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第二章 第十話 王都に行こう

「アスラン! 凄いです!」


「さすがお兄様です。まさか国王陛下からお呼ばれされるとは、義妹として鼻が高いです」


 この国の王様直々の招待を受け取ったことを知り、カリンとセリアが喜ぶ。


 まぁ、二人からすればとても喜ばしいことだよな。でも、俺にとってはざまぁフラグへの招待状なんだよ。


 原作の方では、父親の再教育を受けてこの御前試合に出ているのだが、決勝まではとあるズルをして勝ち進む。そして決勝戦でキーファと当たり、ズルが見破られて負ける。その結果、国王陛下や国民たちから評価が下がってざまぁされるというシナリオになっているのだ。


 このざまぁフラグを回避するには普通にこの招待を断ればいい。だけどおそらくそんなことはできないだろう。どういう訳か、いくら俺が原作にはない行動を取っても、最終的にはざまぁフラグが成立してしまう。


 まぁ、一応やるだけやってみるか。


「もし、この招待を断ったらどうなるんだ」


 俺はアスランの父親に訊いてみる。


「その時は王様の顔に泥を塗った男として指名手配されるかもしれないな。しかも懸賞金付きで」


 断ったら別のざまぁフラグが成立するじゃないか。そもそも、それでは招待ではなく脅迫状と言ってほしい。


 はぁー、どっちにしてもざまぁフラグは成立してしまうのか。それならなるべく原作に近い方向で行動したほうがイレギュラーは少ないかもしれないな。


「分かった。その招待を受ける」


 俺は封筒を破いて中に入っている手紙を黙読する。


 開催日は一ヶ月後か。場所は王都にある闘技場だな。開催日と場所は原作どおりだ。


「とにかく招待状を渡して招待を受ける意思も確認した。俺は先に王都に帰る。アスランは開催日に間に合うように王都に来てくれ」


 招待を受ける意思って、強制参加なんだから意思も何もないだろう。


 アスランの父親はポケットの中から転移石を取り出すと、光に包まれて消えた。


「それじゃ、準備ができたらアイテムショップに行って転移石を買うか。俺たちも王都に向かう」


「もう出発しますの?」


「ああ、善は急げだ」


 王都に向かう途中でもプチざまぁフラグはいくつかあるからな。転移石があればそれらは回避することができる。一気に王都に移動すれば、御前試合が開催されるまでの間はのんびりできるだろう。


 俺たちは一度宿屋に戻って荷物をまとめ、チェックアウトをしてからアイテムショップに向かう。


 十分ほど歩いてアイテムショップに来ると、扉を開けて中に入る。


「転移石を売ってほしい」


 俺は店員の女性に転移石を買いに来たことを告げる。


「すみません、転移石なのですが大好評につき品切れとなっています。次の入荷は未定となっています」


 マジか。まぁ、そりゃそうだよな一瞬で自分の行きたいところに移動することができるのだ。誰だって欲しいに決まっている。


「アスラン、どうしますの?」


「こうなったら馬車で移動するしかないな」


 売り切れになったのも、何かしらの力が働いて俺にプチざまぁを成立させようとしているのだろうな。


 もし、この世界にも神様がいるとしたら、とんだ捻くれた性格の神様だぜ。


「それでしたら、わたくしの実家に行きましょう。お父様に頼めば、馬車の手配をしてくださいますわ」


「そっちのほうが面倒な手続きをしないで済むな。そうするか」


 馬車の手配をしてもらうために、俺たちは一度カリンの実家に寄ることにした。


 三十分ほどかけてカリンの実家の前に来ると、庭先を掃除していたメイドさんが俺たちに気づく。


「これは、これは、お嬢様に将来の旦那様ではないですか。本日はどのようなご用件なのでしょうか?」


「実は、お父様に頼んで馬車の手配をしてもらいたいのです」


「なるほど、そう言うことでしたか。わかりました。ではその様に旦那様に伝えますね。どうぞ中に入ってお待ちください」


 メイドさんに案内され、俺たちは応接室に案内される。


 そしてしばらくしてお義父さんがこの部屋に入ってきた。


「話はメイドから聞いたよ。馬車の手配をして欲しいみたいだね。行き先はどこなんだい?」


「王都です」


「実は、国王陛下から御前試合の招待状をいただきましたの。それで王都に向かうために馬車が必要なのですわ」


「国王陛下からの招待が来るとは、義理の父親としても喜ばしいことだ。分かった。すぐに手配しよう」


「ありがとうございます」


 お義父さんにお礼を言うと、彼は胸の前で腕を組む。


「アスラン君はSランク冒険者だ。護衛は入らないだろうから、御者を頼むだけでいいな。そうなると、馬車は我が家にあるものにするか」


 お義父さんは何かブツブツと独り言を漏らしていた。


 どうやらこの家にある馬車を借りられるようだ。男爵家の馬車だ。それなりに乗り心地はいいだろうな。


「ミレニアはいるか!」


「はい旦那様」


 お義父さんが女性の名を叫ぶと、俺たちを案内してくれたメイドさんが応接室に入って来た。


「お前に御者を頼みたい」


「畏まりました」


「このミレニアが、君たちは王都まで送り届けてくれる。彼女はメイドだが、御者の経験もあり、万能メイドだ」


「旦那様、万能は言い過ぎです。料理、洗濯、掃除、御者から魔物との戦闘までできる程度ですので。万能からは程遠いです」


 いや、それだけできればもう万能だと言っていいと思うのだが。それに魔物との戦闘もできるのかよ。このメイドさんは!


「ミレニア、本当に戦うことができますの?」


「はい、お嬢様。ワタシは元Aランク冒険者です。今は引退しているので実力はBランクくらいまで落ちているかと思います」


 いや、Bランクでも十分に強いって。


「それでは、馬車の準備をしますので、ワタシはこの辺で」


 ミレニアさんは軽く頭を下げると部屋から出て行った。


 俺たちは一旦外に出ると、二頭の馬を操作してミレニアさんが馬車を持ってきた。


「お待たせしました。それでは王都まで向かいましょう」


 扉を開けて馬車の中に入り、俺たちは王都に向かった。

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