表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/473

第二章 戦乱への序曲 第十一話

「ヒーリー。私もヒーリーには軍の要職について欲しいと考えているんだ。君ほどの戦術家が私を支えてくれると、これほど心強いことはないよ」


次兄マクベスは長兄に続いて言った。買いかぶりだとヒーリーは思った。今回の戦いは予想以上の戦果をあげた。しかし、これ以上の戦果をこれからもあげられるかどうかヒーリーには自信がなかった。しかし、兄二人の懇請を突っぱねる訳にも、ヒーリーはいかなかった。兄二人がヒーリーを頼りにしてくれている以上に、彼らはヒーリーを様々なことから守り続けていた。そのことをヒーリー自身はよくわかっていたので、兄達の恩に報いるためにも、彼らを支えるためにも、ヒーリーは第五軍団長就任を了承することにした。


「わかりました。陛下、兄上、第五軍団長に就任させていただきます」


「ありがとう。ヒーリー」


王太子エリクはヒーリーの決断に礼を言った。


その後、各隊長の戦果報告のあと、つつがなく式典は終了した。


「あぁ、いやだいやだ」


王城の広い廊下を歩きながらヒーリーは言った。


「その割には、いつもあの二人に頼まれると、引き受けてしまうんだよねぇ。君は」


ヒーリーの隣でラグは言った。ラグ自身もヒーリーには軍にとどまって欲しいようで、ヒーリーの第五軍団長就任を歓迎していた。


「仕方ないだろう。二人にはわがままも色々聞いてもらっているし、役に立ちたいと思っているんだ。特にエリク兄さんにはね」


ヒーリーの兄、エリクシルはこの年二九歳になる。メルキドとの平和条約上、生後すぐに人質に出され、親元から離れた生活を余儀なくされた。立太子のため帰国してからは、父王ジェイムズ、政治顧問リードマンのもとで政治を学び、次期国王として現在は政務の大部分を行なっていた。

また、その実直な人柄は人々の人気を集め、”フォレスタル史上もっとも人徳ある人物”として讃えられていた。


生まれてすぐ人質に出されたこと、その過酷な幼少期と常に国家の重責を担わなければならない立場、だがそれに対して弱音を吐くこともなく、つねに周囲に気遣いを見せる兄に、ヒーリーは並々ならぬ尊敬の念を抱いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ