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街中ダンジョン  作者: フィノ


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304話 靴を舐める 挿絵あり

(ゆ、結城君!あれは幸福薬使ってますよね!?ツカサさんって物静かで大人な感じでしたけど、あれって幸福薬のせいですよね!?)


(いや、多分使ってないけど振り切って逃げる気だ。でも、今回は負けかな。全員で幸福薬を使う宣言したから、使ってなくても全員あの状態だよ。隠し持たれても調べようがないし、寧ろ先陣きって話されたからそれの影響を受けないのはおかしくなる。残機1減るのは覚悟してさっさと任務を始めよう。)


「その通りだツカサさん!さっさと工場を見つけてボットを壊すか確保しよう!リーダー!工場はどこだ?完璧で幸福な市民ならどこか分かるだろう?」


「えっ!あっ!GM情報はもらえないですかね?」


「だめ。技能使って探索するか誰かに聞くしかないかな。一応、既にビルの外にいるから別れてもいいし、全員で行動してもいい。」


「う〜ん・・・。」


 ゲームだが状況を整理しよう。任務は分かった。仲間は常に疑わしい。そして、薬を使ったので多分佐伯は駄目。ファーストは演技だと指摘された。確かに腹に使うと言われ確実な使用確認は取れていない。なら、対象を信じよう。ゲーム、されどゲーム。嫌に頭痛のするゲームだ。少なくとも後5回は死ねるとして、新たな秘密結社任務としてボットのデータ抜き取りが課せられた。技能的には不可能ではないが、那由多が指定したボットが橘型なら破壊推奨と取れる。なら、半壊させて調べるフリをしながら抜き取るのが定石なのだろう。


 ただ、この2人をどうやって制御する?方や本当にダメなヤツ。方や狡猾にダメなヤツを演じる強かな奴。いや、現時点でファーストに乗せられたのか?リーダーになれば全員に幸福薬と言う薬物を使うと言うファーストを真似たが、それまでも計算の内だとされるならかなりマズい。何せ本人は対象曰くシラフ。


 そのシラフの状態で、ヤバ状態だと思われる演技を平然とやっている。掘り下げて矛盾点を突けば殺害出来るかもしれないが、多分那由多がそれはグダグダになると止めに入るだろう。更にマズいのは私もその薬を接種したと演じなければならないと言う事。ミュータント能力悪食。対象が使いやすいと言うので選び、内容的にも人でも物でも何でも食べて消化できる。判定で失敗すれば胃痛か死だが、幸い幸福薬を飲むと宣言したので胃痛は無かった。


 ファーストは相変わらずさっさと行こう!と囃し立ててくるが行動指標もない状態でどう動く?肝心の那由多は情報を出さなかったし、ここは何かを知らべるなり人に話を聞くなりしろと言う事だろう。


「リーダー!あそこの人が知ってるはずです!必ず知ってるはずです!幸福な私にはあの人が情報屋に見える!話を聞きましょう!さぁ!どうぞリーダー!」


(これってのがテンションで話さないとマズいですよね?)


(マズい。コミーとして平等に薬を使ってないってバレるのもマズい。下手したら千尋から撃たれる。)


「幸福な部下クロエよくやりました!あの人に話を聞きましょう!なんだか知りませんが私もあの人が情報源に見えてきましたよ!」


「リーダーが言うなら正しい!突貫!みんなで突貫しよう!さぁ、先陣はリーダーだ!私達も一緒に行くけどリーダー行こう!」


(千尋売ったな!)


(プロパガンダで幸福薬盛られたロールとか難易度高すぎだろう・・・。取り敢えずリーダーだけでもシラフに戻したいし、那由多の顔を見ろ!げっそりして悩んでるぞ?)


「あ〜、話を聞きに来るか?」


「リーダーである私は完璧で幸福な市民です!そこの貴方!情報を下さい!」


(失敗・・・、ならその方向でロールするか。)


「上位者になんて話し方を・・・。選べ下民。ここで死ぬか死なない為になにかするか。」


「うぉ!クロエ!殺されそうです!情報とは死んだら貰えるんですか!?情報の代価は幸福な死ですか!?なんとかしなさい!」


(靴舐めと騙り使用。)


(片方失敗。何で騙りが失敗しないかな・・・。)


  挿絵(By みてみん)


「上位者様の靴を舐めます!リーダーシップが足りないリーダーの代わりに靴を舐めてご機嫌を取りますとも!それに私達は貴方より上の方からトラブルシューターとして任命されました!なら、当然私達の行動はその人の責任になる!でも、止めればその方に貴方が意見したことになる!いいんですか?私達を止めても。完璧で幸福な仕事を妨げるとコンピューター様もさぞ貴方に・・・。」


「面倒な・・・。それで、何の仕事を言われた?私も最近君達より上の階級に上がったんだ。まだ目をつけられたくはない。お前はうるさいからそこの眼鏡じゃない方の女が話せ。」


「壊れたボットを探しています!どっかの工場で秘密結社が悪さをしようとして、人型のボットを弄り倒して完璧で幸福な市民に害をなそうとしています!」


「壊れたボット?探しているものかは知らないが、町外れに壊れたボットは集積してあるだろう?探すならそこへ行け。ただ、あそこが閉まるのは早いぞ?行くなら早く行け。」


(時間制限が追加された。加奈子、最短で移動できればなにもないと思うけど、遅ければ遅いほどペナルティーが出てくるかも。)


(なら、転送装置を使うのがいいんでしょうか?一度使用して使い方は分かってるはずですけど。)


(いや、僕達は今まで誰も死んでないから、そろそろ殺しに来るかも。本当ならこのゲームって蛇口を捻っても爆発するし、歩くだけでも地面が爆発したり、車が突っ込んできたりするから・・・。)


(かなり優しくされてるんですね・・・。なら、走りましょうか。)


「時間がないみたいです!全力!全力で走りましょう!」


「現在地から工場までは・・・、結城サイコロ振って。」


「ほいさ・・・、9か。て事は9ターン内に着けばOK?」


「いや?9回妨害するから対抗ロールで成功するか、どうやって死なずに済んだか解答出来れば着く。大丈夫だ、俺は優しいから締め出したりしないよ。」


「行かなくても地獄だけど行っても地獄なやつ!」


「さてと、まずはどうする?走るか転送かそのあたりを走ってる乗り物でもいいぞ?」


「GM、話し合いを要求する。僕が出した目だけど流石に高得点過ぎる。」


「認めよう。じゃあ俺はちょっと飲み物と摘む物取ってくるからその間に話まとめといてくれ。」


 那由多が出ていき4人で話すが、そろそろギアを上げてくるのかな。取り敢えず9回の妨害を回避しないといけないわけだが、どの程度上げてくるかなぁ〜。流石に今回のパラノイア変則ルールとはいえかなり優しい。ただ、クラシックと考えるならみんなで力を合わせて苦難を乗り越える方が、正解なので間違ってもいない。


「みんなごめん、流石に9回妨害を無傷でやり過ごすのは厳しいと思う。」


「逆を言えば那由多がここで締めてきたとも取れるな。グダる部分を抜いたおかげでかなりサクサク進んでいる。ただ、私個人の意見としては一度全員死んでフラットに戻る方がいい。このまま続けても任務達成は厳しいし、幸福薬のせいでどの道みんな一度は死ぬ。加奈子はどう思う?」


「う〜ん・・・。私はこのゲームをよく知らないですけど、面白いんでこのままでいいと思いますよ?仲良し小好しでやり続けても多分、那由多君も面白くないでしょうし、派手に掻き回してくれたツカサさんにも悪いじゃないですか。」


「今はマジカルクロエちゃんです。流れる様に虚言を流布して魔法の様に情報操作するペテン師です。」


「相変わらず司さんのスタイルは突拍子もないなぁ・・・。確かにやれない事はないんだけど、振り切れるかって聞かれると中々難しいんだよなぁ〜。」


「なに、楽しんだ者勝ちだよ。そして、勝者は勝った後にしてこっそり赤面して影で泣くまでがセットかな。」


 恥ずかしいものは恥ずかしいが、子供の前でバカが出来ないのもまた違う。引っ込み思案と言うのは結構貧乏くじを引くし、多数に埋もれればそのまま理没する。まぁ、俺はその方が良かったのだが、それを選ぶにしても先ずは引っ込み思案じゃない方を知らないといけない。


 TRPGは建前が出来るんだよな。私はその役を演じていましたと言う。なので、多少羽目を外しても、そう言う状態でその役を演じていたという免罪符が出来るから小っ恥ずかしい事も言えるし、靴を舐めるなんて事も口にできる。逆にGMの時は何回靴を舐められたか。


  挿絵(By みてみん)


「なら、好きな様に演じましょうか。」


「収集つかなかったら橘さん(仮)がどうにかしてくれるよ。その為に息子はわざわざ形を指定したんだしね。」


「コミーで幸福薬を打たれた状態か・・・。司さんじゃないけど振り切って・・・。いや、今ならどんな無茶でもできるのか。薬を使われれば死ぬ前提の命令でも喜んで特攻するし。」


「そろそろ話はまとまったか?取り敢えず麦茶とチョコとビーフジャーキー持ってきたけど。」


 子供達が一息ついている間に俺も外で一服。さてと方針は決まったしルールは変わらない。千尋ちゃんの情報が少ないが加奈子ちゃんの情報はそれなりにでたしぼちぼち残機を減らしに行くかな。


「父さんも戻ったしじゃあ、再開しようか。移動方法は決まった?リーダーが指示するならそれで全員同じ行動になるけど。」


「工場まではまとまって行きます。一番近い転送装置までみんなで走りましょう。」


「了解、ならそれまでに妨害する。もう走り出したとして・・・。最初は車が突っ込んできたな。」


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[一言] 外側からみたら割といつもマジカルクロエちゃん?(ペテン師)
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