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第三章 第四話 エルフ救出作戦

 野盗の頭に化けていた魔族を倒した俺たちは、クレアさんとルドルフ伯爵がいる町に向かっていた。


 町は森から一時間ほど歩いた場所にあり、町の様子はとても賑わっている。


「よし、まずは伯爵邸の様子を窺おう。クレアさんは伯爵邸の場所を知っているのですよね」


「はい。何度か同胞を助けに行こうとしましたが、警備が厳重だったので侵入方法を模索していたところです」


「なるほど、警備が厳重か。どっちにしろ今の様子を見ておかないとなんとも言えないな。クレアさん案内してくれ?」


 道案内を頼むと、クレアさんは頷く。


 クレアさんに案内してもらうと、伯爵邸には門番が二人いた。


 どちらも重装備をしているな。どう見たって普通の門番には見えない。おそらく、弱くとも兵士長クラスの強さは持っているだろうな。


「お兄様、ここは私が魔法であの二人を引き付けておきましょうか?」


「いや、ここは俺に任せておけ」


 追放サイドのムーブをするなら、セリアに任せて暴れるのが一番だ。だけど、今回は主人公サイドのムーブで行かせてもらう。


 屋敷に忍び込むためにあの門番たちの認識を変える。


 俺は脳内でイメージを膨らませる。


 脳の中にある海馬に、一時的に血流障害を起こしたように錯覚させる。これによって、ダメージを受けた脳は記憶を上手い具合に引っ張り出すことができなくなり、ほんの僅かな違いを見分けることができなくなる。こんな感じだろう。


「インピード・レコグニション」


 門番二人に認識阻害の魔法をかけた。さて、行ってみるとするか。


「セリア、クレアさん行こうか」


「行こうって真正面から侵入する気なのですか!」


「それはいくら何でも無謀ですよ。お兄様」


「あいつらには魔法をかけた。そのせいで俺たちを不審者とは思わない」


「分かりました。ここはお兄様を信じます」


 うーん、クレアさんの表情を見る限り、内心信じられないと言った感じか。


 仕方がない。ここは俺たちで安全であることを証明するか。


「セリア、行こう」


「はい、お兄様」


 セリアと一緒に門番に近づく。


 彼らは俺たちを見ると敬礼をして門を開けてくれた。


 どうやらこいつらは、俺たちのことを伯爵の関係者だと思っているようだ。


 振り返ってみると、クレアさんは相当驚いたようだ。開いた口が塞がっていなかった。


 俺は手招きをしてみると彼女は我に返ったようだ。


 恐る恐るとこちらに近づく。


 いくら認識阻害の魔法がかかっているからと言って、あんなにおどおどとされると怪しまれそうなのだが。


 不安になって門番を見るが、こいつらは彼女を見ても怪しむ素振りを見せなかった。


 さすが俺だな。あんなに共同不信のクレアさんが全然疑われていない。


「すごいですね。まさか全然怪しまれないなんて」


「さすがお兄様です」


「とりあえず屋敷の中に入ろう」


 俺たちは屋敷の中に入る。


「捕まった同胞はどこにいるのでしょうか?」


「こう言うときはお兄様の未来予知です。お兄様、お願いします」


「お、おう」


 セリアから未来予知と言う名の原作の知識を頼まれたけど、果たして当たるのだろうか?


 最近は原作とは違うことが起きすぎて、正直あてにしていないんだよな。


 だけど無闇に探すよりかはマシか。ヒントがないよりもあった方が答えに辿り着きやすいもんな。


 えーと、確か原作では書斎の下に隠し通路があったよな。


「俺の未来予知では書斎の下に隠し階段があるのが見えた。ひとまずは本当に隠し階段があるのかを確かめよう」


 原作では細かいことは書かれてなかったからな。ここは手分けして探すしかない。


「とりあえず部屋を一通り調べてみるか」


 俺たちは一つずつ部屋を確認した。


「おい、そこのお前たち! 見かけない顔だな。侵入者か」


 チッ、部屋を開けた途端に目の前に警備兵がいるなんて運が悪い。仲間を呼ばれる前にすぐにかたをつける。


 脳内でイメージを膨らませて魔法を創造する。


 体内の神経を活性化させることで、心臓に戻る血液量が現象して意識を失う。


「ショック!」


「ガハッ」


 魔法を唱えた瞬間、警備兵は意識を失ったようで床に倒れた。


「間一髪だったな」


「一瞬で倒すなんて凄いですね」


「気を失わせただけだ。意識を取り戻したら、俺たちのことを他の奴らに知らされるかもしれないな」


「でしたら私の魔法で消し炭にしてあげましょうか?」


「それだったら、俺がわざわざ気を失わせた意味がないだろう!」


 倒れた警備兵の頭に手を置くと、魔法を唱えた。


「インピード・レコグニション」


 認識阻害の魔法をかけたから、これで俺たちのことは覚えていないだろう。


「今みたいに出くわす可能性もあるな。ここからは更に警戒して他の扉も調べるとしよう」


「そうですね」


「わかりました。お兄様」


 俺たちは扉を開ける前に聞き耳を立て、人の気配がないことを確認して扉を開けるようにした。


 一つずつ扉を確認していくと、他の部屋よりも一回り大きい扉を見つけた。


 ここが怪しいな。


 扉に耳を当てて聞き耳を立てる。


「扉の奥から声は聞こえない。だけど念のために警戒を怠らないようにしてくれ」


 セリアとクレアさんに注意するように言うと彼女たちは無言で頷いた。


 ゆっくりと扉を開けて部屋の様子を伺う。


「どうやら誰もいないみたいだな」


 部屋にはたくさんの本棚が置かれてあった。ここが書斎で間違いないだろう。


「どうやら書斎のようですね」


「アスラン様、この部屋のどこに隠し階段があるのですか」


 クレアさんが少し声音を高くして訊ねる。


 彼女の雰囲気からして焦っているようだな。その気持ちは俺にも分かる。だけど急いては事を仕損ずると言う言葉もあるように、焦ってはいけない。


「クレアさん落ち着いてください。隠し階段はボタンを押せば出てきます。


 えーと、確かあの机の下に隠しボタンがあったよな。


 机の前に行くと、裏側を調べる。


 あった。原作通りだ。ポチッとな。


 ボタンを押すと、書斎の床が左右に分かれて中から地下につながる階段が現れる。


「さぁ、行こうか」

 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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