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街中ダンジョン  作者: フィノ
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198話 渡して大丈夫かなぁ 挿絵あり

「渡しますが絶対悪用しないでくださいよ?」


「その前に出来るもんなんですか?高槻さんは薬学方面、え~と、藤さんは造形方面、私は鍛冶師なので武器方面ですけど?」


「遥さんを交えて意見交換出来るなら何かあるかもしれませんな。装飾とは言わば外観的なモノをいじることでしょ?壊れた超技術の産物を直すのなら、メインコアは斎藤さん、燃料関係で私、装甲とそれに付随するモノを藤くんと遥さんになりそうですな。」


「拙者はここにいていいのでござろうか?悪さはせんと誓えるが、極秘機密なのであろう?」


 藤がオタオタしているが見たからと言って、どうこう出来るものでもない。墜落機のビーコンは取り外しているし、メインコアであるブラックボックスも指輪の中。必要なのは自動修復機能で、これを回復薬生産プラントに組み込めないか?と言う所からの持ち込みなので、間違っても宇宙船的なモノを飛ばそうでは考えていない。ただ、遠巻きに装備庁の人であろう迷彩ズボンを履いた人達が見ているので、後から情報よこせコールが入りそうではある。ただ、あの残骸を見て飛行物体と気付くかは分からない。


「残念な事に藤さんは中位なので簡単には一般ピープルには戻れません。この後外に出たら千代田さん・・・、政府関係のネゴシエーターの方から話があります。多分、要人枠に入ると思いますが、基本的には今までの生活とは変わりません。ただ、時折黒い服着た人達がウロウロする光景を見るかもしれませんね。」


「ふむ・・・、有給で参加しておったが仕事は休業するのが肝要でござろうな。まぁ、半分はフリーランスでござったが。」


「高槻さんは医者、私は大学の非常勤、藤さんは何してたんですか?造形師自体あまり聞かないんですけど。やっぱりそういう方面の?」


「うむ、フィギュアの原型やらプラモデルの素体、他にはガレキ、ガレージキットを作って販売しておった。まぁ、本来は人形作家になりたかったのだが難しい道故、趣味としてドールを作るには留めていたでござる。ただ、ゲート出現以降仕事の比重を減らして嫁達の作成に没頭しておったな。その為に奥に行ったと言っても過言ではない。理想とするモノを探す為にはやはり自身で触れてみらんと分からんし、何より素材が高い。」


 ただのオタクはではなく仕事としてもその方面だったか。難しいからと諦めなくて、その結果が今ならいいのかな?それはさておき、指輪から残骸を引っ張り出す。本当は橘か神志那を連れて来た方がいいのだろうが、人物鑑定系の仕事が山積みらしいので、依頼を出すなら後日だろう。輸送機は消えないので放置でいいしね。


  挿絵(By みてみん)


「かなり巨大ですね、これが空を飛んでいたと?こっちに拾って貰ってよかった!!材質は?ケーブル強度は!?その前に、動力機関は!?そもそも無人機でいいのか!?積み込みや積み下ろしはどう考えたのか?えっ!バラしていいんですよね!?パーツ取りして後から組み立てなくていいんですよね!?ねぇ!!?」


「・・・、好きにしてください。ただ、どこかにある破損した修復ユニットは絶対に修理不能にしないでくださいよ?修理の為に必要なら仕方ありませんが、持ち込んだ理由はそれの修復と量産化なんですから。」


「大丈夫ですとも!ではお先に!!」


 斎藤が残骸に突撃しているが大丈夫かなぁ・・・。前に調査で入った時はかなり荒れていたし、モンスターを警戒していたがここなら警戒が必要ない分ゆっくりと調査できる。仮にこれを修復して宇宙船にするにしても現段階では内部調査しか出来ないので、そこに行き着くまでにはまだまだ時間がかかるだろう。


 高槻もウズウズしているし、遠巻きに見ている装備庁の人達も興味津々だが装備庁はなぁ〜、橘の銃の件でいまいちまともかどうか悩みどころなんだよなぁ〜。そもそもどういった方向性で装備を作っているか分からないし、下手に武装発起とかされても怖いし・・・。まぁ、これを一企業が独占していいのかは迷うが、少なくともゲート内で発見したモノの優先権は発見者にある。


「さて、引き渡しも済みましたし藤さん行きましょうか?それとも、これ気になります?」


「気になるでござるが、今の最優先は嫁達のチューンナップ故、外に出よう。魔法を渡せるのが最良でござるが現時点では無理なので、どうやって蓄電するか悩む。内部構造的には余り余裕が無い故な。」


「確かに難しいですね。まぁ、圧縮装置とかもあるのでその方面から攻めるのもいいかもしれません。前に液化空気エネルギー貯蔵システムなるものの記事を読んだ記憶があります。」


「ほう!無知は罪でござるな。嫁達の為に今一度勉学に励むでござる。」


「ふぁいとです旦那様!私達も一緒に勉強するです!」


 勉強すると言うが、嫁達に記憶を蓄えるモノはあるのだろうか?ん~、心臓移植した心臓にも記憶があるというし、何かしらの方法があるんだろう。いや、そもそも職でどうこう成ったモノを常識で考察して意味があるのか?行き着くとすればそこだろうな。そもそも職の名が付喪の時点で妖怪寄りだろうし・・・。


 ただ、魔法を渡しても相変わらずベタベタしているので、藤に取っての嫁の像はそういったものになるのかも知れないな。無くなったというピグマリオンは効果ともコンプレックスとも繋がる言葉で、悪魔合体したなら肯定してもらえればその分本人の能力は上がるし、人形を愛してその人形から愛されたなら更に力を増す。まぁ、そう言ったイメージがあるかは分からないが・・・。


 千代田に出る旨を伝えゲートから出る。後半の試合が見れなかった分、後で望田に話を聞きながら映像を見るか。ワゴン車での迎えをお願いしておいたので、今回はいつか見た黒塗りハイエース。ただ、仮面を付けた人に囲まれているので、気分はショッカーに人質に取られた人。興味の矛先は俺が多いが、一定数藤と嫁達にも向けられ話し込んでいる姿が見られる。そして、顔が良くなったせいか女性が多い。現金なものと言っていいのか分からないが、今の藤にござる口調がマッチして普通に時代劇を見ている気分。刺さる人にはぶっ刺さるだろうなぁ。推し活とかも叫ばれてるし。ただ、藤が放電しださないかが心配だが・・・。


「こちらの方は私達の旦那様ですぅ~、余り引っ付かないでくださいまし。」


「そうね、旦那様もデレデレしないでね?」


「大丈夫でござるよ、アサガオにユウガオ。拙者の嫁はそなた達でござる故心配は無用である。」


 それでまた黄色い声が上がっているが、面倒なのではよワゴンに乗ろう。人混みを掻き分けどうにか千代田と合流しワゴンへ。助手席に座り後ろを見ると遥と望田が乗っていた。相変わらず遥はぐったりしているが、大丈夫だろうか?インナーの売れ行きが好調とは聞いていたが、身体は別として気力がもつのやら・・・。まぁ、明日が最終日だしな、どうにかなるだろう。


「お疲れ様です千代田さん。結果は聞いていますが全体を通してなにかありましたか?」


「・・・、貴女の不適切でない不適切発言で一部の方から正式なASMRを欲する声が上がりました。何を考えているのか、政府問い合わせ回線にもその要望が多数来て電話回線がパンクするところでしたね。」


 ASMRってなんだっけ?なんか音声作品とかそんな感じだったと思うけど、全く聞かないので分からない。寝る時に聞く安らぎの音楽とかならクラシックとか流せばいいんじゃない?わざわざ俺が子守唄歌う必要性もないし。


「なんですかそれ?私は真面目な事しか話してませんが?」


「なら、なんで解説席で赤黒い大っきな棒とか皮は邪魔とか言ったんですか!?横の私も聞いててドキドキしましたよまったくもう!せめて人名出すとかなかったんですか!?」


「えっ?治癒もそうですがって話振られたから端的に話したんだけど?人名は個人特定されると治癒依頼で身動き取れなくなるし、米国の映像も出来るだけ本人達の顔は隠してたから、名前は出さない方がいいと思ってぼかして話しただけだよ?」


 望田が凄い剣幕で話してくるが、振られて返してなんでこんなに問い詰めてくるんだ!?えっ、なんか失敗した?生放送だから言葉は選んで話したつもりだけど・・・。まぁ、過ぎた事はいい。出た言葉は引っ込まないんだし。


「なんでたまにポンコツになるんですか・・・。で、こちらは藤選手で間違いありません?なんか後ろの席でハーレムが出来てるんですけど。」


「間違いないよ。宮藤さんも彼が藤さんだって言うし、何より映像とも合致するでしょう?元の姿には戻れないっぽいけどね。」


「戻れないんですか!?」


 望田が驚きながら聞いているが、多分卓をイメージしていたせいだろう。その話で千代田からため息が聞こえるが、多分また面倒事が増えたと言う嘆きだろう。ただ、最初の頃に姿が変わる可能性については言及したので、対策ないし対処要領がなければ作らなかった過去の自分に文句を言うしかない。


「うむ。今更戻りたいとも思わんが、職の作成を使う際の材料として捧げてしまった故、再度作成せん限り無理でござる。それと、他人を作成するのは難しいでござるな。本人のイメージと拙者のイメージが違えばそれが歪みとなって現れ、結果として人外のなにかになろうぞ。」


「運転中に失礼。千代田、或いは増田と呼んでください。藤さんは今後の事をクロエから聞きましたか?まだ、或いは不明な点があるなら再度説明致しますが。」


「本部長の件であれば拙者は正式に失格となり、一般職員として働く所存でござるよ?ただ、高槻さん達の話は面白そうなので、そちらにウエイトが置ければよいでござるな。」


「高槻医師の話?生産職の意見交換の場を作ると言う話ですか?それなら遥さんからも伺っています。それと、奥方達がベタベタするのはやめられないのですか?」


 バックミラー越しに藤を鋭い目付きで見ているが、状況を知らないなら仕方ないか。遥も我関せず焉といった体だが、人形は気になるのかチラチラバックミラー越しにみている。確かに服のデザインをやりたくなる程の作り物めいた美しさだしな。事実元は人形だし、今の中身はどうなっているのかは高槻からの報告次第だし。


「千代田さん、あれは無闇矢鱈とベタベタしてるんじゃなくて食事です。彼女達は藤さんが発する電気で動いてるんですが、蓄電する器官がない。魔法は渡したんですが、予備にでもしてるんでしょう。」


「ふむ、貴女が助け舟を出す辺り事実なのでしょう。」


「藤さん、この人達以外の人形って言っていいか分からないけど、そう言う人達もいるの?」


「うむ、全てで12人。指輪で眠っている故状態は帰ってから確認するでござるが・・・、御仁はどなたか?」


「黒江 遥。講習会メンバーのインナー作った人って言った方が分かるかな?」


「おぉ!!市井ちゃんのデザイナー様!ここで会えたのもなにかの縁でござる!服飾を!服飾をご教授願いたい!今着せている服も厳選したものではあるが、更に似合う服を着せてやりたいでござる!」


「ご教授は別として、デザインはしたいかな。サイズとかは・・・。」


 何やら遥と藤が話し込みだしたが、生産系の職と言う事もありなにか通ずるところもあるのだろう。クロッキー帳ではなくタブレットで既存のデザインを見せては2人で一喜一憂している。ただ、時折クロエに着せるには?と言う不穏な声が聞こえるのがなんとも・・・。


「で、カオリ。今日はなにか注目するところはあった?2回戦は全然見れなかったんだけど。」


「ん〜、藤さんの件が一番の見所と言えばそうなんですが、それをはずすとなると青山さんですかね?」


 またアイツなんかやらかしたのか・・・。大人しくしていればいいものをなんで大人しくしないかなぁ・・・。いや、大会だから戦うのはいいとして、なにしたんだろう?性格的には嬲り殺しとか死体キックする様には思えないが、どこかプッツンと切れている様にも思えるしなぁ。


「なにやらかしたの?あのストーカー。」


「いやぁ・・・、やらかしたと言うよりは、夏目さんの変装を見破ってクロエがいないって落ち込んでたんですよ・・・。まぁ、それはいいです。特に公言もせずにただいないって言ってただけですから。」


 多分探索者だから捜索で本物か見破ったのかな?いや、本人ゲートの中にいて見破る捜索術って何だよ?R・U・R使ってるのに外界まで能力及ぶか普通?な~んでストーカーに渡しちゃいけない職をアイツが取るかなぁ・・・。追跡者の発見は何か手掛かりを掴む所から始めないといけないらしいが、探索者の捜索はその手掛かりさえ直ぐに見つけられるらしい。


「はぁ、対戦カード的には?」


「相手は調合師の方でしたが、作成と成分でモンスターすら溶かす液体とか作れるらしいですね。外で使うと気化したモノ吸ってもヤバいらしいのでもっぱらソロらしいです。まぁ、その人が散布機みたいな武器でタンクの中に指輪から薬品とか早着替えの要領で詰めつつ青山さんを攻撃してたんです。割とヤバメな成分調整なのかちょっと掛かっただけでも骨まで溶けるくらいのやつ。」


「マッドな調合師だな。勝つ為なら仕方ないとして、さっさと頭からぶっかければいいのに。」


 多分、バトルロイヤルの時に毒を流し込んでた奴かな?人にするならさっさと務所送りにした方がいい人だろうが、モンスター相手にそこまで躊躇しないなら見所がある。調合師として戦う。それはつまり、なにかを作ってそれが相手に効果があるのか?そこが出だしになる分、格闘家なんかよりも更に思考を巡らせどうやって足止めし、何をどう扱うのか?非常に技巧が求められる戦闘スタイルになるだろう。


「色々凄かったですよ?薬品反応でぎん柱出したりとかもしてたんですが、青山さんはゴロゴロ転げ回った後に立ち上がると、一気に走り寄って身体溶かされてるのに躊躇無く回復薬3本使い切って脳を抜き取って終了。アレは流石に見てる方が引きましたね・・・。モザイクの嵐でしたよ・・・。最後にファーストさんに会いたいって呟いてましたけど・・・。」


 アイツって無痛症か何か?いや、事前にモルヒネか麻酔を仕込めば・・・、無理だな。簡単には手に入らないし、それを使って戦えば多分感覚がないからR・U・Rが誤動作する可能性がある。毎回這いつくばってるらしいが、開始直前に仕込んでる?ん〜、ルール的には違反ではないが、なんでアイツは俺にこんなにも執着するんだよ!と、言うかほぼ面識ないじゃん!会ってもどっか行けとか、俺じゃなく人をさっさと助けて来いとか・・・、待て、確かバトルロイヤルの時も整形とか言ってたよな?何と言うか、執着て言うか妄執とか執念ってレベルじゃん・・・。


 やっぱりどこかで腹を割って話さないと行けないのかな?固執され続けても面倒だし、本当に俺が絡まなければいい人と言う評価が高い。妻に聞いても悪い評価はないし、地元でもいい人と言われている。ん〜、サイコパスとか?いや、それにしては行動がおかしい。多分、本当にサイコパスならさっさと行動を起こして追い詰めてくるようなイメージがある。まぁ、あくまでイメージなので、本当はどうかはしらないが・・・。


 フラットに考えるなら・・・、気に入られようとしている?いや、それではおかしい。気に入られたいなら嫌がる事はしない。だろうし、アプローチのやり方的には別のモノを選択するだろう。例えば、プレゼントを送るとか容姿を褒めるとかが一般的だ。大きな目で見れば確かに優秀なスィーパーとして働いているなら目に付くし、地元なら尚更名前を聞く機会もある。事実、出会ったのも地元だし。ただ、それにしては行き過ぎているんだよな・・・。


 考えても人1人知るのは無理だ。多面的に見て予測を立てても予測でしかなく真意は不明。なら、一旦スルーして大会の方に目を向けよう。何せ、明日が最終日だしな。


 ホテルについて車を降り、千代田と藤は帰って行った。まぁ、正確にはこれから藤への質問やら身分証の変更やらがあるので、下手をすれば終わるのは日をまたぐかもしれない。仕方ないとは言えあれだけフルでチェンジしたなら仕方ないだろう。車を降りる時に藤と遥がLINE交換していた様なのでその内藤の嫁達の服が遥お手製になるかもしれないな。あの嫁達もゲート内で戦う藤の相棒達なんだし。


「おかえりクロエ、あれは仕込みカ?」


「わざわざここで待ってたんですか?エマもジョンも。」


「流石にレディの部屋に勝手に入る訳にはいかないからね。用事を済ませて武道館に戻り、ギリギリで変化の瞬間は見れた。」


「2人共いい戦利品はありましたか?私は実況で殆ど物販見れてないんですけどぉ〜。」


「望田さんなんかいる?めぼしいものあったら明日買っとくけど。」


「遥さんありがとうございます!流石に圧縮装置は売りに出てないでしょうけど、エコーボールは欲しいんですよね。最近だとゲート内で連絡取る用に買う人増えて中々売りに出ないし・・・。」


「私からはのど飴を支給しよウ。エナドリでもいいガ、今日もあそこは盛況で明日には購入制限を厳しくするそうダ。」


「一旦話は後にして部屋にいきましょう。ここでは目立ちすぎる。」


 ロビーで先に帰って待っていたエマ達がお出迎えしてくれたが、有名人なので遠巻きに見る人は多い。要人用のホテルでもあるので囲まれて握手攻めと言うのはないが、それでも金髪美女がいれば目で追いたくなるのは仕方ない。なので、さっさと部屋に戻り話せる範囲で話してしまおう。遥に話に参加するかと聞いたら、今日もお疲れモードで明日も早いのでさっさとシャワーを浴びて寝るそうだ。そこで、ジョージが気を利かせてエマの部屋で話そうと言う話になった。


 藤の件で昼も食べずに彷徨っていたので、腹は空いているような気がするな。ジャンジャンルームサービスを頼み乾杯して一息。ロビーの話から至る瞬間は見られたのだろう。ただ、仕込みを疑われても困るんだが・・・。


「それデ、本当に面識はゼロだったのカ?」


「0・・・、ラーメン屋の件で知り合いかと言うのを疑っているのなら、難しいところではあります。」


「えっ!どこであの人と知り合ったんですか!?私の方にどこからも連絡なかったんですけど・・・。」


「まぁまぁ、2人共落ち着きたまえ。先ずはファーストさんの話を聞いてから考えようじゃないか。」


 ジョージがそう2人を宥め、酒とキセルで一息ついて口を開く。さてなぁ・・・。面識と言うにはいささか足りない気もするし、名前も聞いていなかったので大会までは全く知らなかった。


「私が初めてインタビューを受けた日。米国スタンピード前の事ですが、インタビュー受けてホテルに帰っても小腹が空いてたんですよね、地元に帰ってたんですが豚骨ラーメンは食べそこねましたし。そこでコンビニに買いに行った時に出会ったんです。」


「ふム、魔法は使っていなかったのカ?」


「いえ、使ってましたよ?ただ、偶然同じ商品を取ろうとして手が触れてバレました。まぁ、インタビュー受けた後で疲れてたんでしょうね。それで、叫ばれるとまずいんで、2人でコンビニから走って逃げて嫁を見せられてコーヒーを飲んだくらいです。当然、私は彼の名前なんて聞かなかったし、ああなるまで知りませんでしたよ?」


「それでラーメン屋では顔見知りっぽかったんですね。と、言うかネットにあったお兄ちゃん事件はやっぱりクロエだったと・・・。」


「えっ!なにそれ知らない。確かに必要に迫られてそう呼んだけど、事件ってレベルじゃないでしょう・・・?いや、東海林の事考えると大事になってる?」


「それはいいとして、それだけの接触で至れるとは考えづらいな。なにか言葉は交わしたのかい?」


「ん〜、嫁が綺麗だとは言いましたけど、それくらいですね。」


 確かにあの時嫁を見せられて綺麗だと言った。それで泣かれたが藤の名誉の為にそこまで言わなくていいだろう。至ったのは藤の力だしな。


「う〜む、なにかきっかけがあるのかと思ったが検証しづらい。ただ、一つ言えるのは我が国もあの様に変化する人間が出る可能性があると言う事か。」


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[一言] 青山はあれか、自分が拒否されることは有り得ない、という世界で生きてるタイプの異常者か? だから法則が破綻する特異点たるクロエに執着してる?
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