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街中ダンジョン  作者: フィノ
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145話 犬が追ってくる 挿絵あり

 バイクを走らせ追ってくるモンスターを減らし、フルスロットルで約一時間。スペックと重量、悪路と途中で飛んだ事を加味して600kmくらいは走ったんじゃなかろうか?地図上で考えるなら日本を飛び出している気がする。攻略が進まないのはモンスターの強さも勿論だが、乗り物問題もあるだろう。


 危ないとは思うが、このバイクくらい速度の出るものが市販されればよりスムーズに潜れると思う。ただ、注意するのはトラップとモンスターと地形と本人のテクニックだが・・・。徒歩や走っても来るなら、今回のような距離を最短で進んでも数日かかるしね。ゲートは目の前、バイクを降りてさっさと先へ行こう。


「あの馬はワープ機能でもついているのだろうカ?このバイクより早い気がするガ・・・。」


「確かに、横槍はあるけど早かったよね。潰して食べて回るよりも研究に回した方が新しい発見があるとか?ツカサはどう思います?」


「斎藤さん曰く真ん中の目は色々視れるらしい。移動兼食用と思ってたけど調べたらまだなにかあるかも。走ってるのに足の動きは少ないし、下手したらこのバイクより早く移動できる。いや、移動すると考えるのではなく、あくまで運んでいると考えたら・・・。」


 普通に移動する分には走っているように見えるが、ソーツは空間をいじれるのでワープと言うのも、あながち間違いではないかもしれない。圧縮した空間を突き進むなら、それは多分ワープだろう。不思議生物は本当に不思議しかない。だが・・・、ここに連れてきた馬をモンスターが食べたら・・・?


「それより先に行きましょう。ここで立ってるとまたモンスターが来ますよ。減らしたとはいえ、まだ付いてきたものはいますからね。」


「そうだな、行こう。」


 そう急かされて先へ進む。地形は平地が見立つようになったとは言え、見通せば山陰のようなものも見える。ゲート通過後の襲撃は今回無かったが、毎度こうとも限らないので緊張する。一説にはこのタイミングで命を落とす人が1番多いらしい。どうしても、ゲート通過後は周囲に気を取られ、背後からというのは少ないが囲まれているなんてこともある。


 すぐさま迎撃しようとも、数や相手の把握でワンテンポ遅れる人が多いそうだ。分断される事はないにしても、通過を察知されればそれに合わせて出現と同時にビームが飛来して来たなんて事もあるらしい。モンスターは喋る個体こそ少ないが、別に馬鹿と言う訳ではない。政府からも警告が出ているので、思い思いの対処をしているらしいが、これと言った明確な定石はなく一番有効なのはくぐり抜けてすぐに周囲を攻撃するかしゃがむ事らしい。


 盾師が同行していれば、致命傷は防げるがそうでない場合は射線軸から逃れるか、撃たれる前に攻撃を掻き消す事が推奨される。浅い階層ではそこまで苛烈ではないが、奥に行けば行くほどモンスターも進化してきていると言う事だろう。これまで傷を受けないように立ち回りをしていたが、霧の件もあるのでやはり中層付近は一筋縄ではいかないな。


「2人共、一度宮藤さん達との合流を目指して最短距離で進む事を提案します。進み方はバイクか空を飛ぶの2択ですがどうでしょう?」


 望田に防衛線を張ってもらって一旦方針を確認する。浅い階層でイメージトレーニングしてもいいが、中層までのモンスターが出ると仮定するなら、1度大まかにでも先のモンスターを見た方が対処もしやすいだろうし、何より防壁の強度にも繋がってくる。キセルをプカリ。運転しながらも吸えるのでいいが、他の二人はしがみついていたので両手が使えず、昼過ぎになっても昼食は食べていなかった。なので、このタイミングで食べているが自衛隊の栄養補給バーは更に改良が進み、スニッカーズバー程度のサイズで3000kalあるらしい。


 味はチョコとサラダとフルーツがあるそうだ。望田が凄い形相でカロリー表示を見ているが、それなりに歩きもしたし大丈夫だろう?俺もチョコ味と缶コーヒーで一息。飲まず食わずでも大丈夫だが、食は心を豊かにしてくれる。


「合流に異論はないガ、モンスターが見られないと困ル。引き続きバイクがいいと思うがカオリはどう思ウ?」


「私としては報告上、目新しいのは霧と犬型だと聞いています。大きさは分かりませんが、霧は見たので後は犬ですかね?外観が似ただけのモンスターなら飛んでいても分かると思いますが・・・。空に新型はいなかったんですか?」


「ん〜、新型というかマイナーチェンジ的なやつは一杯いる。そもそもモンスターは進化するし、それに系譜がある訳でもないから明確に新型とは言いづらい。」


「進化カ、兵藤とツカサは見たのだったナ。先に行けば私も見られるだろうカ?」


 エマはモンスターの進化している姿が見たいのだろうか?まぁ、資料としてはあった方が後にこういった現象があると分かりやすいが、賢者が珍しいと言うくらいだから、中々見られないか、広すぎてどこでモンスター同士でやりあってるか分からないというのもある。こればっかりは運に頼るしかないな。


「珍しいので早々見れるものでもないです。引き続きバイクで行くとしましょう。」


「そうですね、では次は私がツカサの後ろです。」


「よかろウ。守りは任せタ。迎撃は引き続き引き受けよウ。細い腰ダ、抱き締めすぎて折るなヨ?」


「そのまま返しますよエマ。身体能力は私よりエマの方が上でしょう。渾名をメスゴリラにしますよ?」


「その渾名はエマが光学迷彩を使えるようになってから付けましょう。」 


「メスゴリラはよしてくレ、流石に聞き飽きタ・・・。」


 バイクに跨り走り出す。取り敢えず、馬で首をヤラれた事があるし全面だけはしっかり俺も守りに入ろう。しかし、ガンダム乗ってたらこんな気分なのだろうか?あちらこちらからビームやら何だかよく分からないモノが、飛んでくるのをあの図体で回避するんだろ?バイクでも手間なのにプロパイロット凄い。


 しかし、奥へ行けば数が減ると思ったが余計増えているような・・・。まぁ、進化したら奥へ行くらしいので、それだけ進化した個体が多いのだろう。確かにすれ違いざまに見れば何処か昔見たモンスターに一部似たようなやつがいる。混ざりすぎて原型はかなり分からなくなってしまっているが・・・。


  挿絵(By みてみん)


「ツカサ!大きくハンドル切って!」


「分かった!左に切るから振り落とされるなよ!」


 一応煙で車体周りは保護しているが、それでも望田が避けろと言うからには何かしらヤバイモノでも来ているのだろう。左に大きく車体を倒しながら回避してチラリと右を見る。あれが犬の原型かな?ほぼ居ない4足歩行のモンスターが先頭の身体の大きいモノを筆頭に数匹で戦闘機の様に隊列を組んでいる。


 ここに来て到頭指揮官と部下と言う上下関係のあるタイプがでたと?どう言う意図かは分からないが指揮能力とかモンスターに持たせるな!単体でうろうろしていても面倒なのに、集団戦とかしたくねぇーよ!その上バイクに追い付くなら軽く600〜650km/hは出てるぞ!ガチガチに猟犬じゃないか!


  挿絵(By みてみん)


「エマ迎撃!」


「やっていル!しかし、こいつ早いゾ!守りは貫通できないようだガ、トラップの発動位置を感知しているように避けル!」


 走り方は犬のように足と足を交わさず、両手で地面をつかんでは打ち出し、最高速で両足で地面を蹴ってほぼ最高速で追ってくる。軽そうな見た目だが、2m半くらいは体長がありそうなので、それを打ち出している両手足で攻撃されれば大ダメージは必須だろう。


「なら、余裕を持って当然のイメージで当然の事をしましょう。冷静沈着、倒せるものを探して紡げばいいんです!」


 ビームはまだないがタックルは随時飛んでくる。スラローム走行で躱すが、顔の横を走られると嫌でもその牙が目に入る。バイト程恐怖はないが、それでもあの口にはいい思い出がない。何より俺は猫派だ。


「分かっていル!犬共ボールだ取ってこイ!」


 そう言ってエマからボールと言う名のパイナップル(手榴弾)が犬達へとんでいく。どうせなら追加しよう。犬なら・・・、撃ち漏らしがないようにこれだろう。


「ガリゴリガリゴリ、美味しい骨をはいどうぞ!」


 骨ガムならぬ煙ガム。口から中に入ってくくれれば後は赤峰コース。中から串刺しにしてやんよ!エマの手榴弾で顔が吹っ飛ぶモノや、内部から串刺しになるものが多いが、そこまで傷ついてもまだクリスタルに還らないか・・・。


「哀れナ・・・。」


「モンスターにかける慈悲はない。エマ、それは手加減に繋がります。あれはただのゴミ。何があろうと共感なんかはしてはいけません。」


「そうですよ。撃ち漏らせば私達や仲間が危険です。さっさと倒してしまいましょう。私も参戦します!」


 そう言って望田も歌いながら玉を操作してモンスターにぶつけだした。けど、先頭のやつが部下っぽいヤツを掴んで投げてきた!と、言うか半分食って残りを投げつけてきた!行儀の悪い。食うか遊ぶかどちらかにしろよ。


「良かったですねエマ。モンスターによるモンスター捕食シーンが見れましたよ?」


「観察するなら隠れてひっそりとしたイ!あんな食べ残し投げられてたまるカ!なげる前にさっさと消えロ!」


「投げてくるなら当たると計算してます。モンスターも効率的ですからね、更に運転が荒くなりますよ!」


 モンスターに追われながら更にひた走り次のゲートへ。倒せない事はないが相手にしてもキリがない。取り敢えず、合流第一。


(真面目に掃除なさい?やらないなら変わりなさい。私に娯楽を提供なさい。)


(先を急ぐ、中層行ったら気晴らしさせてやるからちょっと待ってろ。)


(信じるわよ?)


(上の者として嘘は言わないよ。)


 そんなやり取りをしながら走り、本日は39階層で退出。交わされた夕暮れ時にまた会いましょうは、全員と再会を果たせて無事約束が守れた。


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― 新着の感想 ―
[一言] >ゲート通過後の襲撃は今回無かったが エリアチェンジ直後の集中攻撃って昔の出来の悪いゲームみたいだ しかも先に進むとその攻撃が辺り一帯消し飛ばす威力になる、と
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