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街中ダンジョン  作者: フィノ
315/847

247話 プロローグの昼間 挿絵あり

忙しくて短いです

 妻と軽く飲み終わる頃に息子も帰ってきてまったりと過ごして就寝。ベッドの中で考えるのは明日の段取りだが緊張するのは挨拶くらいか?テープカットとか市長と会談とかはそこまで緊張する事は・・・、テープが切れなかったらどうしよう?無理矢理引きちぎる?別のハサミ持ってきてもらう?いや、先に切ってバレないように持っておく?


「眠れないの?」


「いや・・・。」


「ふふ・・・、緊張する所は変わらないわね。いつもそう、長年働いた会社で毎月やる朝礼挨拶の前日も何時もよりソワソワしてた。」


「苦手なものは苦手なんだ。後悔はないけどこの身体になって余計目立つからどうもね。」


「なら今晩は抱きしめて寝てあげよう!」


「単純に抱き枕にしたいだけだろ?」


「バレたか・・・、おいで~。」


 おいでと言う割りには妻の方から寄って来て抱きしめられる。夜はまだ少し寒いので肌の温もりが暖かく、不安が溶かされていくように思う。大丈夫、帰って来たんだ。結局の所世界が滅びるか死ぬまで朝日は登るし明日は来る。なら、大丈夫だろう。


「貴方朝よ〜。」


「後300秒・・・。」


  挿絵(By みてみん)


 そんな夜を過ごし到頭稼働日である。ただ、そんなにやる事はないので朝からシャワーを浴びてスッキリし、適当な服に着替えて妻が作った朝食を食べる。今日はトーストか、目玉焼きとウインナーにサラダがあるのでラピュタパンでも作って食べるか。トーストにマヨネーズを塗り適当にサラダとウインナーを半分に切って乗せて、最後に塩コショウを振った目玉焼きを乗せて完成。このまま食べると黄身が溢れるので先に口づけして吸ってから食べると手も汚れずに済む。


 那由多は相変わらず朝練があると先に出たので妻と2人で食べていると、望田がお風呂を借りに来たので使ってもらう。妻が朝食の事を聞いていたが既に離れで作って食べてしまったようだ。にゃん太が足に擦りよりちゅーるをねだるがあげない代わりに膝の上に乗せて肉球をぷにぷにする。そんなにゃん太の後をバイトが付いて歩くがお前は子猫ではないんだぞ?


「シャワーありがとうございます。9時頃出発して10時から落成式、その後13時から本格稼働ですね。昨日千代田さんからメールが来てましたが既に依頼やらライセンスの申請やらが山のようにあるそうです・・・。」


「初日から飛ばし過ぎ・・・。その場で発行できるけど、こっちにいない人は郵送になるし届くまでには時間かかるから、最寄りの警察署でやればいいのに・・・。」


「ライセンスっていつまでに取ればいいの?取ってくれって言われたけど具体的な説明ってやってたかしら?」


「既にスィーパーの人は基本的には半年以内。新しく職に就く人は順次かな。本来は5階層までの走破と簡単な法律の説明がある。ただ、新しくなる人より既にスィーパーの人の方が多いから今の所は大規模説明会と冊子を配るにとどめてるよ。本格的な告知は今朝からコマーシャル流すって。」


 政府のHPでの告知は結構前からやっているので知ってる人は知っている感じ。体制的にまだ手の届かない所もあるが、ギルドの早期稼働要望が多くそうなってしまった。法律系は今の所弁護士や行政書士も手探りでなので確実なのは警察に聞く事だ。


 ギルドで働く法律系に強いスタッフは各県の警察署にいるのだが、警察に電話する事そのものに抵抗があるのか、当初の予定よりも問い合わせは少ないらしい。そのうちゲート専門の法律事務所とか出てくればこれも楽になるかな?


「へ〜、最近テレビ見るのって救護所くらいだったから知らなかったわ。さてと、食ベ終わったら一服するんでしょ?洗い物は私がするから着替えておめかししちゃって。メイクはたしなみだからね?」


「残念な事に化粧はすぐ落ちる、すっぴんで行くよ。」


「あっ、着るの手伝いますね。」


  挿絵(By みてみん)


 一服して遥お手製のドレスに袖を通すがギルドで着替えた方が良かったかな?シワになると言う事はないし動きづらくもないが、普段着ではないのでどうも気を使う。準備も終わり3人でギルドに向かうと既に道路は混雑しているが、時間的には大丈夫そうだな。東京の時のように飛ぶ事もないだろう。


 ギルドに着くと既にロビーは開放され関係者が中をウロウロしているのが見える。なんか薄汚れた青山が受付に並んでいるが何してるんだろう?仕事と呼べる仕事はないはずだが?注目されるのは苦手だが裏口から入るわけにもいかずそのまま車を降りて正面から入る。うっ・・・、相変わらず注目されるな・・・。


「クロエさんおはようございます。あの青年は関係者ですか?朝からずっとあそこを陣取ってるんですが。」


「おはようございます伊月さん。関係者と言うか青山 空です。ほら、大会の時に辞退した。見てませんでした?」


「あぁ・・・、無精髭となんか薄汚れてたんで気づかんかったな。で、何か依頼でもしてたんですか?」


「いやぁ・・・、私からは何も。強いて言うなら立ち上げを手伝ってくれとは言いましたが。」


 そんな話をしている横で望田が青山に近付いていき何か話し合うと、なにやらまた這いつくばっている。結構人がいてガチで不審者扱いするしかなくなるのでやめてくれないかな?したかたない、疲れる予感しかしないが話してくるか・・・。


「大丈夫?青山さん変わってないんでしょ?」


「変わってなくておかしさが増したけどどうにか?多分俺が話さないと収集がつかないと思う。」


 妻と話して青山の元へ。妻も稼働準備で医務室の方へ向かうそうだ。昼からギルド内でゲートも稼働するので、最近稼いでなかった人がどんどん入って怪我して帰って来る事も考えられる。なので準備は念入りにしたいそうだ。俺の方も多少の打ち合わせがあるのでさっさと済ませよう。


「どうしました青山さん?」


「あぁ、ファーストさん!ライセンス1号を素早く受け取る為、数日前からギルド周辺で寝泊まりしてたんですが先ほど望田さんから汚いからクロエに近寄るなと言われました。大丈夫ですよね?汚いから1号取り消しとかないですよね!?」


 ・・・、取り消してやりてぇ・・・。普通に家に・・・、引き払ったらしいからさっさとアパートでも契約してせめて人間らしく生きろよ・・・。盲目的とも言えるが受付の人に話を聞くと割とこっちでも評価が高いのが腹立たしい。まぁ、元々こっちで名の売れたスィーパーだったのでその評価がわからなくもないのだが。


「取り消しませんよ。仕事には報酬を、内容には評価を、約束には誠意を。1号認定はしますがせめて髭を剃って身嗜みを整えなさい。見苦しいですし、貴方も一応出席者でしょう?地下に温泉があるので入ってきなさい。」


 そう言うと青山は脱兎の如く階段に向かって走り出した。よし、これで多少の時間稼ぎはできる。しかしなんで奉公される側が奉公してる気分になるんだろうか・・・。


 そんな事を考えながら市長やら市議会議員やらと打ち合わせを行い望田と青山も含めて落成式を開催し、テープカットしたりくす玉割ったり地域の子ども達が描いた絵を紹介されたり、ジョージからの祝電披露があったりと式次第は進んでいく。海辺で遮蔽物もないが今日は風も穏やかで良かった。天候が悪ければギルドロビーで行う予定だったが、今日は外で行っている。そして到頭挨拶が来てしまった・・・。まぁ、長々としなくていいだろう。この後稼働して更に疲れる事になるんだし。


「本日はこの様な式典を開いていただき大変有り難うございます。思えば一昨年に出現したゲートにより様々な事が変わっていっています。その変化点の中で様々な問題を解決し、対スタンピードにおける安全装置として九州第5特別特定害獣対策本部、通称ギルドを本日から稼働させます!乾杯!」


 乾杯とみんなで盃を掲げて口を湿らす程度にのみとどめ拍手。ようやくここまで来た。そう思いながら来賓者と話しそのまま業務へ。帰りが遅くなりそうなので駐輪場にバイクを置いておけば妻には俺がいる事が分かるだろう。


 既にギルマスルームの机には大量の書類が!はえある1号の書類は青山からのライセンス申請書。備考に週一回デートを追加してほしいと権限向上を訴えているが却下だ!


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― 新着の感想 ―
[一言] まあ特殊なプレイも、実際は女王様の方が豚に奉仕しているんだと言いますし…
[一言] >望田がお風呂を借りに来た 那由多に対するトラップは続く 対人の気配察知とか鍛えられるな 講習会メンバーだしモッチーはアスリート系スタイルの美人なお姉さんか というか見た目は那由多にとってハ…
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