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第二章 第二話 やっぱり大金が手に入ると、こんなイベントに直面するんだな

 俺はカリンとセリアに抱きつかれたまま、アイテムショップの扉を開けた。


「なぁ、もういいだろう。店の中に来たんだから危険なものはないはず」


「いいえ、どこに危険人物がいるのかわかりません。セリアちゃんサーチをお願いしますわ」


「了解しました。セリアサーチ」


 セリアが周辺を見渡す。


 何だよセリアサーチって、初耳だぞ。


「どうやらお兄様を色香で惑わすような、女はいそうにありませんね」


 それもそうだろう。ここの店にはカリンたちを除いて、野郎しかいないのだから。


 二人が俺から離れ、ようやく謎の拘束から逃れる。


 さてと、早く幻覚の杖の売却をして金に変えないとな。時間もあんまり残されていないし。


 受付に向かうと、カウンターの上に幻覚の杖を置く。


「こいつを買い取ってくれ。鑑定書があるから、この値段で買い取ってもらう」


「ふむふむ。どうやら偽造魔法は使われていないようですな。わかりました。では、鑑定額どおりのお金をお持ちしましょう」


 受付をしていた五十代の男性が幻覚の杖を受け取ると、店の奥へと入って行った。


 しばらくして男性が戻ってくると、カウンターの上に見たことのない量の札束が置かれた。


「全部で三千万ギルになります」


「ど、どうしましょう! アスラン、わたくしたちの持っているお財布では、全部入り切れませんわ」


「本当ですね。どうしましょうお兄様」


 俺としたことがとんでもないミスを犯してしまった。物語内では、普通に大金をもらっても、どこに収納しているのかの描写がほとんどされていない。


 こうなるのなら、何か袋でも持ってくればよかったな。


「お客様、どうやら収納ができずにお困りのようですね。少々お待ちください」


 俺たちが困っていると、受付の男性が一度店の奥に入っていく。そしてバスケットを持って戻ってきた。


「よろしければ、こちらなんかどうでしょうか?」


「バスケットですか?」


「確かに、それなら全部入りそうですね」


「こちらはバスケット型のアイテムボックスとなっております」


 アイテムボックスだと! 収納系チートアイテムじゃないか!


「いくらなんだ?」


「そうですね。こちらは時間停止型となっておりまして五百万ギルでどうでしょうか」


「買った!」


 俺は即答して購入することを男性に伝える。


 時間停止型と言ったら、アイテムボックスの中でも上位じゃないか。


 時間停止型は、中に入れた物の時を止めることができる。温かい物を入れれば冷めることもないし、冷たい物を入れてもぬるくなることはない。食材なんかも新鮮なままだ。


 買って得をすることはあっても、損することはない。


「ありがとうございます。では、五百万ギル分は差し引いておきますね」


 男性はカウンターの上に置いてある札束を五つ取ると、残りはアイテムボックスの中に入れてくれる。


「本日はありがとうございました。また何かありましたら、ぜひ立ち寄ってください」


「ありがとう。こちらこそ助かった」


 男性店員に礼を言うと、俺はバスケットをカリンに渡す。


 お金の管理は彼女の担当だからな。俺が持っておくわけにもいかないだろう。


「これであとは帰るだけだな。一度外に出てから転移するか」


 店の出入り口に向かい、扉を開ける。


「おっと待ちな! 悪いが、そのバスケットを置いていってもらおう」


 外に出ると、俺たちは複数の男たちから包囲されていた。


 あの男、アイテムショップの中にいたやつだな。俺たちが大金を持っているのを知って、奪おうとしているのか。こういうのは、現実世界も異世界も変わらないんだな。


「悪いが、俺たちは急いでいるんだ。お前たちと遊んでやっている時間はない」


「そんなに時間は取らないぜ。何せ、今から奪うんだからな。やっちまえ!」


 男が号令を出すと、取り巻きと思われる男たちが鞘から剣を抜いた。


「お兄様、ここは私が魔法で」


「いや、セリアは手を出すな。俺一人で十分だ」


 まったく、店を出た途端に族とエンカウントするとか、ゲームじゃないんだからこんなイベントはいらないって。原作にもなかったじゃないか。


 こいつらをいちいち相手にしている時間は俺たちには残されていない。一瞬で方を付ける。


「スリープ」


 男たちの脳内に睡眠物質が溜まっていくイメージを頭の中で膨らませながら、呪文を唱える。


 すると襲ってきた男たちは、手から剣を離して地面に倒れた。


「おい、お前ら何寝ていやがる! 早く起きないか!」


「いくら叩いても起きなぞ! 脳内に溜まった睡眠物質が除去されない限り、こいつらは眠ったままだ」


「くそう。こうなったら俺がお前たちを倒して金を奪ってやる!」


「お前バカだろう。こいつらを見て、自分にも魔法がかけられていると思っていないのか?」


「なん……だと」


 男は驚いた顔をするが、すぐに瞼を閉じて地面に倒れるといびきを掻く。


 これでよし。こいつらを放置していたら、店に迷惑がかかるだろうな。とりあえず道の脇にでも転がしておくか。


 本来であれば、追放サイドなのでヘイトを稼ぐために、男たちをボコボコにしてから金品を奪うなんてことをするのだろうな。だけど生憎俺はざまぁを回避することを目指している。ヘイト稼ぎに直結するようなことをするものか。


 俺は男たちを道の脇に寝かせると、地面に落ちていた酒の瓶を近くに置く。


 これで酒を飲んで眠ったと王都の人は思うだろう。


 運が良ければ憲兵の人が職質をして捕まえてくれるかもしれない。


「よし、それじゃ帰るとするか。そろそろギルドに冒険者たちが集まっているかもしれないからな」


「そうですわね。それでは、アスランにぎゅーっと抱きつきますわ」


「私もお兄様の背中に飛び乗る」


 カリンが抱きつき、セリアが背中に飛び乗って俺の首に手を回す。


 さて、帰りますか。


 懐から帰りのクリスタルを取り出し、両目を瞑って頭の中でギルドを思い浮かべる。


 数秒してから目を開けると、俺たちはギルドの中にいた。


「待たせたな。約束の前金を持って来たぞ」


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 この物語が面白いと思ってくださった神様のような方へ


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