特訓!in訓練場 魔法編3
「そうですね…、」
「はいはい!」
ロイジャは考えていた。
私はロイジャの言葉を、いまかいまかと待っている。いよいよ、魔法が使えるかもしれないのだ!
どうしよう!すごいワクワクする!
ルミアの頭は魔法という未知の領域で溢れている。
実父マルヴィルの言葉はよく分からないけど、それを理解したロイジャの説明ならいける気がする。執事に慣れるのならば、頭も良い、はず!多分だけど!
とはいえ、やはり悲しいかな、信頼がある意味である実父マルヴィルであった。ルミアがそう思うことに対して罪悪感すら無くなっているのは不憫である。それは実父マルヴィルのせいなのか、はたまたそうではないのか…、それは人によって変わるであろう。ルミアがどちらだと思っているか…。それは、簡単なことである。
と、ルミアはロイジャから名前を呼ばれた。
「ルミア様、見てください。」
ロイジャの声に釣られて、そちらを見る。
彼はすでに目を閉じていた。
寝てるのかな?と心の中でボケたルミアであったが、流石にそんなことはなく、ロイジャは急に、 失礼いたします。と言って、私の飲みかけの水をとった。結構残りのある。それを逆さに傾けて…
コポコポと音を立てて溢れる水。
え!?
何がしたいの?!
筒からはどんどんと水が出てきて、地面も少しずつ濡れていく。どんどん、大きくなっていく水溜り。
筒から溢れる水、もったいない、もっと飲みたい!まだ飲んでないのにぃ…、はぁ…。
…主に実父マルヴィルのせいで
実父マルヴィルは押し付けの刑である。
そんなことを考えている間にロイジャは私の残りの水を全て溢して、空にしていた。
本当になんで!
新しいのを取りに行かないと!訓練、まだまだあるのに!
「ルミア!もう少しで練習再開するわ!」
時間ないやん!取りに帰る時間ないやん!
思わず関西弁になってしまった。前世で師匠の元へと行ってからは使わないようにしていたのだが、人間、慌てると本性が出るという物である。
でも、もうそろそろ飲まないと、倒れるよ!?
この世界に熱中症あるのかは分からないけど。ていうか、丈夫なルミアちゃんがかかるのかも謎だけど。でも、熱中症なんかどんなマッチョも殺せるのだから。
…まあ、実父マルヴィルは死なないだろうが。
多分、これは、誰もが思うことである。
はぁ。
あそこに、特に目の前に、水があったらいいのに。
ロイジャに驚いて忘れていた喉の渇きが、今になって襲ってくる。
切実に欲しい!と願った時、
その時に、幻覚のように一瞬目の前に、水が見えた気がした。それに手を伸ばす、と同時に…
ブォン
そよ風どころじゃない、嵐前の程度の風と、目が潰れるほどの眩しい光がルミアとロイジャを照らす。
訓練場は眩しくて、白い光に包まれて…
その光は離れたところにいるメフィルも反射的に目を逸らすほどだった。
その光は一つに収束して、目を瞑っていた、ルミアの目の前に落ちてきた。
さながら、流れ星のように…。
けれど、その光はすぐに消えて…。
残ったのは、ロマンスも何もない、ただただすごい量の、水だった。
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