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魔女先生の美しい魔法、とその信者

 魔女のような先生もこっちを向いた。

 

 彼女の目もまた見開かれる。


「ルミア様、どうかされましたか?」


 ライラ様の声に我に帰り、顔面に笑顔を貼り付けた。アンノ、ありがとう。


「いえ、全然。知り合いがいたので驚いただけですわ。」


「あの方ですよね…?」


 ライラ様は魔女先生の方へ視線を向けた。


「そうですわ。あの方です。」


 肯定するとライラ様はすごく驚いた顔をした。


「あの、偉大なるフォン様と知り合いなのですか!?」


「ファン様?」


「あの方ですわ!知り合いなのですか?ん?知り合いなのに、名前を知らないんですの?」


 ライラは目をキラキラさせて聞いてくる。


「いや、出かけたら知り合って…名前は聞いてないですが。」


「話したことがありますの?」


 圧!圧が凄いから!


「えぇ。まあ…」


 ギュン!

 気づけばライラの顔が真前にあった。


「本当ですの?フォン様と!紹介してくださいまし!私、フォン様の大ファンですの!あの素晴らしき佇まい。凛とした姿。彼女が魔法を使う様子はおそらく見ている者全員を必ず魅了いたしますわ!ただ、ただ、綺麗なんですの!特に大好きなのは水魔法ですわ!水が舞い、光でキラキラ輝くのはまさに…」


 へ?


 癒し系、のんびり美女が今は目を輝かせ口を止めることなく詰め寄ってくる。


 ファンがいる聖女的なイメージは崩れて、かわりにライブで叫ぶファンのイメージが構築されていく。


「…それでですわ、本当に美しく心を打たれましたの。私の弟はまさに奇跡で助かったようで…今はすごく元気ですわ。お父様も、お母様も泣いていました。もちろん、私も。お礼を言いたかったのですけれど、そこからは会えて無かったんですの。なんと、謙虚な方。」


 ライラの口は動く動く。


 どうやら、病気がちの可愛い弟を救ってくれたのが彼女らしい。しかも、お礼も求めず去っていったそうだ。


 めっちゃ、カッコいいじゃん!


 一緒にきゅんっといたルミアだった。

 

「あぁ…ごほん。入り口で立ち止まらないでくれるかい?」


 後ろを見るとクラスメートの男の子が立っていた。(名前は覚えてない。)

  

「あっ、すみません!」


 ライラも口を閉じて申し訳なさそうに微笑んだ。

 信者から聖女になる。

 そこで、魔女先生、もといフォンさんの存在も思い出す。


「ライラ様、座りましょう。」


 その言葉に頷き、ライラも席へと向かう。

 だが、


「ルミア様、腰が抜けてしまいました…!」


 前に一歩進むと同時にライラ様は腰が抜けて膝から崩れ落ちた。


「「ライラ様!」」


 男の子と二人で駆け寄る。

 

「幸せすぎて、腰が…」


 なんと…


 そこにフォンさんが来る。

 腰が抜けたライラ様に手をかざした。

 

 キラキラ、光の粒子が舞う。

 素晴らしく綺麗な魔法。

 実父マルヴィルの魔法も実母メフィルの魔法でもない、神秘的で美しい。


 これは、ライラの絶賛も納得。

 

「多分、これで腰も大丈夫なはずだろう。」


 フォンさんも言った。


「ライラ様、座りましょう。」


「…」


 声をかけるが返事がない。


「美しい…だだ、ひたすら美しい…」


 見ると、ただただ、虚空を眺めながらライラ様がフリーズいていた。

 読んでくださり、有難うございます。

 また、今日は「なろうラジオ大賞3」に新しく書いた短編を応募いたしました!

 「極悪人と聴く除夜の鐘は」という作品です。

 リリィという助手の女の子の少しだけ非日常な主人と過ごす大晦日の晩の話です。

 ほのぼのほっこり系で書いて見ました。

 ぜひ、読んでくださると嬉しく思います。

 よろしくお願いいたします。

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