手記
だが、一つだけ言えるとするのならば「疑心暗鬼は人を鬼にしてしまう。」と言うことだ。
信じよう 仲間を
信じよう 絆を
信じよう 愛を
アンジュ・ソシエール
このメッセージを記した手記が、また惨劇を起こすかもしれないし、惨劇を防ぐのかもしれない。
仲間を信じ、絆を信じ、愛を信じることで見えてくる真実がある事を信じて…
このメッセージが書かれた手記を大田原勝が手に入れ、「伝承研究部」のメンバー全員に見せるところから、この物語は始まる。
2020年6月
「なぁ、この手記に書かれたメッセージについてどう思う?」と俺はざっくばらんに質問した。
「うーん、ポエム!って感じだよね〜」とニナがテキトーな感じに答えた。
「確かに、ニナのLIMEのプロフみたいな感じだよな」と茶化す。
「…スぞ」とニナが囁くように凄む。
「…ごめん」と謝った。
「楽しそうにしてるところ、悪いんだけどその手記見せてくれない?」と紗希さんが聞いた。
ニナとは比べ物にならないほどに大人しく清楚な感じの人だ。
「ふーん、なるほどね。もしかしたらこのメッセージがなんかしらの惨劇を回避するヒントになるのかもしれないわね…」と紗希さんが言った。
「惨劇を回避するヒント、か…」と俺とニナが同時に返した。
「はいはい、そろそろ昼休みはオシマイですよ〜」と委員長をやっている花南さんが注意を促した。
「ゆっくりブリブリしてもいいんだよ〜」と萌里さんが下品なことを言っている。
恐らく、そういうネタだろう。
チャイム…はウチの学校にないのだが、授業が始まり一日が終わった。
この後は、部活だ。
-続く-