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街中ダンジョン  作者: フィノ
314/849

プロローグ1日前 挿絵あり

忙しくて短いです


本来ならプロローグの昼まで進むつもりが・・・

「こちら現場の東海林です!ファーストさんを乗せた飛行機が着陸し今降り立ちました!故郷と言う事で詰め掛けた報道陣やファンの方が凄いでーす!」


  挿絵(By みてみん)


「東海林さん、ご本人さんにインタビュー出来ればお願いします。今の所他の局や取材陣からのインタビューは拒否されていて、貴女しか出来ません!」


「名刺を掲げて頑張ってみまーす!」


 大分の空港は市内から離れたかなり辺鄙なところにある。街から行くにも高速バスで1〜2時間はかかるし、名所とするにしても桜がきれいな事くらい。ちょうど今の時期は桜が満開で見る分には綺麗だ。ただ、そんな風情を楽しむくらいしかない空港にも詰め掛けた報道陣と、静止する雑踏と警備員の間をそそくさと通り過ぎる。


 不気味とでも言えばいいのか、インタビュアーを限定したのでマイクを向けられる事はないが写真や動画は撮られている。気分は動物園のパンダだが、生憎と今日の服は白多めなので動物に例えるとシロクマとか?そこまで大きくはないが・・・。


「どうします?このまま帰ってもいいですが家の場所バレますよね?」


「芸能人って戸建ての持ち家だとどうしてるんだろうね?バレても敷地内に侵入する事はないと思うけどどうなんだろう?敷地外からの撮影は盗撮だし大丈夫なのかな?」


 望田もうちの離れに間借りしているので、行き先は同じだがどうなのだろう?ついでに言えば追っかけに来たのか先に現地入りした東海林の姿も見える。取り敢えずロビーから出ようと正面へ向かっていると警備員が先導してくれたのでそれについていく。


「クロエさんこっちこっち。」


「ん?あぁ、伊月さんに柊さん。今日は先導してもらえるんですか?」


「その予定なんだがな、マスコミがこうも多くちゃかなわん。」


「お久しぶりです。行き先は本部庁舎と家のどちらに向かいます?一応の家の周りは巡回回数を増やして不審者に対応する予定です。」


「はじめまして望田です。要人警護をしていたので地形やルートは任せますが、現状での不安要素ってあります?」


「俺が聞かされてる限りはない。強いて言うなら家が公に分かればイタズラ目的や野次馬が増えるくらいだな。それを防ぐ為に巡回を増やした。どちらにせよある程度の大名行列は覚悟してくれ。送り出した娘が錦を飾って帰っていたんだ。VIP扱いで人も増えるさ。」


「送り出したというより連れ去られて家族と引き離されたんですけどね。どのみち明日早くから落成式の準備をするので今日は家へ帰ります。明日は特に迎え等はいりませんので。あと、東海林と言う私の名刺を持った記者がいるのでインタビューは明日にでもと出来れば伝えて下さい。」


 行き先も決まりパトカーの先導で俺が望田の車を運転して高速に乗り家へ。何台か報道もついてきていたが、パトカーが途中でしてとうせんぼしたりして巻いてくれた。まぁ、そのうち家もバレるだろう。今は生け垣だがもっと高い塀やら門もつけるかなぁ・・・。畑も潰して芝生にしたりすればBBQも今よりやりやすくなるし。


 一応の妻の契約した公安だろう警備会社の人も、何かあれば駆け付けるようになっているので毎度煙の中の我が家にしなくていいだろうが、洗濯物を外に干していいかは迷うな。俺のは別に見られてもいいけど妻のは嫌だ。乾燥機も買い足さないといけないか・・・。


「何だか新鮮ですね、何時も私が運転してたので。足届きます?」


「怖い話をすると席を一番前にやったうえで踏む時は更に身体を沈めてる。魔法使っていい?身体使ってやるより安全なんだけど。」


「安全運転!足届かないのも怖いですけど前見えないのも怖いです!運転変わります?」


「嫌、運転好きだし。」


 そんな話をしながらパトカーも柊が運転するだけのものになった頃ようやく家についた。今回は帰省ではなく帰還である!完全とは言わないがようやく日常が返ってくる。残念な事に妻は仕事で出ているし息子もいないが帰ってこれた!どこからか出たにゃん太が庭に背中をゴリゴリこすりつけてマーキングしている姿を久々に見た。そんなにゃん太は俺に気づくとすり寄ってくる。


「ただいまにゃん太。出迎えご苦労、後でちゅーるを進呈しよう。」


「にゃん太ちゃん、新しく住む望田です。よろしくねって逃げていく〜・・・。」


「アイツは気分屋だからね。多分ちゅーる欲しさに家に入ろうとしてるんだろ。そう言えば離れの鍵はもらってる?」


「ええ、莉菜さんから借りてます。先に整理してから母屋にお伺いしますね。」


「分かった。手伝いが必要な時は言って、キッチン以外の水場がないから後でコインランドリーとかスーパー、近場の温泉なんかを案内するよ。もちろんウチで入っても構わない。ただ、今はいないけど風呂場で息子と鉢合わせしないように注意してね。100均で入浴中のプレートも買わないといけないな。」


「ありがとうございます。一先ず整理してからですね。」


 そう言って離れに入っていく望田を見送り俺も母家へ。玄関を開けるとにゃん太が駆け込み餌入れの前で早速待機している。戸棚からちゅーるを取り出しあげる前にバイトを紹介しておくか。


「にゃん太ちょっと待ちなさい。バイトを紹介します。」


「にゃ〜。」


「ほらバイト、この子がにゃん太だ。」


 指輪から出たバイトはにゃん太よりもかなり大きいが、年の功かにゃん太は動じずにバイトを見ている。そう言えばバイトの家はどうするかな?放し飼いはまずそうだし、ゲート放置でも室内犬でもいいが住む所はいるよな?あと、不自然に思われないように散歩とかも。行く所が増えるが数日間は忙しいし・・・、落ち着いてからでいいか。


 そんな事を考えながら餌入れにちゅーるを入れるとにゃん太が食べだしたが、それを間近で見ようとしたのかバイトが顔を近づけるとすかさず猫パンチで鼻の頭を殴っている。多分爪をたててもバイトは傷つかないだろう。寧ろ野生の勘があるはずのにゃん太がバイトをバシバシ殴りながらちゅーるを舐めている方が面白い。


 にゃん太の格付けとしてはバイトは自分の下になったようだ。そんなにゃん太は食べ終わるとさっさと縁側に行って伸びを一つすると日向ぼっこしだした。バイト、俺を2度見しても何もでらんぞ?そもそもお前、餌があってもなくても変わらないじゃん。


「さてと、俺も明日の準備をするかな。」


 荷解きと言うほど荷物はなく割と直ぐ終わってソファーでグテ〜っとしていると望田が来たので必要な店を回り買い足す物も買い足していたらいい時間になった。家に帰ると先に妻が帰っていたのか明かりがついていたので入ると、義娘候補の千尋ちゃんがお出迎えしてくれた。玄関先では何なので居間で望田の事を息子を含めて2人に紹介していると妻が手料理を持って現れそのまま夕食。前に指輪に収納した鳥は大丈夫なようでそのまま酒の摘みとして食べた。


「明日は早いの?私は昼からだけど。」


「予定としては10時から落成式で昼から本格的に開放予定。混むのが嫌なら11時頃に来れば車は少ないかも?逆に一緒に出るならギルドの中でゆっくりしてていいよ。」


「なら一緒にでようかしら。施設の準備はできてるけど足りない物ないかチェックもしたいし。」


「なぁ父さん。あの服って明日着るやつ?」


「聞くなバカ。・・・、あのゴスゴスでロリロリでフリフリな服を・・・。明日着るんだよ・・・。」


「心中お察しします司さん。」


「ツカサに対して父さん・・・、改めて聞くと凄いパワーワードですね。」


「いや望田さん。俺としても違和感なくして納得するのにかなり葛藤があったから蒸し返さないでくれ。」


「そうだな、父と呼んでくれたお礼に一緒に風呂でも入りに行くか?」


「からかわないでくれ。俺が捕まるし家族風呂なら1人で大浴場に入る!」


「那由多、間違いは起こすなよ?間違わないなら私は一緒に入っても大丈夫だ。」


「千尋も暴走しないでくれ・・・。」


「最近の若い子はパワフルですね・・・。」


 誰からともなく笑いが漏れ、久々の我が家は明るく落ち着いて楽しめる。別にホテルがくつろげないわけではないが、それでもやはり知った人と自分の城で楽しむ方が心は豊かだ。


 そんな夕食を済まし那由多は千尋ちゃんを送って行くと家を出て、望田も離に戻ると言うので一緒に出て外で一服。風もなく静かな夜だが、何処か高揚した気分は止まらない。それは多分、目標を達成したから。長い長い道の果てに辿り着いた場所には家族があり笑顔があった。なら、それを守る為に全力を尽くそう。


「司〜、そろそろ入らないの?寒いわよ〜。」


「今入る。今は2人だし少し一緒に飲まないか?」


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― 新着の感想 ―
[一言] 那由多とモッチーが風呂場で遭遇は確かに色々大事件ではあるね 思春期入ってからの他所のお姉さんの裸は初体験?
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