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第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第百五四話

一方、ミュセドーラス平野突入に成功したワイバニア軍予備兵力は司令官マルガレーテ・ハイネマン指揮のもと、兵力の展開を行っていた。


「よし、第九軍団はこれより、敵第一軍団に攻撃を開始する。マイヤーとヴィクターの坊やには自分の判断にゆだねるって言っときな!」


マルガレーテは怒鳴りつける様に伝令に告げた。


「大人げないわよ。マルガレーテ」


ワイバニア第九軍団参謀長フランシスカ・エンチェンスベルガーは上司に釘を刺した。


「気が立ってるのは分かるけれど、こんなときこそ落ち着かなきゃだめ。中位軍団長だからって、あの二人に指揮を丸投げしないで、きちんと責任を果たしなさい」


参謀長にいわれ、マルガレーテは小さく「わかったよ」とだけこたえた。


「バルクホルン軍団長の第十一軍団はフォレスタル軍の備えとして待機させましょう。連れて行くのはマイヤー軍団長の第十二軍団だけで十分でしょう。フォレスタル一個軍団だけが戦っているのは明らかに怪しいもの。でも、あの一個軍団を放置すれば、大変なことになるわ」


「スタンリーのようにかい?」


「それ以上よ」


フランシスカは即答した。


「三十年前の激戦を知っているのは、上級指揮官クラスでは、グレゴール様だけ。戦史を学んでいれば、どんなに凄まじい戦いだったかわかる。フランシス・ピットはそれを生き抜いたフォレスタル軍の中でも数少ない存在よ」


「今更戦史の講義なんて受けたくないよ」


「聞いて。そんな軍団長が後方で暴れ回ったら、たとえ一個大隊であっても、危険よ」


「それなら、坊やの十一軍団も使うべきさ。あの子の兵力はマイヤーよりもはるかに多いんだから」


相棒の問いにフランシスカは首を振った。


「怖いのはフランシス・ピットだけじゃないのよ。全軍がミュセドーラス平野に密集することも危険なの。敵第一軍団の登場で、戦局は再びわたし達が不利になってしまったわ。分断したはずの鶴翼陣形が元に戻ってしまったから、敵はいつでもわたし達を包囲できる状態にあるのよ」


マルガレーテの額から汗が一筋たれた。自分たちがいかに危険な状態にあるかを知らされたのである。数的優位は揺るがない。しかし、敵は地の利を手にしている。ワイバニア軍を包囲下に置いた連合軍が再び反撃に出るのは予想できたことだった。


「わたし達が勝つには、フォレスタル第一軍団を倒し、返す刀で連合軍を倒すしかなくなってしまったのよ」


明敏な第九軍団参謀長は声を震わせた。


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