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第二章 第四話 三百体の数じゃない! これは千体はいないか!

 作戦が決まった翌日、俺は冒険者たちを引き連れて戦場となる場所に来ていた。


「よし、始めるとするか。セリア、ウォーターで地面の中に大量の水を流しておいてくれ」


「うん、分かった。ウォーター」


 俺の指示に従い、セリアは水の魔法を使って地面に多くの水分を吸収させる。


 それにしても、本当にセリアの魔力は桁外れだよな。原作ではキーファが上位版のウォーターポンプを使って地面に水を放っていたのに、下位魔法のウォーターだけで同じことを再現できている。


 地面にたくさんの水が含まれ、海辺の渚の地面に近付ける。


「よし、そろそろいいだろう」


「分かりました。お兄様」


 これで最初の細工は完了した。あとは三百体の魔物がここに現れるのを待つだけ。


「アスラン、魔物たちがやってきましたわ」


 ついに現れたか。タイミングとしてはベストだ。


「分かった。カリンはそのまま崖の上から魔物を攻撃してくれ」


「はい! あれ?アスラン? 魔物の数が三百体にしては多いような? それに飛行が可能な魔物までいますよ」


「なんだって!」


 くそう。ここでも原作と食い違いが発生しているのかよ。だけど、基本的にやることは同じだ。


「俺が魔法で足止めする! お前たちは俺が合図を出したときに攻撃してくれ」


 この作戦はタイミングが大事だ。ミスをすれば、魔物の一部がこちら側に来てしまう。


 集中して見極めるんだ。


 先頭の魔物はハクギンロウか。やつの動きは素早い。その後ろを走っているのはゴブリンだな。


 なら、ハクギンロウが罠をギリギリ超えないタイミングで魔法を発動させる。


 ギリギリまで魔物を引き寄せ、タイミングを伺う。


 今だ!


「アースクウェイク」


 呪文を唱えて頭の中でイメージを膨らませる。


 この星の内部にあるマントルを動かし、プレートの境界を徐々に狭くさせる。そしてプレート同士がぶつかり強い力を発生させた。


「うわっ! 地震だ!」


「どうしていきなり地震が起きる!」


 連れて来た冒険者たちはさすがに驚くよな。


「安心しろ! この地震は俺が魔法で発生させた。


 魔物たちもこの地震に驚いて足を止めている。今の内に次に移るとしよう。


「リクイファクション」


 連続で呪文を唱えて、再びイメージを膨らませる。


 砂地盤である砂場が、地震の振動で砂の粒子同士が摩擦する。そして地盤で地中に溜めていた地下水位が上昇。


 繰り返される摩擦により体積が減少し、地下水による地盤の水圧が増加。その結果、地盤は急激に耐力を失い、液状化現象が起きる。


 魔法の想像が終わると、頭の中で考えたとおりのことが現実に起きる。


 一部の場所が陥没し、水分を含んだ地面に多くの魔物は落下した。


「地面が陥没しました。お兄様はこれを狙って地面に水を流し込んでいたのですね」


「ああ、だけど落とし穴にはまった程度では魔物は倒せない。冒険者は全員矢を放て!」


 冒険者たちに矢を放つように言うと、彼らは一斉に穴の中に向けて矢を放つ。


 あれだけたくさんの魔物が、身動きが取れない状態になっている。狙わずとも何かには当たるだろう。


「アスラン! 敵の第二陣が来ましたわ! 吸血コウモリです!」


 何だって! 吸血コウモリは夜行性だぞ。昼間に現れるような魔物じゃない。


 ダンジョンの破壊は、生態系まで狂わせるのかよ。


「全員攻撃対象を吸血コウモリに変えろ!」


 標的を吸血コウモリに変更するように言うと、冒険者たちはコウモリに矢を放つ。


 やっぱり、普段から弓を使っていない連中の攻撃は当たらないか。ここは俺たちで何とかするしかないな。


「セリア、カレンの弓の先に炎を灯すことはできるか」


「やってみる。ミニチュアファイヤー」


 セリアが魔法を唱えると、カリンの持っている矢の先に小さい炎が灯る。


「カリン!」


「任せてください」


 カリンの放った矢は吸血コウモリに当たり、魔物は矢が突き刺さった瞬間に燃え落ちる。


「二人はそのまま吸血コウモリを頼む」


「分かった」


「分かりましたわ」


 俺は陥没した地面を見る。


 すると、三体ほどのゴブリンが這い上がってきた。


 なかなか根性のあるやつがいるな。だけど、ここから先には通すわけにはいかないんだよ。


 オーバーイメージのスキルを発動して、脳内で水分子が集まって三角錐の形で固まるイメージをする。


「アイシクル」


 呪文名を唱えると、氷柱が現れ、ゴブリンたちに放たれる。


 氷柱が突き刺さり、心臓を貫かれた魔物たちは地面に倒れる。


「アスラン、まだまだ来ますわ。上空からはオカリナマーメイド、陸路からはハイジャンガエルが接近しています」


 まずいな。オカリナマーメイドの歌声を聞いてしまうと、脳内に睡眠物質が溜まって眠らされてしまう。それにハイジャンガエルはイカれたジャンプ力を持っている。陥没させた地面も軽々超えてくるかもしれない。


 こうなったら、奥の手を使うか。ちょうど今日は日差しが強いし、工程を省くことができる。


 雷撃魔法を使うために雷雲を作る。


「カリン、セリア、一分でいい。一分だけ魔物を食い止めてくれ」


「分かりましたわ」


「分かった。一分間は何がなんでも死守して見せるから」


 二人の返事を聞き、俺は脳内で魔法のイメージを膨らませる。


 まずは空中にある雲を利用して雷雲の元を作る。


 雲の気温を低くさせ、上空にある水分を氷晶へと変化させる。


「アイスクエストーズ」


 これで第一段階は完了続いて第二段階だが、直射日光が強いから、火球を生み出す必要はないだろう。次は上昇気流だ。


 太陽の直射日光により、温められた地面から上昇気流が発生し、周囲から強風が吹き込ませる。それにより渦巻き状に回転が強まった塵旋風が発生。こんなイメージだろう。


「ダストデビル」


 第二の魔法を唱え、俺のイメージどおりに塵旋風が発生した。


 こいつで強い上昇気流が発生したことで、雲の中の氷晶が落下と上昇を繰り返すはずだ。


 おそらく、雲の中の氷晶は雹や霰に成長している。これらは落下速度の違いにより、衝突を繰り返してこすれ合うことで、静電気が発生しているはずだ。


『ゴゴゴ……』


 よし、上空の雲に静電気が発生して雷雲に変わってくれた。あとは最後の呪文をイメージするだけ。


 雲の中で溜まったエネルギーを放出する感じで落雷を発生させる。イメージとしてはこんなものだろう。


「サンダーボルト!」


 第三の呪文を唱え、雷雲から落雷が落ちる。


 雷は瞬く間に魔物たちにヒットし、敵は次々と地面に倒れて行った。


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 この物語が面白いと思ってくださった神様のような方へ


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