191話 バトルロイヤル その2
時間がなく短いです。
本当はこれでバトルロイヤル終了の予定だったのに
1回戦が終わりインターバルも終了。続く2回戦も今終わったが見所と言えば鍛冶師とガンナーが無双してた所だろうか?正統派ガンナーと言うかスナイパー?地形的には平地多めで山は低いものが1つと中央に裂け目があるのが一つ。ガンナー不利で近接有利かと思ったが、塹壕戦宜しく裂け目から出ずに一瞬顔をのぞかせてはライフルでクイックショット。弾丸もバラエティー豊かで、時限信管から散弾裂け目に入ろうと近寄ればカメラ付きドローンがマシンガンの様に乱射して蜂の巣となり、距離を取れば狙撃される。
肉壁が潜入成功したが、その時は時間ギリギリで決着はつかず対峙して時間終了。そんな1人ノルマンディーを演じたのは女性で普段は野鳥の保護員をしているとプロフィールにある。もしかして、撃つタイミングは鳥を数えるカウンターと同じ感じとか?
それを無視して山を盾にしながら、無双したのが鍛冶師。タフネスと腕力が上がり使う武器はゲートボールのスティクの様なハンマー。それで片っ端から来る選手の逆精錬で武器を壊し、苦手かと思った格闘家とも素手対武器ありに持ち込み、魔法は地面を叩いて作った壁で受け止め、そのまま壁を改造して襲い掛かる地形を再現してみせたりと芸達者だ。
う〜ん・・・、辰樹も出来るのかな?アレ。いや、でも普通の靴をモンスター蹴り殺せる靴に出来るんだからポテンシャルは高いはず!しかし、選手は割と楽しんだ感じというか、同じイメージはやはりないので見ていて面白い。途中まで・・・、2人が無双するまでは記者とプランナーが割と優勢だった。
開始早々記者がメガホンの様な武器で誤情報を拡散させたもんだから、潜伏する予定だっただろう人まで何かおかしいと顔を覗かせたのが運の尽き。流された誤情報は俺が再演したモンスターの犬は実は本物。ある意味当たりなのだがそれはさて置き、拡散し伝達された誤情報を本人が伝承で受け継いてワーウルフとなって暴れていたが、プランナーがいたのがまずかった。
ワーウルフの状態を探って概要を知れば結末が用意出来るのだろう、ワーウルフがあのモンスター達と同じならば元は煙、一太刀で倒せないのはおかしい。何故ならそれは最初の開会式で皆が見て確認したのだから!そう、ほぼ否定できないイメージを叩きつけられた上でワーウルフの記者は剣士にぶった斬られて気絶。
この後プランナーはそのまま潜伏しようかと思ったのだろうが、欲が出て近くにいた小柄な治癒師を攻撃しだしたが、殴ろうが撃とうがお構いなしに張り付いて離れない治癒師に心臓をさされて気絶。う〜む、治癒師粘り強いな。米国で小田も横真っ二つになったらしいが、これくらいなら痛いけど戦闘継続!と叫んでいたらしい。
「さぁ!本日最後の3回戦目!実況はそろそろ喉飴でお腹いっぱいの望田と!」
「テンション:底。物販で写真集が売り切れたと聞いて、今晩枕を濡らすクロエです。会場で『物売るっていうレベルじゃねぇぞ!』が飛び出たそうですが、そう思うなら買わないで下さーい。一応、3日間は売る予定ですが黒歴史を拡散しない為にスルーを推奨しまーす。」
「いやいや、あれは家宝です。1回戦、2回戦の選手達は開幕で物販会場行けないので、不平不満が出ない様1品進呈という話をしたら全員写真集を選択しましたよ?」
「えっ!なにそれ聞いてない・・・。まって!ちょっと待って!もっとこう・・・、パワードスーツとか出土品とかあるでしょ!・・・、1回見たら鍋敷き推奨でーす。中身はネットに流さないで下さーい。海賊版ダメ、絶対。」
「写真集は1人1冊までとなっていて現地販売のみ!再販はありません!それでは張り切ってスタートです!」
1回戦は山多め、2回戦は山と割れ目そして最後の3回戦は狭い洞窟。言ってしまえば1〜5階層の石造りのオーソドックスなダンジョン。今まで以上に遭遇戦と不意打ちのリスクは跳ね上がり、マッピングでもしなければ迷う程通りや分岐が多い。ある意味原点回帰だが先ばかりを旅するスィーパーには懐かしくもあり厄介でもある。
なにせこのマップは明確に左右の壁と天井がある。対モンスターよりもどちらかといえば、対人に焦点を合わせたマップと言えるだろう。さぁ、各人どうするかな?守って引き篭もるばかりでは流石にこのマップは面白みを欠く。しかし、不用意に音を立てても位置がバレて集まりだす。まぁ、引き篭もり対策にこのマップはランダムな時間でランダムな壁が消えたり出たりするのだが・・・。
「さぁさぁ!懐かしのファーストアタック!ここで職を選んだのを今も忘れない!スィーパーになる時の補助ありがとうございましたクロエ。」
「いいよ〜。巻き込んでごめんね、カオリ。その時だったなぁ。橘さんが中位になったの。」
「それまで警視庁に缶詰で改造され・・・、おっと、トップシークレットでした!」
「橘さんはニンゲンでーす。サイボーグではないでーす。と、なんか人がどんどんシャッフルされてる・・・?」
画面内でどんどん人の位置が変わって行っている。ただ、一斉ではなく1対1の等価交換だが・・・、用心棒の仕業か。反逆で位置取りを変えて混乱を誘ってるな。預かるモノがなんでもいいのなら、開始前に馴れ馴れしく『今回はよろしく!悔いなくお互い頑張ろう!お前の気持ち預かるぜ!』とでも言って握手出来れば契約成立。自分と相手の位置を変えられるのでモンスターとの戦闘でも結構使えるし、本人自身も指揮官の才能があれば普通に強い。
「潜伏者を炙り出すつもりか!これで守りを固めた人は否が応にも陣地を失う事になった!後何人強制移動の餌食になるのかぁっと!なんか網に絡まりましたね!?」
「そうですね、別の所でやりあってた人と入れ替わったせいで網が直撃して、そのまま引き裂かれてサイコロステーキ先輩になりましたね・・・。どんな作戦を立てたかは知りませんが、網投げた人の方がびっくりしてるし。」
いいとこなしと言うか、調子に乗ったと見るか。反逆の技術自体は素晴らしいが、見えない相手の所に飛び込むリスクを無視するかの様にやるのが悪い。選手達にこちらの実況は聞こえていないので、立ち上がりなら大丈夫と高を括ったのかもしれないな。
「しかし、これで動きが活発になってきましたね。留まれないと知れば打って出る!壁のランダム移動も始まりましたが『壁の中にいる』はないのでご心配なく!」
「自分から壁の中にいるや、穴の中にいるは出来るんだけどね。穴掘ってトラップ仕掛けてる人もいる。あら?ステッキを付いたおじいちゃんが壁触りながら歩いてる。」
「今大会最高齢!御年70歳のスィーパーおじいちゃん!本部長になったら最初は若返りの薬を探すとプロフィールには書いてありますね!ちなみに今は55〜60歳くらいだそうです。黒いコートに髭を蓄えたロマンスグレーのいぶし銀!」
「私は定年したら悠々時的に過ごしたい。と、非常に言いにくいけど・・・、ファーストメイクの魔術師かなぁ・・・?」
歩くおじいちゃんと出くわしたのは、白塗ゴスロリ赤カラコンの女の人。服の指定はないし、その人が戦闘服だと思えばそれは戦闘服なので全然問題ないのだが、そうか・・・、その姿を信じてこの場まで来たんだなこの人。
プロフィールには奏江 叶恋と名前が書いてある。ゲート関連は既に自分の仕事なので、その出来次第で付いてくる人もいれば、付き合いきれないと離れる人もいるだろう。特に命のかかった選択だから仕方ない。しかし、それでもその姿をしてこの場に来たのなら俺は少しはメンバー達以外の人にも背中を見せられたんじゃないだろうか?
「ふむふむ・・・、ばぁさん飯はまだか?」
「おじいちゃん、ボケるにしては、早すぎる。私は、そこまで老けてないの。」
「60点じゃな。節と切り方が甘い!」
「あらあら、その口閉じなさい?レディに向かって失礼よ?」
こんのジジイ、ファーストさんが見てる試合でダメ出しとかやめてよ!似合ってるか似合ってないかなら、あんまり似合ってないのは知ってるし、動画を何回も見て口調だって真似てるのに!地味な会社員の私がせっかく憧れて、勇気出してこの格好でゲートをおっかなびっくりしながら歩き回って歩き回って、漸くここにいるのに!
「そ!・・・、開く唇に静電気・・・、魔術師:雷。なるほどなの。もう少し視せてくれんかな?」
「安い挑発、駄賃はアナタ。ネオンの様に輝いて?」
イメージはある。アニメの感電のイメージだ。あの骨が透ける様な演出はずっと見てきてそしてそれは外れない。それに、理科で習った。電気は大気中にあるって!だから本部長達みたいな瞬間感電も出来る!気絶させれば終わり、モンスターじゃなくて人だからフルパワーでやりづらいけど狙うは頭!
「なるほどの、瞬間感電も出来るか!なら次は何だ?もっと見せろ。もっと曝け出せ。知りたい、見せて欲しい!」
「っつ!離れなさい?止まりなさい?貴方は痺れて動けない!」
なんでこのマントをはためかせながら人普通に歩いてくるの!?当ってる!感電してる!それなのになんで薄ら笑いでスタスタ歩いてくるの!?出力が弱い?いや、多分違う気がする?そもそもこの人の職は?冷静になれ私!確かに不気味で先手を取ったけど、よくよく考えれば私ばかり手の内を見せている。攻撃して倒すのは当たり前だけど、余り見せすぎても・・・、ううん!
今見せなくてどうする私!まだ小手先の技しか使ってない。なら、小手先でも勝てる様にすればいい!ファーストさんは何時も余裕があって、私には全く余裕がない。そう、焦って失敗して慌てて失敗して、文章を作成すれば何時もタイプミスに悩まされる。でも、そんな私でもここに立てたんだ!なら、この姿で無様は晒せないの!
「ランダムな放電に、地電流探求の道は険しいのぉ!だが、この一歩の歩みが真実を曝け出す道となる。」
電流の流れがおかしい。当って身体に広がっているような感覚はあるけど、それがいまいち本人と重ならない?何かある?重ならない理由。パイプや電気を誘導しそうなものは見えな・・・、違う!でも確証がないから試す!
「来なさい雷鳥!十重に二十重にアレを撃て!」
雷鳥と言うけど見た目はただの青白い鳥っぽいモノ。だって雷鳥って普通の鳥だし。でも、それは関係ない。雷の鳥!それが大事なの!高かったブーツに更に改造してもらい靴底はフラットな鉄板!そこに電気を溜めれば滑るように私が射出される!
「歩みは終了かのぅ?まぁいい。その臓物曝け出せぇい!」
「悪いわね?こちらも決めにかかってる!アナタの職はなんですか?オカルトだと嬉しいな!」
後から見つかった少ない職でオカルトというものがあった。掲示板で情報を色々見たけど、なんというか研究者?その職についた人はなんだか分かってるみたいだけど、機から見ると掲示板の中はカオスだ。ただ、その中で暴露と言う説明があった。それが攻撃の要らしいけど、使う人次第でかなり変わるらしい。でも、総合して考えるなら!
「貰ったわよ?」
「一旦引くべきじゃったか。あい、これにて投了。」
ステッキが仕込み刀の様に抜かれるけど、それは雷を纏った拳ではたき落とそうとしたけど、触った瞬間に雷は霧散して手首から先を切り落とされる。赤く流れる血は本物に見え、斬られた手首は熱を持って痛みだす。けど、この片手分の代金は請求します!血というのは鉄分が入ってる。この鉄分でステッキを拘束し残った手を突き出す。とっさにマントで雷を払おうとしたみたいだけど無駄、だってコレはウチ消える雷じゃない。電磁ネット何だから。絡まり付いて動けなくなったこの人の頭をつかんで電撃を放って終わらせる。どうだったかな?良かったのかな?実況は戦っている私達には聞こえない。でも、少しでも私の戦いを見ていてくれるといいな。




