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第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第八十八話

「申し訳ありません。わたしのミスです。敵軍の反撃方法をもっと十分検討すべきでした」


メアリは唇をかみしめた。作戦の弱点に気づかず、さらにその弱点を責められようとしていたのだ。参謀として、決定的な敗北だった。


「いや、まだ手をあげるのには早い。副軍団長を呼んでくれ」


ヒーリーは咎めようとしなかった。作戦を立てたメアリにも責任はあるが、何よりもメアリの作戦を採用したヒーリーに作戦失敗の責任があり、彼自身、それを十分に理解していた。


彼は伝令の龍騎兵に副軍団長のアレックスを呼びにやった。


「アレックス・スチュアート、お呼びによりまかりこしました」


上空から直接降り立ったアレックスはヒーリーとメアリに敬礼した。ヒーリーはアレックスに現在の戦況と予想されるワイバニア軍の攻撃を伝えた。


「なるほど、それで我々にワイバニア軍を攻撃せよということですね」


「……まぁ、そういうことだが、急降下攻撃を最大で三回。それをしたらすぐに引き返すんだ」


「どうしてですか? 我々はもっと戦えます!」


「だからこそだ。第四軍団のスタンリー支隊の退却が予想より早かったし、我々も今苦境にある。マンフレート・フリッツ・フォン・シラーと言う男は、おれとスタンリー、そしてメアリが束になってもさらに上を行く知将だ。虎の子の龍騎兵を失う訳にはいかないのだから」


アレックスはヒーリーの額に汗が垂れるのを見た。かつてオセロー平原で、ジークムント・フォン・ネルトリンゲン率いるワイバニア第十軍団と戦ったときとはまるで様子が違う。フォレスタル軍最強の龍騎兵は事態の恐ろしさをあらためて認識した。


「わかりました。直ちに攻撃に移ります」


同じ頃、シラーも騎兵大隊に命令を下していた。


「騎兵大隊出撃! 敵の地上兵力が標的の救援に来られない今、援軍として出すのは龍騎兵大隊しかいない。警戒を怠るな。連射弓で応戦せよ」


ワイバニア、メルキド、フォレスタル。アルマダ三国の中で、シラーほど傑出した騎兵隊指揮官はいない。その手腕は騎兵出身であり、有能な指揮官であるアンジェラ・フォン・アルレスハイムが高く評価している。卓抜した判断力、組織力。そして、粗野に見えるが計算に満ちた智謀。上位軍団の長として申し分無い能力を有していた。


シラーは次のフォレスタル軍の攻撃が空からのものだと看破すると、すぐさま騎兵に警戒を促したのである。予想される攻撃と予想できなかった攻撃では、その被害に大きな差が出る。シラーは三たびに渡ってフォレスタル軍の作戦による効果を半減させたのである。

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