202話 もしかしてあいつ?
地域のお祭り参加の為短いです
的確に動く限り自然災害は除外。なら音か?いや、これも除外。土系の魔術師てそれを感知できるイメージは少なくとも俺は持てない。足音を拾ってエコーロケーションを行えるかと言えばウニから飛び出す石槍が地面に刺さっているので無理だろう。少なくとも俺の足音よりと大きな音と振動が出ている。ほぼ攻防一体のウニはそんなイメージで扱えるなら多分誰でもやっている。
それに、動かないかと思えば普通に棘を脚のように蠢かせ走ると割と早い。殴ろうにも石なので普通に手の方が負けるので打撃は駄目だろう。手早く済ませたい、しかし相手もここまで来ているだけあって普通に強い。考えろ。イメージしろ。相手は何をイメージして何を見ている?
(遅い!手間がかかるかかり過ぎている。この程度のモノは早々に破壊してしまえ!)
(そうは言っても流動する岩だぞ?)
(ならさっさと道具を使い抜き取ってしまえ。)
(なるほど、それもそうか。)
相手のイメージしているモノは分からない。ただ、動く物。狙う物、襲いかかる物等のイメージはあるだろう。もしかすれば、爆発こそしないがゲート内で襲ってくる地形型のモンスターをイメージしているのかもしれない。ただ、明確なのは今までの常識なら岩は動かないかと言う事だ。
探索者の武器はゴーグルと長いスポイトの様な物。レイピアに近いのではないだろうか?刺せば抜き取りのイメージを補助してくれる。岩そのものは抜き取れないが10秒は止められる。空気穴を塞がなければ一発昏倒は厳しいか?なら、投擲してなにか刺さるもので塞げばいい。持ち込んだ物はなにかある?
飲みかけのペットボトルに保存食、開けていない箱数個と朝食に食べようと思って買ったパンと缶コーヒー。当然ブラック。ファーストさんはブラックが好きらしいので、いつでも渡せるように数本はストックしている。よく食べるらしいので、保存食は多いけど、あまり武器を使い回さないので手持ちにそれに類するものはない。いや、やはり彼女は俺を導いてくれる。
一旦下がり別の岩の陰に隠れながらコーヒーブレイク。ガンガンと岩は削られているが、もう少し持ちそうだ。隠れている岩までは操作できないのか・・・。カフェインが頭を更にクリアにしてくれる。序に朝食を食べて空の袋を缶に巻き付け栓を作る。よし、準備ができた。後は回復薬を使うだけ。もう一度棘を躱しながら走りよりもう一度空気穴の位置を確認。ずらして移動し続けるなら面倒だけど、頂点にあるばかり・・・、やはりウニのイメージなのかな?好物のキャベツは持ってきていないので餌やりは出来ない。
地面から足の裏ごと串刺しにしようとする棘を踏み台にし、表面からの躱しきれない棘はダメになった方の手や腕を盾に突き進む。痛みはあるけど、それは抜き取って緩和出来るので特には問題はないけど、時間をかけすぎているので心が痛む。相手も空気穴になにかしようとしているのに気付いたのか、穴の位置を移動しようとするがここでスポイトを突き立て操作を停止させ、栓を殴り込み中の空気を一気に抜き取る。心停止まで長くて6分。停止が10秒として意識が朦朧としている中で冷静に職がつか・・・。
「うぐっ!」
最後の悪あがきか両足の下から棘が飛び出す!抜き取りをイメージで塗り潰したのだろうが、ここで離れる訳にはいかない。串刺しになった両足を無理やり引き抜きスポイトの上に片手で逆立ちをして頭と心臓を守る様にすれば他は削られても大丈夫。まだ、棘は動き体を削って来るけどそれを蹴ってはたき落とす。どうやら大分意識は飛んでいる様だ。ベストな状態ならこの人の棘は蹴ってもびくともしなかっただろう。
耐える時間が終わりようやく、アラームが鳴り勝利が確定したが心は晴れない。やはり俺は不甲斐ない・・・。ファーストさんに奉公するはずが時間を取らせてしまった。更に強くなりゴミ掃除を行い住み込みで食事を作って洗濯して布団を引いて・・・。
(終わったならさっさと次の選手に譲らんか!ここでも時間を取らせてどうする?さっさと御方の写真を見て心を安らかにするべし。)
(分かった・・・。勝ちは勝ちだ、不甲斐ないがそれで許してもらおう。)
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勝った後にまた這いつくばっていた青山は消えて次の選手へ。相手の魔術師は強かったし、割と穴熊戦法は中々有用で魔術師:雷なんかとはかなり有利に戦えるだろう。ただ、青山の捨て身と言うか、無痛症じみた戦いは何なのだろう?多分、痛みを抜いているのだろうがそれを出来るにしても、身体を削られ続けながらも冷静に戦える辺り何かあるのだろうか?
ん〜、非常に嫌な事を考えると狂信者とか?信心深い様には見えないが、狂信者というのは中々侮れない。命を捨てる覚悟を持って挑むのだから並大抵のダメージでは怯まないし、信じる何かの為になら他全てを無視できる。・・・、いやまさかね・・・。
(魔女・・・。ちょいと聞くが、青山って奉公する者?)
(さぁ・・・。面倒だから無視を推奨するわね。)
(そうもいかないだろう・・・。俺も関わりたくないけど、何か知らない所で勝手な事をされるよりもいいだろう?)
(少なくともゲートを破壊する事はない。それは私を害する行為だから。)
(奉公する者は今の俺と魔女の状態を知っているのか?)
(知る訳ないわよ?アレと私と別々で独立してる。でも、私が職としてここにあると言うのは感じ取れる。だって、そうしなければ奉公出来ないでしょう?)




