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街中ダンジョン  作者: フィノ


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488話 おちゃめさん 挿絵あり

「本当に置いてきましたか?」


「ベッドに投げ付けても壊れないなら置いたのと一緒。それに若くなろうと王権にしがみつくつもりなんてサラサラないから気にしないわね。老いたら道を譲る、譲ったら余生は自由に生きる。貴方とてそうでしょう?魔法省長官さん?」


「その割にはこうして机に縛り付けられてますけどね。さて、どこでこの杖の話を?あら方ジャスパーからでしょうが・・・。」


「分かってるじゃない、その通りよ。聞いた話だと光って形を変えたと言うのは聞いたけどそれだけかしら?剣なんてG7でケーキを切った時くらいにしか使った事がないのだけれど、まぁいいわ、貸してちょうだい。」


「そうでしょうけど貴女は何をするか分からない。寝室に忍び込んだ不埒者とおしゃべりしたり、ロンドンオリンピックではヘリからパラシュートで降りてきたり、一般人の結婚式にもご出席なされましたよね?」


「いいじゃない。パラシュートは流石に歳だからスタントマンにお願いしたけど今なら私が飛ぶわ!それに王室への侵入は過去に何度か起きてるし人のする事に完璧はない。ケーキカットは毎回同じだとつまらないでしょう?しかし、薬は凄いわね飲み過ぎて数日は水っ腹でゲップとトイレと友達になったけど。ジョージもきっと同じょね?」


「さぁ?1本で20年若返る物もあれば1日の物もあります。それにゲップとトイレは食事とお茶の飲み過ぎでしょう?若返りの薬を飲んでもスッと吸収されますし。」


 若さゆえの過ちと言う言葉が日本にはあるらしいが、この方は年老いても愛され若返ればなおも自由で魅力的じゃなぁ。しかし、若返りは隠しておくと言っておったはずじゃし国際会議後に折を見て会見を開き王位を譲ると聞いておったが・・・。


「そうね、でもスッと吸収されて夜のお手洗いの回数が減るなら飲むしかないじゃない。おかげさまで節々の痛みもたるんだほほ肉ともおさらばよ。ファッキン腰痛!おととい来やがれ!ってね。同じ様に生きた貴方だけに楽させてたまるもんですか。」


「それは領分と言うものですよメアリー。私はゲートを進む。貴女は玉座から国民を見守る。そう言う住み分けでした。さて、追加の薬の催促ですか?」


「薬はいらないわ。そんなに人生をぐるぐる回っても有り難みがなくなるもの。それよりソレよソレ。ジャスパーから獣人が獣人を教育している間に作ったと聞いたけど?」


「その通りです。事も無げに現代のアーティファクトを作ってしまいましたよ。最も彼女からすればこれもまた試作品と言う話ですけどね。5種類の魔法が込められていると言われましたが実演されたのは2つ。光をもたらし温かくする魔法にこの杖の形を変える魔法。」


「杖?これってカテリーナのレプリカ風剣よね?私は大元を知らないけど。」


「基、これが本来の姿です。」


 指定された呪文を紡ぎ元の杖へ。意志を持てで形が変えられるにしてもどこまで変わるんじゃろうな?そもそもの話小さくする下限はあっても大きくする上限は聞いておらん。それに他の呪文も聞きそびれてしまったからそれを使うなら明日以降となるの・・・。いや、もしかしてそれを探るのもまた宿題なんじゃろうか?


 5種類の魔法が込められているとして火は温かさ。形状を変えるのは・・・、水か土にかのぉ?しかし、物体として形あるものならば多分土関連じゃろう。だが、呪文となると作ったクロエの感性によるとしか言えん。安直と言えば安直な呪文じゃが安直故に正解を引き出すのもまた難しい。それに呪文は日本語じゃった・・・。


 あの国の言葉は英語と違い、同じものを幾重にも他の言葉で表現するから更に難解になる。やはり鑑定師に投げて呪文をカンニングするか他の手がかりを探すか、本人に尋ねるしかないじゃろうな・・・。そんなワシの思案を尻目に女王は杖を手に取る。王笏ではないが様になるのぉ。


「意思を持て!あら?分厚いコートを考えたけど少し薄いわね。最も分厚くよ。」


「寧ろその体積からコートが作れる方が驚きでしょう?杖に剣にコート、さながら変身アイテムですね。魔法も使いますし。」


「・・・、コレってもう一つ作れないかしら?警備員なしで出かける時の保険にもってこいじゃない。」


「立場ある身です。くれぐれも無茶はしないようお願いします。」


「もう!誰も彼もそればっかりね・・・。まぁ、女王である限りは仕方ないとしか言えないか。そう言えばファーストの明日の予定は?」


「現時点では彼女自身の予定は決まってませんよ。ミスター松田については会議の事前調整として他国の要人と会談予定が入っているそうですが、クロエについてはフリーとしているそうです。」


 話の通じるクロエならそこまで心配は要らんじゃろう。当然エヴァは付けるにしてもおかしな事態に巻き込まれる様な事はないじゃろうしな。




ーside 司 ー




「ファーストさんは肉がいいんだよな?」


「それはそうですけど出来れば別の名前で呼んでもらえません?一応お忍びなんで。」


「別の名前・・・、日本人っぽいのがいいよな?花子とか小野妹子とか。」


「流石にそれは・・・。後、小野妹子は男ですよ?勘違いされがちですが。女性とするなら小野小町です。」


「小野違いだったか・・・。何でもいいって言われるとポンと出て来ないけど・・・。あっ!モルガン!モルガンにしようぜ!」


「それでいいならそれでいいですけど英国でモルガンって一般的なんですかね?」


「最近はそう名乗る女魔術師は多いかな?有名だし。」


「まぁ、アーサー王伝説に登場するから有名と言えば有名なんでしょうけど・・・。」


 フェリエットは寝てしまい青山は松田が部屋に残ると言う関係上護衛として残し代わりにエヴァと食事へ。店もホテル近くの有名店だが長旅の疲れやら視察の疲れもあるので、今日の所は食事したら帰るとしよう。出歩くという事でまたマスクを付けているがチェックインの時点でジャスパーが説明したので特に呼び止められない。


 まぁこのマスクをしたままなら、誰かと一緒に出歩いてくれと言うジャスパーの気持ちも分からなくないな。顔を物理的に隠している関係上なりすましも怖いしな。流石にホテルのセキュリティとして鑑定師は雇えなかったのか、そう言うチェックがあるとも言われなかったし。


 しかしモルガンか。アーサー王とモルガンの関係は複雑で異父姉である。初期の頃は聡明で癒しの力をくれる魔女だったのだが、時代の流れの中でどんどん邪悪にされて行った。まぁ、どんな本でも改訂版が出れば改悪も改善もされるので仕方ないし、娯楽として捉えるなら何処かに悪者が必要だったのだろう。でも、それなら不倫スロット事、ランスロットでよくない?


 はい、時代背景的に魔女狩りとかの時代なのでダメですね・・・。そうでなくとも騎士=貴族なので貴族を貶める様な話は書けませんよね〜・・・。冒険譚飽きて次の物語を考えた時に愛憎を付け加えた方が面白くなりますもんね・・・。


 何にせよ本質を見るなら原本ベースで考えるのが真っ当だし、今の時代ならフェミニストが不倫男ランスロットのSNSを炎上させているのではないだろうか?魔女は許されたが不倫は許されないのだよ・・・。


 そんな事を考えながら店に着き席に着く。ドレスコードがあると言う事で俺はドレスのままでエヴァはスーツにネクタイをしている。そこはエヴァもドレスではと思ったがヒラヒラは嫌だし剣士なので邪魔になるとか。いい切れ味だよエヴァ・・・。俺も好き好んでこんな格好ではないと叫びたいが、周りも似た様なドレスの客が多いので叫べない。


 そもそもゴシックドレスと言えば日本ではコスプレ扱いだが、こっちの人からすれば一昔前のファッションとでも言えばいいのか、未だに王家や元貴族なんていう称号の残る国なので伝統衣装と言うのが近いのだろうか?日本の着物、西洋のゴスロリとか?まぁロリを取ってゴシックドレスを着ていると思えば割と・・・。


「どうぞこちらへ。」


 ボーイが席に案内し椅子を引くので前に立ち膝裏に当たるか当たらないか・・・、はい。身長足りないので飛んでおきます。テーブルマナーも一般的な物は覚えているがまさか体格的な罠に嵌まるとは・・・。乾杯するなら乾杯してからナプキンは取りたいがどうしたもんかな?


「さてと料理は師匠が指定したからいいとして・・・、モルガンはテーブルマナーとかうるさい?」


「いえ?一通りのテーブルマナーは覚えていますが元は日本人ですよ?ナイフとフォークと箸を出されたら間違いなく箸を取りますね。格式張った店の様ですがマナーにかまけて料理を楽しめないんじゃ意味がない。気軽に食べましょう。」


「話が分かるな。で、そのマスクは取らないの?流石に食べづらいだろ?人目が嫌なら席変えてもらおうか?」


「いえ、それには及びません。単純な個人の問題で周りを振り回すのも悪い。」


 マスクを外そうとするさなかにローストビーフが到着。目の前で切ってくれるので断面がよく見えるがかなり赤身の強いレア加減でいい感じだな。ただ、筋切りしてないのか硬そうな部分も感じるのでやはりナイフとフォークで食べるとしよう。


「いい香りと焼き加減ですね。」


「・・・、いや。目をつぶってるけど?それって当てずっぽうに言ってない?」


「いえ?見えてるので問題ありませんよ?まぁ、流石に落ち着かないでしょうから目は開くとしましょう。」


  挿絵(By みてみん)


「うおっ!ずっとマスクばかり見てたから感じなかったけどやっぱり人形みたいに綺麗だな・・・。」


「お世辞はいいですよ。生まれてこの方ずっと同じ顔を見ながら生きてきたんですから、何を言われようと何も感じません。それよりも食べましょう。」


 切り分けに来た人も手が止まっていたが俺の言葉でハッとして動き出す。飯食いに来たんだからちゃんと楽しまないと店に悪い。肉と言う事で赤ワインが出されたのでエヴァと乾杯して食事を楽しむ。ただ、見立て通り筋があるのでその部分は切り離すかな?


 食事を終えてシガレットバーにも誘われたが今日の所はホテルに引き上げてシャワーを浴びてベッドのど真ん中に陣取るフェリエットを横にどかして就寝。松田からの連絡で明日は別行動となるが、青山を護衛として送り出すなら俺の行き先は魔法省か。授業も見て欲しいと言われました気分としては授業参観に来た保護者だな。


「起きろフェリエット。そろそろ支度をしないと朝飯を食べ損ねるぞ。」


「ご飯の為に起きるなぁ〜。朝は味噌汁とおかかご飯がいいなぁ〜。贅沢していいなら鮭も欲しいなぁ〜。」


「残念な事にここは英国だ。パンにウインナー、スクランブルエッグにコーンスープ辺りで我慢しろ。まぁ、日本食が広まってるらしいからもしかしたらあるかもしれないが・・・。」


 部屋を出ると青山が忠犬の様に待っていて、そのまま松田と合流してホテルで朝食。ビュッフェではなくオーダー制なのである程度好きな物が食べられるが、どうも格式張った食事と言う感覚が抜けなくて量は食べられないな。和食セットがあったのでフェリエットはそれを頼み俺はイングリッシュブレックファースト。流石にパンと卵やベーコンが不味いと言う事もなく、ホテルのオリジナルジャムも美味しい。


「私は会談で走り回りますがクロエさんはどうします?」


「私はフェリエットと共に魔法省ですね。青山は松田さんに貸し出しますよ。安全性で言えば私の方が断然上ですからね。」


「俺はクロエさんといたいんですが?昨日も夕食を一緒に食べ損ねましたし・・・。」


「今日は一緒に食ってやるからちゃんと仕事してこい。英国側も松田さんの動きには注意払ってると思うけど、表立って護衛として動くのはお前なんだからな。ちゃんと奉公しろよ?」


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― 新着の感想 ―
こちらの女王陛下も大概自由な方だったらしいけど、そちらの世界は若返ったことで箍が外れかかっとらんか? 普通なら謁見するのに長々した手続きがあるもんだけど女王陛下側から直接コンタクト有りそうだな… あと…
イギリスでモルガンを名乗るならフランスに行ったらファタ・モルガナ名乗るしか
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