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第一章 第八話 お義父さんに認めてもらえたのでお宝を探しに行きます

「え、ウソだろう……どうして……お義父さんが」


 野盗が着ていた鎧を魔法で砕くと、中からパンツ一枚になったカリンの父親が現れた。


 どうしてお義父さんが、鎧の中でパンツ一枚になっているんだよ! 普通中に着込むものだろう!


 知らなかったとは言え、めちゃくちぁ気まずい。俺は今、変態紳士と対面していることになる。


「そのう、なんだ。さすがSランクの冒険者だ。私の鎧を破壊してパンツ一枚にさせるとは大したものだ」


「本当にすみません! まさか、お義父さんがへんた…パンツしか履いていないとは思ってもいなかったので」


 ああ、知らなかったとは言え、俺はなんてことをしてしまったんだ。これじゃあ余計に認めてもらえないじゃないか。


「君の実力は見させてもらった。君はカリンの婚約者に相応しい。これからはお義父さんと呼ぶがいい」


「え? あ、はい! ありがとうございます」


 なんだか知らないが、どうにか俺とカリンの関係を認めてもらえた。これで、話を次に進めることができる。


「アスラン君、一つだけ守ってほしいことがある」


「何をですか?」


「カリンとエッチなことをするなとは言わない。だけど避妊は絶対にしてくれよ。孫を作るのは正式に婚約してからだ」


 守ってほしいことってそれかよ! 普通は父親らしく、娘を守ってやってくれって言うもんじゃないのかよ!


「はい。それは婚約をする上で、絶対に守らないといけないことなので守りますが」


「それでは、帰ろうか」


 ええー! 俺、この変態紳士……じゃなかった。お義父さんと一緒に屋敷に帰らないといけないのかよ! それは嫌だよ! 俺まで変態の仲間だと思われてしまう。


「すみません。カリンやセリアが心配しているかもしれないので、俺は先に帰らせてもらいますね。スピードスター」


 呪文を唱え、脳内でイメージを強くする。


 足の筋肉の収縮速度を早めるイメージをすると、俺は物凄い速さで平原を走り、屋敷へと帰っていく。


「あら? アスラン、帰って来ましたのね」


「野盗討伐は終わりましたか? お兄様」


「ああ、予想外のことが起きたが、なんとか勝つことができた」


 応接室に戻ってくると二人の間に座り、お義父さんが帰って来るのを待つ。


「お義父さんは?」


「お父様なら、少し席を外すと言って出て行きましたわ。そう言えば中々帰って来ないですわね」


 なるほど、二人にはそんな風に言って席を立ったのか。


 しばらく待ってみると、お義父さんが応接室の中に入ってきた。


 よかった。ちゃんと服を着ている。パンツ一枚のまま部屋の中に入ってきたらどうしようかと思ったけど、杞憂に終わって本当によかった。


「待たせたな。先ほど野盗討伐の情報が入った。約束は約束だ。君を認めよう」


「お父様を認めさせるだなんて、わさすがたくしが認めた殿方ですわ」


 お義父さんの言葉を聞いたカリンが、顔を綻ばせると俺に抱きついてきた。


 む、胸が当たって、柔らかい感触が伝わっているのだが。


「ゴホン。それで迷惑をかけてしまったお詫びがしたい。何が欲しい?」


「では、ヒルトン家が管理している古びた屋敷の鍵を譲ってくれないでしょうか?」


「あの屋敷の鍵を? 君たちの新居にするくらいなら、新しく立て直した方がいいと思うのだが?」


「いえ、別に新居にするために鍵が必要ではなく、あの屋敷に隠されたお宝が必要なのです」


「ふむ。あの屋敷に宝があると言う話は聞いたことはないが。まぁ、いいだろう。もし見つかったのなら好きにしなさい。君はもう、ヒルトン家の一員であるからな」


 お義父さんが上着のポケットから鍵を取り出すと、俺に手渡した。


 これであの古びた屋敷に行ける。あそこに眠っている杖を手に入れて売り捌けば、余裕で金を用意することが可能だ。


 俺たちはカリンの実家から出ると、直ぐに古びた屋敷に向かった。


 ここがあの古びた屋敷か。原作どおりの雰囲気だな。


「まるでお化け屋敷のようですねお兄様」


「わたくしも存在は知っていましたが、ここに来るのは初めてですわ」


「大丈夫だ。ここには魔物も住み着いているが、レイスしかいない」


「「レイス!」」


 どうして二人ともそんなに驚いたような顔をしているんだ? ああ、そうか。レイスは確か聖属性の攻撃以外は無効化する特殊能力を持っていたな。だから驚いているのだろう。


「お兄様、やっぱり止めたほうがいいのでは?」


「セリアちゃんの言うとおりですわ。わたくしたちではレイスと戦うことができませんわよ」


 やっぱり、二人が尻込む理由はそれか。確かに原作のアスランでは絶対に無理だ。だけどオーバーイメージを手に入れた俺なら、レイスであろうとも負けない。


「大丈夫だ。俺を信じろ! 婚約者や兄を信頼できないと言うのなら話は別だけど」


「わたくしはアスランを信じています!」


「私もお兄様なら、レイスにも勝てると思っている」


「それじゃあ、入るとするか」


 屋敷の扉に鍵を入れ、ロックを解除して扉を開けた。その瞬間、二人は俺の手を握る。


「あのう、カリンにセリア? 両手を握られると、いざというときに戦えないのだけど」


「す、すみません。わたくし、ホラー系は苦手でして」


「セリアも」


 マジかよ。カリンは原作でもそんな設定だからこうなることは予測できていた。でも、セリアまで幽霊が苦手って言うのは初耳だぞ。


 両手に花というこのシチュエーションは、男性なら誰もが羨む展開だが、当事者になると本当に困る。


 原作を読んでいたときはチーレム野郎! ち◯こもげろ! と思っていたが、今になって主人公の気持ちが分かってしまう。


「とにかくこれでは、戦闘になったときに身動きが取れないから、どっちか離れてくれないか?」


 二人にお願いすると、率先してセリアが離れてくれた。


 うん、いい子だ。お兄ちゃんは嬉しい。


 そう思った瞬間、背中が急に重くなった。


「これでいいです。行きましょう、お兄様」


 うん、確かに離れてくれたけれど、背中に乗っていいとは一言も言ってはいないからね。


「あのう、セリア? どうして俺の背中におんぶされているのかな?」


「ここが一番安全で安心できるからです。体格から考えても、カリンさんよりも私の方がお兄様の負担にはならないと思いました。ダメ……ですか?」


 そんな悲しげな声音で言わないでくれ! 俺の良心が痛む。


「わ、分かった。今回だけは特別におんぶしてやる。だけど、戦闘になったときはちゃんと援護してくれよ」


「わかりました。お兄様の背中暖かい」


 まったく、本当に分かっているのだろうな。


「それじゃ、目的の物を探すとするか」


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 この物語が面白いと思ってくださった神様のような方へ


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