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街中ダンジョン  作者: フィノ
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225話 プロローグの少し前 挿絵あり

「リー・フェイシャン少尉!リー・フェイシャン少尉はあるか!」


「ここに。如何なさいましたリュウ上尉。なにか問題が発生しましたか?対外的なリー・フェイシャンと言う人物の披露は各国に通達が終了し以後はその人物がリーと言う人物を演じる予定です。それにこれより私はゲートに入り中位量産計画を進める予定となっています。ゲート外ではその名を呼ぶのは差し控えた方がよろしいかと。」


  挿絵(By みてみん)


「私より上からの呼び出しだ。日本の大会以降、公開された中位達の文章の事で聞きたい事があるそうだ。私も内容は何度も読んだがアレに間違いはないか?」


「はっ!それぞれの職に就く者の意見の1つと捉え、総括的に見ればあの文書は間違いありません。事実私もこれを元に計画を進めています。」


「分かった。以後は上官と話せ。」


 父の祖先は遊牧民で古くは馬に乗り敵を倒していたという。母の祖先は武官で古くは赤壁を戦ったらしい。そして私はそんな2人から生まれた。祖先は関係ない。両親は2人共会社勤めをする人であった。一人っ子政策のおかげで不自由なく大学を出て軍に入り地位を得た。回される仕事には不満があり広報系のものが多かったが、それでも祖国の為に銃を取り戦場に出る準備を進めた。


 この国は色々と問題を抱えている。しかし、それでも祖国であり軍属である以上その問題をどうにかしなければならない。転機は訪れている。男女の問題はなくなり私も今は上官にモノを言えるようになった。私が中位へと至ったのは米国スタンピードの数ヶ月前、丁度米国の中位が誕生した頃だろうか。至った後はすぐに経緯を聞かれ中位量産計画が発令され、私はそこの責任者となった。私が至るにしても血の道程を歩んだが、計画の中でもそれは変わらない。ゲートに支払う血は多くあり支払うからには結果を出す。


 事実、計画を進め2人ほど至った。情報は閉鎖され今回公開されたのは他国への牽制と国民に対するガス抜きという面が多い。私の名で送られた書類の写真は全くの別人で至った片方の写真だ。同姓同名となるが構わない。この国の人民は多いのだから、その程度の事でなにか起こる訳でもない。そもそも、私は計画を進める為に殆どゲートから出る事はなくなる。あの薄暗い場所で寝泊まりし、食事もゲート内の物となるだろう。


「リー少尉。座りたまえ。」


 中央に置かれた椅子の前には3人の少将にスーツを着た役人。手元には資料が置かれ中央の少将以外はそれに目を落としている。私の手元にその資料はないが、これから話される為の資料であろう。中位量産計画の予定変更はないと思う。結果が出ている以上計画変更する必要性はない。敬礼をし椅子に着く。


「少尉。君は語学堪能で且つ、拡張へと至っていたね?」


「はっ!第2職としてサバイバーを有しています。」


 日本の中位と私は違う。米国の映像で確認したがあそこまで出鱈目ではない。どちらかと言えば私の方向性は変化と抵抗であり、制御方面はニュアンス程度に使うくらだ。そもそも自身を律しているのに制御する必要性はない。そして、あそこまで人外になったなら、必要なのはその姿から脱却し元に戻る抵抗だろう。


「よろしい・・・。これは次の命令書だ。本日付で即時任務に従事し感づかれる事なく情報を流せ。」


 手渡された書類に目を通す。中身には1枚の写真と任務の内容。中位量産計画は他2人に引き継ぎ私は潜入任務につくらしい。ターゲットは写真の青年・・・、工藤 結城。初めて聞く名だが文書を読んでいく内に理解した。この人物はファーストの息子とされる人物の古くからの友人であるらしい。その友人である工藤に近付きファーストの情報を流すのが任務の内容。


 どういう訳か・・・。いや、日本政府の手回しなのだろうがファーストと言う人物は我が国やその周辺にいい印象を持っていないようで接触等も行えていない。事の発端が日本のスタンピード発生時の行動にあるにしてもガードが硬すぎる。しかし中位が誕生し量産計画を行うさなかにこの任務は必要なのだろうか?確かにスタンピードは脅威であり、米国の次にどこで何時発生するかも分からない。


 だが、計画は順調でこのまま行けば年内には更に数名は至ると思われる。中位の数を揃えれば如何に脅威と言えど対処出来ない言われはない。だが、この任務が下されたと言う事は・・・。


「少将閣下、質問の許可を。」


「許可する、言いたまえ。」


「はっ!作戦の目的としてファーストと懇意になる事は含まれますか?」


「その点は現地に入る君の状況判断に任せる。目標としては対象を通じてのファーストの観察及び行動基準の洗い出し。可能ならば教えを請い中位から先に駒を進める方法を探れ。現段階ではEXTRAの職に就くのはファースト1人。そこまで上り詰めろとは言わないが、駒を進める手立てがあるなら話は別だ。任務期限はないが勘付かれれば撤退とし、それが任務終了となる。」


 上位・・・、中位の先か・・・。気の早い話だが目を逸らす訳にもいかない。要は撤退までの期間のない潜入スパイ。向こうでの名前は時枝 加奈子となる。年齢17歳・・・、父の転勤に伴い対象の通う学校に転校・・・、転校前は北海道に在住・・・、父親役とは現地で合流する予定で、その人物は基本的に私の行動に制限を設けない。基本的と言うのは公の場では父と娘になるので、その場面の事を指すのだろう。収集した情報もこの人物が本国に流す予定なので、信用のおける人物だと思う。


 回りくどいやり口だがアンテナ組織が着々と東京を始めとして潰されているので、こういった事も必要となると言う事か・・・。しかし、少し前にファーストクローン化計画も発令されていたはずだが、そちらの進捗はどうなのだろう?仮にファーストのクローンを作ったとしてもEXTRAになるとは限らない。露との共同研究を進める中で分かった事実から推測するに職は個人に宿り子に特徴が引き継がれる可能性は低いとされた。


 但し、スィーパーの子供が職に就ける年齢ではないので、就ける職として何が選ばれるかは分からない。だが、適性と言う言葉を考えるにある程度の方向付けは可能なのではないかとされている。もっともEXTRAの適性と言われても何が必要とされるのかは分からない。多分、私の行う活動はこの適性の部分からEXTRAを発生させる為のモノも含まれるのだろう。


「息子の方にアプローチをかけた方が早いのでは?男児ならば籠絡する手管がない訳ではないですが。」


「無理だな。現状息子は公安の警護が秘密裏に付き想い人もある。活動が暴露した場合、関係修復に多大な労力を必要とし心象は地に落ちるだろう。先ずは外から攻め踏み込める用意が整ったなら踏み込めばいい。事を急ぐ必要性はない、必要なのは継続して情報収集できる基盤だ。その為に現状最も適任であろう君に白羽の矢が立った。拡張ならば姿は変えられるだろう?」


「可能です。この時枝と言う人物の戸籍等はしっかりと用意され、バックストーリーもあるものと?」


「それについて心配はいらない。アンテナ組織であったホングヌスは壊滅したが、それでも全ての構成員が拘束された訳ではない。補充として送った数名が潜伏中に事が起こった為、難を逃れて現在も潜伏中だ。友人知人としてコレの名を挙げればいい。但し、不用意な接触は控えろ。どちらかが拘束された場合そこから情報が漏れる。特に橘 亮二。コレの前には絶対に姿を出すな。鑑定されれば即時撤退としていい。こちらの情報を渡してはならない。」


 鑑定術師か。精度は不明、現在の所在も不明。警戒レベルは高い。仮に中位とバレるならこの人物からと言う可能性が高い。ファーストが私に気付くと言う線は最初から考慮しない。仮に初対面で気付かれたなら全てを投げ出して撤退するだけだ。ただ、彼女は鑑定師ではないので、態度にさえ違和感を持たれなければ大丈夫だろう。しかし、日本の高校生か・・・。対象に近付く為には最適だと思うが私の年齢はとうにそれは過ぎている。


「了解しました。即時発令とありますが準備期間は用意されていますか?」


「今から約半月程度。日本の春休み明けに対象と同じクラスに転入する様手はずは整えてある。ファーストについては遅くとも5月までには対象の家の近くに帰還するとの情報があるので、本格的な活動はそれからとなる。」


 ・・・、4月に転入し5月辺りまでに対象にいい心象を持たせ、そこからファーストの情報を引き出せる立場になる・・・。私は対象の高校の屋上にパラシュート降下でもした方がいいのだろうか?馬乗りになる様に心がけながら。いや、期間がないのなら急ぐ必要はない。今年で近付き来年以降はギルドに登録しスィーパーとして活動すれば近付く道もあるだろう。長い任務になりそうだ・・・。



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「「ジャンケンポン!あいこでしょ!しょっしょのしょ!」」


「何と言うか皆さん気合入ってますね。」


「政府の人間が見たら怒りそうだけどね。」


 ちょっと暖かくなった3月の中旬、久々に駐屯地に本部長達が集まってジャンケンをしている。ただ、人数分けもせずにやっているので中々結果が出ない。まぁ、いないメンバーもいるのでそこまで多くはないし、赤峰は井口の身を案じて今回のジャンケンは辞退した。何のジャンケンかって?ギルド研修に来る順番決めだよ!千代田からの話でおおよそ東京を離れる目処がたった。なので稼働後のギルドがどんな感じか、肌で感じる為に数名ずつローテーションで来て貰おうと前から考えていたが、それの順番を公平に決めている。


 本当なら次に建設が完了する東京近郊の本部長でも良かったのだが、建設完了自体が今年の9〜10月と言う事もあり、それなら誰が先でもいいじゃないのか?と言う話になったのだが、一向に決まらない。ジャンケンじゃなくてクジの方がよかったかな?最後の老婆心なら雄二と卓を先に連れて行ってもいいのだが、多分稼働直後は問題だらけで学ぶまでいかないだろう。


 那由多も来週辺りから春休みに入るし、望田の家探しもあるので頃合いを見て一旦帰ろうかな。一応千代田にお願いすれば望田の住む所は用意してもらえるのだが、これから長く住むなら自分で決めたいと言う要望で探している。ネットの物件情報を見ると昔よりも少し家賃が上がっていたり、辺鄙な所だったはずの家の周りが高級住宅地相当の値段になっていたりと、時代の流れを感じる・・・。畑していいのかな?


「カオリは住みたい所にこれないと駄目とかある?」


「う〜ん、特にはないですがSPも兼ねてるんで余り遠くだと駄目ですね。ただ、クロエの家の周りは殆ど入居者がいるんでアパートやマンションもなければ、戸建てに1人で住むのもなんだか違うような気がするんですよね・・・。」


「そこまでべったりじゃなくてもいい気がするけど?」


「いえいえ。エマとも約束しましたし、何かあった時に間に合わないのは嫌ですからね。ただ、日に日に物件がなくなっていく・・・。」


 仕事とは言えプライベートは必要だと思うんだが・・・。妻と電話で話したが家に防音処理がされたらしい。らしいと言うのは俺や妻からの要望ではなく政府からのオファー。情報漏洩が嫌らしく家の中でドラムを叩いても外に音漏れしないとか。古い日本家屋で冬場は隙間風は吹かないものの、割と寒かったがこれだけ防音されれば気密性がまして温かいだろう。そう言えば離れにもおんなじ処理をされたらしいので、ゲストハウスとして使える?


 離れ自体は風呂がないだけで普通にトイレも台所もある3DK。元々は前の家の人が両親用に建てて住んでいたらしいが、買った後は物置代わりに使っていた。本がね・・・、山程の本がね・・・、その離れの住人なんだよ。後は使わなくなった古いゲーム機とかデスクトップパソコンとかゲーセンで取ったぬいぐるみとかとか・・・。今なら指輪に収納出来るので、そうすれば人が住めるようにはなる。


「まぁ、ギリギリまで決まらないなら莉菜に聞くといい。」


「不動産屋の知り合いでもいるんですか?」


「ん〜、莉菜の交友関係は広いからなぁ・・・。多分地元に帰ったら更に増えてそう。まぁ、聞くだけ聞いてみたらってやつ。」


 後で望田から話が行ったら離れを貸していいよと連絡しとくかな。もしかしたら既に那由多が離れを占領しているかも知れないので、その時は諦めてもらおう。遥が家を出て部屋自体は余っているが母屋に住んでもらうのは気を使いそうだしね。俺の部屋は前帰った時は残ってたし、寝るのは妻と一緒でも自室でもいい。よくよく自室で本を読んで寝落ちしてたしなぁ。今だと寝落ちしても運ばれていって一緒に寝てそうではあるが・・・。


「ふふふ・・・!女運には定評のある夏目が勝利した!」


「いや・・・、あんた最近ずっとつけられてるじゃん。」


「やめろ裕子!凪夏の事は言うな。さり気なくアプローチかけた娘がいつの間にか凪夏とすり替わってたりするんだぞ!まぁ、それはそれで悪くはないんだが・・・。」


「年貢の納めどきか・・・、良かったな夏目。結婚も出来れば家族も養子を取れば増やし放題だぞ?」


「清水もやめてくれ・・・。私は自由に爛れた生活を送りたい・・・。可愛い娘達と毎日新たに出会いたい。」


 夏目が勝った様だが発言内容は人として駄目なものじゃないのか?ただ、そんな夏目の元を訪れる女性は多い。単純にお茶をして帰る人もいれば、夜の街に消えていく事もある。まぁ、個人の自由なのでいいのだが、夏目の話によると病気の母の為にいい回復薬が欲しいと言う依頼もあれば、単純に会って話してみたいと言う人もいるようだ。ただ後腐れなく付き合うのが上手いのか、それとも言うだけでそこまで深い仲の娘がいないのかは分からない。凪夏とか言う子は割と深い仲っぽいが・・・。


「兵藤さん夏目が人として駄目な事言ってますけどどうです?因みにハント率は5〜6割ありますよ?」


「熟練者に教えを請うのも1つの手・・・、とでも言うと思ったか小田!なんだ、もしかして羨ましそうに夏目を見る俺への・・・、焼きもちなのか?」


「いえ全く。単純なおちょくりたかっただけです。米国ではプレイボーイだったらしいじゃないですか。私は(・・)夏目と走り回ってましたけど?」


「いや・・・、俺も軍関系で・・・。」


 兵藤がゴニョゴニョ言い出したが、実際訓練したりしてたのであながち嘘ではない。ただ、たまにキャサリンとかミシェルとか言うのでそれなりにいい出会いはあったのだろう。ジョージやアライルは進展があれば喜びそうな話ではある。そんな喜びそうな話と言えば、神志那が生産者交流会のオブザーバーとなるらしい。と、言うのも払い下げられる出土品はいいのだが、払い下げられない出土品どうする?問題が発生しだした。


 場所そのものは指輪があるので問題ないのだが、警察の危惧はそこではなく魔術師による襲撃について。千代田と話した時に軽くハッキング出来ると言った話が相当重く受け止められ、設計図の保管にしても出土品の管理にしても電子機器を使用したものは危ないのでは?と、1から管理体制を見直し地上よりもセーフスペースの方がリスクが少ないと結論が出た。そこで管理者として立候補したのが神志那。元々ゲートオタクになると息巻いていた神志那は設計図で物を作ったり橘並みに鑑定数をこなしたりと有言実行し、ついでに五十嵐にメニューを組んでもらって多少は体力をつけたとか。


 そんな神志那は既にラボに間借りして色々と準備しているとか。全ては口頭指示なので何1つ証拠も残らなければ、神志那と言う人物が管理していると言う記録も外部には残さない。それこそ、文書作成用のPCもネットに繋がらないように最初から加工してある。表と言うか地上では鑑定課預かりだが真実はゲートの中にあり、その場所が分かる人間にしか襲撃出来ないような状態である。なのでエマや望田、他の本部長達にも設計図の扱いに困ってるなら預かると話し、全部神志那に渡してしまった。


 ただ、ちょっと怖いのは神志那が設計図使ってどんどん物を作り出す事。ほら、あそこって装備庁の人もいれば何かしらの物を作るのに情熱持った人が多いじゃない?ブラックホールエンジンの設計図はまだ地上に保管中だが、神志那に渡ったら渡ったでなんか怖い・・・。まぁ、倫理はあるよね?


「しかし、こうして見ると本当にクロエは帰るんですね。」


「カオリもついてくるけどね。まぁ、立つ鳥跡を濁さずで抜けのないようにするさ。」



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「那由多〜、昼飯食おうってお重!?お重ナンデ!?」


 机の上には昼の弁当と言うには多すぎる3段お重・・・。最近と言うか、救護所をやり出して千尋が夕食なんかを作ってくれるものだから母さんは料理から少し遠のいていた。しかし、最近は朝からこの量を作って錆びた腕を元に戻そうとしている・・・。そんなお重を見つめる俺の前に現れたのは工藤と千尋。


「うっさい結城!母さんが張り切ってんだよ・・・。」


「そうかぁ〜・・・。で、式はいつだ?友人代表として僕が手紙を読むんだろ?」


「おい待て!何の話だ!」


「えっ?千尋と結婚するんだろ?既に学年公認カップルだし、そろそろ子供の顔を・・・。」


「工藤!・・・、もっと言え。黒江家の男は押しに弱いらしいからな。言えば後で唐揚げを1つやろう。」


「やめろ千尋。押すも何も既に付き合ってる・・・。」


「いいじゃん、既に通い妻なんだから正式に妻にクラスチェンジしても。」


「俺達は学生!問題ないけど問題だ。それに母さんが張り切ってるのはそこの話じゃない。」


「じゃぁ何だよ?」


「お前らちょっと耳かせ。絶対に騒ぐなよ?」


(父さんが近々帰って来る。)


 後ろを向き走り出そうとする工藤の襟を掴み、首を締めるように様にして止める。すかさず千尋がボディーに一発入れて椅子に座らせて難は逃れた。付き合いが長いが、こいつは反省しないのか?


「結城、何をしようとした?言え!」


「はっ!クロエちゃんファンクラブに情報を流そうとしたであります!貴殿は結納するのでありましょうか?」


 立って敬礼しながらなんでハキハキ答えやがる!?周囲を見れば好機の眼差し。千尋は頬を染めながらクロエ出張中の旗を振っているが多分意味はない。


「全てそのうち!そのうちな!絶対付きまとうなよ!?」


(どうするつもりだこれ!またストーキングとかされたらどうする!?)


(逆だ親友。情報渡す代わりにストーキング行為を禁止すればいい。そもそもクロエさんは日中仕事だろ?なら、仕事中を理由に全部断れるし、帰る日取りが分かれば注意はそちらに向く!)


(なるほど、情報戦を先に仕掛けると?)


(おう、合言葉はクロエさんに会いたきゃ釣りしに行けだ。ギルドはいい釣りポイントみたいだしな。)


 父さんが帰って来る。それは春休み前に分かった事だけど嬉しくもあり、不安でもある。そう、高校3年生と言う進路を決めなければいけない年。平穏無事に俺は過ごせるのか?


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[一言] 那由多の周りに各国から美女が集うのか ロシアからスラブ系美女も来るな 父親に彼女に各国の美女と豪華なハーレムになりそうだ
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