45話 鍛冶師と装飾師 挿絵有り
遅れました、すいません
糸ができた次の日、講師を宮藤に任せて千代田と橘に連絡をとり、防具関係で使えないかと鑑定依頼を出した。橘は外に出たかったのか快諾し、千代田と共に警視庁まで迎えに行き、鑑定課なる部署で中々濃いメンバーと仕事をしていた。機密扱いらしく中には入れなかったが濃いメンバーがいるようだ。
「あ、あぁ~・・・。切れる・・・。」
「え、えーと・・・。ファーストさん凄く、すごーくやりづらいんですけど。その顔もやめてください。」
「いや・・・、分かってるんですけどね、その糸の製造工程が・・・。見ないでおきます、はい。」
「そんなにあの糸が大事なんですか?鑑定結果は、魔法糸と出ましたが。」
「橘警視正、彼女の顔を見て下さい。我が子を奪われた母の様だと思いませんか?」
現在東京理科大のとある一室。糸が出来たので、鑑定と加工を依頼しようと言う運びになり、ここに来ている訳だが製造工程のせいか、妙に感情移入してしまう。因みに、高槻に依頼していた糸の方は早々に完成し、千代田経由で橘の預かる鑑定課で鑑定済。
高槻の糸は鑑定結果を言うと、そのまま糸らしい。ただ、強度はと言うとミノムシシルクの約3倍だとか。繊維革命の数段先をかっ飛ばしている訳だが、ゲート産の素材を調合師が加工して作っているので納得は出来る。材料も20階層を越えた先の繭っぽい物なので、ある意味天然素材なのだろう。
そんな糸と魔法糸の違いは、成長修復機能の有無だ。破損実験をしていないが、橘曰く強度は糸に劣るものの、肌触りや成長修復機能と考えると、インナーにするといいらしい。これで戦闘後の全裸は回避できた。まぁ、消し飛ばされたら、修復も成長も何もあったものではないが・・・。そんなこんなでできた魔法糸の長さは、伸ばしに伸ばして約5km、途中望田に糸を巻いてもらって絡まらずに済んだ。
ただ、妻が言っていたがセーター1着作るのに1km以上必要らしいので、ブラとパンツを作ったら、ギリギリ足りるか足りないかくらいだと思う。紐パンとかにすれば、布の量が減るので多分足りると思う。加工して足りない時は、苦渋の決断をしよう。量産は出来そうだが、人に渡すのもなんか工程を考えると嫌だし、今の所は高槻糸で不自由しないのでそちらで防具的な服でも作ってもらおう。ビームとかに対応出来るかはこれからの実験次第だが・・・。
「それで、クロエこれは量産するんですか?」
「嫌なのでしません。」
「私も下着用に、布が出来るくらい欲しいんですけど・・・。」
「嫌です、製造工程は橘さんも聞いたでしょう?」
千代田と橘が寄越せとうるさい。製造工程的に子を産んだようなモノなので、おいそれとは増やさないし渡したくもない。糸の量産は、他の魔法職に頑張ってもらおう・・・。魔法職なら具現化さえ出来れば後は工程の問題なのだし。
「それよりも、鍛冶師って学生さんだったんですね。てっきり教授とかだと思ってました。」
「あぁ、よく言われますけど僕一応海外で博士号取って今は、非常勤講師をしてます。向こうは飛び級制度があるんで、歳はあまり関係ないんですよ。ギフテッドとかだと10歳とかで大学卒業しますから。」
うぅむ、10歳とかだとゲームして、友達と遊び回ってたな・・・。頭が良いのが幸せか、友達と遊び回れるのが幸せか、本人のやりたい事で変わってくるので甲乙付け難い。ただまぁ、目の前の鍛冶師は名は斎藤といい、ヨレヨレの白衣にテンパのモジャモジャ頭、ヒョロリと背は高く顔は童顔、長身で190cmくらいあるのではないだろうか?そのせいで、猫背気味。彼の瞳の色が青いのはハーフだからだそうだ。
元の専門はカーボンナノチューブとからしいが、ゲート出現以降は鍛冶師の職に就いて、なにか作れないかと試行錯誤している。因みに、この人がドッグタグも大本は作ってくれたらしい。感謝の言葉を伝えたら、逆に箱が加工できて良かったとお礼を言われた。
そんな鍛冶師の武器は十徳ナイフ。実際は勝手にそう呼んでいるだけで、大きさは手のひら程の長さの棒。持って思えば必要な工具に変化する。それをハサミに変えて、糸を切ろうとしていたので目を背けた。
「それで、ファーストさん。これ加工します?布なら作れますけど。」
「え?できるんですか?」
「触った感じだと糸より魔力糸の方が、加工は難しそうですね。1枚布ならどちらもすぐ出来ますよ。その後の加工は手間がかかりますけど。」
「なら、お願いしようかな。橘さんと千代田さんは、なにか予定あります?」
2人とも無いというのでそのまま、大学のカフェテラスで時間を潰す。運ばれてきたアイスコーヒーにストローをさして一口。サングラスは必須だが、ファースト熱も大分引いたようでそこまで騒ぎにならない。いい傾向だ、こちらを向く人は多いが、せいぜい手を振ってくれる程度。一般人に戻れる日も近いのかもしれない。
「さて。あの魔法糸ですが・・・。」
「量産しませんよ?」
「違います、サンプルを分けてほしいんです。他に作る方への指標になるでしょう?」
「それなら私も、鑑定試験材としてほしいですね。」
「鑑定試験材?指標サンプルは分かりますが、試験材ってなんです?」
指標サンプルは分かる。完成品があれば、それを元にイメージも固めやすい。なんなら、宮藤や兵藤その他の魔法職メンバーに渡して、試行錯誤してもらってもいい。宮藤辺りなら、記者で付与なんかも出来るかもしれない。しかし、鑑定試験材・・・、意味はなんとなく理解出来るが、何かランクの様なものでも作るのだろうか?
「私の預かる鑑定課は、対策本部が各都道府県に設置されたなら、そこに人員を配置予定です。今の所人材不足は否めませんが、力量を見る試金石にしようかと思いまして。下手に武器なんかを鑑定されると後が怖い。」
2人とも言ってる事は理解出来る。仕方ない、割り切って少し分けるとしよう。多分、糸ができた当初だからこんな気持ちなのであって、多少時間が経てば落ち着くだろうし。
「分かりました。布の切れ端を渡しましょう。・・・、鍛冶師って針仕事できるんですかね?」
渡そうと思ったがそもそも、鍛冶師で衣類とか作れるのだろうか?斎藤に職の内容も聞いてないし、高槻曰く作る系の職には作成が入るらしいので、多分鍛冶師にも入っているだろう。問題はあと2つの説明。しかし、鍛冶師だと針仕事は入らないだろうな・・・。いや、皮鎧とかあるし縫うのか?
「本人に聞いてみてからですね。貴女が量産しない限りは、今の所世界で1点しかない貴重な物なのですから。」
「もう少し落ち着いたら、多少は作りますよ。多少はですが。私自身もあの量だと、下着くらいしか作れないと思ってますしぃ〜。どう加工するのが最適か、分からないしぃ〜。」
「ギャルっぽく不貞腐れないでください。」
ストローでコーヒーをかき混ぜながら話していたら千代田に文句を言われた、実際俺の方は手詰まり。生産系の職は千代田や橘の方が詳しいのではないだろうか?ゲート開通直後から職の聞き取りをやっていたのだから、蓄積データがあるだろう。
「実際、誰か出来そうな職に心当たりはないですか?」
「私は缶詰なので、その辺りは・・・、千代田さんはどうです?」
「ふむ、装飾師辺りが該当しそうですね。貴女ならすぐ捕まるか話が聞けるでしょう?」
「私なら?心当たりがない。」
知り合いに誰かいただろうか?今の所、戦闘職ばかりで生産系の人にはあった覚えがない。今回こうして斎藤に会えたのも、上手く彼の気が引けたと言う所が大きい。警察のお抱えと言う訳ではないが、彼もまた忙しい。本来は講師なのでそれの対応をしながら、ゲート産の武器やら素材を弄ってはデータ収集する毎日。前に捕れたダンゴ虫は新素材と言う事で、割と喜ばれた。
「・・・、御息女の遥さんが該当していますよ。」
「・・・、連絡してみます。」
千代田と橘の視線が痛い。いや、放ったらかしにしていた訳ではなく、子供達はあまり電話に出たがらないんだよな。妻に気を使う事もあれば、単純に時間が合わないなんて事もある。そもそも、遥は家を出て一人暮らししているし学校も県外。流石に学校も再開・・・、いや、夏休み?大学の夏休みは長い。なら、更にどこにいるかわからないな、バイクツーリングが趣味だし。まぁ、かけてみる?
「千代田さん、遥の居場所知ってますよね?」
「ええ、活発なお嬢さんだ。今は伊豆ツーリング中ですよ。SP達と峠を攻めてるとかなんとか。」
こいつ、シレッと返したがある程度目星は付いてたな。米軍からの見合い写真、いや、自宅への帰宅が許されてからも、家族への警護を行ってくれていたのだろう。自宅も家族の情報もある程度、他国へバレているという想定なら当然の事か。しかし、走り屋のSPとは一体・・・。
「警護ありがとうございます。本来なら、自宅で大人しくするのが筋でしょうに・・・。娘が手間をかけます。」
「いえいえ、こちらとしては普段の生活を送れるようにしていますから、気にしないでください。」
「電話してみますが、通じない場合は千代田さん経由でお願いします。」
千代田に断りを入れて連絡を入れる。高速を使えばここまでどんぶり勘定で3時間位か。来るかどうかは別として、遥とは久々・・・、それこそ配信前に自宅で話して以来か。ツーリングしていると言う事は元気にしているのだろう。
「もしもし遥?」
「もしもし司?」
「ああ、職は装飾師?」
「作って欲しいの?」
「布ができた。」
「ホテルは一緒?」
「一緒、移る?」
「いい、夕方には着く。」
話が終わったので電話を切る。千代田と橘が何故か凄く疑わしそうにこちらを見ているが、なにかおかしかっただろうか?至って普通の会話だったと思うが。
「自己完結具合が一緒ですね。」
「いや。寧ろ今まで、手加減してたんじゃありませんか?あそこまで会話を簡素化されると、内容が分からないですよ・・・。家族の為せる技?」
「普通ですよ。職の時点で推測は立つでしょう?さて、布を取って帰りましょう。」
そう言ってカフェテリアを後にして、やってきたのは斎藤の部屋。糸を布にするというので、機織りでもするのかと思えば武器を糸通しにして通せばいいらしい。鍛冶師は精錬 改造 そして作成の說明があり、武器を弄れるのも改造があるからとか。
「さっき出来ましたよ。魔法糸の方はカラーリングが、ある程度好きに出来るみたいですね。持って色を思い浮かべてください。」
手渡された布に目を閉じて思いを馳せる。やっぱり色は黒がいい。光沢は下着なので、そんなになくて抑えめで、何なら肌触りはもっと良くて・・・。
「おぉ、これが成長機能・・・。」
斎藤の言葉に目を開ける。不思議な光沢があった布は黒に変わるとともに心なしか光沢は減った。手触りも心無しか良くなった気がする。しかし、なにか変わってるのだろうか?
「橘さん鑑定してください。」
「もう終わってますよ。貴女の魔法が元なせいかは、分かりませんが所有者が貴女になってますね。」
「所有者?下着ドロ対策的な?」
「・・・、ホテルで下着泥棒にあったのですか?」
「いや、多分置き忘れとかだと思う。まとめて洗濯するから量がね・・・。」
男なので中身には興味が無いといえば嘘になるが、下着はどうだろう?可愛いとかはあるが、そこまで気にはしないかな。妻に言ったら、間違いなくお小言コースなので言わないが。
「その辺りは自己管理としましょう。あのホテルも公安・・・。」
千代田が難しい顔で考え込んでいるが、本当に勘違いとか置き忘れだと思う。取るにしても・・・、今度からネットとか買って入れてから洗おう。何処か分からない所で下着を、何に使われてるか分かったものではない。それはそれとして、結局所有者とは?
「所有者、平たく言うとなくなっても帰ってきます。」
「おお、戦闘後の全裸が確実に回避できる。」
全裸発言に一瞬部屋のメンバーが固まったが、これは割と重要な問題で職の能力に反して服が脆すぎるのだ。なので、攻撃を受けずに、自分からするだけでも服が破けてしまう。肩などならまだいいが、女性で格闘家ととかだとホットパンツは確実。何なら剣士の清水でも踏み込みで、ズボンや靴底が駄目になるなんてザラである。
うぅむ、そう考えるとやはり糸は出さないといけないか。外は高槻のただの糸、内張り或いは下着に魔法糸を使えば、破損やそれによる羞恥心によって心が乱されるリスクは減るだろう。事実、15階層まで潜る前は羞恥心から、動きの鈍い女性参加者は割りといた。ゲート内なら割り切れる所もあるが、その姿に意図してなりたいわけではないのである。俺は破けたら諦めていたが・・・。
「いつ全裸になったかは別として、検証材料がこれしかないのでは色々試しようがないですね。」
「そうですね、僕も完全新素材で魔法なんて、デタラメで作った物なのでほしいなぁ。」
「クロエ、無償とは言いません。買い取りでどうですか?」
3人の視線が痛い。工程は既に理解した、問題は内容だがそれは一度完全にイメージが出来れば、引いていく事も出来る。どこを引くとどうなるかもある程度分かるので、最初の一枚とは別に工程を引いて紡いでみるか。
「千代田さんちょっとしゃがんで?」
「?」
そのまま千代田の首に素早くカメラをはめる。首の太さが違うせいで、ギチギチだがまぁ窒息はしないだろ。抱き着くようにカメラを付けたせいか、千代田は固まっているがカメラが動いていれば問題ない。
「橘さん、今から魔法糸を出すので鑑定してください。斎藤さん。目の前で出すのは多分、これっきりですよ?」
「ちょっと待ってくださいね、ウチもカメラとか準備はします。」
さて、俺も椅子に座って工程を考えよう。多分、魂とか玉の緒はいらない。細く長く、強く柔く靭やかに真っ直ぐの思いはいる。この部分で形が固まる。へその緒は・・・、いる。魂では深すぎるがへその緒なら、繋がっていると言う感覚とマッチしやすい。
後は別れと出会いのイメージはいるな。離れた後に出会わないと所有者は決まらない。親子とかのイメージもいらない。寧ろ、機械的に量産する無機質なイメージの方がいい。重さは、21gかな多分、質量は無視できる。固まるイメージは糸車・・・、違う。送る方か。キセルの先から糸が生まれて何かに巻き取られるイメージ。
「出しますよ〜、千代田さん糸巻いて。」
「えっ、あっ、はいっ!」
キセルを一吸い。プカリと出た煙は先から糸へ、千代田が掴んで巻き取っていくシュールな光景だ。傍目から見ると、ヨダレの糸を巻き取っているように、見えるかもしれない。細く長い糸は割と長く出る。
「おぉ!sugoi、凄い!本当に煙から糸が出来てる!Amazing!」
斎藤が興奮しているが、口から出しているので文句も言えない。何なら、糸を出す姿を結構な人数に見られているので、やりづらい。
「クロエ、感情がぶれてますよ。」
橘が声を上げる。やはりコイツ、的確に感情が見抜けるのか。エロ職が感情の動きまで見れたなら、それこそ女性と付き合う時は楽だろう。人の機微に鋭いというのは、それだけでも人間関係を円滑にしてくれる。
「クロエ、これあとどれくらい出ますか?」
最初は糸玉を作っていた千代田だが、玉がかなり大きくなって糸取りがしづらそうである。後どれくらいか、感覚的には欲しいだけ?あくまで煙は最初の呼び糸なので、それさえ引いて貰えば後は出し続けられる。ただまぁサービスだ。いっぱい持っていってもらおう。
しばらく糸を出し続けて、蚕になった気分を味わったが、そろそろ終わりだ。糸玉も千代田の膝くらいの大きさまで大きくなったし、かなりの量が出ただろう。最後に糸切り歯で噛み切っておしまい。噛み切る事で、それが単体で成立しているとイメージしやすい。
「これで十分でしょう?重さは多分21g?」
「重くはなかったですが、量を出すなら先に言ってほしいですね。」
「それよりも、千代田さん。その糸最初の糸の劣化版ですよ?鑑定してみた機能は同等ですが存在規模が違う。」
「橘さん、それは何かに違う結果になるんですか?鍛冶師として加工する立場から分かった事を教えてほしいです。」
やいのやいのと3人の男が、目の前で意見を交わしている。存在の規模・・・、考えるからに抜いた工程の分、軽くなったのだろうか?イメージの補強も作りも変わらないと思うが、見えているものが違うので、なんとも言えない。しかし、これだけ糸があれば、色々作れるだろう。意見交換は終わりそうに無いが、そろそろ帰りたい。こちらに来て長いしそろそろ帰れるはず。
「すいません、娘が来るのでお先でーす。」
「えっ?待ってください送りますから!」
帰ろうとしたら千代田に呼び止められ、丁寧に助手席に詰め込まれて大学を後にする。千代田や橘と話したが、糸の動画をネットにアップしたいらしい。してもいいけど、ヨダレタレ流し動画とか言われないだろうか・・・。他の魔術師もみんな口から出したらシュールだぞ・・・。とりあえず、糸に関しては防具が必要かの実態調査をしてから、という運びになった。
「今日はありがとうございました。」
「ええ、また何がありましたら連絡します。」
千代田と橘に別れを告げ、ホテルの喫煙室で暇をつぶす。LINEを見ると30分くらい前に、もうすぐ着くとのメッセージがあったので、そろそろだと思う。望田はゲートからまだ帰っていないようなので、人が来るというメッセージを送り待つこと数分。喫煙所のおっちゃん達とそろそろ話のネタも尽きるかなと言う時に。娘はロビーを颯爽と歩いて現れた。
「じゃ、おっちゃん行くわ。」
「おう、ファーストちゃん話せて楽しかったよ。何時ものねーちゃんか?」
「いや、娘だ。」
「えーと、あのまっすぐこっちに来てる美人さん?」
「ええ、では。」
喫煙所から出て、久々に娘と対面。相変わらず走り回っているようで、皮のジャケットにジーパンロングブーツとライダー仕様のファッションだ。
「待たせた、部屋で話そう。」
「分かった、布の大きさは?」
「約5kmを正方形。量を考えると下着?」
「色は?着色できる?」
「光沢の在る、黒一色。デザインはまかせる。」
「分かった、部屋で服脱いで。」
部屋に着くまでに大まかな話が終わり、着いてからは布を渡し、採寸などをされて完成を待つ。うぅむ、娘よファインダーを作ってくれて覗くのはいいが、その下着はやたらレースというか、スケスケではないか?てか、後細くないか?
「それはあまりにも派手ではないか?」
「野暮ったいと、下着のラインが出る。今日のスカートもうっすら見えてた。」
「流石に男の感覚は抜けんよ。夏休みはいつまで?」
「9月、約束の品はかなり変更がいる。よしできた、着てみて。」
渡された下着は生地の少なさを補うように、スケスケである。割と体にフィットするが、どうにも恥ずかしさと心もとなさがある。主に尻の方にだが・・・。
「派手じゃないか?」
「いいや、素敵だよ。フィット感は?」
「戻りましたーって!ツカサが女連れ込んでる!」