409話 入れる目処 挿絵あり
「そんな所から見下ろして、海に入りたくなりました?」
「泳ぐのは好きだけど流石に仕事中だよ。ライフセーバーもいるし、親同伴で友達作りとか最悪だろう?まぁ、友達と言っても同じ学校に通うわけじゃない。けど、その人の認知度と言うのはある意味武器にもなる。あの子の生い立ちは話しただろう?」
「ええ・・・。人に見られて人と話せば繋がりが引き留めてくれるですか。確かに、世界に向けて配信した後に連れ去ろうなんて考える人は早々いないでしょうね。」
「いたとしてもかなり厳しいけどね。なにせあの子は目立つ。私と大きく違う点があるとするなら、あの子は衆目をあまり気にしない事じゃないかな?上がり症だしね、私は。」
体格だけなら高校生と言っても過言ではないが、遊ぶ姿は子供だな。楽しかったのか何度も海に投げられるのをおねだりしている。そして周りの男子は眼福だろう。投げられるたびに胸がバルンバルン揺れてるし。昨年は誰もが手探りだったが、次世代とでも言えばいいのか学生は体の一部の様に職を使う。
これが次の・・・、中学から高校に上がり職に就いた者は更に上手く使うだろう。なにせ手探りで示された道は未だに手探りだが、決定的に違うのはそれが出来ると言うイメージがある事。今までは車より早くは走れなかった。しかし、その常識は変わり職次第ではそれも可能となった。
時代の転換期とでも言えばいいのか、世代を重ねれば不可能は可能になり今度はどうしてそれが出来ないのか?そんな根本的な疑問がひしめく世の中となるだろう。その中で先を走るとするなら、やはり必要なのは知識だな。何気に最近のバラエティー番組はどこどこの街のグルメレポートよりも体当たり実験系の企画が増えました。そんな事を学生を見つつ考えながらデスクへ戻り仕事再開。
ウチはスィーパーを紹介する様なマッチングも行っているが、流石に学生の就職先斡旋はやってないんだよ・・・。高卒含めA級出土品を研究したい企業が多いのは分かるが『この職の学生をウチに!』なんてメールは企業と学校でやってくれ。まぁ、スィーパーの管理をする関係上、誰が何の職に就いたか真っ先に知るのはギルドなんだけどさ。
「ん?これは・・・、ちょっとカオリいい?」
「どうしまた?」
「メール転送するから読んでみて。」
メールはエマからだが、それは友人としてではなく米国のエマ=ニコルソン大佐から。内容的には米国で誕生した中位を連れて中層付近から中層内へ行きたいと言う話し。エマ以外の連名として国防総省と日本政府の名が連なる。そこで指定されたのは俺ではなく望田。理由としてはいくつかあるが、1つは米国側から中位のみでの中層探索は可能なのかと言う疑問が出たから。
日本側としては中位のみでの中層をウロウロしている奴もいるのだが、いかんせんギルドの稼働が急ピッチで進められている為行っても2〜3階層辺り。小手調べと言うかモンスター調査がメインと言いつつ、戦って撃破しているのでいいのだが被害率も高い。そんな状況下で日本側と・・・、厳密には俺を抜きにして中層のセーブスペースへ行けるのかと言う疑問と最適化の話が出た。
ただ、米国としても中位を使い潰すわけにもいかないので、広域防御要員が欲しいという事で望田へのオファーに繋がった。行くメンツとしても格闘家中位の体術師、ガンナー中位のライフシーカー、治癒師中位の復元師に盾師中位の城壁にエマと言うバランスのいい面子が揃っている。
「ほうほう・・・、これって行ってもいいんですかね?私はツカサのSPでもあるんですけど。」
「判断としては沈静化状態って事何じゃない?流石にソフィアの件があったのに今動くのはバカすぎるよ。何かあったとしても海外からの攻撃ならあの国はまず否定する。そして、捕まって国籍なんかを暴露されれば取り返しはつかない。ゲート内ならまだいいけど、外ですればバッシングどころか今のポジションさえ失いかねないからね。」
相変わらず国連トップに居座っているが求心力は低迷中。国として単独で格安ODAをやったりしているが、現地の人を使う比率は少なく開発技術の開示も少ないらしい。本来なら日本の様に現地民を多数採用からの技術開示を行い継続的に自前で修繕や、他地域への自国での開発を促す方が正解だろうし職がある関係上、みすぼらしくて落ちそうでも橋は架けられる。
なら、なんでまたODAに力を入れているかと言えば単純なイメージアップ。恩を売って味方に引き込もう作戦で、どこどこの橋や道は我々が作りましたと宣伝もしてるとか。まぁ、偽善や作為があろうとも作られた物は使うし、その作られた物に悪意はない。ただ、本当に自前でスィーパーを揃えて開発すればいいと言う声も多いので、ODAのあり方も変わりそうだな。
「オファーだから一応断る事も出来るし、行きたくないならSPって話をしてもいい。」
「行きたいのは行きたいですね。最適化はされましたけど中層のモンスターとはまだ戦ってないですし。ただ、この集合場所ってなんですか?新ゲート内統合基地って。」
「それね。大井さんから聞いたんだけど、ラボと一緒に駐屯地も浮いちゃったから新しく建設する事にしたんだよ。ただ、今までは日本独自の基地だったけど、それだと他の同盟の国と連携取りづらいから、統合基地と言う名の待合所みたいな所を作るんだってさ。回復薬の販売とかもここですれば輸送コストは短縮出来るし、秘密会議をするにしてもトップが顔を合わせて話すにしてもいいだろうってね。まぁ、質実剛健だから見栄えと言う面では質素かも。」
「へ〜、もう出来てるんですか?」
「いや、建設途中かな?高槻先生の所に協力オファーが来て協力するらしいんだけど、そんな物よりラボいじくり回したいって人達の方がね・・・。」
カムバックした社員達は斎藤を質問攻めにした後にラボの魔改造を開始してるとか。取り分け電力面の効率化と基礎構造を把握してからの堅牢化、更には飛行ユニットを扱って研究させろと言う声多数。ラボをいじくるのは許可したらしいが、飛行ユニットの方は在庫がないので作る所から始めたらしい。国としては国外に開示したくない技術なのだが、流石にあの配信をどの国も見た後に開示しないと言う話は出来ず、苦肉の策として高槻製薬にライセンス料金を払う事で許可したとか。当初はノックダウン方式だが、行く行くはOEM方式に変わるだろうな。なにせ他国の技術者と一緒に今作ってる所だし。
そんな訳で統合基地(仮)は図面だけもらって自衛隊が勝手に作っている。まぁ、施設科はあるし何をどう処理したり組み立てたりすればいいのかは装備庁側にもノウハウが流れているので問題はないだろう。ただ、基地と言う事でパワードスーツ用のドックは多数設置して勝手に整備してもらうらしい。
流石にまだ大型化はしていないのでパワードスーツが多数なのだが、そのうち他国もロボテックスーツバージョンを作るのだろうか?一応、国際規格用語として2m半まではパワードスーツ、それ以上がロボテックスーツとなった。ただ、下半身戦闘機で上半身だけ人の様なゲテモノ系もいるのでどうなのだろう?ガウォークよりビク・ラングの方が好きなので形として好きなのだが・・・。そのうちバル・バス・バウとか作っちゃう?中層では使い良さそうだし。
「反響は凄いですからね・・・。ニュースでも『いつ外で飛ばすのか?』って話題がずっと流れてますし。実際外で飛ばすんですよね?」
「予定ではね。ただ、それももう少し先かな?いじくり回して遊んでるし何より外に出すのがね。あれ輸送機よりも大きいから流石に指輪には入らないみたい。」
中層の超大型モンスターよりは小さいが流石に指輪には入らなかった。そうなると数km単位の物は厳しいのかな?量よりも大きさ方面に規制がかかった様に思うので長さ的なものだろう多分。ただ、バラせばいい話なので総合的に見るとやはり指輪のコスパはいい。容量ほぼ無限で長さだけの括りならいくらでもやりようはあるしね。
「中層行きの話は期日前までに回答します。期間的には最低1週間ってありますけど、それでセーフスペースまで行けますかね?」
「う〜ん・・・、備考の所に45階層キャンプってのがあるから多分無理。エマの練度は分かるけど訓練を含めて安牌取るなら倍は覚悟かな?特に中層は視界も悪いしモンスターも多い。上みたいにゲートを広域で探して進むと考えるには無理があるよ。」
「それならパワードスーツなんかも発注した方がいいかもしれませんね。毎日トレーニングはしてますけど余力的なものはあるに越した事はないですから。」
「それならラボに行ってみたら?今なら色んな人がいじくり回してくれるよ?」
「なんかイヤらしい言い回してすけど、確かにオーダーメイドで作ってもらえるならいいですね♪橘さんみたいに空を飛びながらエコーボール射出して広範囲攻撃とか!」
「背中に大型ウーハーユニット付けて雷神スタイルもいいんじゃない?何にせよプランを持っていくとパワードスーツなら作ってくれるだろうし、宮藤さんが言ってたけど記者としてパワードスーツを伝承すると結構いいみたいだよ。」
「ほう、どんな感じなんですかね?」
「宮藤さん曰く疲れ知らずの機械ボディ的な?ダメージコントロールとかも楽だし、何より身体が傷付いても機械だから痛くないって感覚のおかげでイメージが崩れにくいんだってさ。」
イメージで戦うので思考中断は最大の敵。一瞬意識が飛んだらイメージのやり直しなので立て直しは大変だし、指が折れて痛ければそこに意識が引っ張られる。アドレナリンやらエンドルフィンがドバドバ出た状態なら耐えられる痛みもあるが、流石に腕や足を持っていかれれば限界もある。
そんな痛みを体験して、それでも継続的戦闘をしようと言う宮藤が考えたのが記者による痛みの置き換え。言わば全身麻酔状態。確かに本人は傷付くのだが痛みをパワードスーツに伝達し、損傷をスーツに伝承する事で傷そのものを移し替える荒技である。
実際やると文字通りベルセルクと言われてもおかしくない様な血塗れ状態でも戦闘続行出来るのでかなり助かると言っていたが、血は増えないので増血剤や輸血パックとは末永くお友達らしい。まぁ、夏目あたりがいればその問題は解決できるが、そんなに都合よくいないからなぁ・・・。
「それは要練習ですね。45階層辺りはいいですけど中層となるとかなり厳しそうですし。・・・、バイトちゃん借りてもいいですか?」
「バイトか、いいよ。たまには暴れたいだろうし連れて行くといい。また騎乗して走り回ってもらう?多分、人が走るよりも簡単に中層を走破してくれると思うけど。」
「それは考えておきましょう。行くとして今から準備するとギリギリですね。」
「出発予定は1週間後だからね・・・、必要なら今から準備に入る?パワードスーツの発注は私から斎藤さんか藤君に連絡しておけば行ってすぐに開発開始になると思う。まぁ、オーダーメイドにするなら食料買い込んでから泊まりで行くか、パーツプランを上げてお任せで作ってもらうかになるだろうけどさ。」
「一度エマと連絡を取ってみましょう。45階層に参加せずに後から合流なら多少時間も増えますし・・・、これってもしかして各階層で寝泊まりする前提ですかね?」
「さぁ?上昇アイテムがあればどうにかなるだろうけど、検証を考えると寝泊まり路線だろうね。持って行く回復薬とエナドリは多い方がいい。後は魔術師がいないから水箱の回収とか?持ってるならいらないだろうけど何個かあると便利だよ。私なんか10個以上は確保してるし。」
身体が小さいので風呂代わりに入ろうと思えば入れる。普通に置いてある分には水が溢れる事はないが減ると増えるし、斜めにするとずっと水が流れ続ける。砂漠の緑化には多大に貢献し、逆さまに置かれた箱からは湖が出来てうっかり引き上げ忘れると淡水の海になるとか。最近では畑の真ん中に置いてスプリンクラーから水を出したり、水道会社を解約してこの箱で生活用水を全て賄うなんて家も。
下水処理はしないといけないが浄水はコレで大丈夫だしな。強いて言えば超純水なので飲むと不味いとか?害はないが飲みにくいのでこれ用のフレーバーカートリッジを浄水器に付ける人も。ただ、水味ってなんだよ?カルキでも混ぜてるのだろうか?ウチでは麦茶にして飲んでいるが・・・。
「そう言えば離れのお風呂の件は息子から聞いた?よければ息子が作るけど。」
「聞きましたよ〜。大まかな場所とシャワーだけでいいって伝えました。湯船はギルドで温泉に浸かればいいですからね。それに、走った後とかも母屋で借りてたんでシャワーさえあれば大丈夫です。」
「そう。まぁ、なにか必要な事があったら遠慮なく言ってね。」
「戻ったなぁ〜。」
「おかえり、ソフィアは?」
「温泉に入ってるなぁ〜。那由多が私とソフィアに日焼け止めを塗りまくってたけどヒリヒリするなぁ〜。薬くれ。」
「それはいいが・・・、今日は息子の命日か。」
「いや、ツカサ!それは止めに行った方がいいんじゃないですか?」
「無理だろ?美少女の妹と美人な猫人に日焼け止めをみんなの前で塗りまくった上でそいつはこれまた美人な彼女持ち。私が行ったら火に油を注ぐだろうし、モテない男子高校生の気持ちを考えると息子を供物にするしか・・・。」
中学の修学旅行が沖縄で海に入ったがそんなイベントはなかった。まぁ、中学で付き合っていると言うのはそこそこ進んだ人と言うイメージなのでいいし、当時は野郎だったので男と遊ぶばかり女の子には目がいかなかった。しかし、それが高校生ともなれば女の子には色々と興味が出てくる。そんな中でも工業高校だったので周りには男しかいないし、女の子と付き合うなんて夢のまた夢。
モテない系と言うより隔離系男子だった俺からしても息子の立場は羨むに値するし、共学の高校なら尚更だろう。そんな息子が冷やかされても俺は多分助けない。寧ろ、日焼け止め塗るなら千尋ちゃんにお願いすればいいじゃないか!
「ツカサか行かないなら私が行きましょうかね?何をと言うわけではないですけど様子見くらいなら・・・。」
「一緒だよ。だってカオリも美人だし。行くだけ息子の立場が悪くなる。寧ろ、血の繋がらない美人なお姉さんまで気にかけてくれているって分かったら本当に血の雨が降るんじゃない?主に本人の拳と相手の口から。」
「・・・、もう一回言ってもらえます?さっきのセリフ。」
「?、一緒だよ。これでいいの?」
「その先!今の私にはその先が必要なんです!」
「その先って言うと・・・、カオリも美人だし?」
「ありがとうございます。やる気が出たので中層までノンストップで走破できそうです。」
「程々にね?それとフェリエットはい薬。」
「腰に手を当てて一気だなぁ〜。何味か分からないけど五臓六腑と9つの命に染みるなぁ〜。」
「本当にそんなに命があったら単純計算で700年くらい生きるの?」
「知らんなぁ〜。でも尻尾が割れたら崇めてもいいなぁ〜。」
「猫又になりたいんですか?フェリエットは。」
「色々勉強したけどそれが一番長生きする方法だなぁ〜。」
タブレットを渡して自由に検索させて、それで得た知識を元に空想に憧れを持つ。人間臭くなったなまた。これがいい傾向なのか悪い傾向なのかは多分未来でしか判断出来ない。ただまぁ、本人に話は一応出しておくか。
「フェリエット、ゲートに入って職に就けるとしたら入りたい?」
「モンスターをプチプチ潰すのには心躍るなぁ〜。今から突貫だなぁ〜。」
「待て待て、それはまた後日だ。そもそも今入っても職に就けると言う確証もない。」
「でも入らないと就けないと言う確証もないなぁ〜。シュレディンガーの時はどっちなのかなぁ〜?」
その話を引き合いに出すか。箱ならこっそり見ればいいがゲートの中となるとそうもいかない。う〜む、ウズウズしているフェリエットを見ると本当に突貫しそうなので何かで釘を差したいが・・・。
「神志那さんとディスカッションして知能的に大丈夫と言われたら一緒に入ろうか。ただ、入るにしても色々と話を持っていく所があるから、そこの根回しが完了してからと言うのも条件に付け加える。因みに付き添い無しで職に就けなかったらどうなるかは分かるな?」
「骨も残らず消えるなぁ〜・・・。」
損得勘定は出来るので、流石にこれで一人で入るとは言わないだろう。根回しと言う名の松田達のクールダウンを考えると8月を目処にするくらいだろうか?表向きは何もなくとも国同士はゴタゴタしてる可能性もある。
「戻ったです。楽しかったですけどピリピリするですね。」
現れたソフィアは若干日焼けしている。海外の人は黒くならず赤くなるイメージだったがソフィアは黒くなる様だ。まぁ、アレだけ海に投げ込まれれば日焼け止めも落ちるだろうし、海外では日焼けはセレブの嗜みらしいが年取るとシミになるので日本ではあんまり流行らない。例外とするならボディービルダーとか?ガチムチでビキニパンツのボディービルダーは多分全員焼けて黒い。なんでもその方が陰影のおかげで筋肉がよく見えるのだとか。
うん、個人的には細身の方が好きだよ?裸の野郎なんて進んで見たくないし高校や自衛隊で細マッチョからゴリマッチョまで全部見た。なので、今世のマッチョは赤峰を最後に見納めでいいかな?夏場は特に暑苦しいし筋肉を見せる為にピッチリした服を着てるし。まぁ、健康的ではあるんだろうけどさ。
「ソフィアも薬飲んで。それとも皮が剥がれるまで待つ?それはそれで夏の醍醐味ではあるけど。」
「お母さんもお風呂がつらいから飲んだ方がいいと言ってました。一気です。」
フェリエットと同じ様に飲むがソフィアの物はエナドリ。別にどちらでもいいが、熱い身体に炭酸は嬉しいだろ?飲むと少しづつ身体の赤みは消えて色も白くなっている。回復薬を美容品と言う人もいるが、日焼けって火傷だしそれを後もなく回復してくれるなら美容品と言っても過言ではないな。
「それで、海は楽しめた?それに・・・、大人の男の人は?」
「海は楽しかったですし、加奈子さんがコスプレするそうなので今度衣装を見せてもらいます。大人の人は・・・、日本の人は大丈夫です。」
「どう言う事ですか?大人の男の人って。」
「カオリさん。私は大人の男の人・・・、取り分け白人系の人が怖いですか。何をどうされたって記憶はないですけど漠然と・・・、なにかよくない事をされたと思うです。」
「ソフィアちゃんごめん。嫌な事を思い出させようとしましたね。・・・、そ、それより那由多お兄ちゃんはどうでした?」
「お兄ちゃんは優しかったですよ?日焼け止めも背中に塗ってくれたですし、ビキニの紐もちゃんと留めてくれました。他にも面白い人はいたですね。わざわざ砂浜に海水を溜めてここで泳ぐといいって言ってくれた人もいたですし、貝殻水着はコスプレだと初めて知ったです。」
「中々古風な趣味だな。ただ、貝殻はゴツゴツして痛いからやめなさい。」
「しないです。流石に巻き貝だと色々見えちゃいます。」
「カオリ、それを言ったのが学生ならセーフ。大人ならセクハラでしょっ引いていいよね!?てか、青山どうした青山は!」
「青山さんは女の子に囲まれて大変そうでしたよ?」
顔か!ホストならではのイケメンフェイスが裏目に出たか!コレばかりは采配ミスだったな。発言者は霧の中だし不問としよう。ただ、ソフィアには何かしらの自衛手段を持たせた方がいいな。抜けているわけではないと思うが、どうも巻き込まれ体質な気がしてならないんだよな。巻き込まれて結合されてたし・・・。だがまぁ、そんなソフィアが笑顔で話しているのなら多分上手くやっていけるだろう。




