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街中ダンジョン  作者: フィノ
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296話 ウエイトレス 挿絵あり

すいません、今日まで短いです

「莉菜、カオリ、フェリエットは内田さんにお願いして仕事中は食堂でウエイトレス件招き猫になってもらう。ただ、出来ない事は多いと思うから何かあったらフォローして上げて。私の方でもちょくちょく顔出して様子見するけど、駄目だと判断されたら取りやめるよ。」


「それはいいですけど露見して大丈夫ですか?今はコスプレ少女と認識されてますけど触れ合えばバレると思いますが。」


「それは大丈夫。政府側としても獣人の件はオープンにしていく方向で法律の施行待ち。何よりも松田さんが愛犬を獣人にしたから、もう流れは簡単に流れは変わらないよ。」


「犬の子もいるのね。やっぱり人懐っこいのかしら?」


「性格は分からないけど裸で走って行こうとしてたらしい。増田さんが取っ捕まえてシャツ着せてたかな。成長時の確認も出来たらしいから東京ではまた一悶着あるんじゃない?昨日卓君から珍しく愚痴が来てたよ。」


「卓君が愚痴とか中々大変そうですねあっちは。フェリエット的には犬獣人ってとう思います?」


「増えるなら勝手に増えるしいないならどうでもいいぁ〜。吠えないなら気にしないなぁ〜。」


 犬と猫は仲が悪いイメージがあったがフェリエット的にはどうでもいいらしい。いや、現実主義とでも言えばいいのか、確かにこの場にいない会った事もない相手について訪ねてもこんな感じか。それに人間だって合う合わないがあるんだから動物も一緒だろう。そんな話をしながら出勤し食堂へ。今日のモーニングはトーストに目玉焼きとウインナーか。サラダ追加で金貨1枚はボッタクリだが割と出てるようだ。


「内田さんいます?」


「今日は休みで神田さんがいますよ〜。」


「なら、神田さんお願いします。」


「神田さんなら今日の昼食は魚が当たりですね。」


「旨い魚が食えるのかなぁ〜?」


「神田さんは釣りが趣味だからその関係で魚料理が得意なんだよ。前に食べたスズキの塩焼きやホッケは旨かったな。」


 彼もまた内藤と夜間帯の警備を務めるバトルコック。出身も特殊作戦群と言う事もあり仲はいいし、後1名は警察からだが料理好きと言う事で何だかんだで3人楽しくやっている。そんな釣り好きの神田は何気にギルドでの沖釣りにハマり、日夜アジを絶滅させようと釣りに勤しんでいるので、呼び出しかけるなら彼と相場が決まっているらしい。ただ、呼び出されたら暇な夜間帯は食堂抜けたして食材調達と言う名の夜釣りをしているとか。


「おはようございます。朝から眼福ですね、綺麗所が揃ってるじゃないですか。と、そのコスプレの娘が最近噂の?」


「フェリエットと言います。本日はコチラでウエイトレスをしてもらおうと思っていますが・・・、獣人なので常識に疎い所があります。私や望田さん、神志那さんなんかが出来るだけ様子を見に来ますが、何かあればすぐに連絡してください。また、仕事に飽きてタブレットなんかを扱うのは黙認しますが、ギルドから出ようとするなら止めてください。」


「それはいいですけど・・・、ここで話して大丈夫でしたかマスター?」


 食事していた人が聞き耳を立てていたが、オープン路線ならいいだろう。それにファーストが知らない女の子を連れ回していると、遅かれ早かれ情報は出回る。なら、この娘が何なのかを明確にしてその上である程度触れ合える状況にする方が後々混乱も少ないだろうし、どうすれば獣人と出会えるのかは、まだ口外していない。


「いいですよ。ある程度認識してもらう為のウエイトレスですから。金銭計算については未知数なので教えてやらせても多分、理解は出来ますがミスの可能性は高い。その場合は私が補填します。」


「ウエイトレス・・・、ウエイトレスか・・・。服はそのままで?」


「いえ、適当な浴衣を持ってきたのでそれでやらせます。そうでもしないと走り回ってしまいそうですからね。」


 話している横でフェリエットは料理が気になるのか、朝飯食ってるおっさんに『そのウインナーを寄越せ』と視線を送っている様だが、望田が手を繋いでいるので離れられない。なんだか不安の残る光景だが、その辺りの交渉も人間らしさなのかなぁ・・・。


 原始的だが双方納得すれば貨幣は必要ない。つまり、物々交換でわらしべ長者になってもいいし、フェリエットとして差し出せるのが頭を撫でさせる権利やらなら、それに見合う物を出せば双方で交渉が成立する。フェリエットの頭を撫でる権利、プライスレス。それに腹一杯になれば飯では釣れなくなるしな。


「マスターが依頼するなら預かりますけど、子どもの世話って言うか獣人の世話とかした事ないからなぁ・・・。フェリエットちゃんはおじさんの言う事聞いてくれる?」


「いい匂いのおっさんだなぁ〜。魚を沢山くれたらきかないでもないなぁ〜。」


「魚ね、昼は魚料理を食わせてやるからちゃんと仕事して言うこと聞いてくれよ?暇な時は適当に座ってタブレットしてていいから。」


「なら座って招き猫になる。それが1番楽だなぁ〜。」


「それは私が許さん。ある程度労働をしなさい。さて、奥の皿洗い組は何やらかしたんですか?」


 男も女もレースのエプロンで仲良く皿洗い。朝に見る風物詩的な光景だが、全員夜間帯にギルドで何かやらかした人達。多いのはお酒飲んで楽しくなり騒ぎすぎた人や、口論からヒートアップして皿割ったとか。どれもこれも軽微な事だが、そんな軽微な事にも目を光らせているという事を印象付ける為に、こうして皿洗いやら何か外でできる奉仕的な事をやってもらっている。


 砂浜作りたいとか言ってたから、そのうち皿洗いから砂浜清掃にシフト・チェンジするかもな。実際機械やら職やらを使えば簡単に終わらせられるが、罰なので全て手作業だ。


「身入り自慢してた奴等がヒートアップしましてね・・・。R・U・Rで殴り合えばいいのに、わざわざここでやろうとしたんで皿洗いです。」


「ゲートから出たばかりで気の立つ人はいますからね。警備お疲れ様です。フェリエットを着替えさせてきます。」


「了解です。獣人の件は食堂スタッフにバラしていいんですよね?」


「ええ、看板立てて獣人食堂とかやらないならいいですよ。」


 神田と分かれてマスタールームに行き指輪から浴衣を取り出す。懐かしいな、遥が小学校高学年位の時に来ていた物でお気に入りだからと、もう入らないのに中々捨てられずにいたもの。浴衣と言うか和服は身体を包む様に着るので、ある程度のサイズ違いは誤魔化せる。


「窮屈だなぁ〜、尻尾が出ないなぁ〜。」


「そこは後で少し穴を開けてやる。カオリ、ハサミとか持ってない?」


「ありますけどもったいなくないですか?多分元は遥さんの物で思い出が詰まってるんじゃ・・・。」


「あるよ。この浴衣着て大きいリンゴ飴食べてたら割り箸が貫通して手がベタベタになったとか、下駄履いてたから足の指が擦れて痛くて泣き出しそうな所をおんぶして帰ったとか・・・。でも、この服はもう誰も着ない。遥には小さいし着れる様な親戚もいない。言ってしまえば思い出だけ残ったゴミなんだよ。いつかは捨てるゴミ。でも、それがこうして新しく着られる人の手に渡るならいいじゃない。」


  挿絵(By みてみん)


「ふふっ・・・、フェリエットちゃん。責任は重大ですよ?思い出事服を渡されたんですから汚したら駄目ですからね?」


「・・・、私がまだ若い頃に今はいないメスがこれ着て夜にはしゃいでたなぁ〜。大切にする。」


 若い頃か。多分にゃん太がうちに来て少ししてくらいかな。遥はなんだかんだでにゃん太の後を追ったり、猫じゃらして遊ぼうとして全く相手にされなかったり、それでも抱っこして運んだりと可愛がっていた。思いが通じると言う訳では無いが、こうしてペットだった者にも覚えてもらえるなら、それはそれでちゃんと付き合えていたと言う事だろう。


「ウエイトレスする時はエプロンを借りましょう。」


 着替えさせたフェリエットと共に食堂へ。皿洗いは終わったのか朝食時間も過ぎて中に人は疎らだ。ただ、神志那が何やら肉をガツガツ食べている。筋トレでもしてきてタンパク質が欲しくなったのかな?


 前は栄養ゼリーだけとかだったのが心做しか逞しくなって行っている。だだ、オカルトの説明に歩みとあるが走らず長い距離を歩いているのだろうか。


「おは〜。今日はウエイトレスさせるんだってね。朝食食べ終わったら昨日の報告に行くよ〜。」



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[一言] ファーストが居るって言ったという獣人の存在に対する抜群の説得力があるから一瞬で広まりそう
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