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駄弁る少女たち

作者: 井花海月
掲載日:2021/01/26

女の子たちがお喋りしてる、それだけで価値があると思いません?

 

「ところで話は変わるんだけど、どうしてキリンって首が長いのかしら?」


 靴下の片っぽしかない時の対処法という話題に詰まると同時に、間髪入れずに次の話題を始める霧子。

 霧子はこういう時の仕切り直しが上手く、いつも本当に頼り甲斐がある。


「き、キリンね……た、高いところの果物を採るためじゃなかったかしら?」


 私もその話題に素早く乗っかり、それっぽいことを返すと、霧子は腕を組んで考えるふりをしながら、


「いや、それならゾウみたいに鼻を長くすれば良くないかしら?どうしてキリンは首で、ゾウは鼻なのかしらね」


 確かにそれは分からない。同じ高いところにある果物を摂ることが目的ならば、首でも鼻でも構わない気がする。


「どうしてでしょうね……」

「うーん……」

「…………」

「…………」

「……あ、あのあのっ!飴食べる人っ!」


 会話が途切れそうになったところへ、結菜ちゃんの申し出により、迷わず全員挙手する。


「じゃあ私は紅茶を淹れてくるから、会話を続けておいて」


 美里は席を立ち上がって、湯沸かしのポットを取りに向かう。


「……私つくづく思うのよ。全国の学校の黒板、全部電子化すべきだって。どうしても予算が厳しければホワイトボードの方が良くないかしら?」


 再び何の前触れもなく、学校に対して文句を口にし、共感を求めてくる霧子。


「確かにそうね。黒板ってあの音が嫌よね」

「……た、確かにそうですっ!」


 同感の私と結菜。


「ホワイトボードの方が黒板より値段も安いんだし、学校は全てホワイトボードの方がいいわよね」

「コスパも消しやすさもホワイトボードの方が優れているのに、どうしてそうしないのかしら?」

「どうしてでしょうね……」

「わ、分かりません……」

「…………」

「…………」

「…………」


「お待たせ〜……って、おっと手が滑ったあああっ!!」


 紅茶を持ってきた美里はわざとらしい声をあげ、トレイごと霧子にぶちまけた。


「あっっっつ!!なにすんのよ!!」


 ダイレクトに熱湯同然の紅茶が降りかかった霧子は、普段の落ち着いた様子から一転しろ、机を殴りつけて立ち上がる。


「そっちこそ、話しててって言ったじゃない!」

「話題提供してるのは、いつも私じゃない!それをあんたらが上手く乗ってくれないからいけないんじゃない!」

「だってキリンが首長いとか学校の黒板なんて、どうだっていいもん!そっちこそ話題提供が下手すぎるのよ!」

「なんですってぇ〜……?」

「文句があるのぉ?」


 火花を散らせる2人。


「うぅ〜っ……」


 それを見ていた結菜ちゃんは、うるうると涙ぐむ。


「あっ……ごめん結菜ちゃん」

「け、喧嘩はやめるわ。だから泣くのは」

「そうじゃありませんっ!」


 結菜ちゃんはもう我慢できないと言った様子で、机を力強く叩いて立ち上がる。


「皆さんとお話しすること飽きたんです!もう最悪です……どうして、どうしてこんなことしなくちゃいけないんですかぁあ〜……」


 そのまま机に突っ伏して泣き出す。


 何気に酷い言葉だ。

 だが、確かにこうして会話を始めてかなりの時間が経った。

 しかし、この4人と会話をやめるわけにはいかず、私は結菜の言葉に続けて言う。




「しょーがないでしょ。会話が止まると死んじゃうデスゲームの最中なんだから」




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