独白
これは、御伽原礼奈視点でのお話…
私は、1990年に起こったあの惨劇を忘れない。
いや、忘れる訳には行かない。
アレがなければ今頃、みんな幸せに生きれたのだ。
この思いをもとに私は調査を開始した。
その後、何年も何十年も何一つ分からないこともあったが、数十年に及ぶ独自調査でひとつの仮説を打ち立てた。
それは、「疑心暗鬼に陥らせる何かあるいは誰かの存在」である。
例えば、疑心暗鬼状態にさせる薬だとか風土病という線だ。
だが、そういうものだけで、惨劇を起こせるほどの要因にはなり得ないと考えている。
なぜなら、なんの情報もなく疑心暗鬼に陥るとは到底思えないからだ。
その何かしらの情報を、悪意の有無、もしくは故意か否かを問わず与えられたとしたら…?
もし、冗談として「殺せば解決しますよ〜」と誰かが言ったとしたら、「○○は敵だから〜」のようなことを言ったしたら?
それが引き金となり惨劇が起こった可能性が極めて高いと考える。
そして、それはとても身近な存在であったと考えた。
特定の誰であるかまでは証拠を掴み損ねているので控えるが、個人的には警察や神宮寺家の人物だと考えている。
警察は、情報を引き出すためにわざと疑心暗鬼にさせるようなことを言ったりすると、知り合いの刑事が話していた。
神宮寺家は、吉宮での冷遇ぷりを見ればそれなりに動機がありそうだが、恐らく羽根見沢の方の人物だろう。
ここまでが、私の調査ノート。いわば「07文書」って奴ね。
ここからが、遺書。
紫陽花の花言葉を知ってるかな?
それはね、『移り気』『浮気』『変節』というあまり宜しくない意味と、『和気あいあい』『家族』『団欒』という素晴らしい意味があるの。
私は、あじさい祭りというのは紫陽花をいい意味の方で解釈して開催してると思うの。
だから、みんなには紫陽花のいい意味の花言葉のような暮らしをしていて欲しいと願っています。
…ニナちゃん、あなたと一緒に真実を解き明かしたかった。そして、あなたと同じな所があるのだと話したかった。それはね…。
-続く-




