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街中ダンジョン  作者: フィノ
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108話 お金がが‥ 挿絵あり

 アホほど頭が痛い。組織の運営資金を集めようと思う。その考えは間違っていない。残念な事にここは現実でファンタジー宜しく金貨だわーい。えっ!10万枚あれば一生遊んで暮らせるし大体の事は出来る。何ならハーレム作ってキャッキャウフフの爛れた生活も出来るし、法律も緩いから放逐してもいいよね?とは行かない。まぁ、ハーレム作る気はないし、10万枚の金貨程度なら多分指輪に入ってる。


 入っているが頭痛は治まらない。ここは現実で、金貨は確かに通貨として使えるが、基軸通貨としてではなく金の価値として使えるのであって金貨そのものの価値はあくまでグラムいくらの世界。早く基軸通貨として認められれば話はスムーズなのだが、未だにイギリスや資産価値を落とされて貧乏になりたくない金持ちが抵抗している。その貧乏も一般人からすればまだ金持ちの範疇なのだが・・・。


 今日のレートはグラム5千数百円。また少し下がっている。多分、最終底値はもっと下。しかたない、どの国でも誰も彼もゲートに入っては中の物を持ち出して、買っては売って売っては買ってを繰り返して経済活動を回している。その回るスピードに付き合うなら今ある金貨を全部売り払って、設計図やゲートの武器。或いは薬を買い漁るのが早いだろう。


 しかし現時点の問題は現時点の問題であって、それを未来の自分に押し付ける事は叶わない。押し付けたら最後、未来の自分は過去の自分を恨むからね。そのセリフさえも思い浮かぶ『自分勝手にしているのに、その程度の身勝手で満足したのか?』と。誠に腹立たしいが、その指摘は粛々と受け止めるしか無い。


 上限を決めていない以上その資金集めは際限がない。際限がないなら、最善しかない。では、最善とは・・・。放映権は売るにしても問題は大会そのものの知名度のなさと、本部長選出戦と言う事で中位も出ない。仮に出るとすれば、参加者が大会までに中位に至った場合。しかし、それはもはや1と0の様にあるない世界の出来事で希望的観測すぎるし、中位になったのならそのまま本部長に成ってもらっていいと思う。


 なら、誰かが言っていたオープニングセレモニーでメンバーからデモストで模擬戦をしてもらう方が確実である。ただ、コレは政府がいい顔をしない。日本政府としては中位の紹介までは目を瞑っているが、模擬戦となると戦力の露出。つまり、軍事力の誇示に繋がるのではと危惧しているのだ。


 事実としてどの国もスィーパーを研究しているらしいし、中位の紹介配信はアクセス解析すると、個人よりは政府関係の端末からのアクセスが多いらしい。はぁ、前にも軍事力は個人に回帰すると考えたが、それが早くもこうして頭を痛める結果になるとは思いもよらなかった。別の案を模索して何かしらの目玉がいるよなぁ。


  挿絵(By みてみん)


「頭を抱えてどうしタ?」


「本部長選出戦の放映権。買い手が付かない事に危惧しています。全くつかない事はないにせよ、安く買い叩かれる事は避けたい。そう言えば、米国は欲しがりますか?放映権。」


 米国ならストリートファイトとかしまくって、見飽きている可能性がある。それならわざわざ放映権を買わなくとも自国の、それも目の前で見れてしまうのだ。他の国でもそうであるなら、わざわざ買わなくていいと言う結論を出してもおかしくない。


「欲しがるナ。自国ではなく他国のスィーパーが何をしているのか見るいい機会ダ。拡大解釈するなラ、これも助言と似たような気づきに繋がル。」


 モノの見方の問題か。確かにネット配信ではゲートで何かしていたり、職を使ってこんな事してますや、モンスターの倒し方なんて言う配信も見る事はある。しかし、小競り合い程度の喧嘩はあるにしても、今回の様にガチガチにやり合う動画というのはない。まぁ、放送コードに引っかかったりするのでないのだろう。ダークウェブとかならあるかも知れないが、見方も知らないしそもそも集団で個人をどうにかすると言うのは既に時代遅れだ。


 仮に採掘家を集団でリンチしようとしたとする。メンバーは何でもいい。格闘家でもガンナーでも、何なら鑑定師でも魔術師でもいい。何でもいいが問題は数の暴力が通用するのか?と、言う点である。そりゃあ、組織立って動かれれば数がある方が強い。しかし、リンチする程度の集団。仮に5人とした場合、無傷ではすまない。


 軽くいたぶろうと囲んだらくり抜きで心臓くり抜かれたり、報復で殴り飛ばしたりと収集がつかなくなる。そうなると、行き着く先は血を見るしかなくなる。それはもう、リンチではなくただの処刑だろう。


「ふむ、欲しがりはすると。問題は金額と欲しがる人の数か。販売ルートとか持ってないし、松田さんと話を詰めて・・・。」


「米国分なら販売ルートをどうにか出来るゾ?寧ろ、その話をちょうどしたかっタ。多少の手間はあるガ、いい金になる話があル。」


「ほう、話を聞きましょう。」


 何やら販売ルートと儲け話をエマは知っているらしい。額にもよるが、作業対価が見合うならやらない事もない。ただ、性的なモノについては全部蹴っ飛ばす。貞操は買えないのだよ。妻に捧げてしまって在庫がないのでね。


「この前公文書を書いていたのを覚えているカ?」


「ええ、1日ゴスロリっぽいもの着てましたからね・・・。」


「似合っていたゾ。あれの詳しい話を聞きたいので大使館に来て欲しイ。」


「あ〜、大使館かぁ。」


 米国大使館なら敷地内は米国領土だよな。日本にいながら海外に行きたいなら、どこかの国の大使館に入るか外航船に乗るかくらいしか思い付かないが、入ってしまえばあちらの国の法律に従う義務がある。無いとは思うけど、難癖付けられて米国に出荷されてもことだよな。


「米国領になるので不味いですね。無いとは思いますが、そのまま海外に連れて行かれてもことですから。」


「1人でとは言わなイ。必要なら日本政府へ依頼して承諾後に来てもらっていイ。あくまでクロエに来るかどうかの意志があるかを知りたイ。」


 ん〜、忙しいし行っても旨味がな。ただでさえ資金集めの為に広告どうしようとか考えてる所だし、講習会メンバーからは物販で写真集売ろうとか、どうせなら歌のCD作ろうとか頭の湧いた提案しかでないし・・・。まぁ、多分作れば売れるんだろうけどさ・・・。俺はアイドルじゃないんだよ・・・。民謡とか歌えばいいのか?


「大使館に来て話をしてもらえれば、それ相応の額は出すそうだゾ。」


「額によります。私の意志と言うならそこの部分でなら、今は動きますが何せ大会準備がありますからね・・・。」


 時給1200円。いや、多すぎか。東京の最低賃金が1072円なら多分それだろう。行って話して帰る。1日作業と考えて色を付けてもらって1万円くらい?ん〜、流石に俺の目算だがその額ではちょっと安すぎる。


 せめて儲け話と言うくらいならある程度の額は欲しい。しかし、行って話すだけでは高望みし過ぎだしな。何かこう、付加価値的なモノがあれば相応の額をおねだりも出来るのだが・・・。あぁ、あれを付加価値として売ろう。それならある程度の額はくれるだろう。


「額については明確ではないが端金ではなイ。少なくともこれくらいは出るだろウ。」


 差し出されたのはピースサイン。200ドル?いや、エマが端金でないと言うなら2000ドルくらい?日給でそれなら破格だな。それならまぁ、少ないが多少の足しには成るし行ってもいいか。


「行くと言う方向で動きましょう。手土産に魔法もあげます。」


「な二!?あれを貰えるのカ?」


「ん〜、相応の額なのでしょう?なら手土産くらいは必要じゃないですか?あっ!東京バナナとかの方が・・・。」


「いイ!!その手土産で十分ダ!作成してからの持込みカ?」


「あ〜、手間ではないですが大使館が禁煙なら作ってから・・・。」


「存分に吸っていいゾ。うン。何ならタバコをカートンで渡そウ。」


「そうですか?なら、大使館に行ってから作りましょう。最近近くのコンビニに張り込み部隊がいて、買いに行くと確実に写真をお願いされて面倒ではあるんですよね。害はないから別にいいんですけど。」


 同じホテルに泊まり続けていれば行動範囲も自ずと分かってくる。深夜に近くのコンビニでタバコ買った事が知られて、そのコンビニは大賑わいしている。最初は何か一番くじでも始まったのかと思っていたが、まさか俺に会う為にいるとかね・・・。まぁ、それはさておきお金はコツコツ貯める物。


 エマも儲け話を持ってきてくれたし、やれることはどんどんやろう。流石に魔法は売らないにしても、糸を出して縫いぐるみとかそれの着せ替え用の服とか。元はただなのでどんどん出して売ってしまおう。他に売れそうなものは・・・、高槻に頼んで回復薬とか?人は入れない予定だが、パプリックビューイング出来るならそこで売ればいいしな。


「あぁ、高槻先生と話はつきましたか?」


「いヤ、あの会食以降音信不通ダ・・・。避けられているのだろうカ?」


「それはないですよ。海外工場1号は米国と、話はお互いにしていましたから。」


「知らない間に話が進んでいるのだガ・・・。」


 そう言えば、モンスター渡した時にエマはいなかったな。まぁ、かの亡骸が決定打でスムーズに話は進んだ。株主総会と言う名の会議は社長と大株主が揃っているなら、おおよその舵取りは割とすぐに決められるのだよ。まぁ、出来たての会社で手を広げているからと言うのもあるけどね。


 実際、高槻の意志を汲むなら海外展開は避けては通れないし、俺としても海外展開してスィーパーがゲートに入ってくれるなら、どんどん増産して売り捌いてもらいたい。なら、高槻にも付いて来て貰った方がいいよな。


「日頃の行いですね。私を崇めなさい。大株主の意向と社長の意向は絶大です。」


「アリガタヤ、アリガタヤ〜。」


 胸を反らした俺を手を合わせてエマが拝む。妙に堂に入ているが彼女はクリスチャンではないのだろうか?と、ここまで話したが、そう言えば大使館では何を話すのだろう?公文書作成に口は出したが、殆どエマが書いたので内容はそこまで知らないしな。


「それで、大使館で話す内容というのはなんですか?まだ行けるか許可も取ってませんけど。」


「あ~、うン。すべての始まりは言葉かラ。この言葉と言うのはワードの意味カ?それともロゴスか?」


「難しい質問ですが、ロゴス寄りですね。話さなければ始まらない、名前がないなら呼べない。伝えるなら言語は必要で、それをイメージするならやはり最初は言葉(ロゴス)ですよ。聖書的な言い回しでしたが、分かりづらかったですか?」


「いヤ!全ク!欧米人のクリスチャンがロゴスを知らない訳はないだろゥ?」


 やけにあたふたしているが、まぁ、伝わっているならよしとしよう。さて、高槻やら千代田やらに連絡を取るかな・・・。



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[良い点] そうだな知らないわけがないな。
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