特訓!in訓練場 魔法編1
「次は魔法だ!」
そう言ったマルヴィルを人睨みして、それから…暫くして…
ため息を吐いた。
なんとなく説得が不可能な気がしたからだ。実父マルヴィルだしね。
「分かりました。」
実父マルヴィルが説明し始めた。
「魔法を発動するのは」
「はい」
「想像して。」
「はい」
想像できるかなぁ。難しそう…。
「ぶっ放す!」
「はい」
えーと、それで、その後は..?
「以上だ」
「はい。はい?」
え?
意味が分からない。
何が言いたいんだ。イジョウ?
「と、いうことを意識しながらやるんだ。」
と言われましても。意識するほどの事を言っていたか?おかしいなあ?なんか、虫食い算のような違和感を覚える、ルミア。
「父様、もう一度説明お願いします。」
彼女はもう一度説明を求めた。のだが。
「おう!まず」
うん、まず?
「水を出すなら、水を想像して」
「はい」
「ばっーん!てする!」
「はい?」
さっきと同じでよく分からなかった。
まあ、とりあえずやってみようか。気を取り直すルミア。実父マルヴィルから、補足が来る気配がないし…。駄目親父であった。
まず、水を想像して..。
よし、私のなけなしの想像力を、総動員する!いでよ!私の想像力!
うん、想像はできた。(なんとか!)
ばっーーーんってぶっ放す!
ばーーーん!
ってなんだ?!どうするんだ!
異世界ならまさかとは思ったがやはりあんなので、出来るわけなかった。
と、そこに実母メフィルが、ドレス姿でやってきた。こうしてみると、お淑やかな御令嬢である。
あれれれれれれ?お茶会行ったんじゃないの?
気になって近くまでお淑やかーにゆっくり歩いてきた実母メフィルに尋ねる。
「お母様、お茶会ではないのですか?」
「いえ、ルミア。参加したのはしたのですよ。まあ、最初から嫌でしたの。ほほほと言い合うあの会が。けれども、メイドの数はこちらをなめているとしか言いようがなかったですし、不快でしたので帰ってきましたの。本当に言葉遣いもあの野郎ら…。と、思ったら何をしているのですか?ねえ?マルヴィル様?」
「い、や、特訓を少ししていただけだ。」
実父マルヴィル、尋常じゃ無い汗をかいてるよ。大丈夫?あと、なんだか私、空耳が多いみたい。アンノといい、実母メフィルといい。もう、物騒だなあ。頭おかしいとか、おじさんとか、野郎らとか。ははははは
空虚な笑いが響いた。
「そうですの。どのような感じですか?」
「今は、魔法だ。」
「そうなんですのね。けれど、マルヴィル様は確か説明は、あまりお上手ではなかった気がするのですが…。」
そうなんですよ!
と、思ったがマルヴィルに悪いし。
だがしかし意味不明な圧力を感じるルミアは、
「そうかもしれないです。」
と答えてしまった。あっ思うが。時すでに遅し
すぐ、実母メフィルが動き出す。かもしれないだよ!実母メフィルぅ!
「というわけでもなく。」
「いいのよ、ルミア。あいつに気を使わなくても。私が教えますから、マルヴィル様は書類仕事をお願い致します。」
私のフォローもむなしく、メフィルの隣にいた、おそらくお茶会に同行していたのであろう、ミモラが実父マルヴィルを引っ張っていった。満足そうに眺めるメフィル。実母メフィルと同レベルの怪力に呆然とする私。いや、どんな図だ。
「いいですか、ルミア。まずは水を出すのでしたら水を想像します。目を開けて、出現させたいところを見つめながら。そして、体の中の魔力を練って、一緒に重ね合わせます。この中でも出現させるところを見つめながら、というのが特に大事な作業で…」
実父マルヴィルよ!最も大切な作業が抜けとるがな!
あと、むっず!
そして細か!
…これ、実父マルヴィルに教わってたら出来なかったかも。
そう思うルミアだった。意外と、いや、本当に失礼である。
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