憑依
行方不明になっていたニナが無事に帰って、学校に来てくれた。
だが、何か彼女の態度や表情は違和感を覚える物だった。
まるで、何かに取り憑かれたかのように豹変していたのだ。
「おぉ!ニナ、大丈夫だったか?」と俺は大喜びで話しかけた。
「うん…。大丈夫だよ。なんたって、私は頑張らなきゃ行けないんだ…」とニナが平静を装い答えた。
「ホントか?まぁ、大丈夫ならいいけど…」と少し不安げに返事する。
その後、午前中の授業が終わりお昼休みになった。
「ねぇ、勝くんってオシロイサマって信じてるかな?」とニナが聞いてきた。
「オシロイサマ?あぁ、子供の時に見たことあるよ。夜中、寝る直前で部屋が暗い時に少し起きてたら全身真っ白なオバケみたいなのが居たんだよな。それがニナやここら辺に住んでるみんなの言うオシロイサマだって聞いた時は妙に納得したもんだよ。」と思い出すように返した。
「私は、オシロイサマは私たちのことを見てくれていて、いっつも私たちの味方をしてくれると思うんだ。オシロイサマは私たちが何をしても許してくれる…そんな寛容な神様って感じしない?」とニナが言う。
「確かに、寛容な優しい神様ってイメージあるよなぁ…。」とそれとなく返す。
「だからね、私は私の、私達家族の幸せを掴むためにどんな努力もするの。というか、しなきゃいけないんだと思う。オシロイサマならそれも許してくれる…。」とニナがさらに続ける。
「どんなことでもって?」と聞き返す。
「それは秘密だよ。だって、信じられるのはオシロイサマだけなんだよ。」とニナが答えた。
「俺、というか俺たちの事は信じてないの?」と聞く
「…まぁ、どちらかと言えば絶対信じることもなければ信じないこともない感じかな。大丈夫だよ、勝くんたちに迷惑は掛けないから…。」とニナが答える。
「何か困ったことがあれば、いつでも相談してくれよ。ホントに。」と言う。
「うん。じゃあ、オシロイサマを信じてくれるなら私の頑張り物語を手伝ってよ…。」とニナが狂気を感じる物言いをした。
「あ、あぁ…詳しくは後で聞くよ。聞いてから手伝うか手伝わないか決めるよ…。」と少しぼかして答えた。
-続く-




