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第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第百二三話

閃光と爆音が再び戦場に轟き、弓兵は目と耳を潰され、騎兵は馬から転げ落ちた。突然の光と音に驚いた馬は主を振り落とし暴れている。それでもアルマダ最強であるワイバニア第一軍団の騎兵は揺るがない。三分の一程の精鋭が優れた技術で馬を抑え、ヒーリーに向かって来た。


「来るか……」


前方の騎兵をにらみつけ、ヒーリーは弾丸を装填した。


「ヒーリー、あなたではこれだけの数を相手に出来ない! わたし達を置いて逃げてください」


「嫌だ」


にべもなく言い放ったアルマダ唯一の銃使いは騎兵に向け、銃を連射した。


「光った?」


ワイバニア騎兵は小さな光点を認識した。だが、その光に魅入られたが最後、逃げることも避けることも出来ない。銃弾は騎兵の眉間を貫いた。ほんの数秒、いや、もっとわずかな間の出来事かもしれない。ヒーリーは瞬く間にワイバニアの精鋭二個小隊を全滅させた。


たった一人に向かっていった。それだけで二十人の精鋭が殺されてしまった。


魔法か奇跡かそれとも、悪夢か。無慈悲な事実に恐れを抱いた騎兵の長は軽く手を挙げて部下を制止した。うかつに攻めるのは被害を拡大させるだけと考えたのだ。


そんな中、一人の弓兵がヒーリーの頭を狙って矢を放った。ワイバニア第一軍団弓兵大隊長ヴェルナー・テンシュテットである。第一軍団弓兵大隊長の放つ矢、それはすなわち百発百中であることを意味する。一本の矢がヒーリーに吸い込まれるように飛んでいく。


風切り音に気づいたアンジェラが声を上げた。


「あ……」


ヒーリーはマガジンを交換すると慌てずに二発の弾丸を放った。一発は矢を弾き落とし、もう一発はヴェルナーの色眼鏡を砕いた。


「なっ……」


ヒーリーの眼が二本目の矢をつがえようとするヴェルナーを真っすぐにらんでいる。


「次は眉間を狙う」


ヒーリーはヴェルナーに無言の圧力をかけた。ヴェルナーは矢をつがえたまま目を見開いている。狙いの正確さ、魔術銃の早さ、そのすべてが彼にとっては悪夢に等しい衝撃だった。


魔術銃の連射性能と射程距離。これは弓の中でも連射力と射程に優れる長弓をはるかに上回っている。それは弓兵の完全な敗北に他ならなかった。ワイバニア最高の弓兵はもう、ヒーリーを狙うことは出来なかった。


わずか二十五発の弾丸、ただそれだけでヒーリーは二〇〇〇の兵を黙らせた。たった一人、その気になれば、すぐに殺せるはずなのに、ワイバニアの精鋭は彼を取り囲むだけで何もすることはなかった。


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