表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
422/473

第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第百二十八話

「いい布陣だね。たった三個大隊の割に、重厚なもんだ」


前方のフォレスタル第四軍団を見たマルガレーテはマーガレットの布陣を賞賛した。


マーガレット率いる三個大隊は侵入口の幅ぎりぎりに布陣している。前衛に二個大隊、後衛に一個大隊を配し、横一文字に陣を敷いている。


第一列に弓兵、第二、三列に槍兵、最後列に騎兵を配置して、歩兵の突撃に対抗する構えである。


「こんなもんでは、それほど時間はもたないさね。さて、魚鱗の陣形で突撃だ。数を頼みに押し出すよ」


マルガレーテは腕を振り上げた。露出の高いプレートメイルの隙間に戦場焼けした肌がのぞく。三十二歳と言う年齢とは思えない瑞々しい肢体。彼女の周囲の評価とは裏腹に、マルガレーテは女性として魅力的な面を持っていた。


「マルガレーテ、くれぐれも言っておくけれど……」


「わかってるよ。『用心しろ』だろ?」


フランシスカの進言をマルガレーテは流した。彼女は油断も侮りもしていない。敵軍の陣形は確かによくできているが、警戒する程ではない。全軍をそのままぶつけてもよかったが、彼女はここで慎重さを発揮した。


マルガレーテは全軍を五つの戦術集団に分け、マーガレットに対した。


五つの集団を交互に前進させ、敵の数をゆっくりと減らしていく作戦である。この作戦では、敵に大切な時間を与えてしまうことになるが、合流を急いて、敵の奇計にはまってしまうのは、ワイバニア軍にとって避けなければならないことだった。


参謀長のフランシスカも、マルガレーテの策に賛同した。


「突撃!」


マルガレーテ・ハイネマン率いるワイバニア軍予備兵力第一陣が前進を開始した。歩兵が軍靴を響かせ、迫り来る。槍が鳴り、戦場につわものどものときの声が響き渡る。


「……来たようですわ」


敵の前進を見たマーガレットは指揮杖を高く掲げた。


「構え!」


弓兵達が新型連射弓を構え、狙いを定めた。照準器の真ん中に、敵兵の姿が入る。あとは、引き金を引くだけ。弓兵達は息を吸い、吐いた。


羽衣の二つ名を持つ女将は敵が射程距離に入ったことを確認すると、杖を大きく振った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ