表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/37

第二章 第三話 呪いの契約

「おい、いつまで待たせるんだよ。約束の時間はとっくに過ぎているじゃないか!」


「待ってくれ! あと五分! あと五分だけ待ってくれ」


「そんなに待っていられるか! 俺は帰らせてもらう」


 あー、やっぱり時間過ぎていたか。まぁ、予定外のことが連続で起きてしまったから、こうなってしまうのも仕方がないよな。


「待たせたな! 約束の前金を持って来たぞ!」


 俺は今にも帰ろうとしている冒険者たちの後ろから声をかける。


「おまえはアスラン! いつの間にギルドにいたんだ」


「たった今だ。転移して直接ここに来た。そんなことよりも金が欲しいやつは一列に並べ! 今から前金を配るぞ」


 一列に並ぶように言うと、帰りかけていた冒険者たちは我先にと並び始める。


「まさか本当に前金を用意してくるとはな。たいしたやつだぜ」


「前金はやったんだ。しっかり働いてもらうぞ」


「分かっているって。俺を信用しろ」


 一番前に並んだ冒険者に、五十万ギルを手渡す。


 冒険者の一人が金を受け取ったタイミングで、彼の手の甲に紋様が浮かんでいるのを確認する。


 よし、しっかりと契約がされているな。


 金だけ受け取って討伐には参加しない冒険者もいるはず。その対策として、俺は冒険者全員に呪いの契約による刻印を植え付けた。


 もし約束を破れば、その人物は確実に死ぬと言うものだ。


 俺のざまぁを回避するために、誰一人として逃がさない。


「これで全員に行き渡ったな。みんなに金以外にもプレゼントを送った。お前たちの右腕の甲を見て見ろ」


 手の甲を見るように言うと冒険者たちは自身の右手を見る。


「おい、なんだよこの紋様は!」


「これって呪いの契約って言うやつじゃないのか!」


 みんな驚いているな。まぁ、俺があいつらなら、同じ反応をしているだろう。


「気付いているやつもいるようだが、一応説明しよう。お前たちの手に現れたのは呪いの契約による刻印だ。もし、金だけ受け取って逃げるようなやつがいれば、契約破棄とみなされ、呪いが発動して最後は死に至る」


「ふざけるな!」


「俺たちを信用していないってのかよ!」


 自分たちがどのような状況にあるのか理解した冒険者の一部が、俺に暴言を吐く。


 だけどこれも予想できている。


「ああ、俺はお前たちを信用していない。信用しているのなら、最初から呪いの契約なんてしていないからな」


 俺の言葉に、金を受け取った者たちは動揺する。


「呪いの解除方法は簡単だ。魔物の集団がこの町に来たときに一緒になって戦い、勝利して俺から残りの五十万ギルを受け取ることで、契約は解除される」


「マジかよ」


「どっちにしろ、生き残らない限りは未来がないってことじゃないか」


 冒険者たちは膝から崩れ落ち、愕然とした。


 悪いな。こっちは二千五百万ギルも支払っているんだ。大金を払った分は、しっかりと働いてもらわないと。


 俺はカリンとセリアを見て、言葉を漏らす。


「俺がしていることは悪だと思うか?」


「いいえ、アスランはしっかりとお金を払いましたもの。お金が発生した以上は、ちゃんとしたビジネスですわ」


「私もカリンさんと同じです。お兄様は今できることを精一杯しているだけです」


「ありがとう。二人がそう思ってくれているだけも助かる」


 俺だってみんなが文句なく平和に解決できるのなら、その方法を選ぶさ。でも、他にいいアイディアが思い付かなかったのだからしょうがない。


「ギルドマスター、奥の会議室に向かおう。今から作戦を考える」


「お、おう」


 ギルドマスターに声をかけ、奥の会議室に向けて歩く。


「とりあえずは、これでギルドマスターも安心だな」


「ああ、だけど大丈夫なのか? 少し乱暴な気がするが」


「確かに少し乱暴であったことは認める。だけど戦力を確実に保つには、この方法が一番なんだ」


 他にもあるのかもしれないけど、その方法をなぜか考えたくない。


 これはもしかしたら追放サイドであり、本来はざまぁされる立場が影響しているのかもしれない。


「ギルドマスター、この町周辺の地図は持っているか?」


「ああ、ちょっと待ってくれ」


 ギルドマスターは会議室にある棚の引き出しを開け、丸められた紙を持ってきた。


「これでいいか?」


 テーブルの上に紙が置かれ、覗き込む。


 原作の描写にあったとおりだな。これなら、魔物のルートも説明がしやすい。


「ギルドマスター、魔物たちのルートはこうだ」


 テーブルの上に置かれた地図に指を乗せ、口頭で説明を始める。


「魔物の大群は、この町の先にある荒野を通ってやってくる。そしてそこに罠をはる」


「罠だと?」


「街に向かうには、二つの崖に挟まれた道を通らないといけないからな。そこを封鎖することができれば、魔物の侵入を防ぐことができる」


「でも、その道は幅が広いですわよ。大体五十メートルはあるのではないかしら?」


「それは問題ない。俺とセリア、そしてカリンの力があれば上手く行く」


「任せてください。お兄様のご期待に応えて見せます」


「それで、具体的にはどんな罠を仕掛けるんだ?」


「古典的だが、落とし穴だ」


「落とし……穴? いやいや、いくらなんでも五十メートルの幅もある落とし穴を作るなんて不可能だ。そんなものを作っている間に魔物たちが来てしまう」


 ギルドマスターのやつ、俺の作戦に否定的だな。まぁ、現実的ではないと思われてもしょうがない。だけどこれが一番の安全策だ。原作でも、キーファがやっていたことだ。なら、俺だってできるはず。


「大丈夫だ。俺に任せろ」


 この作戦なら、三百体の魔物を足止めした上で狙い撃ちすることができる。


 さすがに相手が三百体を超えたり、飛行型の魔物が現れたりしたら、瞬時に別の方法を考えないといけないがな。


「とにかく、三百体の魔物がこの街に来るのは明日だ。早朝、準備に取りかかろう」

 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 この物語が面白いと思ってくださった神様のような方へ


『面白かった!』


『続きが気になる!』


『今後の展開が気になる! 次はいつ更新されるの?』


 と思いましたら


 広告の下にある☆☆☆☆☆から、作品の応援をお願いします。


 面白かったら☆五つ、つまらないと思ったら☆ひとつでも大丈夫です!


 あなたの感じた評価をしていただけると、作者のモチベーションが上がり、今後のパフォーマンス向上にもつながります。


 右下にあるブックマーク登録もしていただければ嬉しいです!


 何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ