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第一章 第七話 お義父さんにご挨拶に向かいます

「おい、本当に冒険者五十人を納得させられるほどの大金を用意できるのか?」


 心配そうな顔をしながら、ギルドマスターが声をかけてきた。


「大丈夫だ。俺には大金を稼ぐ術がある」


「さすがアスランですわ。それで、どうやってお金を稼ぎますの?」


「お義父さんに挨拶に行く」






 翌日の早朝、俺たちはカリンの実家である屋敷に向かっていた。


「うふふ、久しぶりの里帰り。お父様、わたくしたちの関係を知ったらどんな態度を取るのでしょう」


 俺の腕に自身の腕を絡ませながら、カリンが嬉しそうに言葉を漏らす。


 それにしても参ったな。計算外のことが起きてしまった。俺はてっきり、カリンの父親には俺たちの関係を認めてもらっていると思っていたが、カリンはアスランと婚約していることは話していないらしい。


 というか、アスランとカリンはいつごろから付き合っていたんだ? 原作にはさすがにそんな設定はなかった。まぁ、原作ではダブルざまぁのあとにキーファのところに向かうし、いちいち説明する必要がなかったのだろう。


「あ、見えてきましたわ。あれがわたくしの家です」


 デカいな。さすが男爵の娘だ。


 俺がいた世界で借りていたワンルームの二十個分はありそうだな。まぁ、適当なんだけど。


 うん? 門の前にいるのはメイドさんか? 箒を持って掃除をしているな。


 メイドさんは俺たちに気づくと、掃除を中断してこちらに駆け寄ってくる。


「お帰りなさいませお嬢様」


 この言葉を聞くと、メイド喫茶を思い出すな。昼間は行ったことはないが、夜のメイド喫茶には同僚と行ったことがある。


 いや、今思い出すとあれってメイド喫茶ではなくって、コスプレ喫茶だったな。いろんな制服を着ていたし。


「あのう、こちらの殿方は……もしかして」


「はい、わたくしの婚約者ですわ」


 俺の代わりにカリンが答えると、メイドさんは両手で口元を隠した。


「今日はお父様に会いにきましたの」


「そ、そうだったのですね! おめでとうございます! すぐに旦那様を呼んで来ますので、中でお待ちください」


 メイドさん、嬉しそうに顔を綻ばせながら走って行ったな。


「では、わたくしたちも中に入りましょう」


 屋敷の門を潜って敷地内に入ると、扉を開けて屋敷の中に入る。


 カリンに案内された場所は応接室だ。テーブルを挟んで高級感あふれるソファーが置かれてある。


 俺を挟むようにカリンとセリアが座り、お義父さんが来るのを待つ。


 しばらくすると、ゴーティ髭の男がやってきた。彼は原作にも出てきたし、間違いないだろう。


「話はメイドから聞いた。アスラン君、君はカリンと付き合っているようだね」


「カリンさんとお付き合いさせてもらっております。アスラン・ディヴィスです。お義父さん」


「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはないのだけどね」


 予想していたとは言え、やっぱりテンプレ返しをしてきたか。それにしても、どうして物語に登場してくる娘の父親って、さっきのような返しをしてくるんだろうな。


 だけど、俺はカリンの婚約者なんだ。たとえ今は認めてもらえなかったとしても、いずれは義理の親子関係になってみせる。


「ごほん。あのう、お義父さん」


「だから君にお義父さんと呼ばれる筋合いはないと言っているだろう」


 あー面倒くせー。別に呼び方なんてどうでもいいじゃないか。今の内に慣れておかないと、将来ギクシャクしてしまうって。


「男爵様……今回はお願いがありまして」


「私はお前を認めない! それに隣にいるレディーはいったい誰なんだ! 君とはどう言う関係なんだ」


 お義父さんはセリアを見て俺に問う。


「彼女の名はセリアです。俺……私の妹です」


「正確には血の繋がっていない妹ですよ、お兄様」


 セリア、頼むから余計な情報を与えないでくれ! 話がややこしくなる!


「血の繋がっていない義理の妹だと……なんとも羨ましい……いやけしからん! そんな男にセリアを任せられるか!」


 うん? 今お義父さん、羨ましいと言っていなかったか? 俺の聞き間違いか?


 うーん。今のお義父さんは聞く耳を持たないと言った感じだな。これじゃ金を用意することができないぞ。まずはお義父さんを攻略するところから始めないといけないな。


 それにしても、髭のおっさんを攻略するなんて、どんなホモゲーだよ!


「俺はカリンをこの世で一番愛しています。それは神に誓って言います」


「アスラン」


「例え、神に誓ったとしても、私はそう簡単には認めない。でも、そうだな。西の平原に野盗が出没して困っていると言う話を聞いた。もし、そいつを倒すことができたのなら、少しは考えてやろう」


 え? そんなんでいいのか。野盗なんて、今の俺には楽勝だぜ。


「わかりました。Sランクである俺には少々物足りなさがありますが、その依頼を受けましょう」


「え、Sランクだって!」


 俺の言葉に、お義父さんは驚く。


 そう言えば、細かい自己紹介はしていなかったな。


「では、今から向かいます」


「そ、そうか。頑張ってきて……くれ」


 あれ? お義父さん、なんだか少しだけ元気がなくなったような気がするのだけど、大丈夫か。まぁ、啖呵を切った手前、今更先ほどの言葉をなかったことにはできないだろうしな。


「それじゃあ行ってきます。野盗程度なら俺一人でも十分だ。カリンとセリアはここに残っていてくれ」


「わかりましたわ」


「はーい!」


 カリンの実家から出ると、俺は野盗が現れるという西の平原に向かった。


「西の平原に着いてからそれなりに時間が経ったけど、野盗の姿はどこにも見当たらないな」


 周囲を見渡すも、人影すら見えなかった。


 どこにいるんだよ。俺には時間が残されていないのだから、早く出てきてほしいのだけど。


「おーい、野盗! いたら出て来てくれ! お前を倒さないとお義父さんに認めてもらえないんだ!」


 両手を口元に近づけて叫ぶも、反応がなかった。


 うーん、全然出てこないな。お、そうだ。原作には探査魔法があったじゃないか。それを使えば早い。


「さてと……」


 探査魔法を唱えようとした瞬間、背後に殺気を感じて前方に飛んだ。つま先で着地してそのまま振り返ると、そこには甲冑姿の人物が剣を振り下ろしていた。


 こいつが野盗なのか。


「お前がここら辺を荒らしている野盗か?」


「…………」


 おい、ムシしているんじゃねぇ、それって何気に人を傷つけるからな!


 とにかく、俺を背後から切り掛かってきたんだ。こいつが例の野盗だと思っていいはず。


「とにかく、即効で終わらせてやる! ゼイレゾナンス・バイブレーション」


 俺は脳内で剣や鎧が音の振動で耐久力を失い、疲労破壊を起こすイメージを頭の中で作る。


 すると、野盗の来ていた鎧と剣が砕け、中にいた人物が姿を見せた。


「え、ウソだろう……どうして……お義父さんが」


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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