86話 ここは意外と 挿絵あり
祭りの当日、兵藤達はハッピを着て屋台の準備を行い、女性陣はと言うと・・・。
「間に合った・・・、のか?」
「傷は深い・・・、ガックリしろ・・・。」
「初めて着たけど、割とあり?夏目さんは・・・、ズルですよね?それ。名前でお笑い職なのに、この有用性と言ったらもう!」
「職の有用性を広めると言う観点では、私のしている事はこれ以上ないほど効果があるだろう?」
「ちんまくなった分、触ると結構ゴツゴツして硬いんですけどね、密度が高い分。寧ろ、クロエさんに着て欲しかった・・・。」
「私はこのまま職を極めて不老の薬を飲んで、可愛い娘達との楽しい余生を目指す!」
なんだかんだで割と普通に着こなしている。ダイエットを高らかに叫んでいた女性陣だが、日々ゲート内で走り回りながらモンスターを倒させているので、元々太っていたメンバーはいない。話を聞けば、痩せている=美しいという昔のモデルのイメージがステレオタイプに残っていて、ソコからダイエットと言う発想になるらしい。
私も昔、コンテストに出ていた時は厳しい食事制限をしていた。逆に軍人になってからは筋肉を付ける為に肉とプロテインをよく取るようになった。そして、クロエとファースト。メンバー内で呼び方が違うが、同一人物を指すこの呼び方は、メンバー内での勝手な不文律だが、中位はクロエと呼び、下位はファーストと呼ぶらしい。
由来は兵藤が最初に会った時、クロエと呼んだらファーストと呼べと返された事から来ているらしい。勝手な組分けで本人も何も気にしていないので、そのまま定着してしまっている。そんな渦中の人物はメイド服を見ながらうんうんと首を縦に振っている。嬉しそうな顔を見るとやはり女性が好きなのだろうか?
「これなら本部長だろうと怖がられませんね。」
「怖がられル?」
「ええ、スィーパーは増えても、それと同じくらいスィーパーでない人もいます。現時点で言うと私達はまだ、人の皮を被った異物なんですよ。そんなモノが人の上に立って指示するなら、親しみやすさは大事でしょう?」
思ってもみない言葉が出た。彼女が指図すれば人は動き、モノは変わりそうなもの。強制でもなんでもすればいいではないか。少なくとも、彼女にはそれをするだけの力があるのだから。
「それがファーストのやり方であるト?」
「やり方というか、官民一体を打ち出した責任ですね。椅子にふんぞり返って顎で指示するだけでは誰も着いてこない、力を見せるだけでは、一般人は怯えてしまう。なら、ある程度のユーモアは必要でしょう?戦国武将だって、妖怪だって綺麗に着飾って美少女になれば人気者、ウチの国はこれが一番親しみやすい。」
そういいながら、1人赤い着物を着た彼女が腹黒そうな笑顔で答える。全く奇妙な人物だ。世界を相手に文字通り戦える力を持ちながら、その実本人は人の輪の中で人として藻掻いている。ただ、藻搔くにしても行動に迷いがなく、本人の譲れない一線とやら以外は割と無頓着。何がしたいといえば、人手が足りないから手伝って欲しいといい、手伝ってくれるなら自己責任で安全優先と言う。目が届かなければ、それは当然だろう。
「エマもありがとうございます。本当に着てくれるとは思いませんでした。商売繁盛商売繁盛、ありがたやありがたや。」
何故か両手を合わせて拝んでくる。商売と言っても高々露天なのだろう?そこまで力を入れるものなのだろうか?本人も金持ちなら、そこまで稼ぐ必要はないと思うが・・・。ユーモアと言うやつなのだろうか。
「潜入任務だと思えバ・・・。ファーストは私の過去を知っているのカ?」
「さぁ?話さないなら話したくないのでしょうし、聞いて欲しいなら自ずと口を開くでしょう?・・・、基本的に人と人の関係は常に歪です。同じ人生を辿ろうとも結果は確実に変わってくる。人を真に理解したなどという言葉はまやかしでしかない。なら、本人が話さなければ、その人の情報に意味はない。」
意味はない、か。確かに彼女はそれを目指してもなければ、下手をすれば知らないまである。国が違えば国外の情報など、知っていたとしても関係なければ些事でしかない。ここは米国ではないが、コンテストはあり勝敗は決まる。なら、優勝は獲物であり参加者と競うそれは新たな一歩なのだろうか・・・?私は私の顔が嫌いだ。しかし、それから離れられず、なくした価値も変わらない。だが、新たな価値を作るとすればそれは・・・。
「ファーストはコンテストに出ないのカ?」
「面倒事は沢山です。見てくださいこの人の山。駐屯地のお祭りならミリオタ辺りが詰め掛けるくらいかと思ったら、広告に講習会メンバー参加を記載したものだからアホみたいに多い。人前は苦手なのでパスですパス。大井さんにはバイク以外も請求しよう・・・。まぁ、隠れて客引きしながら焼きそば焼いてます。コンテストは見に行きますよ?」
そう言いながら首を竦める。誇ればいい美貌も彼女からすれば厄介でしかないらしい。そしてそれが謙遜ではなく本気で面倒と思っているあたり、真の理解というものは本当に難しい。小憎たらしいが、嫌味な感じはしない。
「さて、始まりますよ。」
お祭り開始のアナウンスが流れ、軍人しかいないはずの駐屯地に一般人が入りごった返す。ごったがえ・・・、多すぎるだろ!寧ろ、なんで他にもあるのに、一軒しかないこの焼きそばの屋台を目指して走ってくるんだ!?
「フ、ファースト!?これはどういう・・・、いない!?」
「クロエ・・・、魔法で消えてトンズラこいたな・・・。」
遥が恨めしそうに言葉を吐いているが、私もそれに便乗したい。そうか、ファーストは消えられるのだったな・・・。隠れて客引きと言っていたが、本当に草薙 素子宜しく熱光学迷彩をまとってスニーキングミッションをこなすつもりだろう・・・。
「頑張って捌きましょう・・・、クロエはクロエちゃん優待券なるものを配るそうですし・・・。」
「カオリ、聞いてないゾ。その話。何を優待すル?」
「優待券出してどれか商品買ってくれたら、ぬいぐるみをプレゼントだそうです。モノは男性メンバーが持ってるとか・・・。」
なぜ変な所で商売魂を出した?出会えるだけで幸運だろうに、なぜ客寄せをする!?ユーモアはユーモアでもブラックユーモアか!?
「すいません、焼きそば下さい〜!後、握手お願いします!」
「はいどうぞ、ありがとうございます。」
「なぁ、講習会にあんな小さな子いたか?夏目ちゃん・・・、ミートガールか!?」
「確かに可愛いな、てか、講習会の女性ってなんで皆こんなに綺麗なんだろうな?」
「さぁ?男の方はマッチョばっかりだけどな・・・。見たか?焼きそば焼いてる兄ちゃん。確か中位だぜ?」
「それ言ったら飲み物冷やしてる姉ちゃんも中位だろ・・・、スゲー豪華だよな?中位は本部長なんだろ?」
「それよりファーストちゃん!本部長殿は何処か!?」
「え〜と、初めて見たけど外人さんも講習会メンバー?」
「はイ、新しく入りましタ。よしなニ。」
パックに入った焼きそばと唐揚げを手渡して握手して送り出し、また焼きそばを補充・・・。雲隠れしたい気持ちは分かるが多すぎだろう・・・。大半はメンバーを見て、ファーストがいないと落胆しながらも、他の綺麗所、或いは男性陣を見ては誰の下で働きたいなどと言い合っている。人は多いが、誰も嫌な顔をしていないのがいい。祭りなので、当然といえば当然か。
「おっ!雄二!この超出世頭、俺もスィーパーになったからなんかあったらよろしくな。」
「おう!ってもまだ中位じゃないから俺も平だ平。」
「そうか、なら潜る時は頼むぜ!」
「卓君って大学じゃ物静かだったから、早めにつば付けとけばよかったなぁ・・・。」
「玉の輿よね、今からでも・・・。」
講習会メンバーの知り合いも来ていて、それぞれに合間を見つけては話し込む者もいる。異国なので私にはいないが、それはある意味心地いい。過去は母国に置いてきた、戻るまではあの国にある荷物で、この国にはない。だからこそ、顔の事が和らぐ。評価はあるだろうが、その評価はあの国の評価であってこの国での評価ではない。
「えっと、お姉ちゃんこれどうしたらいいの?」
「ムッ、ファーストちゃん優待券カ。両親はどうしタ?」
「あそこ!」
少女の指差す先には母と思しき女性と、アレはチヨダか。こっちに来て以来、様々な面でサポートしてくれている日本エージェント。確か一般人の時は竜一だったか。相手の出方次第で対応を変えよう。お互いに事情のある仕事をしている。
「すいません娘が。」
「いエ、いいでス。おめでとうございまス。この券を出して何か買ってもらえバ、縫いぐるみがもらえまス。」
お礼を言って彼等も屋台の方へ向かう。昔移動遊園地が街へ来た時はああして両親と見て回った。母は行方が分からず、父はロクデナシに成り下がったが、思い出はたしかにあった。私の価値とは結局何なんだろうか?家を出て流れ着いて軍に入り、顔ではなく腕っぷしでここまで来て、数奇なものでここで売り子をしてコンテストに出る。
あってないような勝敗は誰が選ばれるか分からないが、彼女が出ない以上勝ちの目はある。パフォーマンスもなし、やるのは自己紹介程度でメイク時間もなく、衣装もこのメイド服。笑えるくらい簡単で、栄誉も何もないコンテスト。しかし、それはある意味、素の自分以外の何もないフラットな状態で価値を示すものなのではないか?
私は私の顔が嫌いだ。しかし、ここにいる人間は今の顔しか見ていない。それはつまり、私の顔に新たな価値が生まれると言う事なのだろう。否が応でも私はこの顔から逃げられない、なら、その逃げられないモノに価値を見出し進むしかない。夏目の様に姿を変える手段は、とうの昔になくなっているのだから。
「エマさんどうかしました?微笑んでますけど?」
「いヤ、何でもなイ。少し考えを変えていただけダ。そう言えバ、ハルカはファーストとの付き合いは長いのカ?風呂では変に避けられていたガ。」
「あ〜、生まれた時からの付き合い的な?」
親戚とかなのだろうか?生まれた時からのファーストが横にいる世界・・・、想像すると不思議な世界だな。そもそも、日本人ではあるが、一貫して彼女は本名を名乗らない。名刺でさえクロエ=ファーストを通している。人との繋がりはあるので、幽霊の様に湧いて出た訳ではないと思うが・・・。
「それはまタ、長い付き合いだナ。歳を考えると親子ほど離れていル。オシメを変えた話デ・・・、もするならハルカが嫌がるカ。」
「まぁ、お互いに色々あるんですよ。ほんっとうに色々と・・・。」
「そうだな、バイクに乗せろと散々駄々を捏ねられた。」
「うォッ!ファーストか心臓に悪イ。急に姿を表してどうしタ?」
「袖引き小僧が終わったんで焼きそば焼きに来ました。1時間くらいしたらまた消えます。そうでもしないと、収拾がつかないんですよ・・・。大井と黒岩許すまじ・・・。何がスィーパー隊員確保だ!やるなら勝手にスィーパーやってるだろうに・・・。顔見せたら広告よろしくとか、千代田経由で却下してやる。」
ぶつぶつ文句を言いながらも白い髪を黒いリボンで結び、着物の袖をたすき掛けで縛っているあたり、料理をするのは確定なのだろう。売り子をしてくれた方が助かるが、それはそれで混乱が起こりそうなので、裏方が正解なのだろうか?屋台なので思いっきり顔は見えているが・・・。
「エマさん休憩時間ですよ、休みましょう。」
「ハルカ、今からが忙しいのではないカ?ファーストが店に出ればそれだけ人が集まル。」
「そうですね、クロエが出ればクロエ目当てに店に人が並びます。つまり、私達は商品を運ばなくていいんですよ。ほら。」
他のメンバーそっちのけで屋台にファーストが出ると長蛇の列・・・。日本人は並ぶのが好きだというが、喧嘩もなくここまで大人しく並ぶのもまた不気味な・・・、あぁ、男性陣が目を光らせているのか・・・。アレでは喧嘩などしようとも思わないな。
「ありがとうございます、ファーストさん握手を!」
「私ファースト違うネ。焼きそば焼きの謎の中国人ミスター・陳アルヨ。人が多いから却下ネ。」
バッサリと切り捨てているが、そもそもミスターは男性でファーストは女性。中国人はいいとして、アルを付ける中国人など知らん。狙ってるのか何なのか分からないキャラ作りはいかがなものか・・・。着物なので中国人要素がそもそもない。雄二と卓は何故、黒いスーツにサングラス姿で左右に立っている?そこはチャイナドレスだろ?琥珀さん的に。
「とり天と、後これを・・・。」
「アイヤー、ファーストちゃん優待券ネ。ぬいぐるみプレゼントヨ!一緒に写真撮るカ?」
適当に配ったであろう優待券を持った女性に卓がぬいぐるみをプレゼントし、写真撮影している。頭の大きなファーストを模した人形、たまに街を散策する時に見る人形だが、衣装は多分遥が作ったのだろう・・・?
「ハルカ、あの人形の服はもしかして・・・。」
「クロエの糸です・・・。練習に作ったものの在庫処分だとか・・・。」
「国が大金出して買おうとする代物をプレゼント?・・・、ファーストは何を考えていル?」
「単純に費用がかからないのと、鑑定でもしないとバレないからじゃないですか?多分、オークションで売ったら恐ろしい事になりそうですけど・・・。本人的にはもっと糸を出せる人が欲しいそうですよ・・・。まぁ、あれは子供が扱っても破れないようにらしいですけど・・・。」
遥が疲れた様に言うが、ファースト本人は多分金額的なものは考慮せず、単純に糸を広めたいのだろう。なら、優待券を貰ったのは魔法職?見分けがついているのだろうか?謎が深まるが、遥が言うように人形を貰っている年齢層は子供が多い。なら、大人は単純にカモフラージュ要員?
「言えば私も糸が貰えるのだろうカ?」
「欲しいなら聞きましょうか?糸玉もありますよ?」
「お願いしよウ。」
そんな休憩を過ごし、適度に昼食を取ってからアナウンスが流れた。美人コンテストと言いつつ、参加者は講習会メンバーのみ。先に男性陣は壇上で挨拶を行いそそくさと降りてしまった。誰も誰とで醜男ではないが、観客も心做しか投げやりな拍手が多い。寧ろ、熱烈に拍手しているのは、政府関係者ではなかろうか?
「では、続いて女性陣お願いしま〜す!野郎ども!美人さんの下で顎で使われたいかー!」
「ファースト本部長の下がいいー!」
「ファーストさんは高嶺の花すぎる・・・、夏目お姉様私を導いてー!」
「小田さーん、俺の気持ちと結合してくれー!」
「待て待て、清水さんの引き締まった身体は美しいぞ!」
「金髪メイドは全てを救うはず!期待の大型ルーキーぜお!」
人が多い分様々な声が上がる。しかし、嫌な気分ではない。コンテスト独特のピリピリとした緊張感もなければ、値踏みするような視線もない。単純にここに立ち名を名乗る。それだけしかなく、それだけでいいコンテスト。故に気負うものはない。思えば、私はここのメンバーの中で1番下にいる。スィーパーとしての技術は言うに及ばず、スタート地点からしてマイナスだった。それでも、こうしてここに立てたのなら、メンバーとして認められたのだろう。
中位に成るではなく至る・・・、か。進む道はまだ分からないかも知れないが、やることはある。至れば国へ帰り後続の教育が待っている。それの指標は、やはりファーストなのだろう。寧ろ、それ以外の方法は学んでいない。
「清水さんありがとうございました。続いて・・・、えっ?妖怪夏目さんどうぞ!」
「誰だ!悪意のある呼び掛けを書いたのは!こんな可憐な女性の味方に対して失礼だろう・・・?夏目 七海。職は肉壁、理想の女性でお相手するよ可愛子ちゃん。」
そう言って顔に手を翳す度に人相が変わり、変面ショーの様に人々を楽しませる。おいおい、芸はなしじゃなかったのか?祭りの熱気でサービス精神が出たのだろう、これは私もなにかしたほうがいいのか?
「夏目さんありがとうございました、いゃあ、本当に妖怪でしたね、妖怪百面相!では最後です。金髪美人メイド、海外からの殴り込みだー!」
司会が最後の私を呼ぶ。金髪美人メイド記号だが、たしかにそれは私だ。私以外ここに金髪メイドはおらず、私以外を指す事のない呼び掛け。エントリーナンバーでさえないそれは、私を表している。
「米国より来ましタ!エマ=ニコルソンでス。職は狩人、私とともに遊園地で遊ばないカ?」
くるりくるりと手の中で回るショットガン、顔の傷から出る煙は故郷の・・・、昔見た移動遊園地を浮かび上がらせる。口酸っぱく、耳に残るほどに言われた職とはイメージであるという言葉。私は罠を使う。そういう職である。なら、時限式の罠を空に撃ち出せば?引き金を引き、カウント10空には大輪の花火がいくつか浮び上がる。煙のお陰で外からは見えず、玉もガンナーの物なので負傷者も出ない。単純に何者をも犯さない綺麗な花火。それを空に咲かせてみせた。
「お祭りには花火が必要でしょウ?異国の友に花束をどうゾ。」
自分で言ったセリフのクサさに、顔に赤みがさす。私はこんなセリフを言うような人間だっただろうか?いや、新しい価値を得ようとするなら、古い物は過去でしかない。なら、そう言った自分が新しい自分なのだろう。来る前は散々罵った彼女だが、会ってみれば中々話せる人物ではあった事だし。
「凄い!凄い!海外スィーパーここに有りですね!では、優勝者を拍手・・・、あら、皆さん花火に心を持っていかれてますね。なら、優勝はこの方で文句ないでしょう!異議があるならいまのうち言いやがれ!」
乱暴な司会が話を進めるが誰も異議を挟む者はいない。私は・・・、ここで獲物を捕えた?
「無いなら、優勝はエマ=ニコルソンさんです!元から綺麗でしたがあの太っ腹な花火と男前なセリフ、ぶっちぎりでしたね!優勝商品の贈呈と花束をお願いします!」
その呼びかけにファーストが現れ、食券と花束をくれる。ただそれだけで、本当に畏まった栄誉も何もない。しかし、確かに私はこの地で優勝し、1位となったのだ・・・。
「おめでとうエマ。美人揃いの中1位だよ。」
「それハ・・・、いや、確かに私が1位ダ。」
「写真撮るんで並んで並んで!ほら、綺麗所2人をファインダーで独り占め!」
「まて!私達も撮るぞ!」
参加メンバー達からも写真を取られ、口々におめでとうを贈られる。全米1位、多分これを取ったなら他から上がるのは称賛と同じだけのやっかみだろう。かつて私もそうだった。努力を否定され、家族はなくなり、たどり着いた場所は血と鉄と汗の臭いのする場所だったが、うん、ここはそう悪い場所ではないようだ。




