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街中ダンジョン  作者: フィノ


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476話 共通認識 挿絵あり

忙しくて短いです

 テンションの高いと言うか、のっそりと動かない代わりに妙に声の高いアルは配信上映会を始め俺と遥は座って見せられている。いや、切り抜きが嬉しいのだが何処に宇宙人からの信号やらメッセージがあるか分からないからって、輸送機修理しに行った動画頭から見せられるかね。恥ずかしくて直視出来ないから顔を背けている・・・。


 服は流石にそのままでは悪いと適当に着替え、次いでに言えば欲しいのは遮光グラスなのに嫌がらせの様にシャコグラスを渡された。作り的にはレンズの間に液体を入れて透過する光の屈折率と収束率を調整してくれるらしいが、そもそも視える俺にそれはいるのかな?


  挿絵(By みてみん)


「ファーストさん直視してください。そうじゃないと見えないでしょう?」


「直死したら画面を17分割しそうなので音声だけでいいです。そもそもここで光の信号やテレパシー的な言語に付いて対話表とか作っても誰も理解出来ないでしょう?」


「それはそうですけどファーストさんやハルカなら分かるでしょう?そうでなくともゲートを進めばチャンスはある。地球上での言語体系は簡略化していけばバベルだと私は考えていて、四足歩行の動物に名前がなければ同一記号でどこでも四足歩行の動物と通じる。しかし、テレパシーとなると共通認識出来るものが一切ない可能性がある。」


「いや、そもそもテレパシーって言語なんですかね?」


「他の者と対話するのは言語だと考えてますよ?例えばネジとドライバー。自分の意見がネジでそれをドライバーを使ってねじ込んで行く。そうすれば相手にも理解が生まれるし、逆にねじ込まれれば意見が貰える。でも、ネジ山が違えば違うドライバーが必要で、その違うドライバーが違う言語です。」


「言いたい事は分かりますけど多分、宇宙人の言語はドライバーじゃなくでパテとかですよ?」


「・・・、パテ?」


「ええ、パテです。さっきのネジとドライバーの話で言うなら本人達の言語はあっても、それを使うより人や他に合わせた方が効率がいい。そもそもテレパシーはどんなものだと考えてます?」


「テレパシーがどんなものか?」


「そうです。今の話を元にしていくと宇宙人はドライバーじゃなくて十徳ナイフを最終的に持つ事になります。何処にどれだけの宇宙人がいて会話をしているか分かりませんからね。はっきり言って、他者に毎回合わせて言語を理解するのは面倒でしょう?ソーツが日本語を使用しているのは最初の1人が日本人だったからにすぎない。」


「最初の1人が他の国の人なら?」


「ゲート内は他言語でしたでしょうし、そもそもゲートの運用がどうなっていたかは分かりません。話を戻しますが、テレパシーとは言葉ではなくイメージの伝達です。試しに受け取ってみます?」


「え?お父さんテレパシーとか使えるの!?」


 横で黙って配信を見ながら話を聞いていた遥が驚きの声を上げる。出来る出来ないで言えば、奏江にイメージを伝えた手段と変わらないんだよな。宇宙人と人では似たイメージがない事もあるが人と人なら概ね共通したイメージはある。後はどれだけそれを伝えられるかによるだけでアルではないが絵を送る様なものだろう。


 テレパシー=会話なんて考えがあるが、こっちの感情表現とか全く知らない奴とまともに会話が成立するとは思えない。それをするくらいなら図形でも描いてやって欲しい事を理解してもらった方が楽だし、なんなら簡単なアニメーションでもいい。


 相互理解とは共通認識のもとに発生すると考えれば、いくらテレパシーが使えようとも認識出来ない時点でそれはノイズでしかないしね。


「簡単なと言うとおかしいけど、要はPCでプログラムするのと一緒と言うか下手すればそれよりも簡単かな?人と人なら共通認識もあるしPCみたいにミリミリ書き込まなくても概ね理解してくれる。問題とするならテレパシーを行うやり方だよ。遥やる?」


「私が体験します!何がどうなるか知りませんが、言語学の新たな夜明けですよ!文字、言葉、そして無形・・・、更なる言語体系がここに!!」


「1人じゃなくて何人にも送れるなら私も・・・。」


「それなら俺も・・・。」


 見守っていた他の研究員もワラワラと集まってやりたいと言うが、リスク管理として大丈夫なのだろうか?別に洗脳するつもりもないし、多分テレパシーを送ったとしても後遺症が残る事もない。ただ電気とか使うしなぁ・・・。まぁ、回復薬もあるし大丈夫か。


「分かりました、まとめて送るので受け取ったとテレパシーを絵にでも描いてください。それが全員同じ絵なら全員にテレパシーが届いたと言う証明になるでしょう。では、外から送りますね〜。話し合いはダメですよ。」


「あっ、私も外に出る。」


 アル達を残して遥と部屋の外へ出てキセルをプカリ。さてと、何を送りつけようかな?絵とするならあまり難しくないモノがいいよな?簡単にリンゴとかピクトグラムとか記号とか。しかし、簡単すぎても今度は変な言いがかりも出てきそうな・・・。


「遥、何を中の人に書いてもらいたい?」


「決めていいの?なら猫とかどう?」


「絵心ない人が猫を描ける?」


「う〜ん・・・、テレパシーの証明なら難しい方がいいんじゃないの?簡単だと似た何かを書いて違ってても同調されたら分からないし。」


「それもそうか。いや、ならピンポイントでアルにだけ別のテレパシーを送ればいいのか。」


「なんと言うかお父さんが遠くにいるなぁ・・・。」


「そんな事はないさ。後からバイクで走りに行くか?たまにはタンデムでもいいし、改造された新型も見てみたい。」


「いいね、私も走りたかったしゲートの中を走ろうか。」


 そんな話をしていて送るイメージ決まった。アル以外には自衛隊から貰ったモンスターバイク、アルには俺の愛車である方のバイク。描くのは難しいが、俺の愛車の方はツインマフラーと言う特徴があるのだよ。


 イメージを送るのは簡単と言うか電気信号を送るだけ。Wi-Fi受信出来るのでその要領で送信し、相手の頭を受信機に見立てた受け取ってもらう。送るのはこれを描けと言うフリップボード的なイメージとバイクのイメージ。一時記憶に保存される様に前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質を刺激すれば大丈夫かな?長期記憶に残っても邪魔だろうし。送るのは一瞬だが描く時間があるので娘と喋りながら適当な時間待ち中へ。


 36階層までの旅は中々ハードだったらしく、何度かヤバい場面もあったらしい。行ったのは至ってない本部長達とだったが上昇アイテムを使っても危機的な状況も多く、薬を大量に使ったりしてたどり着いたとか。途中で他のパーティーとも出会って一時期共闘したが、そのパーティーは重症者が出て途中で攻略を諦めたらしい。


 手持ちの薬でもカバー出来ないと言う事はほぼ死亡したと考えてもいいのかも・・・。それを考えると箱開けはやらないといけないな。すくなくともいい薬があればそんな場面でも対応出来る可能性があるのだから。


「描けましたか〜?」


「描けましたけどコレであってますか?」


 アルが集めたのか紙の束を俺の所に持って来る。ほとんどは見飛ばしていい。必要なのはたった一枚、アルが描いたものだけ。丁寧な人は紙の隅に『これを描け』と言う指示まで記載しているので送れたのは間違いない。片側マフラーのバイクの絵の中、それは出てきた。色彩のない線画で真上から見た俺のバイク。ツインマフラーのせいでどこかイカを思わせるそれをヘッタクソだがどうにか形にしようと頑張ったがどうにもならず、これを描けの指示と共にモーターサイクルですと書かれている。


「はい、全員間違いありません。今回送ったテレパシーはバイクです。ただ、全員に同じバイクを送るのではなくアルさんだけ別のバイクを送りました。ここで質問です。イメージとして受け取ったとバイクの色は?」


「黒。」


「青。」


 1人だけ解答の違うアルが周りを見る。ここで共通認識が崩れてボッチになるのは寂しいのかな?まぁ、現物を見てもらう方が早いか。そしてあわよくば逃走したい。


「イメージの現物を見せるので外に行きましょう。それが確実で判断もつきやすいでしょう?」


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― 新着の感想 ―
マイナーな言語の話者でかつ学の無い人物がファーストじゃなくて良かったね、何だろうか
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