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街中ダンジョン  作者: フィノ
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185話 笑ってはいけない 挿絵あり

忙しくて短いです

 エマも帰ってきて奥を目指しつつ平穏(?)に大会準備に勤しむ。もう骨組みも決まって会場設営も終わり、開会を待つばかり。忙しいが、まぁそれはいつもの事なのでいいとして、最後の詰めとしてゲスト対応について話し合った。各国からやはり要人は来るらしい。ただ、ホストは政府なので俺の方までは話は来ていない。


 そんな要人達は全員仮面装備でどこの誰かは分からない。防犯上の理由から名乗りを上げる事や、指定区域外への外出禁止その他様々な制約があるが、それでも来ると言うのだから今回の大会の注目度が伺い知れる。そんな大会は千代田に任せて以降様々な意見が上がり、不定期ながらも開催するらしい。


 まぁ、機材も今回のノウハウも有れば出来ない事はないだろうが、話が大きくなりすぎてついていけないな。その話を持ってきたのは松田なので、次からは本部長の話とは別に技術の祭典にでもするのだろうか?出土品の改造やそれに関する技術を発表する場は今の所ないのだし。実際、佐沼から聞いたがR・U・R発注の問い合わせやハブに関する技術提供を求める声は多いらしい。


 ガラケーが出た時も一気に広まり、スマホに移り変わっても出来る事の幅が広がったと発売当初こそ電池の保ち時間問題があったが、それでも数年で広まって今では無いと仕事どころか、生活に支障をきたすレベルになっている。ん〜、スマホの次ってなに?やっぱり電脳化とか?まぁ、指使わずにネットできるのは便利だよなぁ。記憶力は退化していきそうだが・・・。


 それはさておき、俺の前には俺と同じ顔の人物がいる。見た感じ違和感はないし鏡を見ている気分だ。言わずもがな、何故か俺の姿になると言う目標を持った夏目を影武者にしようとやらせて同じ服を着せてみた。昔なら似た顔の人を探す所からだったが、生憎と探してもいないだろう。そこで、体重やらの数値を渡して試してもらった。表情は違う。声も若干違う。ただ、背格好は一緒。大会当日は基本的に実況席にいる予定だが、流石に疲れもすれば会場を見ても回りたい。


 だが、席を離れれば探し回られる事も考えられるので、対外的にその席に座っている人物を俺として影武者を立てる事にした。ただ、表情や声は違うので、基本は仮面を付けておこうかな。初対面ならバレないだろうが知り合いにはバレると思う。まぁ、その検証を今からする所だ。


「「・・・」」


  挿絵(By みてみん)


 教室の扉を開き2人共同じ格好で入る。話はしないし真顔で歩く。教壇の前に立ってボイスレコーダーからどちらが本物?話し合わずに指を差す事。と、声を流し半数くらいが夏目を指差せば、概ね顔を晒しても大丈夫だと思うのだが・・・。


「何故だ・・・、何が違う?数字の上では全くとまでは言わないが、かなり近似値に近いはずだ・・・。」


 うん・・・、全員俺を指差している。夏目が口を開いたので違いは増えるが、声もかなり似せてきている。何だろう、相当似ているモノマネ芸人とか?精度はそれよりもかなり高いはずなんだがなぁ・・・。


「何と言うか・・・、オーラ?」


「並ばれるとやっぱり本物の方に目が行くな。」


「だいぶ似ているんですけどね・・・。ただ、キレイな方を選ぶと正解って言うとても簡単な設問なんですよね・・・。」


「追跡者には簡単な設問だナ。」


 ワイのワイのと正解が割れて話し出すが、肌も隠しているし後は顔を隠すくらいしか・・・。実況席に仮面被った少女、服はゆったりとして輪郭部分を隠し、他の要人と同じ様に偶に仮面を被る。まぁ面倒臭がらなければ顔出しでうろうろしてもいいのだが、そうすると大会そっちのけで人が集まる可能性が・・・。いや、そもそも魔法で隠れられるので影武者の夏目さえ気付かれなければ大丈夫か。


 実況席でダラダラ喋ったりしていると言う事は、お忍びで出歩こうが何をしようがそこにいるという認識さえ持ってもらえばいい。なら、入れ替わる時は俺ではなく夏目に仮面でも付けてもらえばいいか。


「ちょっともう一回やります!次は大丈夫なはずです。それとエマ、能力を使わない。一応、一般人と言うか一般スィーパーが騙せるのか?そういった試みなんですから。」


 そうして到頭『まぁ、これなら?』と言う所にまで辿り着いた。顔は仮面で隠す。言葉も話さないし、ゆったりした服を着る。パネルとかマネキンでいいんじゃない?と言われそうだが、動く分にはギリギリ問題ない。ただ、夏目曰く相当窮屈な姿らしくそんなに長時間は無理らしい。


 まぁ、我儘でやってもらっているのだから仕方ない。それに、各国の要人は一旦どこかの国に集合してまとまって来るらしい。これも警備体制の一環らしいが、苦言を訂した国には来なくていいよ。と、政府が返したら引き下がったとか。ん〜、放送もするのに直にそんなに見たい?十中八九狙いは武器や出土品、モンスター素材なんだろうけどさ・・・。


 まぁ、その放映権もかなりいい額になったと聞いた。会計管理に付いては一般の税理士等では無理だろうと国に丸投げ。後から収支報告を貰う手筈で、その時には税金等も引かれているので、書面の数字が丸々ギルドの運営資金となる。フッフッフッ・・・、身体が軽い!もう何も怖くない!フィナーレはすぐそこよ!やめよう。頭から食われそうだ。


「で、私はなんで橘さんと空港にいるんですかねぇ?」


「政府からのオファーだからでしょう。外国には協力しないが日本には協力的。なら、政府からの要請は断れないでしょう?まぁ、そうでもしないと日本としても貴女を守りきれないと言う事です。」


 成田空港ロビー。超が付くほどの厳戒態勢の中、俺と橘は飛行機降り口の眼の前に立っている。俺はお出迎え要員。橘は検査要員である。お出迎えいる?いるなら総理でいいんじゃない?俺がお出迎えしても・・・、美人だからそれなりに嬉しいのか。ええ、ええ!顔はいいんですよ!勲章より欲しい写真集を作ったんですよ!


「はぁ・・・。で、全員仮面装備で名乗ったら即帰国。他の個人を名指ししても帰国、本人とバレる様な事をしても帰国・・・。笑っていいですか?ケツバットは怖いですけど。」


「ケツとか言わない。貴女を直接知らない人に対しては黙って知らんぷりでもいいんです。なにか言いたいなら適当に日本語で『ようこそ日本へ!』とか言っておきなさい。」


「へいへい。変に外国語が喋れると知られたら連れて行かれそうですからね。と、降りてくるみたいですよ?」


 笑いたい。物凄く笑いたい。全員スーツ。或いはレディーススーツ。ビシッと着こなし、普段スーツを着て仕事しているのが分かる立ち居振る舞いの集団が全員仮面着けてるんだぜ・・・。やっぱりこれって笑ってはいけないヤツを仕込まれてない?ここで笑った後に黒マスクが出て来てケツを叩かれても怒らない。だって多分そう言うルールだし。


  挿絵(By みてみん)


「クロエ、にこやかに。その笑いを噛み締めた表情はやめなさい。」


「そう言う橘さんこそ。口角が上がってますよ?・・・、橘、アウト〜。」


「そ、それは卑怯でしょう!」


 知らない。まだこちらの姿は見えていないだろうが、笑うなら今吐き出さないと多分保たない!2人でバレない程度に笑い、肩の力を抜いて仕事を始める。まぁ、俺はニコニコ、橘は視認と握手。流石にここでやらかすバカは・・・。


「ミスター、貴方は誰ですか?本来来る方と名前が違いますが?」


「ワ、ワタシィハ代理デェス。本来ノ大使ノ後釜デェス。」


「分かりました、お引き取りを。代理の申請はフライト中迄としていました。それが守られなかったのなら帰国して下さい。」


「ナ!何ヲ!ココハ国際ノ場。横暴デェス!」


 はぁ、やらかしてますなぁ・・・。



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[一言] デデ〜ン!(例のSE) クロエOUT〜
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