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母の恐怖

 短めです。

女性はつかつかと歩み寄ると、実父マルヴィルの前へと立ち、顔を近づける。その直後、その綺麗な顔にさらに笑顔が追加された。これでメロっとならない男性などいないというほどの極上の笑みなのだ。本当に美しい。そして、麗しい。極上の笑みなのだが...。

 彼等の周りを取り巻いているのは、夫婦の甘い雰囲気などではなく、息をすることも戸惑うような張り詰めた空間と静寂だけだ。

 ルミアはここから抜け出す方法を考える。考えて考えて、そこである可能性に思い当たった。それは..。この女性の方が足が速いという事だ。なぜそう思ったか。その説明はこちら。


1、まずこの女性が誰か考えてみた。


2、実父マルヴィルを叱っているこの人は、使用人か実母メフィルのどちらかだ。


3、身なりが綺麗、すなわち実母メフィルの可能性が高い。


4、実母メフィルは戦場の赤ウサギ、つまり足は速いはずだ。


結論、逃げるのは諦める方が良さそう。

 流石にあんなお説教のリスクなど背負いたくない。救世主様来てください。

そんな私の思いが通じたのかロイジャがしゃべりだす。


「あの、メフィル様。」


ロイジャーーーーー!!!!!強い!凄い!カッコイイ!!あなたは救世主なのですね!

 というか、やはり実母メフィルなのか。逃げ出さなくて良かった!捕まるだけだろうし。実母から逃げるのも可笑しな話だし。セーフ。てか、私の現世の母怖えよ!もしかして私にもこんな感じ..?自分の勝手な想像に背筋がヒンヤリした。その近くにはロイジャを光の入った目で見る実父マルヴィルがいた。そんな二人を無視して、ロイジャとメフィルは話し出す。


「あら、ロイジャ何かしら?」


「マルヴィル様はルミア様に会いたくて執務を抜け出したそうです。」


 救世主じゃないのかロイジャ!悪魔じゃないか!それを聞いた実母メフィルは実父マルヴィルのことを凄い顔で睨んでいる。眼力すごい。実父マルヴィルの目からは光が消えた。顔が真っ青だ。ロイジャは実母メフィルに隠れてざまあみろという顔をしている。ロイジャも人が悪い。人のよさそうな顔してるのに。(関係無いけど)

 ただ、実父マルヴィルの相手をしていると鬱憤が溜まるというのはわからなくもない。むしろわかりすぎる。(今の段階でも)

結論、実父マルヴィルも悪い。ルミアに慈悲はなかった。そんなルミアの思考も実父マルヴィルの叫びに取り消される。


「ひゃあああああああ!!!!!!!」


 マルヴィルの方を見ると、笑顔が芸術レベルの実母メフィルに耳を引っ張って執務室に連行される実父マルヴィルの姿があった。ロイジャもざまあみろ顔がなくなった。同情の視線だ。いや、お前だろ、まあどうせ、ばれたでしょうけど。


「お母さま。」


流石に怖くなって呼ぶとすぐ返事が返ってくる。


「ルミア、また夜食事の宴で会いましょうね。お祝い兼ねて。」


しかも、“優しい”笑顔付きだった。やっぱり美人だな~。というか私の顔ってどんなんだっけ?こんな美人な人の子供なら、美人かな?それとも実父マルヴィルに似てるのかな?だとしたら、ムキムキ?実父マルヴィルに似てたら可愛くないかも。

じゃない!!!!!!!

 目をつぶる。目を開ける。繰り返す。何回やっても同じ笑顔。うん、美しいね。


「あら、ルミア目が痛いの?」


いえ、痛いのは使い過ぎた頭です。


「大丈夫です!お母様。宴、楽しみにしています。」


 動揺しながらも返事した私を愛情を込めた目で見つめる実母メフィル。え?誰これ。別人ですか?

 と思ったら、再び冷めた目つきになって実父マルヴィルを引っ張っていった。力持ちすぎだろ。隠れ筋肉質?実母メフィル。ていうか、温度差よ。

そんな二人を見送った後、ルミアの頭に言葉が浮かぶ。


あの二人個性的だな。


自分の事はきれいさっぱり忘れているのだった。


「ルミア様、戻りましょうか。」


執務室の方を見ていたロイジャがそう言った。


「宴の準備も御座いますので。」


 そうだ。アンノと鬼怖ミモラさんが待っている。

 私はロイジャの言葉に頷いた。

 ところで貴族の宴ってどんな感じなんだろう?

 れっ、礼儀作法、大丈夫かな?

 私の頭、まだまだ頑張れ!薬はやっぱ甘いものかなあ~。デザート出ますように。

読んでくださり、ありがとうございます!

次はいよいよ宴です。なかなか進まなくてすみません..。

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