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街中ダンジョン  作者: フィノ
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42話 武器配布

 卓が中位に至った事は全員に知れ渡り、焼肉はお祭り騒ぎになった。何1つ取っ掛かりもなく、ただモンスターを倒して回るばかりだった状況に、それは確かな希望となった。これは俺では示せなかった希望だろう。


 そもそも、俺の職・・・、というか取っ掛かりが違うので、こいつ等が至るのかも、或いは狙い通りにEX職なのかも未だに分からないし、説明も魔法の使い方は分かったが、説明文には記載されていない。卓に説明は変わったかと聞いたが、魔法の説明は変わらなかったらしい。謎が謎呼ぶ賢者と魔女。まぁ、使えれば問題はないか。


「おめでとう卓、明日から空手教えてやるよ!」


「はい、お願いします。でも、ヒーローって空手なんですか?」


「そらぁ〜、え?MARVELが好みか?」


「いや、特撮の方が・・・。」


 格闘家を選んだ事で赤峰が卓背中をパンパン叩きながら、空手を教えると豪語している。まぁ、卓のヒーロー像だと殴る蹴るに、何ならそのうち巨大メカとかも作りそうだ。メタモルフォーゼ、この魔法は多分難しい。


 そもそもそれで合っているのかは別として、自身の姿が変わるだけではなく、それになってしまうので、否応なしにも引っ張られる。簡単に言えば制服効果の極大版。だからこそ、次に卓に送るのは助言ではなく忠告になるだろう。


(卓君、やっぱりカッコいいよね〜。)


(私は雄二くんがいいなぁ、やんちゃな感じとかさ。弟系?)


(いやいや、宮藤さんでしょ?優しくて強い白馬の王子様系?)


(いや、それなら卓君でしょ?線は細いし、身体も細身なのにあのギャップときたらね・・・。)


 近くの女性グループが、ヒソヒソと恋バナをしている。連れてきた3人は、三者三様で割と女性人気が高い。野性的な雄二がいいという人もいれば、中性的な卓派という人もいるし、宮藤の影がある優しい感じが好きという人もいる。次点で兵藤と赤峰に行くが、何故か赤峰が好きな人は、組み伏せられたいらしい。まぁ、あのガタイならそれも大丈夫だろう。


 それまでは良いのだが女の園、女子風呂では男の目を気にしないでいいので、宮藤受けの卓攻めや、雄卓は王道と言う者、果ては赤峰と兵藤というカップリングが至高と思いが爆ぜる人もいる。素知らぬふりして、攻めの反対は守りではと言ったら、貴腐人の遊びだと言われた、ルネッサ〜ンス。知らぬが華だ。


「それで、結局兵藤さんは、なんであそこにいたんですか?」


 肉を一通り食べ、追加の肉が焼けるまでの間に、近くにいた兵藤に話しかける。食べるのをじっと見られるのも居心地が悪いが、ソッポを向かれるのもまたなんか違う。火か酒のせいか顔は若干赤い。酔うには早いような気もするが・・・。


「まぁ、上から言われた仕事ですよ。」


「上から?また変な事、企んでるんじゃないでしょうね?」


 前に有用性とか言ってたし、スィーパー量産して侵略戦争とか企てられたら、たまったもんじゃない。欲望は人の原動力だが、今の御時世、そんなモノは流行らない。迎え撃つならまだしも、わざわざこちらから出向く必要もないし。そんな事を考えていると、兵藤はビールを一口飲んで口を湿らせてから話しだした。


「ゲートに行く前、陣地構築の話をしたでしょう?それに上が乗り気だって事です。旧秋葉原は今はほぼ更地なんで、土地を買うにもそこまで費用はかからない。・・・、試験的に陣地構築を行おうって話です。」


「やりたいのは分かりますが、時期尚早では?下手したら缶詰ですよ?今の所、私は依頼を受ける気はない。」


 有用性はある。内部陣地構築ができれば、高槻の様な調合師や生産系の職の人間は、材料収穫がかなりしやすくなる。それに、先に行く人間にしろ仲間の元で、一旦休憩が取れるのは精神的にも楽。しかし、そこには問題がある。構築した後、外に出るには15階層まで潜るか、階層をもどらないといけない。


 そこがネックで、セーフスペースの出現階層はランダムだ。一応、6〜10階層の何処かで出る。5、6マラソンなんてのをやれば確率は上がるが、下手すると6階層に入ってそのまま死亡なんて事もあり得る。ある程度力のあるスィーパーなら問題無いが、その辺りはリスクとリターンの考え方しだいだろう。


 更に言えば、建材の問題もある。還元変換される以上、建材はゲート内の箱である。数こそあるが、基地を建てるならそれ相応の量がいる。優先的に持ち帰る様にアナウンスは流したが、建てられるほど備蓄があるかといえば疑問が残る。


「まぁ、試験ですから動画と同等のものが建てられて、数日生活できればいいんですよ。」


 そうは言うが、機材関係は厳しいだろうな。モンスターからの戦利品は指輪に入れれば、持ち物登録されるがそうでなければ消える。何かしらの対処法が有ればいいが・・・。


「なにか宛があるんですか?色々と制約のある場所ですが。」


「鍛冶師辺りがそこの辺りは受け持てそう。と、いう見解はありますね。人数が少ないので、引っ張って来るのも大変ですが。とりあえず、今は飲みましょう。」


 そう言って兵藤が飲みたいものを聞いてきたので、ハイボールを頼み肉を食べる。考える事は尽きないが、今は焼肉を楽しもう。祝の席で小難しい顔も似合わない。


 食事を済ませて解散し、ホテルに帰る。赤峰と井口は何処かに飲みに行くようで、他にもそんなメンバーはいたが、流石に20階層アタックメンバーは帰ったようだ。途中望田が服が欲しいというので、量販店に寄って安いものを買い漁る。最初は柄やデザインと言ったものに括っていたが、今は無地のシンプルなモノが多い。本人曰くどうせ破けるのだから、見た目を気にしても仕方ないし、何ならタンクトップとかジャージでもいいらしい。


 流石に下着は見られてもいいように、可愛いものを買ったようだが、それまでお座なりにすると、女子力さんがさようならを言いに来るだろう。俺?黒のシンプルなもの以外ないよ?ピンクのレースとか、スケスケは妻に着せて楽しむものだ。


「あ~、帰り着いた。シャワーどうする?タバコ吸うから先でいいけど?」


「なら、先に・・・、もう、私ここ住んでいいですか?護衛ですし。何なら、ゲートから帰ると疲れてて・・・。」


「構いはしないけど、四六時中一緒だと息詰まらない?」


「まぁ、その辺りは、外出でもすれば問題無いですよ。千代田さんに連絡しときます。あぁ、後、卓君の事も伝えておきますね。」


 自宅でも無ければ、家主でも無い。何ならホテル代の話もした事ないが、人数が増えるのはどうなんだろう?俺が要人なのは解除されたのか知らないが、S職は要人だから望田も要人なので、多分税金で賄ってくれるのだろう。ありがたや、ありがたや。


 望田が電話をかけて、シャワー室に消えるまでにプカリ。テレビの適当な番組をBGM代わりにして、明日からの事を考える。当面は15階層辺りで地力を付けて、それから20階層アタックがベストだろう。兵藤の足が良くなれば兵藤と赤峰を連れて20階層に先に行くのもいい。卓が至った事で安全マージンはかなり高くなった。


 あの2人もそろそろ暴れたい頃だろうし、悪くはないと思う。何なら俺抜きで5人、兵藤達に宮藤メンバーでも行けるとは思う。ただ、問題点は卓が至ったばかりであることと、誰もキャリーできない事。5階層キャリー無しだとそれなりの日数がいる。脱出アイテムを使って少しづつなら出来ない事もないが、どうなのだろう・・・。


「上がりました、次どうぞ〜。お湯は貯めてます。」


「分かった、ありがとう。」


 髪や身体を洗って湯船に浸かり、身体も心もリフレッシュ。そう言えば、橘の所に送った箱もあるんだった。何かしら武器も出ているかも知れないし、千代田に連絡を取って詳細も確認するか。


 望田と軽く飲んで寝た翌朝、今日は久々に土砂降りの雨なので気分が上がらない。まぁ、仕事は仕事としてあるし、ゲートの中は降らないのでいいのだが。望田が起きて朝の準備を仕出した。俺は先に朝の用意を済ませていたのでタバコで一服し、ニュースを見ながら千代田に連絡を入れる。多少早い時間帯だが、寝ているという事はないだろう。休みだったら悪いが。そんな事を、考えながらコール音が3度鳴ったときに電話は通じた。


「おはようございます、どうかされましたか?」


「おはようございます、この前は送った箱の件で連絡しました。鑑定結果は出ましたか?」


「・・・、出てますよ。電話では何です。武器をそちらに持って行こうと思っていたので、一度伺います。時間は9時頃、目黒駐屯地でよろしいですか?」


「いいですよ、残っていましょう。サプライズにするので電話してから来てください。場所は警衛に聞けば分かります。」


 電話を切り、ニュースに目を向けると、割と面白い討論が流れていた。ゲートの出品に関する話だが、回復薬の流通や使う優先順位について。有識者枠に高槻がいて話しているが、戦うばかりが全てではなく、サポートに回るのもまた1つの戦いだと説いていた。


 確かに、資源は別として薬関係はいつまで出るか誰にも分からない。祭壇を見つけて交渉すればくれるとは思うが、そもそも交渉材料がない。うーむ、何かしら材料も考えないといけないかな?俺達とは違う理論で考えるアイツ等への交渉材料、一筋縄では行かないかも知れない・・・。


 他は海外のカルト教団が集団でゲートに突入し、行方不明とか言うニュースもあったが、ゲートに入った時点でどこにいるのか分からないので、行方不明ではないのではないか・・・。


「そろそろ出ましょうか?」


「そんな時間か、分かった出よう。」


 望田の車に揺られて駐屯地に着き、何時ものように宮藤達と話す。雨の為に朝のランニングは中止して、今の時間は20階層までの動画鑑賞と、意見交換に充てているらしい。時折教室の方から声が聞こえてくる。


「今日は15階層で全体の地力をメインにして、最後に16階層を少し回ろうかと思います。脱出アイテムの関係もあるので、先に行くのは選考になってしまいますが。」


「いいと思いますよ。卓君はどう扱います?」


「悩みどころですね。先に行ってもらってリーダーでもいいですし、残って貰ってそちらを任せてもいい。」


「なら、卓君に決めてもらいましょう。」


 そう言って俺と宮藤は卓を見る。見られた卓は少し考えた後、自身の考えに納得したように頷きながら口を開いた。前よりも物腰が柔らかくなったように感じるのは、彼の目指すべきものがそれだからだろう。


「僕は残った組を守ります。残る人達は決して弱いわけじゃない。でも、助けが必要な場面は、いつあるか分かりません。兵藤さんの件もあります。なら、僕が残るのが適任でしょう。」


 ふむ、残る選択肢を取る勇気はあるのか。何事も前に進むだけが道じゃないし、待つ事も重要。彼のヒーロー像がただただ、悪を討つだけのものなら、この選択肢は無かっただろう。年長者としての懸案事項が1つ消えた。


「分かったよ卓君、先に行く時は任せた。雄二君、自分の前衛を頼むよ。」


「はい!・・・、って、宮藤さんに前衛要りますか?」


「要るよ。驕ってられる程自分は強くない・・・。」


 宮藤の眼差しは先を見据えている。実際宮藤は弱くない。ただ、至るにはタイミングや、その他のファクターがいるのだろう。その辺りは、卓や橘の方が詳しい。


「さて、教室に向かいましょう。多少話もありますし。」


「なにかあるんですか?」


「それはお楽しみですね〜。」


 皆で移動して教室に入る。正面のスクリーンにはプロジェクターで15階層以降の動画・・・、ではなく、何故かチア姿の俺が・・・。確かにネットには流したが、今見るのは違うだろ!


『がんばれ♥がんばれ♥ゲート行こっ♥』


「誰の仕業ですか?」


「ネ、ネットの動画を流したので、その流れです。」


 確かに動画はネットから引っ張って来ている。自動再生か・・・。まぁ、見られて困るものでもないし、恥ずかしい体型でもないし、黄金比だし〜。


「分かりました。見てもいいですが、見たからにはゲートに行ってもらいます。で・す・が、その前に全員にあるかは分かりませんが、私からプレゼントがあります。」


 プレゼントの言葉に一同どよめき出す。兵藤は顔が青くなっているが、何かを思い出したのだろう。ヘリ10機の事とか。あれは君が、出来るといったからいけないのだよ。まぁ、用意したのは陸将補だけど。そんな事を考えながら電話をすると、程なくして千代田と橘が来た。・・・、なんで?


「お待たせしました。」


「お久しぶりです、クロエさん。」


「いえいえ、ありがとうございます千代田さん。それと橘さんは、なんでいるんですか?」


 缶詰警視がわざわざ出てくるとは、何か良からぬものがあった?いや、単純に外に出たくなっただけかな?まぁ、居ても良いのだが、仕事量がかなりあると思ったが、大丈夫だろうか?


「望田君から中位の話をもらったので、連れてきました。クロエ、貴女カメラ付けてませんでしたよね?」


「中位に至った2人目が出たと聞いたので、鑑定しに来たんですよ。色々と分からない事も多いので。」


「そうですか。カメラはまぁ、忘れてました。普通に20階層まで行って帰るだけだと思ってたので。」


 いつ誰が中位に至るかは分からない。予感めいたものはたまに感じるが、それが当たるとも限らない。あくまで感だしなぁ。知らない所で誰かが至るかもしれないし、或いは逆に至れないかも知れない。何なら上位がまだあるわけで・・・。


「それはそうと、例の品は?」


「ありますよ。危険なものは除外して持ってきてますが、量が多いのでどこか広い所に行きましょう。後で金貨も渡しますね。」


 生憎外は雨なので、夏目に頼んで駐屯地内に有る体育館の使用許可を貰ってきてもらった。道すがら橘と話したが、出た武器は初期武器の性能や、形状が多少変化したものが多かったものの、中には扱いに困るものが幾つかあったという。どちらにしても、出土品の権利は発見者の俺にあるので、後は交渉して買い取って貰うなり、売り出すなり好きにしよう。


「それで、金貨は何枚くらいありました?」


「金貨の規格が統一されてるので、コイン計算機を改造して使い計算しましたが、5万枚は軽くあります。正確な数は後で鑑定書と一緒に渡します。」


 おぉ!命の危険に見合うかは、分からないが金貨5万枚か。パーティーで潜ったにしてもいい額だと思うし、一財産と言った所だろう。後は薬や設計図は何が出たかだな。設計図はヤバそうな物は破棄しよう。縮退炉の件もあったし・・・。そんな事を、考えながら着いたのは体育館。学校にあるものと大体同じか、畳の場所もあるのでそれよりも広いかもしれない。


「では、お願いします。」


「分かりました。」


 皆の見ている前で、橘が指輪の中から武器を出してくる。その数ざっと80個。初期武器も多数出たが、この場では割愛すると言われた。赤峰は片方のメリケンサックが無いので、合うものがなければ新しく初期武器を貰うかもしれない。職業の位が低いと武器の能力を使いこなせないので、いくら上等なものがあっても宝の持ち腐れになる。まぁ、中位に至れば使えると考えて1つくらい確保するというのも有りではあるが。


「さて、この中から欲しい物を各人に1〜2個あげましょう。被った場合はじゃんけんでもして、武器の内容は橘さん作の目録を読んで下さい。では、よーいどん!」


 スタートの合図をした後は離れてキセルでプカリ。俺はこれがあるから、あまり武器には興味ない。仮に武器に目を向けるならコレクションだろうか?。モンスター産の武器もそれなりにあるし、そのうちこちらも鑑定してもらおう。そんな事を考えている眼の前を、目の血走った参加者達が、武器に群がってあーだこーだと話し、時に怒号を上げながらじゃんけんをしている。


「クロエさん良かったんですか?あれ売ったらかなりの額ですよ?」


 武器選びに参加しなかった卓が、横から話しかけてくるが売り先のルートとかないし、指輪の肥やしにしても仕方ない。ただまぁ、額は気になるよね?


「ちなみにいくらなの?相場も知らないけど。」


「少し待って下さい。・・・、あぁ、あった。ここは海外のオークションサイトです。相場というか、出品額になりますが。」


 卓はそのサイトを表示したスマホを俺に渡すが、単位はドルだし、英語は読めないしで分からない。スマホを渡して早々、卓は橘に呼ばれて離れた所で話し込みだしたので、声はかけづらい。なら、暇そうな千代田に頼むか。


「千代田さん、これ読めます?」


「・・・、クロエ読めないんですか?」


「私は日本人、英語なんて海外行く気ないので読めません。」


「話せますか?英語。」


「ボディーランゲージ込みなら。リスニングは得意ですよ?単語の意味は分かるので、後はフィーリングでどうにかなります。」


 実際話すだけなら、英語は割とどうにかなる。単語を言うだけでも単語に意味があるので、ある程度通じるし、聞くのも余程早口かネイティブ訛が無ければ単語を拾って、状況から推測もできる。


 だが、筆記。てめぇは駄目だ。ローマ字英語で書くと読まないAが無いと怒られ、文法は日本語と違うので書いても文句を言われと嫌になった・・・。


「米国からの参加者選考で語学については、最優先にしましょう。サイトの内容でしたね?主催元はeBayと言う海外最王手のオークションサイトです。ゲート出土品については、サイトに登録した鑑定師の鑑定書が付いた物を出品、販売していますね。・・・、最初の武器の価格は約40万円スタートが多いようです。大体の品の枕言葉に引退と入ってますね。薬の価格も聞きますか?」


「いや、それはいいですが、最高額の品はなんです?」


「しばしお待ちを・・・、多分これでしょう。リジューヴァネイション、若返りの薬で効果は10年とありますね。」


「ほう、そんなものが出てるんですか。」


「鑑定書があるので、偽物とは断定出来ません。貴女が配信で言った物が出てきましたね。価格は10億ドルです。数件の入札がありますね。」


「寿命を買う時代ですか・・・。自分で言っておいて何ですが、金持ちは長生きしますね。した先が明るいかは知りませんが。」


 祇園精舎の鐘の声だな。俺が言うのも何だが、万物は流転し絶えず変化する。それから取り残されたらどうなるかわからないし、少なくとも中身は無くなっただけで、食べたものは何かに還元されて変換されてるはず!


「それで、あそこの取り合ってる品は、総額いくら位になると思います?」


「金貨払いを受ける受けないで変わりますが、ざっと見積もって・・・、50億円位でしょう。オークションも出土階層を書いてますし、貴女の名前で出品したなら買い手はそれこそ引く手数多でしょう。」


 キセルでプカリ。手が震えてるぜ・・・。あげようと思ってたから良いのだが、流石に額には驚くよ・・・。えっ、ゲートビジネスって、思った以上にお金になってるのか・・・。まぁ、薬の有用性を考えれば、買うか取り行くかでコストがかなり変わる。それこそ、物語の様に、病気の娘の為に薬を取りに行くなんて事も現実としてあるのか。


 キセルで煙を吸っていると、武器の分配は終わったようだ。赤峰はメリケンサックからフィンガーグローブに変わっている。雄二は剣を増やして2刀流か。確かに最近は手刀を使い両手で攻撃する場面増えたし、先の戦いでは剣を摘まれた。手数を増やす腹づもりだろうが、急に増やして大丈夫なのだろうか?


 他は井口が槍2本、小田が銃、となにかよくわからないパーツ。清水はなにかやはりよくわからない、パイプ?と手袋もう一枚。夏目・・・、もよくわからない。武器は外見と性能が違うものがありすぎる。望田の笛もそうだし、橘の玉もそうだし。


「クロエ、これ見てください、これ!」


「ん?なに・・・、スピーカーが増えた?」


 望田の周りには3つの玉が飛び回っている。操作するのが大変そうだが、望田は苦も無く操作しているので、多分大丈夫なのだろう。


「エコーボールと言うようです。どの玉からも音は出ますが、これで増幅出来ますね!」


「おぉ、カオリが更にカチカチに。」


 望田の場合スピーカーが増えれば、単純に重ね掛けも音の広がる範囲も何なら手数も増やせる。本人の肺活量は心配だが、使いこなせれば更に防衛有利は取りやすい。


「ファーストさん、初期の槍でいいので全部買い取らせてもらえませんか?槍師からの総意なんですが・・・。」


「初期槍を?いいよ、価格は1本金貨2枚くらいかな?金のレートが分からないけど、確か1g8千円ぐらいだったはず。」


 金貨1枚の重さは31g確か1オンスという単位だったと思うが、金貨は柄もないただの小さな丸い板なので、価値としては金そのものの値段となる。純度は脅威的らしいが・・・。


「ファーストさん、それは古いです。金の相場は今下がり気味で1g6千円くらいです。命を守るものなので、1本金貨10枚で買いますよ。」


 レート換算しても190万ぐらいなのだが、ゲートから金貨が割と出るので、感覚が麻痺してきてるような・・・。まぁ、ここにいるメンバーは15階層までは潜れるので、取ってこようと思えば、すぐに金貨は取ってこれるからいいのかな?


「分かった、それでいいよ。橘さーん、初期の槍を全て出してください。」


「いいですけど、かなりの量ですよ?全部出すより必要な本数を言ってください。」


 離れて話していた橘と卓だったが話も終わり。こちらに歩いて来ていたので声をかけた。その際、卓も残り物から武器を選び、残ったものを指輪に収納して、空いたスペースに言われた本数の槍を出してもらったが、各人かなり頼んでいる。槍師は投擲もできるのでそれ用だろう。


「そういえば、クロエそのキセルを見せてもらえませんか?」


「これをですか?いいですよ。」


 キセルを手渡し、橘がキセルを見るが、しばらくしてもなんの反応もない。そして、声を掛けようとした時に漸く橘が口を開いた。


「駄目ですね、全く見えません。コレ、どこで手に入れたんですか?」


「え?初期箱からですよ。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 13話で賢者?が仕事したのか言語が分かるようになってたけどあれは一時的なものなのかな てっきり外国語でも問題なく会話出来るようになってたのかと
[一言] ヒーローといえば変身スーツ。これだけは譲れない 魔女の糸紡ぎで瞬着可能なの作れませんかね? ついでに賢者仕事しなさすぎ
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