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変わらないものもある

作者: 獣☆センキ

この街もすっかり変わっちまったな。俺だよ、俺。もつ煮込みだよ。


-


久々のシャバの空気は格別だ。お日様の香りにハピネス気分だ。

私は3年ぶりに地元北九州に降り立った。

久々の地元だがたった3年で様変わりしている。

こんなところにでっかいホームセンターが出来たのか。

ここは更地だが前は何だったっけ?

もし普段から通っていた道だったとしてもこういった更地というものは元の姿が思い出せないものだ。ましてや3年もの空白があると、そらそうよ。


そうだ、ここに地下シェルターを作ろう。

私はそう思うと実に名案だとぽんと膝を打った。


メギョン


私の膝は嫌な音をたてて無惨にも砕けちってしまった。

忘れていた、昔、膝に矢を受けてしまってから私の膝はガラスの剣だったのだ。

ちくしょう、使用回数1回の雑魚め、これではとても地下シェルターなど掘れはしない。

後悔先に立たず、最早どうやっても過去の栄光(イグナショフのような毒針)には戻れはしないのだ。


膝の壊れた痛みでネイマールの如く転がっていると(なんせ3年ぶりのシャバなのでネタが古いのはご愛敬)小倉ドンキにたどり着いた。


収監される前はよく通っていたドンキ。ここだけは変わらないと思っていた。そう信じたかった。


そこには私のよく知るドンキの愛されマスコット つば九郎の姿はもうどこにもなかった。


なんてこった、ここもアパ社長がマスコットになっちまったのか。

私は数少ない過去の記憶との繋がりが無くなっていく寂しさを感じながらもアパ社長も悪くないな、そう思った。


世の中はみんな変わっていく。時の流れは残酷だ。

よく今のままで良いという人がいるがそれは時代に取り残されているに過ぎない。変革こそ人が生きている証であるのだ。


しかし私は3年前に取り残されたままだ。

コロナですべてを失ったあの日から私の時計は動いていない。

私は壊れた膝で近くの山に登ると腹いせにイノシシを3頭ほど肉塊にするとマナー違反の直火で焚き火し、キャンプを始めた。

ああ、やっぱりキャンプは最高やな。

焼いたイノシシ肉を食うと目の前がフルカラーになった、ついでにモノクロームな思い出もフルカラーグラフィックスになり、こいつはTシャツにすると高いぞ、と思った。


肉はいつ食っても美味かった。

この美味さだけは変わらない。


やはり変わらないものも必要だと結論に達した私はアパ社長をレジンで固めた。

これでこの美しさは永遠となろう。


世の中変わることは仕方の無いことだ。ただ良いものは良いままでいて欲しい。地元北九州もそうだ。



でも困った。そうすると レジンが足りない。



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