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街中ダンジョン  作者: フィノ
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268話 ヤバいやん! 挿絵あり

「取り敢えずコアを戻しても飛び立ったり自動修復はしないんですよね?」


「近くに置いてあるのは間違いありません。パージさせた後は調べる為に近くに出しっぱなしにしていますが、物理的な接続は解除してある様なので信号は送れないと思います。自動修復ユニットの制御装置はセットしてみましたが、元々そこにあったものなので問題はないと思います。現に動いてないですからね。」


「元々は自動修復ユニットは壊れてたって話だからそれはいいでしょう。動作確認がメインコア無しならしてはいけない事項ですし。」


「他の部分は拙者がモデリングしてみたでござる。大破した艦娘を修理している気分で楽しかったでござるよ。」


「藤っちそれ服の修理だから装飾師の領分じゃない?」


「機体を修理するのもまた、造形師なりの装飾でござろう?元の形が分からぬゆえ、かなり自由にやらせてもらったでござる。」


 なんとなく分かっていたが外観が見た事あるようなディテールなのはそのせいか。スター・ウォーズ風ではなくビバップ風な所に90年代の鼓動を感じる。ただ、かなりごてごてした感はあるな。発見時は大破していたせいかもっとシャープな感じだったし。イメージするなら矢じりとか?或いは平べったい弾丸でもいい。


「回収する前にメインコアセットしようぜぇ!これ触っても輸送機って言うのは分かるけど他は全くにゃ。コアがないせいか扱うのも無理っぽいし、検証するなら鑑定師と中位の藤っちもいる今がお得にゃ。」


 また後日調べるのかと言われると確かに今は人材が揃っている。メインで研究している斎藤に必要なパーツを作れる藤、鑑定師として修理状況やコアを鑑定出来る神志那。そして、一応の保険となれる俺。カメラを使って撮影しながらコアをセットし、資料映像と調査資料を開示すればある程度の納得するかな?


 そもそも渡さずとも、調査出来ていると言う資料があれば文句は言いづらくなるだろう。究極的に言えばちょっかい掛けられずに粛々と仕事出来れば俺はそれでいい。問題点は重大なエラーと目される自動修復ユニット単体での起動。それならばここで嵌め込んでみるか。斎藤や神志那もそれで落ち着くだろうし。フライトレコーダーを先にセットして奥へ。


「分かりました。カメラをセットして資料映像としましょう。但し、それが終われば一旦回収して調査は凍結します。斎藤さんの方にはJAXAから宇宙開発関連で話が行くと思いますが、輸送機については私が回収したと話してください。まぁ、これから動画撮るんで言うまでもないですが。」


「分かりました、輸送機以外にもやる事は多いですからね。」


「到頭起動だぜ!飛ぶなよ?絶対に飛ぶなよにゃ!?」


「それはもうお約束で飛ぶでござろう・・・。」


「藤さんも不吉な事を言わない。さて、誰か撮影お願いできます?私でもいいですが、編集してもらって配信に乗せるかもしれないので出来ればお願いします。と、言うかネットにアップしてもいいですか?」


 配信OKの許可をもらい、撮影はなら妻にさせようと藤が作業していた一体を呼び首にはめて撮影開始。さて、配信予定なのでなんの動画かから話していくか。それにメンバー紹介もしないとな。藤は別として神志那と斎藤は誰かわからないし。


「えー、今回の配信はとある拾い物の動画となります。既に中にいるので場所や外観は控えさせて貰いますがゲート設置者、ソーツについて話すとしましょう。取り敢えず彼等の意味は作る事。これが大前提です。今歩いている所も彼等が作ったものの中となります。」


 辺りを映すようにお願いすると身体を動かして辺りを撮影してくれる。基本的に俺の配信には俺が映ることば少ないので新鮮といえば新鮮かな?撮影前にゴスロリに着替えたし。最後に俺の所にカメラが戻り次は紹介と行こう。


「今回の配信にはゲストが来ています。藤さんは記憶に新しいと思いますが他の2名、女性が神志那さん。男性が斎藤さんといいます。」


「オッスオッス!私は神志那、分かりやすく言うと橘さんの元部下で警視庁鑑定課所属!今は大分ギルドで鑑定してるぜぇ!分からない物はじゃんじゃん持って来いよー。」


「高槻製薬所属の斎藤です。元は大学でカーボンナノチューブを研究してましたが縁あって今は高槻製薬にいます。神志那さん風に分かりやすく言うとドッグタグ作った人です。よろしくお願いします。」


「お2人はメンサ会員でもあるので頭いいでーす。分からない事は2人にコンタクト取って聞いて下さい。」


「本部長殿、それは丸投げなのでは?拙者としては本部長殿に手取り足取り魔法を教えて欲しいのでござるが・・・。」


「藤くんは魔法の渡し方頑張って!作成込なら既に出来るでしょう?別に魔法だけで成立させなくていいんだから。今回はこのメンバーで配信しまーす。では、歩きながら話しましょう。最初にここどこ?って疑問があると思いますが、簡単に言うとソーツが作った物の内部です。普段は見えないかもしれませんが、これが箱を運んでいます。所々にあるライトは勝手に付けたもので本来は真っ暗です。」


「いや、最初は困りました・・・。ヘッドライトはいいけど発電機の固定処理とか照明の固定処理とか、依頼先なくって遥さんに頼み込みましたよ。」


「遥っちは頑張った!クロニャンもちゃんと褒めるんだぞ?依頼受けて最初は『えっ・・・、何処を固定すればいいの?発電機って動いてるよね?』って狼狽えてたし。」


「確かに遥殿にはお世話になったでござるな。主に作業服やら手袋作ってもらったり、補修パーツに一部繊維を使おうと強度を増した物を使ってもらったり。」


「確かに縁の下の力持ちでしたね。宇宙服作る依頼受けるのにこちらからも色々お願いして・・・、あっ!ギルドにある硬度照射装置は私が作ったんで改善提案集めたらお願いします!」


 広い空間でコツコツと響くはずの足音よりも、話し声の方が響き若干反響して聞こえる。向かっているのはメインコア接続場所。見つけた時はポロッと取れたので単純に嵌め込めばいいだろう。しかし、発見前ってどう固定してたんだろう?無理やり引っ剥がした訳でもないんだが・・・。


 そんな事を考えて黙ってしまった横で話に花が咲いている。藤の嫁、今回はリンドウが後ろ歩きで撮影しているが、感覚としては藤の視界を共有しているのでコケる事はなさそうだ。


 他の嫁や人形達も外作業は中止して内部に入って来ている。一応何事もないと思うが、あった際は何が起こるか分からないので措置としては間違いないだろう。


「さてソーツですが基本的に彼等は不干渉です。なので罵倒しようがコケにしようが構いません。ただ、重大なエラーが発生すると来るそうなので気を付ける事。このエラーとはモンスターを作ろうとしたりする事です。


 まぁ、余程のバカでもない限り制御出来ないモンスターを討伐こそすれ、作り出そうとは思わないでしょう。彼等はパクリを嫌うので気をつけて下さい。特にモンスター持ち出しは過去のアーカイブにあるガーディアンが飛んできて辺りごと壊滅させます。


 それ以外は交渉権を持つ人が呼び掛けて交渉する事になりますが、交渉材料も何もないので期待しない事。最悪重大なエラーに抵触すると警告なしに全てのゲートでスタンピードが発生するかもしれません。確かに警告はしましたよ?再度言いますバカはするな。人を巻き込むな。人類滅亡の引き金に遊び半分で指をかけるな。」


 強めの口調で言ったが伝わっただろうか?必要なら補強して更に伝わりやすくしないといけないが、俺自身もエラーを起こしていないので分からない。仮に匙加減を聞かれても判定出来ないんだよな・・・。武器の改造もOK、設計図を元に物を作るのもOK。なら、それを応用するのは?問題点は対話出来るか否か辺りだとは思うがどうだろう?


(そこんとこどうなのお二人さん?)


(基準は設計図かしらね、対話しないなら物品よ?)


(だろうね。渡したモノは理解できる範囲だとして、そこから沿って作るなら少なくともエラーではない。発展させるのは知性あるモノの習性だし自分なりにカスタマイズだからね。ただ、君の言う通り対話出来るものは意味を得る可能性がある。廃棄品もそれに該当するから駄目だね。さっさと壊す事を推奨するよ。)


(それって俺良かったの?バイトを弄くり回したけど。)


 有無を言わせず犬にしたしなぁ・・・。いや、魔女達がいるから推定無罪。寧ろ警告がないから無罪!犬もなんか楽しんでると言うか、にゃん太とうろうろしてるから多分楽しんでるはず!最近何故かにゃん太に対して尊敬の眼差しが増えたんよなぁ。俺に対しては相変わらずだが・・・。まぁ、犬なので上下関係を大切にするんだろう。群れるものだし。


「先生ー!質問でござる。そのソーツとやらはどんな姿でござるか?」


「はい藤くん、いい質問ですね。そもそもソーツとは私が勝手に付けた名前で本名ではありません。本名は別にありますが長いので割愛します。肉体は多分ありませんね。宇宙に行くと邪魔だそうです。」


「それでも話せたのかにゃ?寧ろよく言葉が分かったにゃ。何気にクロニャンには驚くべき秘密が!」


「秘密はないですよ神志那さん。単純にあちらがこちらの言語を理解しただけです。実際入って出会って?すぐに日本語を理解して対話出来ました。まぁ、コチラは口で話してましたけど相手はもしかしたら脳に直接!って事だったかも知れません。第三者がいないのでそこは謎ですね。」


「図太いと言うかよく話す気になりましたね・・・。」


「話すと言うか、職にも就かずに進んでモンスターに追いかけられた末の出来事です。いやぁ、あの時は死んだと思いましたね。モンスターは上にいる三つ目の奴でしたが、槍をギリギリ箱で防御しようとした時に対話になりました。」


 本当にあの時は死ぬかと思った。寧ろ入った時点で話しかけてこいよ!聞く耳はあるんだからさ。まぁ、話しかけられても異常事態だからまともに話せるかは別か。ある程度探索している間に落ち着いてきたし。しかし、あの時俺が死んでいたら別の誰かを選んでいたのだろうか?


 後々考えるとソーツとしては、自身の手で何かを壊したり殺したりする事を嫌がっている様に思う。それは廃棄品と言えどモンスターを手に掛けないように。う〜ん・・・、作る事が意味なら真反対の事をしたくないとか?底の方にいるモノは掃除機代わりの何かを作ろうとして失敗してるっぽいし忌避感があっても仕方がない。ただ、魔女達も嫌がるので怖いと言えば怖いな・・・。


 ただそこまで行くとスタンピードでも出て来ないのではないだろうか?侵略に値しない星で、手の付けられないモノが出現するとか怖すぎるだろう。停止させたり破壊する手立てがあるならいいが、彼奴等不干渉だしな・・・。そもそも魔女達とは話すけど彼奴等とは最初に出会ってそれっきりだし・・・。


「なら、クロエさんの知識のベースはそこらなんですね。」


「いや、ソーツは話すだけ話した後どっかに行った?ので基本はトライ・アンド・エラーです。私の最初の魔法なんてライターが切れてタバコに火を着けたものでしたし、こんな風に。」


 指輪から一本取り出しそのまま口へ。咥えて吸えば火が着き煙が立ち昇る。ヤバっ!ついつい話の流れで吸ったけど煙たくないかな?一応ここ広いけど室内だし。


「煙たくないですか?煙たかったらすぐ消します。」


「いいよいいよ、その煙がクロニャンの魔法の材料ならあった方が安全だし。なにもないと思うけど、何かあったら対処よろしゅうに〜。」


 他の2人もいいと言うのでそのまま一本吸ってキセルへ。感覚的にはキセルの方が煙たくないらしい。まぁ、本当に何かが燃えているわけでもないし、この煙は可視化されたコードなので多分大丈夫。そう言えば対話部分で話してない事もあったな。


「基本的に宇宙人は言語ではなくて光や色で話すようです。今キセルから出てる煙も色々と色を変えられますし、これから取り出すものもピカピカ光っていますが、その点滅が言語です。


 シャコとかなら読み取れるかもしれませんね。目がいいんで。まぁ、それ以上の情報が入ってるので、現状は51階層に行くか中位に至って下さい。ソーツに会いたくて宇宙に行って日本語で叫んでも多分伝わりませんし、真空なのでそもそも音が響かないです。」


  挿絵(By みてみん)


 そうこうしている内にメインコアがあった所に到着。一応ここが輸送機の脳になるので補修されて頑丈そうである。指輪からメインコアを取り出すと『戻して』と言っているのでさっさと戻そう。ただ、戻しても壊れたままなので再度『修理して』と言い出すだろうな。


「最終確認ですが、補修率ってどんな感じです?」


「原型が分からないのでなんとも言えないですが、ユニット毎に考えると80%と言ったところでしょうか?自動修復ユニットは組み込みましたが断線状態、浮遊ユニットと思しき部分はパージ中。船体に至ってはまだまだ剥がれた装甲何かがあります。


 これで飛べと言われたら、私はパラシュートと宇宙服を装備して死を覚悟しますね。まぁ、ゲート内を飛ぶので宇宙服はいらないでしょうが、仮に飛んで高度が上がったらお願いします。」


「了解しました。他の2人も今からセットするよ〜。何もなかったら取り外して終了でいいね?」


 煙を吐きながら聞くが神志那は首を縦に振り、藤は元々どちらでも良かったのか特に考えることもなくOKした。さて、では台座に嵌めるか。嵌めたからと言って劇的な変化はないが、コアから流れてくる言葉は自身の船体を探るようなものばかり。


『損傷・・・、飛行不可能。各ユニットが接続されていません。

 接続して下さい。


 破損状況・・・、現在確認できる限りで大破。

 修理して下さい


 修理に必要なユニット検索・・・、周辺に確認。

 物理接続が解除されています接続して下さい・・・。』


「ピカピカ光ってるけどなにか言ってるのかにゃ?触っていい?」


「破損状況の確認をしてますね。必要なモノがなくて修理してとか接続してとか言っています。触るのは・・・、やめた方がいいかもですね。」


「これで言語・・・、確かにシャコならと言うのは分かりますね。分析出来ないか色々試しましたが対話表がないと厳しい・・・。実際ソーツと言うのは目に該当する・・・、いや感覚器官そのものが無いのにこれを感じ取っている。なら、人が考える以外のコミュニケーション方式でないと・・・。」


「確かに直して〜、繋げて〜でござるな。」


「まぁ、元々ボロボロでしたからね。多少修理したとしてもコアからすれば100%には程遠いのでしょう。物理的なパージもしてますし。」


『外部遠隔操作ユニット・・・、損傷なし。


 墜落経緯を参照。参照完了。修理ドックへの帰還を提案。


 方法を算出。算出された提案を受諾。


 内部スキャンにりより不明な個体を確認。


 危険度:不明。思念制作群体へアクセス。


 廃棄品に該当なし。交渉権保有者を確認。


 内部に無垢なるコードを確認。使用を実行。』


 凄い早口で独り言を話している・・・。藤ならある程度分かるが神志那と斎藤は無理だろう。そんな神志那が触りたさそうに手を伸ばしては引っ込めているが、理解出来る様になったとしても今はPCのセットアップ画面を早口で読んでいるようなものだぞ?ただ、無垢なるコードってなんぞ?使うらしいが燃料の残りとかだろうか?


 いや、前に液化クリスタルは詰め込んであるって言ってたから多分それの事だろう。燃料使って外部遠隔操作ユニットを操作でもする・・・、ヤバいやん!


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[一言] 不自由っちって誰?藤? ドックが有るのか 帰還しちゃう? まあドックが向かって来る可能性もあるか ガ◯ダムシリーズのラビアンローズとかハーロックのデスシャドウ島よろしく
[一言] 世界中のシャコ研究者が各国諜報機関から拉致監禁されて、ひたすらシャコが宇宙人の言語を理解できるのかを調べさせられそう・・追試は科学における基本やからね・・・
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