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街中ダンジョン  作者: フィノ
247/850

193話 再遭遇 挿絵あり

時間がなく短いです

 物販会場は飯食って少し見て回って早々に退散を余儀なくされた。俺も含め皆が仮面をしてたよ、してたけど半田の所で仮面ずらして飯食ってたら発見されてそのまま握手とサインの嵐。望田にしろエマにしろ今回のスタンピードで顔は出てるし、何より俺がいたのが拍車をかけて食べもしないのに飯屋の周りには人集りが・・・。隠れるにしてもいる事は認識されているので、魔法で隠れたとしても次は捜索して探そうとするだけなので、さっさと車を出して会場を離れる事に。色々見たかったが、流石に混乱を起こしては事だ。


 因みに半田の所はゲート産の馬肉と魚、その他ゲート外の食材を使って中々豪勢な料理を出していた。うぅむ、文字通り手が増えている訳だが1人で一気に何十品も作れる辺り、料理人も技量を求められるな。飯を食う前に遥の所も覗いたが、そちらも盛況でスィーパーだけでなく一般人もインナーを買っていた。永年とは言わないが2〜3着あれば着回しが利くので、物臭な人にはうってつけだろう。


「それで、結局ご飯は少ししか食べられなかったけどどうする?予定がなければどこかでご飯食べたいけど。」


「確かにお腹は空きましたね。有名人って大変・・・。コレなら昔やったサインの練習を再開しておくんでした・・・。寧ろ、なんでエマはそんなに上手いんですか?」


「ただ筆記体で書いているだけダ。そうすればコチラでは有名人のサインに見えるだろウ?」


「私も何か勘違いしてサインねだられたが、流石に大統領署名は辞退したよハッハッハッ!」


 ジョージがアメリカンジョークを言っているが、内容的には真実なので笑いどころが難しい。取り敢えず俺もアメリカンな笑い声を上げとけばいい?流石に静寂も悪いだろうし。エマは笑うに笑えないだろうしな。


「それよりクロエは字が上手いですよね?習字か硬筆習ってました?」


「いや独学。ある意味、父親に感謝だな。」


「厳しかったのカ?」


「いや、どちらかと言えば仕事して家にお金は入れるけど無責任?礼儀とかには相当うるさかったけど、最終的に俺は困らないっていう人。」


「酷い親だな。良い教育や子供の世話は親の努めだろう?我が国でそんな育て方をすれば下手すれば警察が動く。荒んだ性格にならなくて良かった。」


 なんかジョンから心配されたが、別に心配されるような事はない。衣食住はしっかりしてたし、小遣いも貰ってた。大学に行かなかったのは自分の選択だし、家を出るまで育てても貰った。休みの日は出かけもすれば、旅行だって行ったしな。


「ん〜、人の考え方によりますが、私にはそれが合っていたんでしょうね。昔話をするなら、小さい頃ご飯口に入れて喋ったりしながら食べてたんですが、散々注意されました。ただ、最終的に俺は困らないからで締めくくるんですよ。


 そんな日々が続いてある時、友達の家に泊まりに行って同じ様にしてたんですが、ふと注意されてた事を思い出したんです。そして思ったんですよね、ここに父はいないから確かに困らない。でも、ここにいる自分はものすごーく困ってるんじゃないかって。」


「えっと、何か困る事あります?その流れで。友達の家に泊まってワイワイご飯食べてたんですよね?」


「そうだけど、礼儀がなってない。人の家に上がる時は靴を揃えるし、敷居は踏まないようにする。なら、食べ物口に入れて喋るのは恥ずかしい事でしょう?後から思い返せば、必ず自分の礼儀のなさに恥ずかしくなる。子供だから仕方ない、でも気付いたなら直せばいい。そうすれば自分は困らない。まぁ、それで色々考え過ぎてあがり症になっちゃったんだけどね。」


「現状で困ってるじゃないカ・・・。」


「ええまぁ、でも少なくとも嫌いな自分ではないですからね。克服とは言わなくとも回避方法はあるし、なにより完璧な人間なんていない。なら、出来る範囲でわがままに悔いなく生きる方がいい。と、結局何処で何食べます?なにもないならラーメン食べたいですけど。背脂チャッチャ、身体に悪そうなくらい濃くって山盛りチャーシューの醤油豚骨とか。」


「構わないが私もジョンもラーメンは分からなイ。カオリ、どこか知ってるカ?クロエ好みのラーメン屋ヲ。無いなら塩がいイ。小麦の味を楽しめル。ジョンは何か要望はあるカ?」


「特にない。強いて言うなら美しい花を揃えて来店するんだ、男共の殺気の籠もった眼差しを独り占めさ!いやぁ、何時も注目される側だが、こうして嫉妬の視線を浴びるのも面白い。」


「なら、いい所があります!こう見えても体力付けるためにガッツリ系の店は食べ歩きしましたからね!それに、ダイエットの方法も開発したので私も体重計とお友達です!」


 到頭望田も体重計と友達になれたらしい。元々太ってないし気にしなくてもいいと思うが、それも女性なら気になるんだろう。しかし、防衛職でダイエットってどうするんだろう?イメージ的には痩せる=城壁がなくなって行くイメージだが・・・。 


 カオリが行く予定のラーメン屋は現在地からすぐそこらしいが、結構車が渋滞しだしたので裏路地に入り仮面を付けて指輪に車を収納して徒歩で。お祭り気分なのか本当に要人なのか仮面を殆どの人が付けているので、コレならバレないだろう。しかし、ジョージは凄いな。自分で自分の顔の選挙応援用のお面を付けているんだから、次の大統領の席も狙うつもりだろう。実際、スタンピードの功績や各方面との連携の手際を考えると対抗馬が可哀想になる。


 政治家ではないが国民としてトップを考えた時、時代の流れと言うモノを感じるなら今の政治家には、決断力とフットワークの軽さそして、ほんの少しだけの強引さが要るのではないだろうか?後手に回れば回るほどゲート系の問題は尾を引くし、ある程度骨組みを作って、後は上がった問題点を修正するしかない。


 珍しく日本政府もHPの更新をどんどんやってるしな。そんな事を思いながら歩く事数分。裏路地のこじんまりとした店。15時頃だと言うのに仕込中の札はなく、強烈なトンコツスープの香りが漂っている。下手したら周りから苦情を言われそうだが、店が古そうなので優先権は店にあるのだろう。


「ポークドリーム・・・、地元の好きなラーメン屋と被るネーミングだね。美味しくいただくからいい夢見ろよ!」


「外の臭いは強烈ですが、美味しいんですよ?エマとジョンさんも顔をしかめないでささっ!中へ中へ。4人大丈夫ですかー?」


「らっしゃい空いてるよ〜。」


「御仁!黒ですぞ!黒のTバックですぞ!忠実再現とは何を忠実に再現しておるんだろうなぁ〜。」


「ゴラァ!デブ!下から見んな!・・・、ちょっと俺にも見せろよぉ。売り切れて野郎本部長フィギュアしか買えてねぇんだよ!・・・、ほう!中々いい尻のぞうけ・・・、い?」


  挿絵(By みてみん)


 前聞いた声がしたのでそちらを見ると、1回戦の2人組がラーメンそっちのけで入口横の座敷に陣取り、市井ちゃんフィギュアを持ち上げて下からスカートの中を覗いている・・・。いや、うん。気持ちは分かる。確かに縫いぐるみとフィギュア買ったら1回は絶対に下から見るしひっくり返す。うんうん・・・、公衆の面前でやんなよ。2人とバッチリ目ぇ合ってるしって、トンコツの人?


「イヤーーーーーーーー!!!!」


  挿絵(By みてみん)


「フェイト!」


「テスタロッサ!」


「「イエーイ!」」


 そもさん・せっぱではないが、この人なりの挨拶なのだろう。横の人はムンクの叫びみたいになっているが、まぁ、タイミングが悪かったな強く生きろよ?トンコツに返すセリフのストックはまだあるので、まともな挨拶になるまでは多分付き合える。しかし弱ったな、選手とは基本的に大会中は接触したくないんだよな。この人の言う様に運命なら仕方ないんだろうが、早々にこちらが立ち去るかな。旨そうな匂いは後ろ髪を惹かれるが・・・。


「クロエ知り合いカ?あちらの叫んでいる不埒者は射殺するカ?」


「やりたまえ大佐、私もあれは狙っていた。倒せば戦利品として合法的にドロップできるだろう。」


「2人共駄目ですって!ゲート内ではないので普通に犯罪行為です。そこの君、私はクロエのSPでもある望田です。公然わいせつ罪(仮)により事情を聞きます。そちらのフィギュアを渡しなさい。・・・、うわ、これは確かにいい出来。遥さん携わったなら下着のデザインも渡せるし気合入ってるなぁ・・・。」


「そこの3人もひっくり返したままフィギュアを回し見しない。そもそもそれは市井ちゃんであって私ではありません。一応室内の個室で開封しているのでそこまで目くじらを立てないし、その2人は選手です。ここは諦めて早々に立ち去りましょう。」


 なんであの3人もスカートの中を覗くかなぁ。まぁ、隠されたものを見たいと言う気持ちも分かるが、ミイラ取りがミイラになってるぞ?確かに夏仕様なのか涼しげで全体的にバランスよく出来てるが。おっ、ほっぺたは柔らか素材か。望田が突くと少し変形する。と、そうではない。


「トンコツさん、では。」


「お兄ちゃんと・・・、あの夜の様に呼んでいただいてもよろしいのですぞ?話の分かる本部長殿。」


「ややこしくなるのでやめときます。ほら、そっちの3人もフィギュアを金髪に返す。他のラーメン屋を探すか、別のモノを食べましょう。」


「トン、コツ?だったか、これはいくらダ?明日買おウ。」


「大佐殿。大隊指揮官殿!会場2日間のみ限定、1日50体お1人様一体限り。金貨65枚円ならば2万8千円なり!くっ!少佐殿でないのが悔やまれる!」


「ふム、手持ちなら金貨だナ。情報提供感謝すル。」


「もしもし?私は取材スタッフのジョンだ。物販会場視察を明日行う。・・・、ん?初戦?それはデータでいい。本番は3日目だ。急遽明日会場で販売されるモノを購入しなければならなくなった。あ゛?スタッフに任せたらどうだだと!?これは私独自のミッションだ。大佐?当然物販だが?OK、なに2人なら楽なミッションだ。」


「千代田さん?明日Aブースの品買っておいて下さい。え?優先権はないでしょう?またまた!ちょっとヤバい情報とか実況中に口をす・・・、ええ、ありがとうございます。明日?大丈夫ですよ!」


 本気なのかノリなのか分からないがそんなに欲しい?確かに出来はいいし、かわいい・・・。かわいい・・・。ヤバい・・・?フィギュアをびっくり返して底を見ると、当然と言えば当然なんだろうが市井ちゃんを放送している放送局の名前とロゴ。元々市井ちゃんの衣装デザインは芽衣に頼まれた遥がした。そう、芽衣に頼まれたのだ。なら、このフィギュアの造形の手本は初期のポスター?


(ヘイ、魔女!このフィギュアは惹き付ける者混ざってますかァ?)


(ん〜、造形は荒い、色も違う。寧ろ、全く違うものよ?単純に造形師が作ったんじゃないかしら?貴女達基準なら高得点なんでしょうし。)


(造形師・・・、偶像?)


(さぁ?そこは自身で確かめなさい。)


 取り敢えず、惹き付ける者は混じってないのか。造形師は最近確認され出した職なので知り合いは・・・、トンコツは多分造形師だが今はそんなに話せないんだよな・・・。仕方ない、次があれば考えるとしよう。取り敢えず、変に危ないものではないと分かったし。


「コレどうぞ。お食事中連れが騒がしくしてすいません。訳あって名前等も呼ばない事になってます。」


「うっ!ウッス!ここの店からは俺達が出て行くんでゆっくり食って下さい!親父!俺が代金持つから後で請求書くれ!おらデブ行くぞ!」


「ぬ!拙者はここでキャッキャウフフ百合成分をって、危ないでござろう!エアーガンは人に向けたらいけないのでござるよ!?」


「おう!人じゃねえ!トンコツに向けてんだ。要は骨だろ?動かねぇなら動かすまでだ!ではどうぞどうぞ〜。・・・、来店記念にサインとか写真いただけますか?」


「いいですよ。ほら、そこのポンコツ3人組も並ぶ。」


 声をかけるといそいそと並びだし、店主含めて7人で記念撮影とかなり大所帯だがタイマーをセットして撮影し、寄せ書きの様に色紙にサインを書く。普通にジョージも書いているがいいのだろうか?何気に後から凄い価値とか付くんじゃ・・・。


「あざっす!ほら親父も!」


「うちの愚息が騒がしくてすいません。じゃんじゃん食べていってください!」


 ガチで自分の家だったのか。まぁ、実家がラーメン屋と言う家があってもおかしくない。そんなラーメン屋のラーメンはサービスなのかチャーシュー山盛り煮玉子別皿野菜も別皿とかなりボリュミーに出してくれた。味も頼んだ豚骨醤油は濃厚で、にんにく抜きで食べても腹にガツンと来ているような気がする。そんな騒がしいラーメン屋を後にしていい時間になったのでホテルへ。明日のモーニングコールを依頼して部屋に戻り明かりを点けると・・・。


(カオリ、できるだけ静かにね。)


(了解です、遥さん爆睡ですね。)


(お風呂は・・・、銭湯かエマの所で入れさせてもらうかな。)


 朝も早かったし疲れているのだろう。そのままそっとして、部屋を出てエマの部屋でシャワーを浴び、舐める程度に酒を飲んで早めにベッドへ。明日こそ余裕をもって出発したいな・・・。



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[一言] >ん〜、造形は荒い、色も違う。寧ろ、全く違うものよ?単純に造形師が作ったんじゃないかしら?貴女達基準なら高得点なんでしょうし ということは写真に限らず魔女の権能発動中のクロエを高精度に模倣す…
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