに問題なのだが、それよりも同じ物が作れる方が脅威だろ?密かに開発されて追い抜かされるよりも粗悪品でも形に出来たと見せられる方がいい。なにせそれが出来たなら後は高めるだけなので進歩速度は速い。


 エヴァとフェリエットはそれぞれ自分の好きな位置に移動している。フェリエットは頭からマニキュアを浴びたのが髪まで黒くなり岩陰へ。四足獣よろしく体勢を低くし、一方のエヴァは黒い軽装の鎧を着けて広い場所で剣を抜く。背中に盾を背負っているが邪魔にはならなさそうで、小手や脚甲は盾師の物を加工しているのかな?


 パワードスーツに頼らない初期装備と言うかベテラン装備?となるとこのスタイルの人は多いし、元々ゲート産の武器なので防御力は折り紙付き。それでもパワードスーツを欲するのは飛行能力や鎧が欲しいからさ・・・。一応魔法糸や調合師や鍛冶師、装飾師がいじった物やモンスター素材は防御力も形も好きに出来るが武器には劣るのよね。


 今回のエリアはランダムだったが木は少なく多少の岩がある程度。その岩も人1人が隠れられる程度なので実質オープンスペースエリアと言える。


 3次元戦闘を考えると多少の物足りなさはあるものの、実力が如実に出やすいので盛り上がると言えば盛り上がるな。エヴァの剣はシンプルなロングソードと言っていい。華美な飾りがあるわけでもなく黒一色でレイピアの様に刺突するよりはその重さと筋力で叩き斬るという方がしっくり来る。


 ただスィーパーの時点で女性でもバスターソードを片手でブンブン振り回せるので重さは難点にならず、あるとすれば長さによる取り扱いやすさ問題と片刃か両刃の違いとか?長巻きは剣士、槍師共に出るので判断に迷うが突けて切れれば問題はないのかな?ソードブレカーとかの形状で出る物も蛇腹剣なんて変則な形で出る物もあるので一口に剣と言っても幅広い。まぁ、ショーテルもククリ刀もチェーンソーも剣だしなぁ・・・。


「エヴァさんは典型的な剣士ですか?」


「それは見てからのお楽しみでしょう。賭けもしてますからね。フェリエットさんの戦闘師匠はモルガンで?」


「不思議に思うかもしれませんが、私とフェリエットが共にゲートに入った事はほぼないんですよ。強いて師匠とするなら鑑定術師の女性、神志那さんでしょうか?」


「そうなのですか?貴女ならどの様にでも戦闘を組み立てたり魔法を教えたり出来そうですが。」


「買いかぶり過ぎですよ。私はこうなるまで喧嘩もした事ない様な人間ですよ?仮に今普通のスィーパーとして実力のみでモンスターを制圧しろと言われたら真っ先に死ぬでしょう。」


「それは・・・。」


 プカリと一服。前に考えたが死ぬな。仕様変更でイメージで戦いませんとか言われたら真っ先に死ぬ。それこそ魔力とか言われたら多分最高に燃費悪いから・・・、いや?アブサのおかげで無限の魔力が使える?・・・、無理だな。有って無い物は有ると確定させた時点で消えるから超絶短距離攻撃、例えば掌打を押し当てた瞬間だけダメージ出せるとか?やっぱり不明な数値は要らないな。


「ほら、始まりましたよ。サイラス長官。」



________________________

 

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「初手は隠れる。やっぱり最初に話し合わせないと、堂々と斬り結んてくれる奴はいないか。さてと!」


 足を止めるな走れ!走れ!!走れ!!!構えて周囲を警戒する?無い無い。感覚を研ぎ澄まし、周囲を見渡し、匂いで肌で相手の視線で斬り結ぶ!いやぁ〜!さすが魔術師!師匠もエゲツナイけどフェリエットもエゲツナイ!左右に目の前!おまけに上と息の根を止めに来てやがる!


「ははっ!でも、瞬着も窒息も魔術師の十八番!でも、それが十八番なら誰でも攻略はイメージするだろ!」


 風で真空にされて窒息死した。口いっぱいに土塊を詰められて窒息した。水で肺を満たされ、火で気道を焼かれ、雷で焦がされ他たくさん経験した。そう、それが本当かは知らないけど速さも痛さも自分が殺られたイメージも映像も見た!だからこそ、自分の感覚を信じる!


 水は斬らずに剣で巻き込み地に払い捨てる!風は身を任せて踊る様に捌く!瞬間発火したならそこは切り払う!礫は打ち返し!雷は!


「こうだ!避雷針に集まるだろう!」


 剣先に激突した雷は剣を伝って手に流れようとするが、それの動線を切ってしまい、集まった電流は剣を支点に逆立ちする様に地面に刺して流す!それだけでは止まらない!そんな事で止まらない!ずっとヒリヒリとしたイメージが辺りから飛んで来て、それを可能な限り捌く!それは魔法だ!それは攻撃だ!丁寧に丁寧に、時に受けて切り払いダメなら剣か盾で受ける。


「やっぱり魔法だけだとダメだなぁ〜。焼け死んだりするし、モンスターにもダメージが出るのに思う様に燃えてくれないなぁ〜。」


「いや?手数にしろ速度にしろいやらしいと思うぞ?それで、出て来たからには殴り合いか?」


「それも必要だなぁ〜。魔法は面白くて便利だけどまだまだ自由に出来ないなぁ〜。」


 焦れたのか?尻尾は止まらずユラユラ動き、その目は獲物を見つけたかの様に縦に瞳孔が細くなる。猫ってのは獲物で遊ぶ。死んだネズミでも遊ぶ。それが本能で狩りの練習やら獲物を捕った成功体験の反復らしい。フェリエットとして私は獲物なのか?答えは分からないけど、誘ったのが私なら多分獲物だろう。


 別にどっちでもいいけど獣人は勝てない相手からは逃げたがる。モンスター相手ならその限りじゃないが、人相手ならその傾向が強いし手出ししようともしない。それの例外とでも言えばいいのが職に就いた獣人。言ってしまえばこいつらは戦士だ。戦うだけの能を得た戦士。だからこそ私はその新たな戦士と戦い背中を預けられる相手かが知りたい。


 しかし、黒くなったフェリエットはそれが武器か?わけわかんねぇー武器なんてごまんとあるし、それで何が出来るかも分かんね。知り合いで変わった武器と言えばマジックハンドとか?格闘家で一部が伸びて捕まえられるって言うのは確かにトリッキーで面倒だった。


「上手だよ、ここの生徒と比べると全然上。下手するとここの生徒は最初から真っ二つになっておしまいだ。過信やら自惚れもあるだろうし、師匠が魔術師として隠れずに正面からモンスターも格闘家も抑えるからそのイメージなんだろうな。と、搦手もお手の物か?」


 話す間に地中からの急襲!勢いよく飛び出した土の槍をバックステップで切り、浮いた槍部部は回し蹴りで蹴り飛ばす。それでもまだ来る感覚があるから剣で受け手はダメか!


「ちっ!よく動かす!」


「前にメガネに檻に閉じ込められたなぁ〜。私もそれに習ってネズミ捕りを作ったなぁ〜!風の檻、火の檻、水の檻、雷も土も練習したなぁ〜!餌があれば人もネズミもやってくるなぁ〜。」


「解説どうも!」


 餌ね、餌!本人が餌である限りそのイメージは多分強い。だって私はフェリエット()を見つけて立ち止まり話し掛けて罠にかかった。つまり、フェリエットの中で私は捕まえる獲物であると同時に餌を捕りに来る害獣。だから姿を見せたフェリエットはほとんど動かなかったのか。イメージの補強やらを考えるとやっぱりファーストの家族ってだけあって効率とかを考えるんかね?


 ただ捌いて受けて切り裂くのは飽きてきたな。多少ダメージは受けるけど回復薬を使うほどじゃない。引き出しが無いなら探して切るかな?多少は楽しめたけど小手先の魔法だけならこれ以上手こずる事もないだろうし。


 回転するように前後左右、頭上は無視して走り抜け足を取ろうとする轍は無視。その程度でスッ転ぶほどバカじゃない。私を近寄らせない様にするだけならそれでいいだろうが、仕留めるとなると全然足りない。しっかし、なんか嫌な予感は拭えねぇーんだよな・・・。フェリエットも隠れねぇし。


「ほいさ!」


「それは効かんなぁ〜。」


「はっ!受け止めるじゃなくて掴むね。でも、なんとなく嫌な予感の正体がわかった。その髪も武器だろ?いや、その黒い部分は全部武器なんだろ!」


「正解だなぁ〜。だから私も頑張って攻め始めるなぁ〜!私は今武器の檻に閉じ込められて、その周りも魔法の檻が出来てるなぁ〜。外から見たら檻の中の私は猫人なのかなぁ〜?それとも魔法と武器なのかなぁ〜!!」


 ガキンッッッ・・・ーー!!!


 滑るように地を這いフェリエットは加速する!はぁ?なんだそりゃ!速すぎるだろ!かろうじて受け止めた一撃は軽いものの痺れて受けるにとどまる。フェリエットの背後をみれば地面にはレールの様な物が地面に浮かび上がり、その上から煙が出ている。


「直接雷で殴り・・・。いや、お前雷だな?」


  挿絵(By みてみん)


「さぁ〜なぁ〜?」


 いやらしくフェリエットが牙を見せて笑う。飛ばすでなく纏う。それはヒーローの十八番。失念していたわけじゃない。ただ、人のスィーパーとしてある実例でもヒーローは異質。魔術師と格闘家がでたのは他の国の例を見てもほぼ無い。しかし、それの卵がフェリエット・・・、つまりは獣人達か!


「いいぜ!お前凄くいいぜ!」


「褒めてもなんもやらんなぁ〜。パイは私がもらうなぁ〜!」




________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 フェリエットは増田に負けたのが悔しかったし、俺はその髪までも武器に出来るマニキュアから魔法装甲と言う話しをフェリエットにした。そして、作ったのがこれか。箱の中身はなんなのか?それは箱の中身しか知らない。そして、それが生きているのか死んでいるのかも。手本は確かにあり、それを見つけられるかが争点となるが、フェリエットは確かに見つけられた様だ。


「上手いものですね。」


「手本は多数ですよ。それはヒーローでもいいし、選出戦の選手でもいい。猫・・・、コピーキャットが模倣するのは当然のことでしょう?」


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