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第三章 メルキド侵攻 第十一話

「うわぁぁぁ!」


城壁で、ワイバニア兵の悲鳴と骨の砕ける鈍い音がいくつも聞こえてきた。メルキドの要塞守備兵は必死で防戦を繰り広げていた。メルキド兵達は城壁にかけられたはしごを落とし、城壁の破片の石を落としては、ワイバニア兵の侵入を防いでいた。


「もう落とす石がないぞ!」


「北側の城壁の守りが破られた! ワイバニア兵が来るぞ!」


城壁を守るメルキド兵は三〇〇人にも満たない。対するワイバニア軍は騎兵を入れて五〇〇〇人で攻め込んできた。必死の抵抗空しく、城壁の守備兵は時を経たずして全滅した。


その頃、扉を破ったワイバニア第八軍団本隊もクーラー率いる守備隊の十度目の一斉射にさらされていた。矢は有限とは言え、タイミングをはかった一斉射の威力は強烈で、攻撃隊は多くの犠牲を払っていた。


「盾を二枚重ねにするんだ。前衛部隊で矢を防いで、突破口を開くぞ!」


ワイバニア軍重装歩兵中隊長オーギュスト・クルツリンガーが言った。これ以上味方を犠牲にする訳にはいかない。覚悟を決めてオーギュストは攻撃隊最前列に立ち、盾を構えた。


「中隊、突撃!」


オーギュスト率いる中隊は隊列を整え、矢の嵐の中を突進した。矢が風を切る音、矢に倒れる仲間のうめき声、矢が肉を裂く痛み、それらの感覚が呼び起こす恐怖を狂気に変えてワイバニア兵はメルキド軍に襲いかかった。メイスを振り上げ、一気にメルキド兵にたたきおろすワイバニア重装歩兵。もみあいになりながらも、ワイバニア兵の額に矢を放つメルキド弓兵。門の内部は狂気と血が彩る地獄と化していた。


「ようし! 突破口が開いたぞ! 進め進め!」


ヒッパーは城壁に取り付いた兵士達全員に突進を命じた。一方、クーラー率いる守備隊は壊滅の一途をたどっていた。門の内部の兵力はもはや全滅し、門に配置してあった石兵ヘラクレスはその巨体があだになり、門の中でかく座し、撃破された。

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